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5G時代の産業革命へ 

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 かつての通信といえば、電話線を通じて人と人が会話するものだった。わが家に初めて電話機が入ったのは、確か小学校の頃で黒い電話機を通じて遠くの人と話ができることにびっくりし、電話機を持つあちこちの友達に電話して楽しんだ記憶が鮮明だ。その後、進化を経て携帯電話が登場し、1979年に第一世代(1 G)の通信システムが開始し、みるみるうちに発達。ほぼ10年ごとに第二世代(2 G)、第三世代(3 G)と通信機能が多様化し、通信速度なども速くなっていった。

 90年代の2Gで着メロやショートメールが送れたし、2000年代の3Gではテレビ電話やデータ通信も可能となった。10年代の第四世代(4G)では大容量のデータ通信が可能となり、いよいよ20年のオリンピックに向けて第五世代(5 G)の通信インフラ整備を進めている。4 Gの現在は画像や映像をアップしたり、電車の中で映画を見ることができるし、SNS(交流サイト)も当たり前となった。これが5 Gになると通信速度が4 Gの100倍となり、大容量化もさらに実現。低コスト、低消費電力、多数の端末との接続も可能となる。通信量は現在の1000倍以上になり、2時間の映画が3秒でダウンロードできると予測されている。さらに人とモノだけでなくモノ同士での情報のやり取りもできるようになるという。

 そうなると数センチメートル単位の高精密映像や地図を車、道路、歩行者が共有し自動運転を可能にしたり、遠隔地にいながら医者が診察や遠隔操作で手術などができるようにもなるともいわれている。さらにあらゆるものがネットとつながるようになれば戸外にいて電気冷蔵庫の中味を調べ、夕食に必要な材料をどこにいても把握できるようになり、買物も便利になるわけだ。

 いま各企業では、5 G時代の事業計画を立てその準備を始めている。例えば自動運転、農業への活用、お客へのもてなしロボット、無人配達、遠隔医療、空から物を見るドローンの活用、災害復旧ロボット、工事の遠隔操作など様々だ。また通信各社だけでなく一般企業や地方自治体なども高齢者の見守りサービス、河川や災害の監視など次々と企業や地域に必要な新たなサービスを5 Gの通信システムを活用してできないかと工夫を凝らし始めてきた。

 ただこうした新たなサービスを始めるには、これまで以上に基地局を増設したり、施設の更新、高度化も必要になってくる。このため、日本企業同士や日本企業と韓国企業、世界の基地局の売上高で90%近くを占める中国や海外勢と開発や販売で手を組む動きも出ている。

 10年代に現行の4 Gに移行した時も大容量の通信が可能となり動画の共有や、配信サービスによってスマホが急成長し、テレビ業界を苦境に追い詰めているし、スマホや多機能携帯端末の登場でパソコン市場にも大きな打撃を与えた。

 通信インフラが世代交代すると新たな製品やサービスを生み業界のあり方まで変えてしまう。 総務省は現在5 Gの用途やサービスの可能性に向けてアイデアを11月末まで募集しているが、今後の産業はこれまでのような家電、自動車、建設、小売といった産業の区分けを全く一新する構造に変化しそうだ。また、大手とは別に限定された地域で企業、自治体に電波利用を可能にすることも想定しているので、地域間の創意工夫も活発になろう。
【電気新聞 2018年11月16日】

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