時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

日曜(4月8日)21:30からTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』は日本におけるショパンの第一人者の遠藤郁子様(ピアニスト)

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スタッフからのお知らせです。

日曜(4月8日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はゲストに日本におけるショパンの第一人者であるピアニストの遠藤郁子様をお迎えする予定です。

母にピアノを習い、母を死なせるものかと必死でピアノを練習したエピソードや、ポーランドやフランスに15年間留学し、ピアノに生涯をささげてきた人生観などにつきお伺いいたします。

合わせて遠藤様が上梓された書籍やCDをご紹介いたします。

流通を変えるネット通販 

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 ネット通販(電子商取引、eコマース)が爆発的に伸びている。日本のネット通販の大手3社(アマゾン・ジャパン、ヤフー、楽天)の販売額は2017年に6兆7千億円に達し、全国百貨店の6兆円を初めて抜いた。拡大は依然続いており、スーパー、コンビニを追い上げ、ネット通販の拡大は世界的潮流となっている。

 経済産業省によると16年の個人向けネット通販の売り上げは約15兆円で、大手3社はそのうち約4割を占める。ネット通販を利用した世帯は34%に上り前年比6.5ポイント増。1世帯あたりの毎月の消費額も1万円を超えた。ネットで商品を見て注文すれば宅配業者などが届けてくれるので、忙しい共稼ぎ世帯だけでなく、高齢者や地方の買い物が不便な地域でも増大している。

 こうした動きが特に顕著なのは流通基盤がまだ全国に行き届いていない中国だ。中国のネット人口は16年に7億人を超え、オンラインショッピングの利用者は4億5千万人に達しているという。中国でも急速にスーパーやコンビニが増大しているが、国土が広いためなかなか農村部には店が行き渡らない。そこにネット通販が登場し、爆発的に利用されている。

 中国農村部の人口は全人口の約半分にあたる6億人を超える。これまで発展している沿岸部では小売りが伸びて消費ブームが到来していたが、地方やへき地の農村部は消費文化から取り残されていた。しかし中国でスマホが急増し17年の年間販売台数は15億台を突破。大都市の保有率はほぼ100%で、農村部でも1億人を超したといわれる。こうしたスマホの普及がネット通販を成長させているのだ。

 ネットで商品を見て注文すると、ネット通販と提携するコンビニやスーパーに商品が届けられ、購入者は商品を受け取りに行く仕組みらしい。最近では、石油大手がネット通販と提携することで流通に参入し、ガソリンスタンドに併設するコンビニで商品を受け取れるようになった。中国ではネットの配達先をコンビニなどにすることで新たな流通網ができ、地方も都会と同じように商品を手に入れられるようになったのだ。

 中国のネット企業の最大手はアリババ集団で、家具販売大手や百貨店、スーパーなどに次々と出資し、リアル店舗を傘下に収め始めている。また、電子商取引2位の京東集団はネット企業のテンセントなどと手を組み、急速に流通配達網を確保し始めている。

 一方でアメリカのおもちゃ販売大手トイザラスが国内の全735店を数ヶ月以内に閉鎖すると報じられた。トイザラスといえば、おもちゃの店として一時は隆盛を誇り、日本にも支社を出し人気を博していた。しかし米国のトイザラスはアマゾン・ドット・コムなどのネット販売に押されて業績が低迷し、昨年9月に連邦破産法を申請していた。また英国トイザラスも75店の閉鎖が決まっている。

 アメリカ小売り最大手のウォルマートもアマゾンのネット通販に対抗するため、生鮮品宅配事業のサービスを全米6都市から100都市に拡大し全世帯の40%以上をカバーするという。利用客はウォルマートのウェブサイトや専用アプリで注文すれば最短で当日に商品を受け取ることが出来る。主軸の店舗販売から宅配を始めることで即日配達を強化するというのだ。ネット通販が世界で流通のあり方を変え始めている。 
【電気新聞 2018年3月29日】

トップ画像:中国上海で展開するファミリーマートサイトトップ

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 俳人の金子兜太様追悼放送音源が期間限定配信中

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スタッフからのお知らせです。

昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)2月20日にご逝去された俳人金子兜太を偲び、追悼企画として2009年11月10日に収録した音源を再編集し、お届けしました。番組サイトにて、来週水曜正午まで期間限定配信をしております。

