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ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

日曜(12/2)TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30~ ゲスト:籔内佐斗司氏(彫刻家・東京藝術大学大学院教授)二夜目

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次回、日曜(12月2日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は彫刻家で東京藝術大学大学院教授の籔内佐斗司氏をお迎えする二夜目をお届けいたします。

ご自身が彫刻家を目指した頃と最近の学生を比較して感じることや、工房での作品づくりについて、実際の仏像の修復作業などにつきお伺いする予定です。

前回の平城遷都1300年の公式マスコットキャラクター「せんとくん」をつくった時のエピソードや、彫刻家の仕事や彫り方の技法、材料である「木」に対する思いなどについてお伺いした放送音源は番組サイトにて来週水曜正午までの限定公開です。

前回の放送内でお話いただきました童子シリーズは非常にかわいらしく人気の高い作品です。銀座のみずたに美術さんの店頭に以前飾られていた画像を参考までご紹介します。

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合わせて、薮内氏が上梓された書籍等をご紹介いたします。

こじれそうなゴーン解任 フランス側は納得せず?

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 ゴーン“ショック”がまださめやらない。名門・日産自動車の経営危機をわずか1年でV字回復させたその経営手腕に多くの日本人が驚き、ぬるま湯に浸かっていた日本人経営者たちを覚醒させた。ゴーン革命、カリスマ経営などと呼ばれ、ゴーンの唱えた“コミットメント(必達目標)”経営の言葉はブームにもなった。

 ゴーンが日産の再建のため日本に赴任したのは1999年。その直後に早速「日産リバイバルプラン」を発表し、5工場の閉鎖や2万人以上の人員削減、系列にこだわらない調達先の改革、関連会社の思い切った整理――などを次々と実行し、改革をためらっていた日本企業にも大きな刺激を与えた。またゴーンの出身企業だった仏・ルノーとの協業や三菱自動車との連携による経営の一体化推進などによってトヨタ自動車と肩を並べるほどまでになったといわれた時期もあった。

 しかし、19年間の独裁的経営は日産にひずみと緩みをもたらし、チェックする人材も機能も無くしてしまっていた。ゴーン経営から数年経つと日産幹部の中から「統合の利益は少なく、ルノーに日産の技術などを持っていかれるだけではないか」と不信の声が聞かれたりした。しかしカリスマ経営者に直言する人はいなかったのである。

 ゴーンは三社連合に君臨すると、自らの報酬を増やすことに熱を入れはじめ、ゴーンが有価証券報告書に記載せず受け取った報酬は2018年までの8年間で約80億円に上るとみられ、この他にも株価に絡んで約40億円、また親族に対しコンサルタント契約を装って業務実績がないのに少なくとも数千万円の報酬を払ったり、レバノンベイルートやブラジル・リオデジャネイロなどに会社の費用で数億円もする複数の住宅を買ったりしていた。

 今回のゴーン逮捕はこうした不正な報酬を有価証券報告書に虚偽記載し、投資家や株主を欺いた罪を問われたものだった。その虚偽記載にあたってはゴーンの側近中の側近といわれたグレッグ・ケリー元代表取締役も逮捕されている。経営手腕はあったが私欲にかられ、品位に欠ける行為に走ってしまったといえるだろう。

 今回のゴーンと三社連携の取扱いは厄介なことになりそうだ。日本側はゴーンを解任したが、フランス世論はゴーン逮捕に関する日本の司法に不信感を持っている上、仏政府がルノーに15%出資している株主であり、更にルノーは日産に対し43%出資し議決権も持っているからだ。仏側は日産の技術力に対する期待があるため、簡単に提携解消とはいかないし、ルノー側はゴーンの地位もそのままにして変えていないのだ。仏にとっては自動車産業の競争力や雇用問題にもつながるので、今後は民間三社だけでなく、政府も絡んだ交渉へと長引きそうだ。

画像:Wikimedia Commons(Carlos Ghosn (X 1974), President-Directeur General de l’alliance Renault-Nissan Credit photographique : c Ecole polytechnique - J.Barande)

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30~ ゲスト:籔内佐斗司氏(彫刻家・東京藝術大学大学院教授)音源掲載

