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ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

14日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:保阪正康様(ノンフィクション作家、近代史研究者)

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スタッフです。14日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)はゲストにノンフィクション作家で近代史研究者の保阪正康様をお迎えいたします。

戦争について取材し始めた頃、多くの戦争体験の証言を聴きだした時のエピソードや、三島由紀夫様の自決事件が発端となり昭和史を誰よりも深く理解することを選んだ経緯などをお伺いする予定です。

保阪様が上梓された本を一部ご紹介いたします。合わせてご覧ください。

トルクメニスタン訪問記 天然ガス輸出で潤う国

 先日、国際交流基金の要請で中央アジアトルクメニスタンを訪問した。文化交流の名目で市内を見学するとともに、美術学校、美術館、科学アカデミー、絨毯博物館、ミニファッションショーなどを見学させてもらった。

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 そのほか、日本との外交関係樹立25周年の式典に参加し、4日間の滞在中、メレドフ副首相兼外相(57)、アガムィラドフ教育相(53)、女性のオラズムハメドヴァ文化大臣(43)らと、それぞれ1時間以上にわたって面談した。

【3大臣と各1時間以上懇談】
 メレドフ副首相は思慮深い知識人という印象で、日本の茶文化に興味があるらしく「茶道は技術ではなく、水を飲むこととは違い、客や茶文化に対する敬意があることを感じた。現代の若者は物事をシンプルに考える傾向があるので、茶の文化を若者に教えるべきだと思っている。茶は日常生活の中に文化や伝統行事を見せてくれているように思う。このほか生け花、着物の歴史、日本人の色彩感覚、デザイン、寿司の握り方やほかの料理法にも特別な考え方があるようで興味深かった」などと語り、東京にトルクメニスタン文化センターを設置したいし、今後は日本との間で交互の訪問日程を作ることも計画している――など、日本文化に大いなる関心を持っているようだった。

 アガムィラドフ教育相は、好々爺然とした穏やかな人物だった。同教育相によると、現在4つの大学で日本語を第二言語として採用し、今年から10校の中学校で日本語を教え始めたという。また今後は、自国の若者たちを日本の専門機関や高等教育機関に留学させたい、と日本に強い関心を寄せていた。

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2016年9月に設立され、筑波大学との協定により日本式工学教育を導入するオグズ・ハン記念トルクメニスタン工科大学を訪問。1年間の予備教育段階にて英語と日本語のみの授業が行われ、日本語教員は筑波大学から2016年11月に2名の日本人が派遣され、現地教員6名とともに日本語教育を実施している。

 さらに、民族衣装姿で現れたオラズムハメドヴァ文化大臣は「トルクメニスタン人は70以上の楽器を作った平和を愛する我慢強い国民だ。シルクロードは数千年の歴史の中で貿易や文化に国際的役割を果たしてきたと自負している。日本の自然や文化、伝統も素晴らしいし、食事は特に素敵だ。食べ過ぎないように気をつけている」と魅力的な笑顔で微笑んだ。3大臣とも日本の技術や産業、発展過程に大いに敬意を示したが、それ以上に日本の文化や伝統に関心を持ち、何度も「今後、展示会やシンポジウムなどを実施したい」と強調していたのが印象的だった。さすがシルクロードの国とあって、自分たちの文化に誇りを持つとともに協力をしたがっているように見えた。

【人口540万人の小国、面積は日本の1.3倍】
 トルクメニスタン中央アジア5カ国のうちの1つで、カスピ海の東に面し、北西にカザフスタン、北東にウズベキスタンと接し、南はイラン、アフガニスタンが隣国となる。人口は540万人と中央アジア5カ国の中では小国だが、国土面積は日本の1.3倍と広い。宗教はイスラムスンニ派が多く、穏健なイスラム国で、過激派や麻薬の流入を警戒している。資源は世界4位の埋蔵量を誇る天然ガスが中心を占め、ロシア・中国・イランにパイプラインで輸出している。資源に特化した国づくりを行ってきたため、経済面は資源価格が高騰しているときは良いが、最近はアメリカのシェールガスなど競争相手も増えてきたため、一時ほど儲かってはいない。

