時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

日曜(17日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:作曲家 浜圭介様

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スタッフからのお知らせです。

日曜(17日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は、ゲストに大ヒット曲「石狩挽歌」や「終着駅」などを手掛けられた作曲家の浜圭介さんをお迎えいたします。

札幌で高校在学中に知人が応募したオーディションに合格。歌手から作曲家に転身した経緯や、当時40万枚のセールスを記録した大ヒット曲「終着駅」「石狩挽歌」「哀しみ本線日本海」「舟歌」などの誕生秘話 をお伺いする予定です。 

参考まで、上記に記載した音源を共有いたします。今なお歌い継がれている素晴らしい歌をお楽しみください。

 合わせて、浜様が手掛けられた歌が収録されたアルバムの一部をご紹介いたします。

アメリカ第一の綻びも?

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 トランプ大統領は頑固で、一度言い出したら滅多に自説を引っ込めない。安倍首相は4月下旬、アメリカのTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への復帰を促したが、トランプ大統領の返事は案の定「NO」だった。安倍首相はゴルフ外交で気分を解きほぐしてからと考えたようだが、まるで通じなかった。

 そこで安倍首相は、日米の貿易、投資を拡大し自由で開かれたインド太平洋地域の経済発展を実現するため茂木敏充経済再生担当相と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表による新たな協議を始めたいと持ちかけた。新協議はスタートすることになったものの、トランプ大統領はその時も巨額のアメリカの対日貿易赤字について言及し、日本市場に障壁があると強い不満を表明した。日本に対するアメリカによる鉄鋼アルミニウムの輸入制限についても二国間協議で合意に達しない限り輸入制限を除外しないと言明した。

 アメリカの貿易赤字は、2017年で7962億ドルに達し、うち中国が47%を占めている。日本、メキシコ、ドイツはいずれも8%台だが、日本からアメリカへの主な輸出品目は自動車が全体の30.4%を占め、次いで一般機械(22.5%)、電気機器13.5%──などとなっている。アメリカから日本への輸出では牛肉が最大の目標だが、アメリカ産の関税は38・5%と高く、TPP参加国のオーストラリアの関税は最終的に9%まで下がる可能性が高くこのままだと米国産牛肉は豪州産に負けてしまう。日本としては日米二国間交渉で言いなりになるか、あくまでもTPPの正論で押すか、また厄介な選択を迫られそうだ。

 二国間交渉になると、アメリカは軍事力、経済力、政治力などを利用して優位な立場を取れる。過去の貿易交渉でも日本側が自主的に規制したり、課徴金を払うなどして常にアメリカの主張に泣かされてきた。

 現在の貿易交渉はアメリカと中国の間でも知的財産、自動車、農産品などでぶつかり合っている。かつての自由貿易主義の旗頭だったアメリカは、トランプ政権になってから"アメリカ・ファースト"を唱え、自由貿易原則などを顧みなくなっている。アメリカが保護主義的政策を取り、中国が自由貿易を主張するなど立場が入れ替わったりしているのだ。

 しかも中国は一帯一路構想、上海協力機構アジアインフラ投資銀行創設、インド洋周辺国への援助、EUとの貿易拡大など大きな構想力で世界を取り込もうとしている。

 むろん中国の強引なやり方に反発も強いが、アメリカはいつまでアメリカ第一を貫けるか、ここ1年が米中貿易・経済戦争の勝負どころとなろう。
【財界 2018年6月12日号 第472回】

急増する外国人労働者 

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 日本で働く外国人労働者が昨年過去最高となった。厚生労働省によると、2017年10月末に外国人労働者数が128万人になり、日本の総雇用者総数の約2%を占める水準になったという。特にこの5年間で急増し、60万人に及んでいる。

 外国人労働者の受け入れについては、10年位前までは日本人の雇用機会を奪う、治安が悪化する、などと懸念され、国民世論全体として消極的だった。しかし、ここ数年の少子高齢化の進行による各分野での労働力不足が深刻となり、贅沢を言っておられず背に腹を代えられなくなってきたのが実情のようだ。

 外国人の労働現場としては工場や道路工事、サービス産業などが目立っている。国籍別では中国が37万人と全体の29.1%を占める。次いでベトナムの18.8%、フィリピンの11.5%、ブラジル9.2%、ネパール5.4%などと続いている。資格別では労働現場で外国人労働者を実習生として受け入れる技能実習制度の在留資格が最も多く25万8000人、留学生が26万人。また高度人材などの専門的・技術的分野も約24万人で19%近く増えている。日本は建て前として単純労働者の受け入れを認めていないが、技能実習の約8割は工場か建設業、留学生の過半数は卸小売りかサービス業で働いているのが実態だ。