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は彫刻家で東京藝術大学大学院教授の籔内佐斗司氏をお迎えいたしました。放送音源が番組サイトに掲載され、来週水曜正午までの期間限定でお聞きいただけます。

平城遷都1300年の公式マスコットキャラクター「せんとくん」をつくった時のエピソードや、彫刻家の仕事や彫り方の技法、材料である「木」に対する思いなどについてお伺いしました。

次回も引き続き薮内氏をゲストにお迎えし、ご自身が彫刻家を目指した頃と最近の学生を比較して感じることや、工房での作品づくりについて、実際の仏像の修復作業などにつきお伺いする予定です。

本放送内でお話いただきました童子シリーズは非常にかわいらしく人気の高い作品です。銀座のみずたに美術さんの店頭に以前飾られていた画像を参考までご紹介します。

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合わせて、薮内氏が上梓された書籍等をご紹介いたします。

加速する日本の流通システム改革 ーマテハンで世界一競うダイフク 流通の進化で企業競争力を支えるー

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「マテハン」という言葉をご存知だろうか。物流業界で使われている略語で“マテリアル・ハンドリング”の略だ。いまやネットショッピングが当たり前の時代になってきたため、ネットで注文された商品をどのように消費者の手元にいち早く、安く届けるかが物流業界の最大の焦点になってきている。

その物流、特に生産や流通の要となる商品をベルトコンベアに載せて運び、区分けする搬送機の分野でドイツのシェーファー社と世界で1、2位を競っているのが日本の「ダイフク(旧大福機工)」なのである。一般消費者の目に直接触れないのでその名前はあまり知られていないが、物流業界の搬送機器メーカーとしては知らない人はいないといわれるほどだ。

搬送機器は物流センターや工場の生産ラインで商品や部材を回転ローラーに載せて運搬するコンベアが中心となる。ダイフクはコンベアに載せて商品を運ぶだけでなく、商品や部材の入荷、在庫管理、自動仕分け、そして仕分けた製品をトラックに載せるまでの出荷など、一連の物流システムを全て手掛けている。

■1時間で7600ケースを搬送
例えば千葉県にある流通センターでは総延長がなんと1200mの自動仕分け装置の上を加工食品や日用雑貨品など外部から届けられた商品を約30種類のカテゴリーに自動で仕分けて保管場所に向かう。その後、店舗から発注を受けると必要な品物だけが自動で抜き出し、搬送ラインに載せられ1時間に約7600ケースがラインの外で待ち受ける配送トラックへ運ばれ、消費者のもとへ届けられるのである。

人の手を借りない商品のピッキングや仕分け、ケース詰めなどの光景は圧巻だ。しかも、ただピッキングしてケースに収めるだけでなく、リンゴやミカンなどの果物は形状や大きさ、重さを分類し、糖度や熟し方まで瞬時に判断し、等級別に仕分けし搬送するという。これまで人手で形状や重さ、糖度などを判別していた時代と比べると全くの様変わりといえる。

ユニクロ半導体、食品、医薬品も自動搬送
ユニクロは今年10月、eコマース用の自動倉庫を本格稼動させたが、省人化率90%の世界最先端、最大級の自動倉庫の構築に中心的役割を果たしたのが世界最大手のダイフクだった。顧客にはユニクロ以外に半導体・ディスプレイ、食品、医薬品などの製造、流通、運輸などの業種も抱える。

少子高齢化が進む日本だけでなく人件費の高い欧米や最近労務費が高くなってきた中国などでも工場、倉庫を使わないで自動化、省力化が進んでいる搬送システムが注目されているのだ。また最近は空港手荷物搬送システムも注目され、航空機への積み込みまでを自動化した手荷物の搬送システムや自動チェックインやセキュリティなど空港内の設備監視・制御までを担うシステムまで扱い始めている。

■ジャスト・イン・タイムの搬送・納入
ダイフクは1937年に大阪市で製鉄用鍛圧機械を製造したことからスタートした。しかし大きく変わったのは、約20年後の1959年にトヨタ自動車に日本初のウェブ・コンベヤーを納入。トヨタとの付き合いが始まってからだ。トヨタが稼動させた日本初の乗用車専門工場の自動生産ラインを納入したのがきっかけだった。