 このため、日本などから資源加工技術などを導入したり、ガス加工案件、中小企業技術の育成に力を入れている。また、土地の約80%は農業活動のために使用されており、小麦と綿花生産が中心で、ほかに果物、野菜、家畜がGDPの農・畜産業生産のうち約20%を占めている。トルクメニスタンに在留する日本人は商社や技術関係者などわずかにとどまり、40人に満たない。日本との貿易額も、建設と鉱山用機械など輸出は約800億円で、輸入は美術・骨董品など3億円程度。2016年に安倍首相ら一行が中央アジア5カ国を訪問した際に訪れている。1人当たりGDPは2016年で6,694ドル(IMF推計)。

【数千年の興亡の歴史と旧ソ連からの独立】
 トルクメニスタントルクメニスタン人77%、ウズベク人9%強、ロシア人7%、カザフ人2%、朝鮮系0.7%を擁する多民族国家で、古代のころからオアシス都市として繁栄していた。国土の70%以上は砂漠地帯だが、イランと国境を接する地域には山々が連なり、景色は悪くない。医療費と教育費は原則無料となっている。

 また、他の中央アジア諸国と同様に、1991年の旧ソ連崩壊とともに独立し、前ニヤゾフ大統領は「積極的中立政策」(等距離、全方位外交、実利重視)を掲げ1995年に国連総会で「永世中立国」として承認された。2006年、ニヤゾフ大統領死後に大統領選挙が行われ、ベルディムハメドフ大統領代行(前副首相兼保健・医療工業相)が後継大統領となり永世中立国を維持している。ニヤゾフ大統領時代から独裁政治色が強い。

 トルクメニスタンは紀元前6世紀にはアケメネス朝ペルシャ、前4世紀にはアレキサンドロス大王の遠征により支配された。その後、ギリシャ系のバクトリア王国、イラン系のクシャーナ王朝、紀元後にはササン朝ペルシャなどの支配下に入り6~7世紀に入ると突厥(トルコ系民族テュルク)に支配される。8世紀になるとアラブのウマイヤ朝、その後オアシス都市連合体、9世紀後半はイラン系サーマン朝、10世紀にはトルコ系遊牧民カラハン朝が支配した。さらにその後もめまぐるしく宗主国が変わり、11世紀にはセルジュークトルコ、12世紀にはカラキタイ、13世紀になるとチンギス・ハン率いるモンゴル軍が占領、チンギス・ハンの死後はウズベクのチムールが強大な帝国を作った。チムールの死後はヒヴァ、ブハラ、サファヴィー朝などに侵略されるが、1868年にロシアが本格的に中央アジアに進出し始め、ロシアはカスピ海東岸からも上陸し、トルクメニスタンのアシュガバット(現代の首都)も占領。1991年旧ソ連の崩壊で中央アジア諸国が個別に独立するまで、ロシアの支配下にあった。このため、中央アジア諸国は固有のウズベク語、トルクメン語などと同様に現在もロシア語を共通言語としている。

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【白いビルだけが立ち並ぶ首都】
 中央アジア旧ソ連領となったカザフスタントルクメニスタンウズベキスタンタジキスタンキルギスタン(頭文字から「加藤タキ」とすると覚えやすい)の5カ国からなるが、ロシアは旧ソ連邦やカスピ海沿岸部、さらにウクライナなどを含めたコーカサス一帯を再び旧ソ連邦と同様の国々に組み込みたいと思っている。

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 トルクメニスタンは、ガス輸出を中国のパイプラインなどに繋げ潤っているが、独裁体制は不変で、首都アシュガバットに並び建つビル街(官庁街、高層住宅街など)は白色で規制されており、美しくはあるが人の匂いがしない。朝夕以外の昼間や夜は人通りがほとんど見られず、無気味ですらある。首都の官僚たちの多くは高層住宅に住んでいると聞いたが、道沿いに店はなく必需品はビルの地下の店にあるという。バザールや小じんまりした商店街に行くと人の姿は見かけるが、概して人影が少ない。人口540万、首都アシュガバットで約70万人というから、もともと賑やかさがないのかもしれない。

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小中学生は薄い赤、高校生は濃い赤の制服を着ており、男子学生は白いシャツにネクタイ姿だった。首都は実にきれいで清潔な感じだったが、ウズベキスタンタシュケントのような人の賑わいが見当たらず街の様子は寂しかった。首都で働く日本人はほとんどが単身赴任で、仕事以外の娯楽が少ないようで、年に何回か国外へ出る休暇が数少ない楽しみになっているようだ。

 交通はドバイ、ヨーロッパ経由などで待ち時間を入れて片道20時間以上。4泊6日の旅だったが、4泊以外は機中泊が2日。近いようで遠いシルクロードの旅だった。
TSR情報 2017年4月28日】

