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時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

多すぎないか祝祭日

コラム(電気新聞)

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 最近、祝日や連休がやたらに増えてきた。働き盛りの頃やサラリーマンにとっては休日の増加は嬉しく感ずるが、現代の中小・零細企業やシニア、主婦層にとってはどうなのだろうか。

 先日、ある零細企業主と話していたら「こう休みが多くては商売あがったりだ」と嘆いていた。休日、祝日は店を閉じることが多いから客数が減ってしまうというわけだ。とりわけ近頃は休日をくっつけて連休、3連休にしてしまうから、それだけで商売の日数が減ってしまい、売上げも落ちてしまうらしい。

 定年を過ぎたシニア層、特に団塊の世代などは、多くの人がいまや”毎日が日曜日”状態なので、サラリーマン時代とは違いちっともトクした感はないという。主婦層にとっても亭主が一日中、家でゴロゴロされては食事の支度や普段とは違う用事や段取りが増えてかえって忙しくなるし、気を遣うことが多くなって面倒だというのだ。

 2016年のカレンダーを調べてみると、連休は1月は正月の三が日、10、11日の日曜と成人の日、2月が建国記念日を入れて飛び石連休、3月は春分の日が日曜なので月曜が振替休日となり日・月の連休、4月、5月となれば昭和の日(4月29日)、憲法記念日みどりの日、こどもの日(5月3、4、5日)などゴールデンウィークが続く。

 6月は珍しく祝日がないものの、7月は海の日(18日)、8月も新しく山の日(11日)を新設、9月になると敬老の日(19日)、秋分の日(22日)、10月は1964年の東京オリンピックを記念日とした体育の日(10日)、そして11月は3日の文化の日と23日の勤労感謝の日、12月は平成天皇の誕生日(23日)と続く。

 こうみてくると祝日のない月は6月だけで「どうせなら6月にも祝日を設けよう」という声もあるらしい。祝日が日曜と重なると月曜日を振替休日とするから多くの企業などでは土、日、月と3連休になる。

 65年までの祝日は9日間だったが、その後法律で徐々に増え16年現在は16日となり先進国の中では最多となっている。しかもかつては祝日は日付が固定されており、春分秋分の日、勤労感謝の日など、それぞれの祝日は古来からの由来があったが、日曜と重なった日は月曜日を祝日とするハッピー・マンデー日を設けてしまったので、祝日の意味さえも国民にはわかりにくくなっているのが実情だ。昔から敬老の日は9月15日と覚えていたが、今年は何と9月19日になっている。

 かつては日本人の働き過ぎが経済摩擦の要因ともなったため、それで祝日を増やしたともいわれる。

 現在、政府は”働き方改革”を検討しているが国民が普通に働けば安心して暮らすことができ、老後にも不安がない人生を送れることを大前提として休日を考えるべきだろう。

 今年の統計では非正規社員の割合がかつての3割から4割近くに増えている。非正規となると時給が中心で年収300円位が平均。休みが増えることはそれだけ労働時間収入が減ることを意味する。

 休日増は一見するとゆとり社会の実現に近づけているように見えるが、実態はコスト削減だとすればますます格差は広がることにつながる。休みだからといって買物に行くのはもはや過去の習慣にすぎない。
 企業や国民の省エネ化の定着もあり、働き方は単に労働時間の短縮がメインではなく、一生を安心して節約した暮らしと働き方を幅広く考えているのだ。休日が増えて喜ぶのは大企業の社員や公務員だけとなると、そのうち反発も出てこよう。
【電気新聞 2016年10月14日】