トヨタの要求に応ずるため必死となったのだ。余計な在庫を持たないようにするためには決められた時間に部品を決められた部署に持っていかなければならない。搬送機器がトラブルを起こし、生産ラインが止まれば、トヨタの強さの秘密であるジャスト・イン・タイムもストップしてしまうからだ。こうしてダイフクはトヨタの厳しい品質管理、納入時間の厳守などを学んで共に進化してきたのである。

ただ、現代のマテハンは、既存事業の強化だけでなく新たな市場の変化に対応することが求められている。荷物の小口化、個配化、多頻度配送が増え、さらにネット通販の発展に伴い、より多方面、多品種、多頻度の配送が求められるので独自の小口配送システムの確立が重要になっているのだ。従来の顧客の引き合いに対応しているだけでは激しい流通業界の競争に立ち遅れるので、常に先取りできる流通システムの構築が求められているのである。

■運ぶ、仕分ける、搬送で企業の下支え
いまや2万アイテムを扱い、1日平均5000件のオーダーを受注後、平均で約3時間のうちに出荷するという。しかもダイフクのマテハンは世界規模で展開しており売上高に占める海外比率は67.3%(2018年3月期)で、世界の23の国と地域に拠点を設けている。北米は自動車、IT、流通、サービスの中心の国なので、アメリカでトップを目指すとともに今後は中国、ASEANでも伸びが顕著な自動車、エレクトロニクス、飲料、食料、医薬品、ネット通販などの分野でコンサルティングからアフターサービスまでの一貫体制を目指しているという。

マテハンの活用は「運ぶ、仕分ける、保管する」を究めることにあるが、新サービスの提案力、新市場の創造力を求めているうちに日本の企業の底力を底上げする役割を担ってきたといえる。将来は瞬時に正確にモノを届ける技術の開発が流通業を制するカギになってくるという。いまや流通システムの改革は、企業競争力の中で極めて大きなウエイトを占めるようになっているといえる。
【Japan In-depth 2018年11月23日】

画像:ソーターシステム 株式会社ダイフクサイトより

トランプ大統領はアメリカの変化の象徴か?

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 トランプ大統領は、歴代の大統領と比べると明らかに特異な人物だ。ただ、これまでのアメリカの価値観を平気で否定するトランプ氏の登場は、アメリカの国自体の有り様、変化を表しているとすれば話は違ってくる。その意味で上下両院の議員、州知事、地方議員などを一斉に選ぶ11月6日のアメリ中間選挙はトランプ氏の就任から2年間の政権運営に対するアメリカ国民の評価だが、同時にアメリカそのものの変化でもあるのかどうか、を知る上で選挙の結果は興味津々である。

 自由貿易と民主主義、人権尊重などを旗印にした国際主義は、アメリカが世界を仕切ってきた"錦の御旗"だった。ところがトランプ氏はそうしたアメリカの価値観の多くを否定し、世界を困惑させている。

 例えば9月25日の国連総会の一般演説でトランプ氏は「グローバリズムを拒絶する」と演説し、今後は"米国第一"を推進することを改めて強調した。この方針に従い通商分野では各国との貿易協定を見直し、再交渉を進めるとしてTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱を表明したし、地球の温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からも脱退した。またイラン核合意を批判して対イラン経済制裁を再開し、中国の巨額の対米黒字についても「中国との貿易不均衡は全く許容できない」として中国からの輸入製品に高関税をかけると主張。遂に米中貿易戦争にまで発展させてしまった。この影響で世界の株価や新興国の通貨価値を大きく揺るがす結果を招いている。

 また同盟国との間でもドイツに対して「ロシアの捕虜になった」と口汚く批判したり、移民政策や人権問題などでフランスと対立。マクロン仏大統領は「自国の利益を追求する最もすさまじい無法状態が蔓延している。パリ協定に従わない国とは貿易協定を結ぶのはやめよう」と各国に呼びかけ、トランプ政権と距離をおく方針を明確にしている。さらに米国内においてもトランプ氏の不倫疑惑とそのもみ消し工作、2016年の大統領選でロシアにサイバー攻撃などで協力を依頼し、その見返りに制裁緩和を約束したとされるロシア疑惑や元側近らの相次ぐ離反。特にヘイリー国連大使の辞任など、中間選挙の悪材料となっている。