 戦後、中心的に産業を担ってきたのは、いわゆる団塊世代(1945~47年生まれ)で、毎年230~250万人が生まれ、その団塊世代の子供世代(団塊ジュニア)も年間200万人ほど生まれていた。しかし、いまや団塊世代は70歳台、ジュニア世代も40~50代となり、日本の平均年齢は47歳と高齢化してしまっている。ちなみにインドの平均年齢は26~27歳と若々しい。

 しかも日本は少子化時代を迎えており、現在の出生率(1.44人)が続くと2050年には日本の人口は1億人を切り、2080年には8千万人を下回るし、2100年には今の人口統計から推計すると4100万人まで減るとさえいわれている。

 江戸時代に3000万人強だった人口は増え続け、敗戦後の昭和20年は一時減少したが、それでも7千万人といわれた。それが戦後の高度成長で67年には1億人に達し、現在は1億2653万人まで増えている。この人口の伸びがあって日本は国力を伸ばし、日本人の勤労精神と相まって世界第2位のGDP大国にまで成長したのだ。まさに人口増こそが日本の成長の源だった。

 ところが今や人口減少、働き手不足を肌で感ずるようになり、様々な理屈をつけ外国人労働者を入れ、補っているのだ。しかし現在のやり方は、どうみてもその場しのぎの手法としかみえない。日本は外国人労働者とどう向き合うのか。本気で対応を考えておかないといずれ国家間の摩擦にまで発展する危険性すらあろう。

 労働人口減少を補う対応として外国人労働者の雇用だけでなく、日本人女性や高齢者の雇用も増えている。どのケースも減少する日本人労働者の補完としてみるだけでなく、賃金や権利、教育、日本人労働者とのバランスなどを国として考えておくべき時代に来ていると思う。グローバル化となり、これまで以上に人権の重視や多様性の尊重などが重要視されてきた。敬意を表される国になりたいものだ。 
【電気新聞 2018年5月10日】

参考情報:政府がかねてから検討していた外国人労働者の受け入れ拡大策を6月5日に開催した経済財政諮問会議にて安倍首相が人手不足が深刻な建設や農業、介護など5業種を対象に2019年4月に新たな在留資格を設けることを表明しました。6月中旬の閣議で決定する「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」に新資格の創設を明記し、今秋の臨時国会に入国管理法改正案を提出する予定です。

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:TBS「クレイジージャーニー 」でおなじみの遠藤秀紀様(東京大学総合研究博物館教授)二夜目 音源掲載

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スタッフからのお知らせです。

昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は、ゲストにTBS「クレイジージャーニー 」やウルトラマンや特撮好きとしてもよく知られている、東京大学総合研究博物館教授の遠藤秀紀様をお招きした二夜目をお届けいたしました。音源が番組サイトに期間限定で掲載され、来週水曜正午までお聞きいただけます。

遺体との格闘であり遺体の中に手を入れて触ってみないと分からない発見や、死体を見る解剖学は、過度の経済合理性優先の圧力で、研究対象となる資料や標本の維持がきわめて難しくなっていると云う現状についてお伺いいたしました。

今回、ジャイアントパンダの第7の指を発見されたエピソードも交えてお話いただいております。また、自分で面白いと思ったら執着し、諦めずに粘り強くくいついていくという言葉が非常に印象的でした。

前回の死んだ動物を解剖し進化の歴史を研究しながら、将来の研究に役立てるため標本に残す「遺体科学」についてや、自分の手で動物の秘密を解き明かすことになった原体験についてお伺いした放送音源は、今週水曜正午まで期間限定で配信中です。

上記画像でアシスタントの安田様が持たれている骨は、遠藤様がお持ち下さったキリンの前足の手首から先、指の付け根までの間の骨です。前回放送の冒頭部分でご説明頂きました。

遠藤様がお勤めの東京大学総合研究博物館ではさまざまな展覧会が行なわれており、無料でご覧いただけます。詳細は以下リンクを参照ください。

東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyo

合わせて、遠藤様が上梓された書籍の一部をご紹介します。
 

次週は作曲家の浜圭介様をお迎えする予定です。

あきれる政治・官僚の質低下 朝鮮半島の将来展望語る時期に

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 「政治の説明能力が大事な時代に、政治の信頼そのものが問われている。国民は信頼できない人間の言うことを聞くだろうか。我々は深刻さを今一度感じなければならない」

 最近の政治に対する国民の信頼低下は著しいものがある。その危機感を政治家自身が講演で率直に認めたのは自民党岸田文雄政調会長である。自民党三役の一人でポスト安倍首相候補の最有力ともいわれる人物が“政治の信頼を問われている”と嘆くのだから由々しき事態だ。しかし、最近の政治に対する不信に多くの国民はうなずくだろう。