金子様には同年12月6日と13日に出演いただいております。今回、嶌は金子様を偲び当時の音源を改めて聞き、多くの方に知っていただきたい内容と思い、再放送が実現することになりました。

当時100歳まで生きると仰っていた金子様の健康法や、日本銀行に在籍しながら俳人の道を歩んだ人生観などにつき改めてお聞きいただきます。

嶌にとって金子様の収録は非常に印象深く、昨日のことのように思い出され、既報の通り先日コラムを記しました。合わせてご紹介いたします。

金子様はさまざまな書籍を上梓されておりますので、一部をご紹介いたします。

 

今なお、さまざまな媒体で金子様を偲ぶ記事をお見かけします。雑誌「俳句界」の最新号(4月号)では特集が組まれ、非常に読み応えのある記事や追悼のお言葉が掲載されておりましたので合わせてご紹介いたします。

また、先週日刊ゲンダイの紙面に掲載された俳人の黒田杏子様が金子様の思い出を語られた記事がWEB版に掲載されておりましたのでこちらも合わせてご紹介いたします。


次週は、ショパンの名手で知られるピアニストの遠藤郁子様をお迎えする予定です。

日曜(4月1日)21:30からTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』は俳人の金子兜太様追悼放送

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スタッフからのお知らせです。

日曜(4月1日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)2月20日にご逝去された俳人金子兜太を偲び、追悼企画として2009年11月10日に収録した音源を再編集し、お届けする運びとなりました。金子様には同年12月6日と13日に出演いただいております。今回、嶌は金子様を偲び当時の音源を改めて聞き、多くの方に知っていただきたい内容と思い、再放送が実現することになりました。

当時100歳まで生きると仰っていた金子様の健康法や、日本銀行に在籍しながら俳人の道を歩んだ人生観などにつき改めてお聞きいただきます。

嶌にとって金子様の収録は非常に印象深く、昨日のことのように思い出され、既報の通り先日コラムを記しました。合わせてご紹介いたします。

金子様はさまざまな書籍を上梓されておりますので、一部をご紹介いたします。

 

今なお、さまざまな媒体で金子様を偲ぶ記事をお見かけします。雑誌「俳句界」の最新号(4月号)では特集が組まれ、非常に読み応えのある記事や追悼のお言葉が掲載されておりましたので合わせてご紹介いたします。

まだまだ火種が多い森友問題 ―公文書改ざん、長官辞任、首相の進退にまで発展―

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 学校法人「森友学園」への国有地売却問題に端を発した国会議論は、ますます闇に包まれ、国税庁長官の辞任、公文書の改ざん、安倍首相夫妻への忖度(そんたく)と首相辞任論、財務省官僚の倫理や官僚道・吏道などのあり方にまで発展してきた。国家を揺るがす大事件に至った経緯と背景、問題の所在をもう一度見直してみたい。

―発端は国有地払下げの巨額値下げ―
 事の発端は森友学園が学校建設用地として9億5600万円の国有地の払下げを求めたことから始まる。この過程で森友側が、地中に大量のゴミがあったとして約8億円の値引きを求めた。このため国はゴミ撤去費を約8億2000万円と算定し、2016年に土地評価額から同額を差し引いた1億3400万円で学園側に売却した。ただ、ゴミの推計量などは虚偽だった可能性があり、「特殊な土地だから」などの理由で国と森友側で調整して金額をはじき出した疑惑を持たれている。また安倍昭恵首相夫人が学校の建設現場を視察した際、森友学園の小学校建設理念などを聞いて“素晴らしい、前へ進めましょう”と述べたとされ(安倍首相は否定)、森友学園の籠池理事長夫妻(当時)らと共に撮影した写真などを財務省の近畿財務局に提出されていたようだ。さらに安倍昭恵氏が名誉校長に就任し、森友側は首相夫妻の権威をバックに学校建設を有利に進めていたともいわれる。

―私達夫婦が関係していたら首相を辞めると発言―
 これらの報道について安倍首相は、17年2月17日の衆院予算委員会の答弁で「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と言明した。ただ、“関係していたなら首相も議員も辞める”という発言は極めて重くとられた可能性があり、その点が後々に言われる“首相から直接言及がなくとも近畿財務局など周囲、関係者が首相夫妻を”忖度“し、事を進める結果につながったのではないかと推測されたのだ。

