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なぜ政府・与党は証人喚問を拒否する?

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 かつて総合商社のトップが、国会で証人喚問を受けるため、自らの名前を署名する時、手がブルブルふるえたことがあった。その場面をテレビが大きく映し出していたのを見て、商社のトップでもかなり緊張するのだな、という印象をもったことがある。

 その証人喚問にいま話題の加計学園問題を巡り文科省の前川前事務次官の証人喚問要求が野党から出ている。前川氏は喚問に応ずることを何度か述べているが、解せないのは政府と自民・公明の与党が「必要ない」と証人喚問に反対していることだ。証人喚問で証言者がウソをつけば偽証罪に問われるだけに普通は証人を嫌がるものだが、前川氏がOKしているのに政府与党のトップが呼ばなくてよいと言い、証人喚問に出したくない様子なのだ。

 加計学園問題を巡ってはいろいろ疑問がある小泉政権時代から加計学園獣医学部の設置を申請し、過去15回にわたり却下されてきた。それが安倍政権時代に構造改革特区を新設した時から急きょ新設が認められる状況になってきた。その背景には安倍首相と加計理事長が30年来の友人であること、その二人の関係を配慮して関係省庁の官僚が突如、推進支援に動いたこと。またこの認可は官邸の意向でもあることなどを示唆する発言が言われてきたことなどもあったようだ。

 前川氏は、獣医学部を新設する理由はさしあたって見当たらないこと、また特別な新しいプロジェクトを行なう計画も聞いていなかったので、官邸の圧力で「赤信号を青信号に、黒を白にさせられようとしている」と感じ、退官した身だがあえて問題提起として明らかにしたようだ。前川氏によれば、”総理の意向”といった形で認可すれば「行政のあり方が歪められてしまう」とみたようで、「役人は公正、公平な役人のあり方、吏道を全うすべきだと考えた」としている。

 これに対し安倍首相は「友人だからといって筋を曲げるようなことは一切していない。構造特区に指定したのは、岩盤のように固い規制に穴をあけるためで何ら恣意的な目的にない」と主張し続けている。また官房長官は”総理の意向”などと記された文書について「怪文書みたいなものではないか」と一蹴。前川氏は文科省天下り問題で「自ら辞める意向を示さず地位に恋々としがみついた人物」と普段は冷静な長官にしては珍しく個人攻撃をして驚かせた。

 元官僚と官邸・与党のトップが連日メディアでやりあうといった事例は最近では珍しい。国民が疑問に思っている以上、国民の前ではっきりさせた方がよいだろう。官邸と巨大与党が、首相の友人に便宜を図ったというような印象をもたれたまま終結するのはいかがなものか。
【財界 2017年7月4日号 第450回】

画像:Wikimedia commons 旧文科省庁舎