時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

コラム(電気新聞)

進次郎とポスト安倍

安倍首相からすっかりオーラが無くなった。7月の国会閉会中の集中審議審査で、一強体制時代に放っていた自信たっぷりの物言いが完全に影をひそめてしまった。 私は昨年から「安倍政権はピークを過ぎた」と何度か私のコラム(嶌信彦オフィシャルサイト「時代…

カタールの嵐

中東・湾岸地域の情勢は、ちょっと目を離すと複雑化、混迷化し、わけがわからなくなる。最近の注目はカタールだ。 カタールはアラビア半島東部に位置しサウジアラビアからアラビア湾に突き出ている秋田県並みの面積を持つ小国。日本人には1993年のサッカー・…

大企業は日本ベンチャーに注目

日本の大企業が国内のユニークなベンチャー企業に目をつけM&A(買収・吸収合併)に走っている。大企業の海外企業へのM&Aは、ここ10年で急速に拡大しており、最近は海外だけでなく国内の特色を持った将来性のあるベンチャー企業を物色しはじめたのだ。 …

消費不況は企業の怠慢

高成長の足がかりをつかみ始めた1960年代以降、若者も大人も主婦たちにとっても欲しい商品はいくらでもあった。若者はバイクやクルマに目がなかったし、サラリーマンは時計やカバン、靴などのおしゃれに気を使った。主婦たちは電気冷蔵庫、洗濯機、掃除機、…

トランプ登場

アメリカの新大統領にトランプ氏が就任した。政治、軍隊の経験がない不動産王あがりの人物である。ビジネスの駆け引きはうまいとされるが、世界をどう引っ張ろうとしているのか、未知の部分が多く不安定な時代に入りつつある。 大統領選挙に当選した直後から…

環境先進国からの脱落

年々、地球が温暖化に向かっていることは、今や誰もが感じている。今年などは5月頃から真夏日並みの暑さが続き、いやが応にも気候変動の異常さを身に沁みて思い知った。 これまで日本は、一応”環境先進国”として自らを位置づけてきた。現在の地球温暖化対策…

多すぎないか祝祭日

最近、祝日や連休がやたらに増えてきた。働き盛りの頃やサラリーマンにとっては休日の増加は嬉しく感ずるが、現代の中小・零細企業やシニア、主婦層にとってはどうなのだろうか。 先日、ある零細企業主と話していたら「こう休みが多くては商売あがったりだ」…

一体感で生まれる五輪魂

リオのオリンピックが終わり、暑い夏も峠を越えてきた。オリンピックは、熱心に見ていたわけではないが、柔道や女子の卓球、男子体操などの競技に感動するものがあり、そこにはいくつかの共通点を感じた。 オリンピック競技で最初に強烈な印象をもったのは男…

ジョン・ブルの賭けは?   

イギリスは、結局欧州連合(EU)からの離脱を選択した。キャメロン首相や経済界、特に世界の中心的存在であるシティ(金融街)などはEU残留を訴えていただけに、その衝撃はイギリス、EUだけでなく世界を揺るがせた。 経済的損失からみる限り、離脱はイギ…

科学信仰と職人業(わざ)

最近の日本はITやスペース(宇宙)、三次元製造など新しい技術が次々と紹介され、その素晴しさに目の色を変えて追い抜こうとしているようにみえる。その半面で昔ながらの町工場の技術を軽んじる風潮が目につく。 たしかにいま流行の最先端技術は「えっ」と驚…

ベルギーテロと東京

ベルギーの首都・ブリュッセルがテロの標的にされた。ベルギーの人口は約1100万人とヨーロッパの中では小国だし、ブリュッセルも120万人で大都市というほどではない。ただブリュッセルの約7割は移民やその子孫で、約2割がイスラム教徒とされる。移民政策には…

マイナス金利は有効か?

銀行に預金すれば、預金金利分を元本以外にもらえるのが世界の金融の常識だった。ところが預金すると預金者の方が銀行に金利分を支払うというこれまでにない非常識の事態が世界でおこっている。 日銀の黒田総裁は史上初のマイナス金利の導入を発表した1月29…

深みなかった戦後70年論

戦後70年にあたる2015年がまもなく終わる。今年は、いつになく戦後日本を総括する文章が識者によって書かれ、70年の意義と今後の未来を語った。 しかし、どれも消化不良でストンと胸に落ちる論がなかったように思う。世界は一段と混乱を深めてきたし、日本の…

仰天? 英・中原子力協力

イギリス(英)やフランス(仏)が、中国の提唱したアジアインフラ投資銀行(AIIB)の参加にあっという間もなく支持した時には、びっくりした。仏は、かつての共産党幹部の多くが留学していたからまだ中仏の絆は強く残っているのだな、と思ったがドイツ…

魂を吹き込む

先日、文楽の世界で人間国宝の初代・故吉田玉男さんの後を継いだ二代目・吉田玉男さん(襲名前は吉田玉女(たまめ))をインタビューする機会を得た。文楽は気になる存在だったが、実際に見たのは10年以上前に一、二度あるだけだった。歌舞伎と似た演目を人形…

寒々しい五輪風景

画像は槇文彦氏サイト より 槇文彦氏(86)。新国立競技場の計画を白紙に戻させた話題の人だ。政治とほぼ無縁で、建築家として世界的に有名な槇氏が新国立競技場の建設に対し異議申し立てをしたのは2014年だった。その後も一貫した立場を貫いてきただけに、紳…

インフラと安保も

アジアへのインフラ投資競争が過熱してきた。中国が「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設立構想を発表し、設立時の資本金は当初予定の2倍となる1000億㌦(約12兆円)。中国の出資比率は参加表明国57ヵ国中最大の約30%を持ち、出資比率に応じた議決権を持…

