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「岡野裕基金 通信文化フォーラム」 基調講演(要旨)

20131012日に行なわれた公益財団法人通信文化協会様主催「岡野裕基金 通信文化フォーラム」での講演の要旨が、広報誌「通信文化」22号(2014年1月5日発行)掲載されましたので、ご紹介いたします。

 

岡野裕基金通信文化フォーラム 第一部基調講演(要旨) 

日本の覚悟 大変動の世界~  ジャーナリスト 嶌 信彦 

 1901年(明治34年)元旦、つまり二十世紀が始まった時、当時の報知新聞に、この100年間で何が起こるかの予測記事が載った。無線電信電話や今で言うエアコンなど20項目。「買物便法」という言葉もあるが現在のネット通販や通信販売を指すのだろう。このうち現代では14項目位は実現している。当時の人の構想力というか夢を考える力は実に豊かであった。

 

◆今、世界は大動乱の時代。経済では、リーマンショック、ユーロ危機へと依然世界経済不安を引きずっている。政治になるとチュニジアに始まる中東の革命、欧州、アジアの指導者の失脚、政権の交代などが相次ぐ。中国は習近平体制、日本は安倍政権が誕生した。社会的に見ると資源の豊富な富裕国とそうでない貧困国、一国の中でも富裕層と貧困層の二極化が鮮明、いろんな国で混乱の要因となっている。

 

◆日本は、90年にバブル崩壊、その後90年代後半からネット社会、グローバル化社会となり、かつて一人勝ちしていた日本に代わり中国、韓国が安いものを作って市場を制覇、日本はいい戦略を出せないまま「失われた十年」「失われた二十年」を経過した。

 

◆中国が2010年に日本を抜いて、世界第二位のGDP(国内総生産)大国に。これからインドが2027年に、ブラジルが2034年に、ロシアが2037年にそれぞれ日本を抜くとのゴールドマン・サックスの予測。

 

◆これから成長するところはアジア・太平洋。成長するためには欲しいものを買える中間層がいることがカギになる。貧困層と富裕層ではなくて、中間層がぶ厚く大きければ、物がたくさん売れる。中間層というのは、日本円で可処分所得が約50万円から350万円位を持っている人達。この中間層がアジア全体で約8.8億人。そのうち約4億人が中国。世界中が中国に物を売り込む。

 

◆日本はどうするかということが、今、問われている。安倍政権は異次元の金融緩和、財政の機動的出動、それから財政の赤字をなくすということと同時に、第3の経済戦略を導入する予定。経済的特区や規制緩和といっているが、中味があいまいで要はどんな新市場を作り出せるかが大事。

 

◆今、日本は「第三の国難」と言われている。第1の国難は江戸末期、明治維新の時。第2の国難は、戦争で敗れた1945年。第3の国難と言われているときに、日本は覚悟をきちんと決めて、どのように頑張っていくかということが大事。技術など点では優れたものがたくさんあるので、それを集めて面や立方体にし、一つの構想力にする。そのような大きな絵を描く。

 

◆「人柄」という言葉があるが、これから世界では、「ああ、日本というのは、いい国柄を持った国だな」と、国柄ということが非常に重要になってくる。技術などということだけではなくて、どのような国柄の日本を作るかということが世界で存在感を増すことになる。 

(この講演の詳細は、次月号の特集記事として掲載いたします。)

【公益財団法人通信文化協会 通信文化 22号掲載】

 

「二十世紀の豫言」
  詳しい内容は、以下報知新聞サイトを参照ください。

  http://hochi.yomiuri.co.jp/info/company/yogen.htm 

※実際に掲載された記事はこちら【PDF:296KB】
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