 この安倍首相の発言でいったん事は収まったかにみえたが、安倍首相の盟友とされる加計学園の加計氏が獣医学部愛媛県今治市に建設することになり、同県がこれに協力したことから、再び森友学園問題も国会で取り上げられるようになった。

 この時、再び値引きの原因となった森友学園のゴミの有無に焦点が当てられたが、16年3月30日に録音されたという音声データによると業者は「地下3メートルより下からゴミが出てきたかどうかはわからない。と述べると、国側は虚偽にならないように“混在している”と。3メートル超も一定にはあると。出るじゃないですか。と発言し、これからゴミを探すような口ぶりで応じていた。」(3月16日付毎日新聞)という。国側が譲歩していたかのような申し出だった。

 結局、その後、国と学園が協議し、ゴミの深さに関する認識をすり合わせ4月に試掘報告書などを国に提出し、国がゴミの撤去費を約8億2000万円と算定したという。

財務省文書の改ざんが発覚―
 ところが3月に始まった国会論議で、最初は「ない」と国側が行っていた森友学園の国有地取引をめぐる財務省の決裁文書が次々と出てきた上、公的文書の改ざん問題まで多数発覚し、安倍昭恵氏や他の政治家の名前などが消去されていることもわかった。このため、佐川宣寿国税庁長官(当時の理財局長)が減給処分を受けて辞任する事態に発展した。

 また森友関係の文書は破棄し残っていない、とされ消去したと思われていた文書が財務省近畿財務局のパソコン内に残っており、原本も本省に残っていたのである。さらに大阪地検の捜査で森友ゴミ報告書は虚偽とわかった。

 このように財務省が決裁文書の書き換えと改ざんしたものを国会に提出していたことは、前代未聞のこと。かつて財務省にいた小黒一正・法政大教授によると「公文書を作成し管理した経験を持つ者としては信じがたい異常な出来事だ。この渦中で職員が自死により命を絶った悲劇には言葉もない。決裁後の文書を変更すれば虚偽公文書作成などで刑法上の罪に問われるし、そんな危険を冒すことはよほどの圧力でもない限りあり得ないことで、安倍首相への忖度の領域をはるかに越えた行為だ。行政は国民の信頼の上に成り立っているが、その基盤を壊す深刻な事態だ」と述べている。

 安倍首相自身は「一切関与していない」と反論しているが、では財務省がなぜそこまでして公文書偽造をしたのか、やはり忖度だったのかどうか。

―本質語らない国会答弁―
 この公文書改ざんの国会議論の中で、責任の所在や中心人物などについて麻生財務相は「佐川が責任者だろうと思う。私や官邸が佐川の答弁に圧力を加えたとの事実はない」と表明していたが、佐川氏について「佐川が、佐川が・・・」と呼び捨てにし続けたことも違和感を覚えさせられた。

 また佐川氏の答弁も木で鼻をくくったような素っ気ないものの言い方ばかりで、国民に丁寧に説明するという姿勢が微塵も感じられなかったのも気になった。このほか財務官僚の一連の答弁は、いずれも官僚的なモノの言い方で聞く人に反発を感じさせたのではなかろうか。

 ただ、太田理財局長は「文書の書き換えは国会答弁が誤解を受けないようにするため」に行なわれたのだろうとした上で“私や妻が関係していれば総理大臣を辞める”と発言した首相談話など「政府全体の答弁は気にしていたと思う。ただ首相答弁の影響を否定する、しないということを申し上げるつもりはない」と述べ、麻生財務相は「私や官邸が佐川氏らの答弁に圧力を加えた事実はない」と語った。

―「特殊性」とは何か、支持率も大きく下落―
 いずれにせよ、国会議論で時間をかなり費やしたものの、森友問題の全貌や忖度の有無など、はっきりしたことは不明のままで証人喚問や今後の議論でどこまで明らかになるかが焦点だ。

 とにかく官庁のトップに立つといわれる財務省が決裁された公文書を偽造したり、白紙を国会や国民の前に提示する行為は言語道断で民主主義の根幹に触れる重大な問題といわざるを得まい。民間企業が偽造の決算書を株主や国民の前に発表した行為と同様の犯罪といえよう。また、答弁の中で何度も「特殊性」という言葉が出てきたが、何が特殊なのかもよくわからず仕舞いだった。特殊性という言葉は裏社会用語で時々出てくるが、そのことを指していたのだろうか。

 この森友問題の政府答弁で安倍首相の支持率は毎日新聞共同通信などの世論調査で軒並み30%台に下落、不支持が40%台にハネ上がった。いよいよ安倍政権は追い詰められてきたといえよう。
TSR情報 2018年3月28日】

画像:Wikimedia Commons (森友学園本部・塚本幼稚園)

1年で韓国元大統領が2人逮捕とは!