画像は全て国際交流基金撮影。ページ画像は、美術館訪問の様子。

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:河合純一様(日本パラリンピアンズ協会会長)二夜目音源掲載

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スタッフです。昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)のゲストに日本パラリンピアンズ協会会長の河合純一様をお迎えした二夜目の音源が番組サイトに掲載されました。

視覚障害者が初めて普通科公立中学校教師になったときの話や、中学校を辞めて大学院に進学して分かったと云う障害者に対する偏見や、「障害は個性」という考え方、「目が見えずに泳ぐことは人生に似ている」と感じたというそのときの思いなどについてお伺いいたしました。

前回の現実を拒んでいた時期についてや、目が見えないことに対する葛藤を乗り越え、92年バルセロナから2012年ロンドンまで、6大会連続出場で金5個を含む計21個のメダルを獲得するなど、パラリンピックに向けての独自の練習法などにつきお伺いした放送は今週水曜正午まで番組サイトにて公開中です。お聴き逃しの方は合わせてご利用ください。

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 河合様が編集に携わられた書籍を合わせてご紹介いたします。 

次週はノンフクション作家で近代史研究家の保阪正康様をゲストにお迎えする予定です。

右傾化の渦巻く世界~オランダの選挙から考える~

3月21日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の放送内容をお届けします。
放送日当日の内容のため、文末の補足情報と併せて参照ください。

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テーマ:オランダ選挙で、ポピュリズムに歯止めはかかったのか

本日はオランダで行われた選挙(3月15日実施)を受け、ヨーロッパの今後を少し占いたい。オランダはそんなに大きい国ではないが日本の我々までも選挙の行方に注目している。それは、極右政党が躍進するのではないかという危機感から大きな関心を呼んでいるわけだが、結果として極右政党は第一党にならなかった。しかしながら、極右政党の議席は増加し、与党の議席は減少した。ほっとしている反面、ヨーロッパのポピュリズムに歯止めがかかったというわけではなく、ますます今後行われるフランス大統領選(4月23日に第1回投票が終了※)、ドイツでの選挙などに注目が集まっている。

【リベラルから右に傾斜も・・・】
オランダの極右政党自由党の党首であるウィルダース氏は、徹底した「反移民」「反EU」「反イスラム教」主義者だ。世界の主要宗教の1つ「イスラム教」の「コーラン」をヒットラーの「我が闘争」と同一視し、「オランダ国内で発禁処分にするべき」という主張をしてきた。さらに、イスラム教の国からの移民流入を停止し、新たなモスクの建設も禁止すべきだと訴えるなど右派の典型のような激しい主張をしている。

今回の選挙結果は、当初の予想に反して自由党が第1党にはならず、33議席を獲得した自由民主党が前回同様に第1党になった。自由党は前回より5議席増やし20議席を獲得。これには主に以下の二つの要因があると思われる。
自由党が掲げた政策が本当にその通りに実施されるのかという疑問が持たれ、口先だけではないかと思われた
自由民主党が右寄りに政策を転換した

今、ヨーロッパ全体が右に舵を取っている。そのため、自由民主党は少し右寄り路線をとったことで従前どおり投票した人がいたという現われだと思う。そういうことから、右傾化に「NO」と示したわけではない。そのため、今後のフランス大統領選やドイツの選挙に注目が集まっているのだ。

【反移民で辛勝・・・】
自由民主党・党首のルッテ氏は元々リベラルだ。しかしながら、今回の選挙では右派勢力の台頭に対する不安から、新聞広告一面に反移民に関する意見広告を掲載。「自由を求めてオランダにやってきたにもかかわらず、我々の価値観を拒絶する者は、この国にとどまるべきではない」として、右派寄りの反移民を鮮明にし、オランダ国民をなだめた。EU離脱に関しては、経済的な観点から従前どおり反対しているが、反移民を打ち出さなかったら果たして勝てたかどうか・・・とも言われている。

今回、極右は負けたものの惨敗したわけではなく、議席数を伸長している。ヨーロッパ諸国の政策的な立場を分析する「マニュフェストプロジェクト」の政治思想の誘導を図る計測によると、自由民主党は2000年以降に10%も右寄りになっている。

