時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

コラム(Japan In-depth)

トランプ外交に翻弄されるな

世界を惑わせているトランプ外交の特色とその濃淡が徐々にはっきりしてきた。 ■従来の価値観では測れないトランプ第一に明確化させたのが反TPP(環太平洋パートナーシップ協定)である。オバマ政権時代は、TPPの旗振り役を任じ、アジア・太平洋貿易の新しい…

デパート混迷 伊勢丹社長突然辞任

1967年3月に大学を卒業し、私は最初の赴任地・秋田県に向かった。当時の秋田はコメ所として知られ、八郎潟の拓に手をつけており東北ではコメの産地として比較的豊かな県だった。県庁所在地の秋田市には、「木内」「本金」という二つのデパートがあり秋田市の…

安倍政権の奇妙な安定 受け皿ない自民と野党

安倍政権の奇妙な安定ぶりをどう考えたらよいのだろう。最近の不況、アジアの分断化、トランプ政権の登場、成果の乏しい外交課題などを考えると、安倍政権のヤマ場は過ぎ、下り坂に向かってもおかしくないのだが、支持率は相変わらず高く、むしろ超長期政権…

複雑化する石油価格 大丈夫か、日本の資源外交

2016年の新年が明けてから株式市場、通貨、中国経済、北朝鮮の水爆実験、等々――国際社会は相次ぐ大波乱に見舞われている。なかでも、メディアでは大体二番手扱いだったが、気になったのはイスラム教スンニ派の大国・サウジアラビアとイスラム教シーア派の大…

トランプ思想の軸は? まだ見えない政治哲学

外務省をはじめとする日本の官僚にとっては、来年1月20日のトランプ政権発足までの約1ヶ月は、これまでになく頭の痛い厄介な月日になるだろう。まさかの大逆転で、ヒラリー・クリントン氏が敗北したため、各省庁とも外交チャネルを一から作り直さなければな…

「YKK秘録」にみる政治の活力―YKKの特質―

「YKK秘録」(講談社)を面白く読んだ。著者は元自民党幹事長の山崎拓氏。山崎氏については根っからの党人派で政局を動かすことが好きな策士ともいわれた。一本気な昔型の武闘派自民党議員という印象があり、現役時代はあまり接触がなかった。しかしYKK秘録…

横暴中国、国内は不安定化

中国の国際的横暴が目につく。この8月11日には尖閣諸島付近で転覆した漁船の6人が、駆けつけた日本の海上保安船に救助された。南シナ海などにおける中国船の主権は、国際的な仲裁裁判所の判決で否定されたばかりだが、中国はさらに激しく領海侵入を繰り返し…

舞鶴のシベリア引揚げ秘話「岸壁の母」の歌にもなった聖地

先日、敗戦後の引揚者、外地抑留者の”聖地”とまで呼ばれた京都府の日本海に面した「舞鶴」へ行ってきた。若狭湾からさらに奥に入り込んだ小さな湾の奥に位置する市で人口は約8万人。舞鶴エリア内には戸島、乙島、鳥島など小さな島がいくつも浮かんでおり実に…

安倍首相、弱り目G7に喝入れられるか?

安倍首相は、外交の晴れの舞台・サミットの議長を務めるにあたり胸をウズウズさせていることだろう。これまで首相になってから海外を訪れ首脳会談を行なってきた回数は60回以上。日本にやってきた首脳との会談も数えれば100ヵ国は超える。 いまや日本の歴代…

セブン&アイの混乱に見るカリスマ時代の終焉

四方津のセブンイレブン / monoooki コンビニ業界のカリスマ、育ての親ともいわれたセブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイ)の鈴木敏文会長が、突然引退を表明した。セブン-イレブンの井阪隆一社長の交代を提案したところ否決されてしまったのだ。 …

中東で存在感増すロシアとイラン

【プーチンの荒技】 中東が混乱し、アメリカが中東から手を引き始める中で、ジワジワと存在感を増してきているのはロシアとイランだ。 ロシアはシリアが内乱状態となり、アサド大統領率いる政府軍と反政府軍(自由シリア軍)、ISIS(イスラム国)の三つ巴の…

シャープが鴻海を選ぶ真の理由

決算の季節がやってきた。企業にとっても、社員にとっても悲喜交々の時期である。決算の数字は会社の成績であり、働くサラリーマンや役員にとっては最も気になる人事に結びつく。16年度は、上場企業全体の平均で3%弱程度の増益というから先進国企業群として…

【ここまできたかスポーツ界の堕落と腐敗】~東京五輪の開催時期変更を提案せよ~

一体、スポーツ界はどうなっているのか。このところ、賭博、汚職などのニュースが世界をにぎわし、それでなくとも評判を下げているオリンピックへの期待感はどんどん落ちている。2020年の東京五輪までにオリンピックは立ち直れるのか。1984年のロス五輪以来…

