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ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

昨日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~ウズベキスタン訪問報告~

スタッフです。
昨日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の放送内容をお届けします。

テーマ:日本企業も注目するウズベキスタンの急成長

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【注目高まる国 ウズベキスタン
本日は、近年注目が高まるウズベキスタンについてお話したい。私はウズベキスタンと関係が深く、実は先週も日本とウズベキスタンのエコテクノロジーに関するシンポジウムに参加する為ウズベキスタンを訪問したばかり。8月には国際交流基金中央アジア五カ国に文化使節団を出そうという計画もあり、このところ中央アジアが注目されている。今回のシンポジウム開催もその一環だと思う。

中央アジアは昔ものすごく遠い国のように感じられていたが、10年後には中央アジア5ヵ国の総人口は1億人位を見込まれ、マーケットとしても非常に有力な地域と目を付けている企業も多いようだ。

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【一時忘れ去られるも・・・】
ウズベキスタンはアジアの中央に位置し、ローマと長安を結ぶシルクロードの交易路。有名な都市としてサマルカンドタシケントを有するオアシス国家。東西の文物を交流することで発展し、16世紀までは世界の中心であった。しかしながら16、17世紀に大航海時代に突入すると、徐々に忘れ去られていった。さらに19、20世紀に飛行機、スペース(宇宙)の時代となり、さらにそれが加速した。しかしながら、近年中国が「一帯一路」を打ち出し、新たなシルクロードを作ろうということから再び注目されはじめた。

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※今なおウズベキスタンに現存するシルクロード


ウズベキスタンはどんな国?】
ウズベキスタンはもともと金、天然ガス、石油、ウラニウムなどの地下資源が豊富。その上、農業が盛んで、綿花、果物、野菜など食べ物も豊富な豊かな国である。それゆえ、ウズベキスタンに対する中国、ロシアの関心は高い。さらに、近隣にアフガニスタンイスラム過激派の国々があることから、それらをウォッチする場所としても重要視されている。

経済も非常によく、年7、8%の成長率。中国は6%台に下落、東南アジアも3、4%台、先進国は1%を切るという状況であり、世界でも最高の水準に属する値である。人口は非常に少ないが経済は非常によく、治安も安定してきている。


【昔の日本のような様相】
私が初めてウズベキスタンを訪問したのは、20年ほど前の1996年。当時の人口は2200万人、現在は3000万人を超している。3代で暮らし、働き手は1家庭につき夫婦含め3人位と、昔の日本と非常に似ている生活環境。成長率も高まり、非常に豊かになってきた。20年前は戦後の日本の様相だったが、今や一家に1台自動車を保有。夜も10時頃まで明るく、子供連れの家族が公園で遊んでいたりと見違えるほど、著しい発展を遂げている。


ウズベク親日の象徴】
ウズベキスタンと日本は非常によい関係を築いており、非常に「親日国」。首都のタシケントにある「アリシェル・ナボイ劇場」というオペラハウスはその象徴として有名である。ソ連ウズベキスタンを19世紀から1991年にソ連から独立するまで統治し、ソ連は歌やバレエが盛んであることから、中央アジアにも同様にオペラハウスを建設しようという計画の下、完成したのがこの劇場である。この計画に満州にいた日本軍の航空工兵部隊が動員され、3階建て、地下1階の1400席の客席を有するオペラハウスの建設に従事することとなった。このオペラハウスはソ連の3大オペラハウスと呼ばれる程、素晴しい劇場である。

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※画像は98年にナボイ劇場で「夕鶴」鑑賞後、実際に建設に携わられた方々が壇上に上がり拍手喝采を受けた模様。トップの画像は、ナボイ劇場外観。

 

【日本に国づくりのモデルを求める】
1966年にタシケントの街(ウズベキスタンの首都)が全壊するほどの大地震に襲われた際、この建物だけは凛として建ちつくしていたことから日本人はすごいと話題になった。このオペラハウスはウズベク人と共に作り上げたものだが、日本人は工期を守り、器用で建て方も非常に美しく、丁寧に積み重ねられた煉瓦は大地震のときでも崩れなかった。そして、この伝説は瞬く間に中央アジアをかけぬけた。このことによって中央アジアには親日国が非常に多い。

さらにウズベキスタンは、1991年にソ連から独立した際の国づくりのモデルを日本に求め、それ以来多数の留学生が来日している。毎年100人ほどの留学生が来日し、早稲田、東大、慶應などの一流大学で学んでおり、皆非常に頭がよい。また、元々古くから文化が栄え、天文学、数学などを用い砂漠を旅してきた理系の頭を持っている人も多い人種である。


【ヨーロッパの人びとも高い関心を寄せる】
私は先に述べたように1996年に初めてウズベキスタンを訪問。きっかけはアジア開発銀行総裁の千野忠男氏(当時)から「まるで明治維新の志士たちのように国づくりに励んでいる」とと熱っぽい話を聞かされ、「記者の君も直接見て紹介してよ」とけしかけられたことだった。訪問後ウズベキスタンに魅せられ日本とウズベキスタンの交流を深めようと「日本ウズベキスタン協会」を作った。私はその後6回ウズベキスタンを訪問しているが、成長著しい。シルクロードや4つの世界遺産があることから観光にも力を入れ、日本のみならずヨーロッパの国々からも多くの観光客が押し寄せている。中東など情勢が不安定であることから、ウズベキスタンは旅行先としても非常に注目されているのだろう。


【今後ますますの発展が期待】
企業進出の流れとしては、中小企業の誘致にも積極的。ウズベキスタンの周辺国は資源で稼ごうとしているが、資源だけでなく工業も強化している。日本企業の進出としてはいすゞ自動車がバスを輸出しており、ウズベキスタンで走っているバスの大半はいすゞ自動車製である。自家用車は以前は大宇という韓国企業が進出していたが、GMにとって変わったため走っている自動車の大半がGM車だ。

今後、規制が緩和されるようになるとさまざまな企業が参入しやすくなるだろう。日本が得意とする家電や建設業界が進出する可能性もある。成長著しく、ウズベキスタンの人びとはまだまださまざまなものを欲しているので日本企業が進出するチャンスもある。その上、ウズベキスタン自身も招致したいと思っていることだろう。

※なお、上記記載のナボイ劇場建設秘話に関するノンフィクション「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」を9月30日に角川書店より上梓しております。
ご興味のある方は、書籍特設サイト も合わせてご覧頂けると幸いです。