【右派が渦巻くヨーロッパ諸国】
今回の選挙でオランダは極右にはならなかったが、右傾化傾向をたどっている。これから先の展望を考えてみると、来月にはフランスの大統領選(※)があり、ルペン氏の台頭している。ルペン氏は極端な右傾化路線だと勝ち目がないと温和な路線に切り替えているが、オランダ等の結果を見てさらにその動きを強めている。「反グローバル主義」「フランス第一」「反テロ」「反移民」などを従前どおり掲げているが、「妊娠中絶の問題はある程度許容」を表明。しかしながら、本質は変わっていない。

右傾化を少し薄めることで投票する人の幅が拡がる可能性があるので、余計にルペン氏の動きは気になる。現在、フランス大統領選の予想1位はルペン氏であるから、そういう意味でも気になる(※)。また、ハンガリーのオルバン首相は「反難民」の急先鋒で、国境に有刺鉄線や催涙ガス、放水で難民を追い払っている。さらに、ドイツの右派政党「ドイツのための選択肢」の党首ペトリ―女史は、「ユーロ離脱」「反移民」を掲げている。各国の抱えている事情によって主要テーマは異なるが、「反移民」など、各国が共通して抱える問題を軸に訴える「右傾化」の動きがある。今年1月にはフランス、ドイツ、オランダの右派党首は過激派右派集会で結集し、トランプ思想への共鳴を叫んでいる。

【不満をすくい上げ、扇動し危機へ突入か!?】
この現象に象徴されるようにトランプ氏の出現による影響は本当に大きい。ポピュリズムというのは一般的に「大衆迎合」で、ポピュリズムそのものに思想があるわけではない。しかしながら、そのポピュリズムをすくい上げることによる扇動主義があるのだ。例えばドイツは「ナチズム」で国民の不満を演説でうまくすくい上げ、排外主義で他国を侵略、扇動したことで第二次大戦に導いた歴史がある。こういったことを放置すると、再び三度目の戦争を招くのではという危機感がヨーロッパの中にある。

かつて日本にも同様な流れがあったわけで、右傾化の道を辿ることでドンドン戦争への道を突き進んでいくのではないかという懸念もある、日本ではまだ猛烈に感じられるほど表面化していないが、ヨーロッパではより強くその空気感が感じられている。そして、日本も右傾化していることは間違いない。そういう意味からも世界全体が右傾化し、国民の願望を激しい扇動主義の言葉ですくい上げ、右寄りにドンドン誘導している。そこにポピュリズムの危険性があるように思う。

【中道の右傾化による危機】
極右政党というのはある意味では極端なので非常にわかりやすいが、中道といわれている人たちの右傾化が強まっていることが怖い。近年、日本では極端な右傾化傾向は見受けられなかったが、全体として右寄りになっていることは間違いない。

ヨーロッパにおける右傾化の背景には若者の労働、移民の流入と移民によるテロの発生などの問題により、それを批判する勢力が登場した。そして、そのことによって右傾化が促進された。このような流れが、フランス、ドイツ、オランダで起こっているのだろう。排斥された若者たちが、過激派組織などで洗脳され、そこに邁進するということも起きている。4月にフランスの大統領選挙(※)、9月にはドイツの議会選挙を控えている。中でもこのフランスの大統領選挙は山場だ。そして、メルケル首相が現在微妙な立場にあるので、ドイツの議会選挙がどのようなカタチで進んでいくかにも注目が集まっている。非常に大きな影響力を与えるだけに気になる。

補足情報:
※4月23日にフランス大統領選挙第1回投票が行われ、マクロン氏が1位(得票率24.01%、8,657,326票)、ルペン氏が2位(同21.3%、7,679,493票)となり、5月7日の決戦投票に駒を進めた。
NHKのニュースによると最新の世論調査では、「投票に行く」と答えた人のうち59%がマクロン氏、41%がルペン氏を支持しているが、投票率が低下した場合ルペン氏に有利だという見方もあり有権者の動向が注目されている。

■お知らせ
嶌は1990年4月から27年間本番組に出演しておりましたが、3月28日をもって出演を終了いたしました。長きにわたって聞いてくださった皆様には感謝申し上げます。今回お届けする3月7日以降の番組の放送内容のまとめは3月28日放送分まで引き続きオフィシャルサイトやSNS、メルマガ等にてお届けいたします。
また、4月15日から新たに有料メルマガ「鳥の目、虫の目、歴史の目」を開始いたしました。初月は無料となっておりますので、ぜひこの機会に合わせて登録いただけると幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

「鳥の目、虫の目、歴史の目」に関する詳細は、以下URLを参照ください。

www.mag2.com

 画像:Flickr Fin de meeting Marseille / Jeanne Menjoulet

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:河合純一様(日本パラリンピアンズ協会会長)音源掲載

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スタッフです。昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)のゲストに日本パラリンピアンズ協会会長の河合純一様をお迎えした音源が番組サイトに掲載されました。