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 韓国でこの1年に2人の元大統領が逮捕された。80年代以降をみると、4人の元大統領が捕まっており、1人は自殺をしている。多くは地域や人的対立が原因となっているが、経済成長を続けオリンピックまで主催し先進国の仲間入りをしている国が政争を繰り返しているのは異常だ。

 3月22日の深夜、李明博元大統領(08-13年)が逮捕された。昨年3月に拘束された朴槿恵前大統領(13-17年)と合わせると1年間に2人の元大統領が逮捕されたことになる。

 韓国政界ではこの他にも80年代以降、全斗煥(80-88年)、盧泰愚(ノテウ・88-93年)両大統領も逮捕されている。背景には伝統的な地域対立のほか人間的対立があるとみられている。

 李大統領が在任中には、実は前任の盧武鉉ノムヒョン)元大統領が捜査を受け自殺していた。今回の李元大統領逮捕はその政治報復ではないかともいわれている。今回の捜査は文在寅政権の示唆によって始められたともいわれており、依然韓国の政争が後を絶たないことを示している。

 李明博元大統領の容疑は収賄で総額110億ウォン(11億円)を受け取ったほか、秘密資金の350億ウォンを得たとされている。今後は裁判で争うことになるが、今回の逮捕でまだ韓国の政争はケリがつかず続くとみられている。オリンピックを成功させた韓国だが、こうした政争が続いていると経済や企業経営にも影響してこよう。

 韓国は第二次大戦後、北朝鮮のほうが豊かだといわれていた。しかし、1960年代になり朴チョンヒ大統領(朴槿恵氏の父)が軍事政権下で反政府運動を抑圧しながら高度成長を実現し“漢江の奇跡”といわれる実績をあげた。それが飛躍台となって韓国は北朝鮮を追い抜き、先進国入りを果たしてきた。政治が混乱するとそうした経済の成功もご破算になる歴史を各国の例でみてきた。それだけに、文在寅現政権が今後行なう南北朝鮮の首脳会談などで、どんな方針を打ち出し、北朝鮮と付き合ってゆくか注目される。

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト: 山本一成様(最強将棋ソフト「PONANZA」開発者)二夜目 音源掲載

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スタッフからのお知らせです。

昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は先週に引き続きゲストに最強将棋ソフト「PONZNZA」の開発者でHEROZ(ヒーローズ)株式会社リードエンジニアの山本一成様をお迎えした音源が番組サイトに掲載されました。来週水曜正午までの期間限定公開です。

進学校から東京大学に進んだという山本様の将棋はアマ五段の腕前。理系でもパソコンは苦手、数カ月間必死で勉強して最初のソフトを完成させたが、出来栄えは散々で、なかなか人間には勝てなかった・・・
そんな試行錯誤を繰り返していた頃のエピソードなどをお伺いしました。

前回の、理系だがパソコンは苦手、数カ月間必死で勉強して最初のソフトを完成させた時の話しから、佐藤天彦名人を破った将棋ソフト「PONZNZA」の開発秘話などについてお伺いいたしました。例えを用いて論理的にわかりやすく説明いただいた放送音源は今週水曜正午まで番組サイトにてお聞きいただけます。

嶌が以前、「PONANZA」に関して記したコラムもご紹介いたしますので、よろしければあわせてご覧いただけると幸いです。

合わせて、山本様が上梓された本をご紹介いたします。

次回は2月20日に98歳でなくなられた金子兜太様の追悼企画として2009年11月10日に収録した音源を再編集し、お届けいたします。当時100歳まで生きると仰っていた金子様の健康法や、日本銀行に在籍しながら俳人の道を歩んだ人生観などについて、今改めてお聴きいただきます。

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日本人の覚悟―成熟経済を超える

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(集英社新書)
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嶌信彦の一筆入魂

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(財界研究所)
【著】嶌 信彦


ニュースキャスターたちの24時間

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(講談社)
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