昨日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~爆買いが変わる!?~
スタッフです。
昨日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の放送内容をお届けします。
テーマ:爆買いからネット通販へ
最近、訪日中国人や中国出身で日本に住んでいる知人・友人と話すと、爆買いが疲弊してきたということを言う人が何人かいる。要するに荷物をたくさんもって帰るのは面倒で、なんとかならないのかと考える人が徐々に増えてきたということのようである。
政府は2020年に訪日外国人が4000万人という目標(現在の訪日外国人数の2倍)を打ち出し、まだまだ爆買いは続くとみているようだ。しかしながら、中国人観光客からは「日本で買物をしたいが、持ち帰るのが面倒」「日本から送ればというが、ちゃんと着くかどうか心配」「途中で壊れる心配も」「届くまでに時間がかかる」といった意見があり日本で購入した商品を持ち帰らざるをえない状況。私が中国に手紙を出すと、1週間で届くこともあれば、1ヵ月かかることもあり、到着期間がマチマチでいつ到着するのかがはっきりしない。
中国人は日本で良いモノを買いたいということで、日本到着後すぐにスーツケースを購入。サイズは大きいもの、それに入る中型、さらに小型の3種類を持って歩く。スーツケースに大量に詰め込みたいため買物した品物の外箱を外し中身だけにしている。日本製の「炊飯器やウォッシュレット」「化粧品」「薬や水筒」が人気で、それぞれのサイズに合うスーツケースに収納。スーツケース自体も日本製が人気で、価格が5000円台で格安、丈夫、カッコイイデザインの物が人気であるというのがこれまでの訪日中国人の動きであった。
こういった爆買いは面倒ではないかという声も最近は出てきており、一度爆買いで日本に来たことのある中国人は実際に商品を見ているので、今後はネットで購入したいと思っていることに目をつけ、進出している日本企業も増えてきた。
事例としては、まずドラックストアの「マツモトキヨシ」。中国のネット通販最大手「アリババ」のサイトに昨年9月から出品を開始。約100種類の商品販売から始め、現在は300種類にまで拡大している。
続いて「ライオン」は今年から同じく「アリババ」のサイトで健康食品の販売を開始。調理方法などの問い合わせに応じ、人気が上昇してきている。
また、スーパーの「西友」は日本で開発したプライベートブランドを西友直営のネット通販で販売。先月から「しょうゆ」「ドレッシング」「ドリップコーヒー」などを中国人に人気の菓子や調味料、加工食品など40品目を販売といったように続々と売り出している。
その他にも、流通やコンビニ業界も参入し始めた。「ヤマトホールディングス」は、中国ネット通販2位の「京東(ジンドン)」と提携。今月から、中国で人気の高い「化粧品」などの日本製品を早く届ける取組みを開始。
更にコンビニの「ファミリーマート」は日本郵政グループと提携し、中国などアジア向け配送事業を行なう。日本のファミリーマートで預った荷物を日本郵政が運び、帰国後現地のファミリーマートで受け取れるようにする。店舗数は日本国内には6000店、海外には1万店ある。また、現在日本国内のファミリーマートには郵貯銀行のATMが500台あるが、2000~4000台にまで増やす計画で、コンビニを拠点としたいという目論見。日本郵政はファミリーマートのみならず他のコンビニなどとも組むと表明している。
東南アジアへの進出は日本はまだまだこれからだが、すでに他の国ではいち早く取り組んでおり、ドイツとアメリカが強い。昨年1年間の訪日中国人の買物は8000億円越えたといわれるが、昨年の中国向けネット通販の利用額も同じ8000億円だったとみられ、年々金額も増加している。通販がきちんとした仕組みとなれば、今後ますます購入する人は増加すると見られる。
東南アジア全体で見てみると、東南アジアのネット通販市場のダントツトップはドイツの「ロケット社」。シンガポール以外の5カ国でシェアが1位。
各国のシェア割合は以下の通り。
タイ: 通販市場の2割を占有し1位
ベトナム: 1割
インドネシア:3割
シンガポール:1割
マレーシア: 3割
フィリピン: 3割
日本は爆買いに喜んでいるがこういった市場に進出しないと、そのうち負けてしまうのではないか。 アジア通販は日本は出遅れており、日本は企業、物流、TV会社が組むことで通販の仕組みを作ることで、「四季の変化」「文化・伝統」「おもてなし」などを楽しむようになる、もっとちがった観光客が増加し、さらに日本の品物も売り込めるのではないか。そういったことに日本の戦略を変えていくべきであるということに気が付き始めた。
最近は船で来て、買ったものを運んで帰る人も多くなった。これからは、大量な荷物を運ぶ大変さをどう軽減するかという点がポイントであり、日本製品の購買増加ならびに観光名所を楽しんでもらうことに時間を割いてもらえるようになるという工夫の一つなのではないか。物流(クロネコヤマトや日本郵政など)と現地のTVがどう組むかという点がこれからの焦点であるようにも思う。