時には辛口の助言も 

アメリカは時代を引っ張れなくなっただけでなく、遅れ始めたのだろうか。例えば大々的に報じられたオバマ大統領とキューバのラウル・カストロ議長の握手だ。両国の国交断絶から約50年ぶりの首脳会談のニュースに興奮した人々は少なかったのではないか。 レー…

次はクルド人独立か

イラク北部に最大の油田・キルクークがある。私は1980年7月にイラクを訪問した際、有名なキルクーク油田も見学した。遠景ではあったが油田の火がチロチロと燃え上っているのが見えた。キルクークはクルド人居住区にあったが、当時はフセイン元大統領の最盛期…

トルドー加首相の怒り

「カナダが招かれないということはINSULTING(侮辱的)だ」(1月16日付朝日新聞) これは先日公開された外交文書の中のひとつに出てきたものだ。発言者は1975年11月当時のトルドー・カナダ首相である。 トルドー首相が怒ったのは、第1回主要国首脳会議の参加…

首脳会合の裏側

11月前半は、アジア太平洋地域で様々な首脳会合が続いた。APEC、ASEAN、G20首脳会議などで日本の安倍首相はそのすべてに参加していた。 私もこれまでにサミットをはじめIMF、気候変動会議など国際会議の現場を数十回にわたって取材し立ち会ってきたので、い…

イスラム国とロレンス

イラクとシリアにまたがる地域に突如「イスラム国」の創設が発表された。指導者はイラク・スンニ派の過激派を操るアブ・バクル・アル・バグダディらと呼ばれ、イラク北部とシリア東部の国境地帯の油田などを制圧して組織を約2万人に拡大してきた。イスラム原…

崩壊に向かう中東国家

またもイラクが危機的な状況に陥り、原油価格の高騰が止まらない。今回のイラク危機は、アメリカ連合対独裁政権・フセインのような戦いではなく、中東内部の宗教対立とそこに絡むアルカイダ系の過激派グループの動きだ。国連もアメリカも介入に消極的で、世…

紀元千年の人口大都市に学べ

「896自治体が消滅の恐れ」と大きな見出しのついた5月8日の人口推計には日本中がギョッとしたのではなかろうか。民間の日本創成会議(座長=増田寛也元総務相)が、2040年に日本全市区町村の半数近くが消滅するとして、その市町村名を公表したのだ。この”増…

福島第一原発の現場

先月、廃炉を進めている福島第一原発の現場を訪れた。後方基地となっている日本サッカー協会のJヴィレッジから北へ約20㌔。小型バスで楢葉町、富岡町、大熊町を通り双葉町との境界に第一原発の入口がある。途中の様子は農家が点在普通の農村地帯に見えるが…

グローバル化と地域主義

ウクライナのオレンジ革命で2005年にユリヤ・ティモシェンコさんが首相として登場したとき世界中の目が彼女の姿に釘づけとなった。超美人で44歳、金髪を三つ編みにして巻き上げた伝統的なウクライナ女性のスタイルは、オレンジ革命の指導者として世界中が注…

廃炉事業の先駆者に

原発問題への関心が、再稼働時期とともに、廃炉問題にまで広がってきた。福島第1原発4号機の廃炉作業が始まり、その一部をテレビで見ることができたこともきっかけになっているようだ。 それともうひとつ。昨年11月小泉純一郎元首相が、脱原発ではなく「即ゼ…

異色の二つの会見 

11月中旬、二つの記者会見が日本記者クラブで行われた。一つは小泉純一郎元首相の退任後初の会見で約400人という空前のメディア関係者が集まった。もう一つは、その直後に作家・作詞家のなかにし礼さんとオペラ歌手の佐藤しのぶさんという異色のコンビによる…

外交に新しい風?

この一ヵ月余で世界の風景は変わることになるのだろうか。 まずシリアだ。オバマ米大統領が90日の期限付きで無人の戦闘機、ミサイルでアサド体制を倒すと脅した。リビアのカダフィ、イラクのフセイン、アルカイダのビンラディンを倒したようにトップを殺害す…

歴史認識に踏み込もう

安倍外交は、一見すると華やかに見える。自ら東南アジア、EU、アフリカなどを訪れ、こもりがちだった日本のイメージを内外にアピールしているからだろう。安倍首相だけでなく麻生副総理、岸田外相ら閣僚らも手分けして各国をまわり国際機関の会議に参加し…

原発輸出に持つべき覚悟

先日、テレビでアメリカの原子力発電所に関する安全管理、危機対応の実態を放映していた。監視員、安全管理官らは発電所に常駐しており、その数はたしか2、3百人にのぼると説明していた。監視員たちは、どこでもいつでも発電所内の施設に立ち入ることが出来…

歴史認識とアメリカ

「安倍晋三首相はストロング・ナショナリスト(強硬な国家主義者)として知られる」――アメリカの議会調査局が5月にまとめた報告書で安倍政権に懸念を示した。先日訪米した時の安倍・オバマ大統領の会談は日本の民主党政権時代に比べるとずっと腹を割った話し…

黄砂、PM2.5対策は?

最近、マスク姿の歩行者をよく見かける。花粉症対策かと思うと、「いや中国の黄砂やPM2.5も日本に飛来しているからね」という。これまでは中国の黄砂などの飛来地域は九州や中国地方の一部と思っていた。しかし最近は関西、関東まで飛んできている。 黄砂は…

ブータンからBLIへ

ブータンの”幸福”生活が注目されてから久しい。中国、インドに接する人口200万人強の国王を元首とする議会制の国だ。ヒマラヤ山脈の東端にあり北部は最高7千㍍級の高山帯、中部が3千~1500㍍の渓谷と盆地群、南部は亜熱帯性の森林地帯というから、およそ先進…