時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

昨日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~アメリカの建国精神とも絡み合う銃規制~

スタッフです。
昨日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の放送内容をお届けします。

テーマ:アメリカの銃とテロ

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【アメリカ史上最悪な事態】
アメリカでまた銃の乱射事件が起き、アメリカの歴史上において最悪な事態となった。アメリカの銃社会の問題はずっとあったが、そこに最近ではテロという問題との結びつきが絡まってきている。それによって犠牲者の数も増加しているのが、最近の銃事件の大きな特色である。


【真相はいかに・・・】
今回の事件はこれまで50人が死亡し、負傷者も50人以上出ている大変な事件となってしまった。その中で、犯人の素性も徐々にわかってきた。犯人はイスラム系、フロリダ州在住29歳の男性。両親がアフガニスタン出身。FBIはこの人物がイスラム過激思想に傾倒していた可能性を指摘。この男性は10年ほど前からモスクに通い、メッカにも巡礼していた。この男性の両親は過激派思想ではなく同性愛を嫌悪しており、そのことから犯行におよんだのではないかと述べている。

この事件が発生した場所は同性愛者が集うようなクラブだといわれるが、今回の事件に対する犯行声明は出ていない。本人も亡くなっており、ISも自分たちのメンバーとは発表していないので、個人的な犯行なのか、ISの組織的な犯行なのかまだ判明していない。そういう意味では、銃社会の問題とISのテロの問題が必ずしも結びついているとはいえない。


【複雑に絡み合う銃問題】
オバマ大統領は「アメリカの中でこのように組織には属さず個人で犯行に及ぶ人間が非常に増えてきており、これが非常に心配されていたことでもあった」と述べている。アメリカには元々銃社会の問題は存在していたが、貧困と差別というような問題もだんだんと激しくなってきた。そこへイスラムを巡るテロ事件が出てきたことで、これらが結びついてきたという背景もあるのではないだろうか。インターネットで容易にイスラムの思想を学べ、それがアメリカ国内で大きな影響を与えているというような考え方もオバマ大統領にはあるようだ。


【事前の察知が困難な新型テロ】
近年の事件は、これまでアメリカでいわれてきた銃と社会の問題とは違った側面が出てきているということだと思う。ロイター、地元メディアなどによるとこの男性は2007年にフロリダ州の大学に通った後、イギリス大手警備会社に就職し銃の扱いには習熟していた。FBIはこれまで2回事情聴取の実施に加え、勤務先での採用時とその後2回にわたり素行・思想調査を実施していた。いずれの調査でもISとの関係は認められなかった。

直接の組織に所属しなくても傾斜的な思想を持つ一匹狼の人間は、近年増加している。組織に増加せず一人で犯行に及ぶ。テロの分析家は「海外のテロ組織とメールや電話で交信しないので、FBIが事前に察知することは困難だ」と述べ、新たな形のテロが問題となってきているともいえる。そうした中で以前からいわれている銃規制の問題をオバマ大統領はきちんとしなくてならないということをずっと言い続けている。

 

【表裏一帯の銃規制】
ここで、米国で発生した銃事件で多数の死者を出したワースト5を紹介したい。(引用:6月14日付の産経新聞

1、先に紹介した今回の事件。50人死亡
2、バージニア州の大学で学生が乱射32人が死亡(2007年4月)
3、コネティカット州の小学校で男が乱射 、子どもら27人が死亡(2012年12月)
4、カリフォルニア州のファーストフード店で男が乱射、21人が死亡(1984年7月)
5、カリフォルニア州福祉施設で2人が乱射14人死亡(2015年12月)

年々被害者も増加し、犯行は単独犯であるケースが多いというのがポイント。事件が起こるたびに銃規制の話がでるが、反対の側面もあるのが実情。


【自分の命は自分自身で守る】
アメリカは、ヨーロッパからやってきた人たちが原住民と対立しながら、アメリカ社会を建国してきた。私もアメリカに住んでいたのでわかるが、地方では自分の家と隣りの家との距離が1、2kmも離れている家がたくさんある。夜人が訪ねてきても誰なのか、銃の有無を調べるまで家を開けない。家をすぐ開けて銃を突き付けられ、おカネを要求されると大変なことになる。

町の自警団があって連絡したらすぐ来てくれるわけでもなく、自分の命は自分で守らなくてはならないという精神がアメリカにはある。こういう事件が起これば起こるほど、こういう事件に備えるために銃は必要だという論理が再燃する。そこがアメリカではまだ決着がついていないということだろう。


【アメリカは1人1丁以上銃を保有!?】
最近は先ほど述べたようにテロと貧困差別といったような問題と結びついてきて、単独で街中で銃で人を殺害する被害が出てきているために銃規制の問題が大きくなってきている。産経新聞によると米国人口(約3億2千万人)を上回る約3億5700万丁の銃を民間が保有している。凄まじい数の銃が保有され、普通の人も買える。どうやって規制をしていくのかは、今回の大統領選でも大きな問題になると思う。

オバマ大統領は街中で戦闘用の武器を保有することは止めさせなくてはならないといっているが、完全に銃の保有を否定しているわけではない。それはクリントン氏も同じ。今のところ唯一いえるのは人を殺傷する武器を持ち歩いてはいけないということだ。

 

【建国の精神と銃規制の相関】
購入者の身元調査の義務付けも反対で頓挫している。反対は根強く、銃の身元調査を拡大するということに落ち着いている。オバマ大統領は任期中に変更したいとの意向があるが変更は考えにくい。先に述べたように銃で自らを守ると言うアメリカの精神土壌が非常に強い。

トランプ氏支持の共和党は全米ライフル協会がバックにあり、それらの利害関係からみても容易に銃規制に踏み込むとは考えにくい。トランプ氏はイスラムの人が犯したのだからイスラムの人たちに銃を保有させないと述べている。なかなか根深い問題で建国の歴史とも絡んでいるだけになかなかこの問題はうまくいかない。本日何度か述べたが、自分の命は自分で守る精神が根底にあるのだと思う。