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時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

”軸”大事にする魂

コラム

 「企業の寿命は30年」とよく言われてきた。むろん30年経ったら”つぶれる”ということではない。順調にきた企業も30年経つと、組織の規律にゆるみが出たり、社内で自由にモノを言える雰囲気がなくなりワンマン的経営になってしまう。いわば、よほど気を引き締めて日頃の点検を行なっていないと、成功した企業も衰退期に入ってしまうという警句である。戦後、名を成した企業で消えてしまった会社、合併再編でかろうじて生き残っている企業の例をあげたら枚挙にいとまがない。会社名をあげるのは失礼なので出さないが、いま現在も経営破綻の渕をさまよっている名門企業が少なくない。

 しかし、その一方で従業員数十人から数百人の中小、中堅企業ながら100年以上にわたり堂々と生き残っている企業もある。東京商工リサーチの企業信用調査データによると100年以上続いている企業は何と2万7441社。200年以上は835社、300年以上582社、400年以上が352社もある。最も古い企業で現在も存在する企業は500年代に創設されている。日本の企業は99%が中小企業だが、その99%の大半が100年~400年以上存続しているのだ。

 その間には為替の大幅切上げ(1971年までは1ドル=360円)、2度の石油危機、2度の世界大戦や日清、日露戦争、幕末の混乱、関東大震災などいくつもの大災害――などを経験している。それほどのリスクを乗越えながら数多くの中小企業が今日まで存続し成長してきているのだ。こんなに長続きしながら消費者に見守られている企業の数は世界でも例をみない。

 こうした企業に共通する特色は、まず第一にお客さんのニーズを常に先取りし徹底したサービスに務めていること、正直でオープンで決して卑しいビジネスをしていないこと、長い企業史の中に確固たる家訓、信条がありぶれずに守り続けていること、それでいながら時代の変化を一歩先んじて読み取り対応していること、さらに社会の変化、感性の変化をきちんと受け止め商品やサービスに活かしている企業ではないだろうか。一時の儲けに惑わされず企業が長い歴史で培ってきた本物のDNAを守っていくことが長く稼ぐ力につながると思う。
会社法務A2Z 11月号】

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