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時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

複雑怪奇な世界の潮流 日・韓は置いてけぼり?

 日・米・韓か、米・中・韓か。G7対ロシアで中国はどう立ち回る? ウクライナの未来は? 台湾と中国の貿易協定で反対の台湾学生が議会を占拠、エジプトでイスラム原理主義組織ムスリム同胞団をテロ組織とみなし約530人に死刑判決、マレーシア航空機の謎の行方不明──ここ12週間の世界の動きは、再び大きな潮流変化を迎えているとも見てとれる。

 オランダのハーグで開かれた核サミットには世界の首脳が集まった。本来なら核廃絶に向けた大きなメッセージ、一歩を踏み出すはずだった。しかし、ウクライナ・クリミア問題に端を発する国際事件で、ハーグ会議は世界各地の紛争、問題を持ち込む場に様変わりした。しかも仕切り役のアメリカの弱体化が目につき、会議は突っ張り合いと思惑が入り乱れ実質は殆ど先送り。20世紀時代とは異なる新冷戦の兆候すら出てきた。

 日本はこの核サミットを日韓・日中の関係改善、日米同盟のアピール、ロシアと北方領土や経済交流を促進する場にしたかった。しかし、アメリカの仲介で日米韓の首脳会議がセットされたものの、韓国はこれに先立って中・韓首脳会議を行い、日本に対しては歴史認識や大戦中の日本による中・韓民間人の強制連行問題などで共闘路線を取ることを確認。中国をバックに日本攻撃をゆるめる姿勢をみせていない。日・韓・中の関係改善がアメリカのアジア太平洋戦略の要なのに、アメリカも今のところ首脳会議をセットするだけで、歴史認識の問題などに踏み込んで火中のクリは拾いたくない方針だ。むしろ米・中は〝新しい大国関係〟を築き互いにアジアで主導権を取りたい考えで、米・中の思惑が一致すれば、日・韓はおいてけぼりを食う懸念さえある。
 

 さらに事態を複雑にしているのはロシア・プーチン大統領ウクライナからのクリミア分離、ロシア編入への強行策を実行したことだ。これにより先進7カ国(G7)は、ロシアをG8から追放、経済制裁も課し始めた。ロシアとの関係改善をもくろんでいた安倍首相はG7の動きに同調せざるを得ず軽いながらもロシア制裁に参加した。日露関係は当分動きがストップ、プーチンと相性の良い安倍首相のもくろみも凍結となろう。それよりもプーチン大統領が中国に対抗して存在感を強めようとし、バルト三国グルジアモルドバなどの飛び地にも強行策を取り、欧米が手出しできないとなれば、世界の力関係はかつての西側先進国、旧ソ連、中国の冷戦時代に似てこよう。

 しかも中国周辺ではチベットウイグル、台湾などに不穏な動きがあるし、中東もシリアだけでなくエジプト、トルコも火種を抱えている。こんな大きな潮流変化が出てくると世界経済もますます投機が激しくなり、市場の混乱が実体経済に悪影響を及ぼすことは必至だ。

 昨年は日本経済が久しぶりに世界から注目され株高、景気回復の兆しをみせていた。しかし4月から消費税があがり、世界の動乱で〝日本株時代の終わり〟の声がささやかれ出した。世界を読む連立方程式は複雑怪奇である。

【財界 2014422日号 第373回】