現実を拒んでいた時期についてや、目が見えないことに対する葛藤を乗り越え、92年バルセロナから2012年ロンドンまで、6大会連続出場で金5個を含む計21個のメダルを獲得するなど、パラリンピックに向けての独自の練習法などにつきお伺いいたしました。

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次週も通常通り7日(日)21:30より河合様をお迎えし、視覚障害者が初めて普通科公立中学校教師になったときの話や、中学校を辞めて大学院に進学して分かったと云う障害者に対する偏見や、「障害は個性」という考え方、「目が見えずに泳ぐことは人生に似ている」と感じたというそのときの思いなどについてお伺いする予定です。

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 河合様が編集に携わられた書籍を合わせてご紹介いたします。 

30日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:河合純一様(日本パラリンピアンズ協会会長)

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スタッフです。30日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)はゲストに日本パラリンピアンズ協会会長の河合純一様をお迎えいたします。

現実を拒んでいた時期についてや、目が見えないことに対する葛藤を乗り越え、92年バルセロナから2012年ロンドンまで、6大会連続出場で金5個を含む計21個のメダルを獲得するなど、パラリンピックに向けての独自の練習法などにつきお伺いする予定です。

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河合様が編集に携わられた書籍を合わせてご紹介いたします。 

理念死守に踏みとどまるEU

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 EU(欧州連合)の原点となったローマ条約の制定から60年が経った。3月末、EU離脱を決めたイギリスを除く27加盟国がローマに集結。結束を誓い「異なる速度と強さで行動を共にする」との宣言を採択した。統合速度を多様化させる方針は、一見すると欧州の格差に見合った統合を進めるように見えながらもEUを一級国と二級国に分ける差別ともとられ、東欧諸国の反発もありEUは新たな曲がり角に立っているようだ。

 EUは1952年に西独、仏など6カ国が石炭鉄鋼共同体を創設したことからスタートした。その後欧州経済共同体を設立し、東西冷戦が終結した93年に人、モノ、資本、サービスの移動の自由化を内容とするEUが発足。現在は旧ソ連圏の東欧も入れた27カ国で構成している。

 一時は、"ヨーロッパ合衆国"として経済、単一通貨(ユーロ)、安全保障、文化などで大きな存在感を示した。

 しかしギリシャなど財政難の国が次々と出現したことよりほころびが目立ち、特に中東から難民が押し寄せてきたことから各国でテロや社会暴動が頻発。さらに2016年にイギリスがEU離脱を決めたこともあって反移民、反EUエリート、自国第一主義ポピュリズム大衆迎合)と右派勢力が結びついてEUの分断化が深刻となってきた。

 EUはもともと国民国家の壁を無くし、ヨーロッパ内で人や資本などの移動の自由を掲げて出来上がった壮大な実験だった。その結果、5億人の共通市場と新しい欧州文化を作りつつあるかに見えた。しかし21世紀に入って急速に進んだグローバリズムによる富裕層と貧困層の二極化や中東の内戦から流入した数百万人に上る難民や移民によってEUの理想は一挙に危機に瀕しているのが実情だ。

 ヨーロッパは、近代以前では封建国家同士が数百年にわたって争いを続けたし、近代国家に生まれ変わってからも二度の大戦を経験している。「三度目の大戦は、絶対に起こさない」という誓いからドイツとフランスなどが数十年かけて建設してきたのがEUだ。このうちイギリスは反EUの考えから今年3月末に離脱した。

 3月末のEU首脳会議では統合の深化を目指して「ローマ宣言」が採択された。しかしその過程で、東欧と西欧の経済格差などもあり、"深化"へと向かうには程遠かった。

 ただ先月に行われたオランダの総選挙では反EUや移民排斥を訴えた自由党は第一党になれず、ドイツの地方選挙でもメルケル首相率いる与党が圧勝した。EUはナショナリズムポピュリズムに揺さぶられつつも、何とか理念を守る位置に踏みとどまっているように見える。
【財界 春季特大号 第446回】
画像:EUサイトEU各国首脳の非公式会合

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【著】嶌 信彦

     
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首脳外交-先進国サミットの裏面史

(文春新書)
【著】嶌 信彦


 
嶌信彦の一筆入魂

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【著】嶌 信彦


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【著】嶌 信彦
       

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