時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

ナボイ劇場(ウズベキスタン)と舞鶴をつなぐ友好の旗が舞鶴市に寄贈

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 スタッフです。第二次世界大戦後に旧ソ連によってウズベキスタンに抑留され、ウズベキスタンタシケント市のオペラハウス「ナボイ劇場」の建設に従事された方々が結成されていた戦友会「タシケント第四ラーゲル会」の旗が京都府舞鶴市に5月29日寄贈されました。

  タシケント第四ラーゲル(収容所)で隊長を務められた永田行夫様は、当時24歳という若さにも関わらず非常に理知的でソ連と交渉するなど、本当に素晴らしく皆から敬愛された人物です。ウズベキスタンから「全員が無事に健康な状態で日本に帰国し家族と再会することが最も重要な使命である。」として後世に語り継がれる仕事をしようと捕虜にも関わらず一丸となって懸命に働かれていました。その建てられた建物が、今や中央アジアの国々が親日国の所以となっている「ナボイ劇場」です。

 永田様は第四ラーゲルに収容されていた日本人捕虜の名前と住所を全て暗記し、帰国後連絡が取れるよう毎日、呪文を唱えるようにして頭に沁み込ませておられました。舞鶴港に帰国後、すぐに家族のもとに帰らず舞鶴市の旅館にて暗記した住所、氏名を紙に書き写し、自宅に着いた後に皆様に手紙を送られました。これが、「第四ラーゲル会」の名簿となり、第1回が昭和24年(1949年)に会費3000円で開催されました。その後、年一回永田様が亡くなられる直前の平成21年(2009年)まで開催されてきました。f:id:Nobuhiko_Shima:20170420143628j:plain
第四ラーゲル会の皆さんが舞鶴引揚記念館の庭に八重桜を植樹に訪れた記念写真

 この感動秘話は、嶌が2015年9月末に上梓した「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」(角川書店)に記しています。4月20日に放送されたフジテレビ「奇跡体験!アンビリーバボー」の再現ドラマの元となり、嶌がシナリオの監修も行なっております。この放送は多くの方の感動を呼び、SNS等で非常に話題となりました。まだお読みになられていない方は、ぜひ一度合わせてお読み頂けると幸いです。

 舞鶴市では2020年に開催される東京五輪に向け、ホストタウンとなるウズベキスタンに関連する歴史を調べる過程で永田行夫様のご長男の永田立夫様が「第四ラーゲル会」の旗を保有されていることを知り、今回の寄贈が実現したものです。

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舞鶴市役所で山口寬士副市長(左)に旗を手渡す永田立夫様。舞鶴市提供。

今回、毎日新聞産経新聞京都新聞にて報じられております。

毎日新聞ウズベク友好に旗 舞鶴市に寄贈 /京都」(5月30日付)
 https://mainichi.jp/articles/20170530/ddl/k26/040/513000c 

産経新聞「日本人抑留、語り継ぐ 「タシケント第四ラーゲル会」の旗、舞鶴市に寄贈 京都」(6月1日付)
 http://www.sankei.com/region/news/170601/rgn1706010034-n1.html

京都新聞ウズベクと京都をつなぐ旗寄贈 シベリア抑留者の会」(5月30日付)
 http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20170530000055


産経新聞に掲載された永田立夫様と山口舞鶴副市長のコメントも合わせてご紹介いたします。

舞鶴市を訪れた永田氏の長男、立夫さん(61)=横浜市=は「私が社会人になってしばらくするまで、父は抑留生活の話はしなかった。その後も悲惨な話はせず、抑留生活では、どうやったら一番いいか目標を持ったことや、作業の合間に遊んで、気を紛らわせたことを話してくれた」と振り返った。舞鶴市の山口寛士副市長に旗を手渡した立夫さんは「(旗を通じて)日本人が大変な状況の中、目標を持って帰国しようとしたことを感じていただければ」と話していた。

 

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