時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

本日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~野党は過去の歴史をどうとらえるか~

スタッフです。
本日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の音源が掲載されました。要約は以下の通りです。

テーマ:共産党が国会開会式出席で方針転換。社会党の道をたどるか、独自色を出せるか

まず、国会が始まり、臨時国会は開かれなかったがいろんな論点が山積み。安保法案の時も10本まとめて議論したことにより何が焦点だったのかよくわからないという反省があった。今回いろんな問題が山積みだがそれをきちんと議論して欲しいと思う。

 

共産党の大方針転換
今回は国会での野党共闘の話。共産党が昨年末から野党共闘路線をみせている。共産党が昨日の天皇陛下をお迎えして開催する「開会式」に出席。これまで「戦前の帝国議会の戦前の形式をそのまま引き継いだもので天皇の国事行為を逸脱する」ものだとして1947年以降出席していなかったが、ものすごい大方針転換だ。

共産党は「安全保障関連法案」の廃止を求める野党連立政権「国民連合政府」構想を提案している。これは野党共闘というよりも、国民の連合政党を作ろうということだろう。そういう意味でも天皇がお見えになっている所に出席し、大方針転換した。今までは、ある問題については共闘するが、この問題では共闘しないという方針であったが、これからは全部出て連合政府として対応していこうと少し構えを大きくしたというのが、今回の大きな特色。

共産党は、野党が連携する為に方針転換してきている。昨年秋、党綱領の「日米安全保障条約廃棄」の「凍結」と言いかえたりして、事実上政策の方針転換をしている。これは過去の「社会党」が歩んだ道となんとなく似ているなと感じさせる。

私はかつて社会党の動きも取材してきたが、1994年に「自民党」はなんとか政権復帰したいと道を探り、単独での政権樹立は困難ということで「社会党」と「新党さきがけ」を巻き込み「自社さ連立政権」を作った。その際、「自民党」から総理を出すのではなく、社会党党首の村山富市氏を総理に担ぎ上げ野党との暫定政権をはかろうとした。社会党としても実権を取りたいことから、方向転換も辞さなかった。

 

社会党による国会の大混乱
当時、社会党は「自衛隊憲法違反」、「非武装中立」をずっと打ち出しこれがアイデンティティでもあった。そこで自民党はしつこくそれらを確認。94年7月に村山氏は「日米安保体制を堅持しつつ…」と表明したところ国会が騒然となった。それは、「日米安保体制を容認するのか!?」ということだ。それを受け、2日後の衆議院代表質問にて新生党党首の羽田孜氏が「自衛隊は合憲か憲法違反か」と迫ったところ、村山氏は「自衛隊憲法の認めるものだ」と明言し国会は一瞬静まり、その後ヤジと拍手で大混乱に陥ったということがあった。

その後さらに翌日も参議院非武装中立について「役割を終えた」と村山氏が明言したことは社会党にとって歴史転換となる発言であり、それらを繰り返していったということで社会党は大きく変わったと言われた。これは村山氏も社会党は政権党になるという決意によりここまで方向転換せざるをえなかったということと、その前の土井氏の時に「山が動いた」という発言に表れているように「何となく政権が近づいてきた」という感じもあったのだろう。そして、このことから国民に納得してもらうためにはそうせざるをえなかったのだろう。

 

村山氏に関するエピソード
村山氏のエピソードとしては、政治が料亭や高級ホテルを舞台に動くことが多かった中「公邸の食卓」に娘さんが用意した故郷・大分の「ちりめんじゃこと大根おろし」で「庶民宰相」をアピールしたことがあった。また、石原信雄氏とのエピソードとして、村山氏の総理就任時に石原氏は退任を申し出た。石原氏は竹下内閣から7人の総理に仕えた官邸実務のエキスパート。

 

連立でも自民色は消えず
村山氏は「オレは素人じゃ。あんたがおらんと困る」と慰留した際、石原氏はここぞとばかりに「憲法自衛隊と安保条約の問題だけは腹を決めて欲しい」と切り換えし、留任の条件を突きつけた。自民党を軸に路線を築いた石原氏は方針転換はできないため、結局村山氏は「腹は決めた、心配せんでいい」と応え社会党は変わり、3週間後の方針転換に至った。当時の新聞では「与党素人が裏目に出てしまった」などといわれ、そこから社会党は今の凋落がはじまったともいわれている。

結局、支持者が離れ、98年の参議院選挙で消費税増税、医療費負担増など国民への負担を押し付ける政策をやらざるをえなくなったことで、厳しい審判がくだり「自社さ連立政権」も崩壊していった。

その後、自民党は支持層を再び固め政権奪取。それでもまだ足りないと公明党と連立していく。ここら辺は自民党の手練手管がはっきりしているという感じがする。社会党は一度は政権についたものの、そこが凋落のきっかけになったという皮肉な結果となった。この時に社会党がもう少しうまくやっていれば、もう少しよい方向転換が出来たのかもしれないが、その辺は素人だというように言われてしまった。

 

独自色を保てるのか?
今の共産党は「国民連合政府」として国を取りまとめたいという思いがあると思うが、これまで社会党の失敗もみているし、そう簡単にはいかないと思う。共産党は、野党共闘、是々非々といったことをきちんとしておかないと社会党の二の舞になることが大いにあり得るとみておいたほうがよい。それは、共産党がここまで票を伸ばしてきたのは、独自色を打ち出してきたからである。

 

他の野党の覚悟は?
他の野党を見ると民主党の前原氏と岡田氏の意見が全く違うといった中で、自分たちはこれからどうするのかをきちんと議論していかなくてはならない。これから料亭政治ではないが、裏の政治が相当活発になるであろう。共産党を軸に他の野党も腹をくくっていかないと、この野党共闘は一筋縄ではいかない。そして、共産党は腹をくくったのか、ひっかきまわしたのかその結果は2、3か月後にははっきりしているだろう。