【米と真逆の金融対策で市場は乱高下】― ~特集「2016年を占う!」日本経済~

日本や新興国の市場金利や為替相場は乱高下時代に突入するのではないか。 2015年12月になって、アメリカは遂にゼロ金利政策を解除し、金融危機後7年間にわたり続けてきた実質的なゼロ金利を変更した。金融政策を決める中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FR…

【満州引き揚げ者の記念館運営する舞鶴市】~本の出版が縁で市と交流~

先日、京都府舞鶴市の教育委員会の小谷裕司さんという方が私の事務所に訪ねてこられた。舞鶴といえば、敗戦後の昭和20年から13年間にわたって66万人の人々が外地から引き揚げてきた日本海側にある港町である。戦争中に満州やシベリアに抑留された一般の人や…

【高揚感ない安倍新組閣】~オリンピック後の日本の展望みえず~

第三次安倍内閣がスタートしたものの、迫力も高揚感も感じられない。第二次では、当初経済の再生を声高に叫んだが、国会議論の中心は安保法制の成立だった。憲法9条の改正には挑まず、9条の法解釈を変えてこれまでタブーとされてきた集団的自衛権や周辺事態…

【見過ごせない世界の“難民問題”】~問われる日本の対応~

ドイツのメルケル首相が「難民問題」は欧州各国が公平に分担し負担すべきだと主張しはじめた。中東やアフリカの難民は、様々なルートを活用して欧州で一番豊かなドイツを目指すケースが急増しているからだ。今年のドイツへの難民申請者数は、戦後最高の80万…

【インパクトなかった「70年談話」】~アジアについての構想力示せ~

14日夕、安倍首相が注目の”70年談話”を語った。安倍首相の演説を聞いていて、いつも感ずることは「そうだ!その通り」といった胸に響くような台詞が少ないことだ。アメリカ議会の演説も評判は悪くなかったが、日本人として聞いていて気持ちが高ぶりこみ上げ…

【ギリシャは過去の栄光を踏みにじるか?】~政治家チプラスの正念場~

ギリシャのチプラス首相は、EU首脳会議を向こうにまわし勝ったのか、負けたのか?8日の財務相会議では支援合意を取りつけ、親指を立てて満足気な笑みをみせ、ギリシャ国民の厳しい緊縮策に反対する7割の声を受けて“してやったり”の高揚感をみせた。しかし12…

【「中国の夢」の大戦略絵図】~日本は断片だけをみるな~

習近平主席の居住、1日の日程などは極秘に包まれている。暗殺を警戒しているためで、実際に何度か企てられ失敗したという。その間に周永康元政治局常務委員、徐才厚軍事委員会副主席、薄照来元重慶書記など大物の政敵が次々と逮摘され権限を剥奪されている。…

【世界に拡散するISISの脅威】〜及び腰の米、解決への道のり遠く〜

イスラム過激派組織「イスラム国(ISIS)」は、勢力を伸ばしているのか。衰退し力を失いつつあるのか――日々の報道を見ていると、一時的な地域拠点の奪い合いで勝ったり負けたりしているが、全体状況については依然よく把握されていない。 気になるのはISISの…

【世界覇権の交代期へ?】~中国AIIB構想、リーダーシップ失う米~

最近、西側自由主義陣営の足並みの乱れが目立つ。最も大きく割れたのは、中国のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への対応だろう。IMF(国際通貨基金)・世界銀行を牛耳り、戦後の国際金融秩序の軸となっているIMF・ブレトンウッズ体制を作り上げてきたアメリカが…

【相次ぐ常識外れの発言と行動】~三原じゅん子議員「八紘一宇」発言が呼ぶ国際的波紋~

世の中、不況になり厳しくなると、皆が守ってきたルールや大人の対応がそっちのけになる。社会的モラルを無視した企業行動や身勝手な論理であちこちに波紋を巻き起こすことになる。しかも、それらを止め立てするガバナンスが国際社会や国、自治体にも見当た…

【再び動きだしたバチカン外交】~21世紀の課題にどう対応するのか~

バチカン外交が注目され出した。世界に約12億人の信徒を持つ世界最大級の宗教・キリスト教カトリックの総本山、人口わずか約800人、面積は日本の皇居より狭い44平方キロメートル足らずのバチカン法王庁だ。 バチカンのローマ法王は、国際情勢が激変すると黒…

【トヨタ、水素カー特許公開のワケ】~オープン化こそ最強の販売戦略~

かつてトヨタ自動車は”販売のトヨタ”と言われた。”技術の日産”、”クリエイティブで面白い車を作るホンダ”という呼び名に比べると、トヨタは車の売り方はうまいが車自体はあまり面白味がないと陰口を言われることが多かった。トヨタのトップ達もそのことを気…