時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

11日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~世界を統治し、活躍する女性たち~

スタッフです。
11日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の放送内容をお届けします。

f:id:Nobuhiko_Shima:20161019165126j:plain


テーマ:世界を統治している女性たち

【女性の活躍がめざましい時代】
今日は世界を統治している女性たちの話題を取り上げたい。いわゆる活躍しているというより統治している女性たち、しかもかなり重要な国や機関を統治している女性が多い。来月の米大統領選ではもしかしたらヒラリー・クリントン氏が大統領になるかもしれない。今年は台湾、イギリスでも女性のトップが誕生し、注目されている。そういう意味からも女性の活躍がめざましい時代といえる。


【注目はイギリス】
特に注目したいのは、イギリスのメイ首相。26年ぶりの女性首相として誕生し、来年3月までにEU離脱を通告すると明言。スコットランドもトップが女性でスタージョン首相。イギリスのEU離脱に対してスコットランドは多数がEU残留を支持。そのため、スタージョン首相はイギリスがEUから離脱した場合、スコットランドはイギリスから離脱すると表明している。

その場合にイギリスはバラバラになってしまうため、スタージョン首相の強気の発言に注目が集まっており、単独でEU残留を目指し、委員会を設置し、必要な法案を準備していくと発言している。これによってスコットランドの独立危惧が再燃する可能性もある。


【ヨーロッパにも注目】
その他にもドイツではメルケル首相が頑張っており、メルケル首相とメイ首相はある意味、ヨーロッパの中心になっていくのではないか。メルケル首相は以前は原発の推進派だったが、稼働年数を延長する計画を凍結したり、難民を100万人受け入れるなどヨーロッパ全体で賛否両論巻き起こしている。

その中でも一番大きいのは難民問題。難民受け入れを反対する国が多い中でドイツは積極的に難民受け入れを表明してきたが、ドイツ国内も揺れている中で難しいかじ取りを迫られている。

ヨーロッパではノルウェーソルベルグ首相、ポーランドのシドゥウォ首相も女性。また、美しいことで話題となったローマのラッジ市長は日本はオリンピックの件でもめている中、ローマは早々と2024年の夏季五輪の招致の断念を宣言した。


【世界の金融、アジアでも】
ほかにも世界の金融では、IMF国際通貨基金)のラガルド専務理事やFRB(米連邦準備理事会)のイエレン議長がおり、世界の金融を仕切っている。さらに韓国の朴槿恵大統領や先にも紹介した台湾の蔡英文総統。東京では小池百合子都知事が誕生。こうやってみてくると、世界中で女性が活躍していることがわかり、能力が見事に花開いている。

フランスでも女性大統領ということがあるかもしれない。もしフランスやアメリカで女性大統領が誕生すると、G7のうちアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスのトップが女性という可能性もある。


サッチャー氏の辣腕ぶり・・・】
行きついてみるとやはりサッチャー元首相の存在は大きい。1979~1990年まで約12年の長期政権。「鉄の女」の異名を持つ。「ゆりかごから墓場まで」として労働党政権中心の福祉が行き届いた理想社会を作るという政策によって、主要産業の国有化や財政赤字貿易赤字が増大しイギリスが衰退し始めたことから、サッチャー元首相は規制緩和、民営化、労働政策、ありとあらゆる競争政策を実施。レーガンサッチャー路線と言われ、ここから女性首相が注目され始めた。フォークランド紛争にも勝利。

晩年はさみしそうなところもあったが、女性政治家はサッチャー元首相を目標に頑張ってきた。イギリスのメイ首相もそういうところがあり、サッチャー元首相の「鉄の女」に対してメイ首相は「氷の女王」といわれている。今後はメルケル氏とメイ氏によってヨーロッパが動いていくように思う。当時を描いた映画での苦しんだ労働者たちが怒っているシーンが非常に印象的だったように、サッチャー氏の辣腕ぶりが描かれている。


【日本の政界はどうか】
日本の女性政治家は、衆議院議長を務めた土井たか子氏。参議院議長を務めた扇千景氏は活躍した人といってよいと思う。土井氏は参議院では首相に任命され、衆議院が優先されるということで海部氏が首相になった。これまで女性で首相候補となり任命されたのは土井氏だけである。近年では民進党蓮舫氏や、防衛大臣稲田朋美氏、総務大臣高市早苗氏、元経済産業大臣小渕優子氏などがいるが、まだ評価が固まっているという段階ではない。固まりつつあり、波紋を投げかけているのは東京都知事になった小池百合子氏と考えてよいだろう。

民進党蓮舫氏に対しては、強さは出しているが、もう一つ重さが感じられない。攻撃には強いが、幅の広さや懐の広さはまだ見えず、なんとなくまだ不安定な感じがする。二重国籍問題もあり最初からつまづいている感じもあった。

【日本でも女性総理が誕生するか!?】
これから先、注目を集めるのは防衛大臣の稲田氏。海外に視察に行く一方、答弁で涙目になるなど、安倍首相にかわいがられてはいるが果たしてきちんとやっていけるのかどうかはこれからの答弁次第で試されてくるだろう。タカ派のイメージがあり安倍首相の懐に深く入り込んでいるという状況だが、一本立ちした稲田氏の実力はまだ見えていないので、そのあたりをこれからどう見せていくのかがポイントであろう。

女性の発言力が増してきたのと、働く女性が過半数を超えるという社会的な背景もあり、これからいったい誰が総理になるのかという点も注目される。日本にも女性の総理大臣が生まれるかどうか。

 

radikoで10月11日よりタイムフリー聴取が開始いたしましたので、今後放送内容のまとめにつきましては生放送から1週間後に掲載いたします。

 Facebook

 嶌信彦メールマガジン

 嶌信彦メールマガジン

書籍情報
日本人の覚悟

日本人の覚悟―成熟経済を超える

(実業之日本社)
【著】嶌 信彦


日本の「世界商品」力

日本の『世界商品』力

(集英社新書)
【著】嶌 信彦

     
首脳外交

首脳外交-先進国サミットの裏面史

(文春新書)
【著】嶌 信彦


 
嶌信彦の一筆入魂

嶌信彦の一筆入魂

(財界研究所)
【著】嶌 信彦


ニュースキャスターたちの24時間

ニュースキャスターたちの24時間

(講談社)
【著】嶌 信彦
       

 日本ウズベキスタン協会