 ただ中間選挙を有利にするため鉄鋼や自動車の輸入関税を引き上げて接戦州の白人労働者階層を引き込む政策を矢継ぎ早に打ち出したり、減税などでアメリカの景気が上向いている点はトランプ氏と共和党の有利に働いているようだ。

 もしトランプ・共和党が敗北すればトランプ政権は"死に体"となり、アメリカ自体が機能不全に陥り、一層世界が混乱する結果となる恐れもあろう。
【財界 2016年11月20日号 第483回】

※本コラムは11月6日発売された号に掲載されたものです。
まぐまぐメールマガジン「虫の目、鳥の目、歴史の目」の11月9日号に米中間選挙のことをテーマに配信しましたとおり、11月6日に行なわれた注目のアメリ中間選挙の結果は、ほぼ事前の予想通り上院は共和党が51議席以上を確保し過半数(51議席)を維持しました。一方下院では民主党が223議席以上を獲得し8年ぶりに過半数218議席)を取り勝利しています。

トップ画像:Wikimedia Commons (Gage Skidmore)

日曜(25日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30~ ゲスト:籔内佐斗司氏(東京藝術大学大学院教授)

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日曜(25日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)東京藝術大学大学院教授の籔内 佐斗司氏をお迎えする予定です。

平城遷都1300年の公式マスコットキャラクター「せんとくん」をつくった時のエピソードや、彫刻家の仕事や彫り方の技法、材料である「木」に対する思いなどについてお伺いいたします。

薮内氏の童子シリーズは非常にかわいらしく人気の高い作品です。銀座のみずたに美術さんの店頭に以前飾られていた画像を参考までご紹介します。

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合わせて、薮内氏が上梓された書籍等をご紹介いたします。

12月13日開催 シルクロード国際シンポジウム開催のご案内

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スタッフからのお知らせです。

12月13日(木)に日中平和有効条約締結40周年を記念したシルクロードに関するシンポジウムが開催される運びとなられましたのでご案内いたします。

シルクロードを通じ、日本にはヨーロッパ、東南アジア、中国などからさまざまな文物がもたらされ、豊かな文化を形成してきました。シルクロードを多彩な自然と多様な人間が織りなす豊かな景観として再びとらえなおし、新しい時代に添う日本と中国および中央アジア諸国との文化の絆を多角的な視点から語り合おうという目的により、文化庁東京藝術大学日本経済新聞社、中国日本友好協会の主催で開催されます。

1部は有識者の方々をお招きしたシルクロードに関する講演が複数行なわれ、ウズベキスタン国立科学アカデミー芸術学研究所シャキルジャン ピダエフ所長による講演や東京藝術大学客員教授前田耕作氏による解説付きで映像「シルクロード弥勒の道を探る」などが上映される予定です。 

2部は東京藝術大学大学院教授の籔内 佐斗司氏の講演や、みうら じゅん 氏(イラストレーターなど)と いとう せいこう 氏(作家・クリエーター)の対談、東京藝術大学の山下 靖喬氏による津軽三味線の演奏が予定されています。

 
1部:12:00 開場  12:30〜17:30
シルクロード国際シンポジウム「文化が紡ぐ道 −敦煌中央アジア・奈良−」 

2部: 18:30 開場 19:00〜21:00
シルクロードトークセッション 「作仏・観仏三昧談義」 

場所:日経ホール(千代田区大手町1-3-7、日本経済新聞社3階)

事前の申込みが必要となります(11/23締切)ので詳細、申込み方法は以下サイトを参照下さい。

なお、本シンポジウムに出演される籔内 佐斗司氏は、次回(11月25日)に放送予定のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)に出演いただく予定です。平城遷都1300年の公式マスコットキャラクター「せんとくん」をつくった時のエピソードや、彫刻家の仕事や彫り方の技法、材料である「木」に対する思いなどについてお伺いいたします。

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画像トップは、嶌が2014年にウズベキスタンを訪問した際に訪れた、今なお残るシルクロード

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