時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

令和の印象は?

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 東京23区のうち外国人が最も多く暮している所は新宿区で、その数は4万2157人という。今年の新成人に限ると4割を超え、人種も中国人を筆頭にフィリピン、タイ、インドネシア、ネパールなど様々だ。日本はこれまで単純労働者を受け入れない方針だったので留学生の資格で来日し働いているケースが大半だ。そうした留学生がコンビニなどのアルバイトを辞めてしまうと店が回らなくなってしまうのが、今日の日本の中小零細商店の実態だった。日本全体で暮す外国人は、2018年時点で273万人と過去最多。大阪市の人口を超えてしまう。
 
 日本の総人口はまだ1億2622万人と多そうにみえるが、9年連続して20~30万人以上減少しており、この傾向が続くと2100年の人口数は5000万人以下まで落ち、生産年齢人口(15歳~64歳)の少ない悲惨な高齢化社会になってしまう。定年延長や働く女性、多産、ロボット、人工知能社会などを盛んに囃しているのは、全て少子高齢化社会到来への対策をにらんだ働き手確保のスローガンとみればわかりやすい。決して日本人一人ひとりの幸福を考えた政策とは素直に読めない。
 
 平成の30年は、結局将来への不安を残したまま幕を閉じそうだ。高度成長期の日本人はみんな実によく働いて景気もまずまずだった。将来への不安も少なかったが「働け、働け」の社会で、当時私は高成長時代の景気を「くたくた景気」と名付けた。精神的には元気だったが残業などが多く「疲れた」という言葉が日常的に使われ、みんなクタクタになっていた。
 
 平成の前半は高度成長が続き穏やかに進むかと思われたが、天変地異が多かった上、リーマン・ショック(2008年)以降は世界的不況に覆われ暗転した世の中に入ってしまったかのようだった。人口減少と少子高齢化がジワジワと迫り、平成の後半に入ると将来に明るい希望を持つ人が減り、”不安の時代”を思い描く人々が増えたのではないだろうか。
 
 その「平成」時代が間もなく終り、5月1日から新しい元号は「令和」となる。これまでの元号は中国の古典からとっていたが、今回は万葉集の「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉をき、蘭はの香を薫す」から引用した。人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味らしい。
 
 ”平らかに成る”の平成に比べるとわかりにくい。命令、冷笑、冷気、怜悧など何となく冷たい印象の語句として使われていることが気になる。若い人は西暦表示を使う人が増えているといわれる中で、”春満開”の気分となるような字として使われるかどうかだろう。
【財界 2019年春季特大号 第494回】

※本コラムは、改元前に財界誌に掲載されたものです。

画像:photoAC RRiceさん