続きは、本日18:00頃に配信のメールマガジンまぐまぐ」”虫の目、鳥の目、歴史の目”にてご覧ください。(初月無料)

www.mag2.com

日曜(10日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:TBS「クレイジージャーニー 」でおなじみの遠藤秀紀様(東京大学総合研究博物館教授)二夜目

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スタッフからのお知らせです。

日曜(10日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は、ゲストにTBS「クレイジージャーニー 」やウルトラマンや特撮好きとしてもよく知られている、東京大学総合研究博物館教授の遠藤秀紀様をお招きした二夜目をお届けいたします。

遺体との格闘であり遺体の中に手を入れて触ってみないと分からない発見や、死体を見る解剖学は、過度の経済合理性優先の圧力で、研究対象となる資料や標本の維持がきわめて難しくなっていると云う現状についてお伺いする予定です。

前回の死んだ動物を解剖し進化の歴史を研究しながら、将来の研究に役立てるため標本に残す「遺体科学」についてや、自分の手で動物の秘密を解き明かすことになった原体験についてお伺いした放送音源は、来週水曜正午まで期間限定で配信中です。

上記画像でアシスタントの安田様が持たれている骨は、遠藤様がお持ち下さったキリンの前足の手首から先、指の付け根までの間の骨です。前回放送の冒頭部分でご説明頂きました。

合わせて、遠藤様が上梓された書籍の一部をご紹介します。
 

日本は米朝会談にどう向き合うのか ~朝鮮戦争の終結合意もありうるか?~

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 歴史的な米朝首脳会談まであと数日。果たして南北朝鮮の非核化への道筋はできるのか――。

 一時は米朝首脳会談中止の危機に陥ったが、北朝鮮が韓国の文在寅大統領に仲介を依頼し、中国もこれを支援したため、再び当初の予定通り6月12日にシンガポールトランプ大統領金正恩朝鮮労働党委員長の会談が実現する見通しになった。むろん会談当日まで金委員長の出方に予断を許せないが、既にニューヨーク、南北朝鮮の軍事境界線シンガポールの三ヵ所で米朝双方の高官らが予備の事前協議を行なってきたため、もはや北が放棄を言い出すことはなさそうだ。

 むしろ北朝鮮にとっては追い詰められているといった認識にあるのだろう。北の要求は非核化の見返りに北朝鮮の体制の保証と経済的支援を得ることだとみられている。アメリカの主導する北への輸出制裁で経済的苦境に立っているほか、例え核を持っていても本気で北への攻撃を仕掛けてくるかもしれないトランプ大統領の本気度に、真剣な対応が必要と腹をくくったのだろう。

 アメリカは直前にも「我々は朝鮮半島の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化に関与していく」とたとえ一度の首脳会談でなくとも非核化の達成を求めるとしている。ただ非核化の具体的内容はまだ明らかになっていない。“朝鮮半島の非核化”という以上、在韓米軍が保有しているとみられる核をどう扱うのか、非核化の検証をどうするのか、どんなスケジュールで実現してゆくのか、非核化の見返りとして北朝鮮への体制保証をどのように行なうのか、また経済支援をどうするのか、など細かい具体的内容がどこまで詰まっているのか――など、まだ一つも公にされていない。

 今回の米朝会談は、そもそもほとんど準備なしに決まっただけに、本当に完全な非核化まで到達できるのか、という疑問がつきまとっている。ただ、これまでの外交交渉とは違う予想のつきにくいトランプ流のディール(取引き)や脅しがどこまで通用するのかという点も注目の的なのだ。

 それにしても何らかの成果をトランプ大統領は手にしたいだろう。非核化の内容を詰めることはムリだとすると、朝鮮戦争の休戦協定を“平和協定”に変え、朝鮮戦争終結を宣言するというミヤゲを付けることはそう難しくないという気もする。“朝鮮戦争終結”の見出しが世界中のメディアに流されれば、今回の首脳会談は“成功”ということになるだろう。その上で非核化の条件、スケジュールはもう少し時間をかけてという辺りが最高の落とし所かもしれない。

 朝鮮半島の非核化だけでなく、ミサイルなどの取扱いや、今後の朝鮮半島の政治情勢などは、日本にとっても気になるところだ。これまで日本は北朝鮮に対し“圧力”をかけるアメリカの路線につき従ってきただけだった。そのアメリカが北とどんなディールで非核化を実現しようとしているのか、その方針と詳細を知らなければ日本の朝鮮外交は一から再考しなければなるまい。

画像:本日、米ホワイトハウスが発表した会談場所とされる「カペラ・シンガポール」サイトより 
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