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8月25日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲスト:株式会社和の優グローバルCEOのドー・チハウ氏(二夜目) 放送内容まとめ

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TBSラジオ 『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(日曜 21:30~)は様々な分野で志を持って取り組まれている方々をゲストにお招きし、どうして今の道を選んだのか、過去の挫折、失敗、転機、覚悟。再起にかけた情熱、人生観などを、嶌が独自の切り口で伺う番組です。2002年10月に開始した「嶌信彦のエネルギッシュトーク」を含めると間もなく17年を迎える長寿番組です。

8月25日は株式会社和の優グローバルCEOのドー・チハウ氏をお迎えした二夜目、通算883回目の放送でした。

一夜目の放送内容まとめからご覧になりたい方は以下リンクよりご覧下さい。

18日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲスト:株式会社和の優グローバルCEOのドー・チハウ氏(一夜目) 放送内容まとめ - 時代を読む

以下8月25日の放送内容の抜粋をお届けします。

早稲田大学大学院での有意義な学生生活
アルバイトをしながら早稲田大学の大学院で国際政治学を学んでいた。それはマレーシアに帰国したら、政治の道に入りたいと考えていたからだ。早稲田大学では、皇后 雅子様のお父様の小和田恆先生に出会った。小和田先生は国連にいらしたことから、一般的な教科書ではなく国連の資料を用い、非常にリアルな話を交えながら授業を行なわれた。素晴らしく、立派な方で、尊敬でき、ものすごく感動した。経験されてきたお話など、あらゆるものが本当にすごく、勉強になった。早稲田大学で学んだことをマレーシアで活かせば、非常に有意義な勉強だったと更に言えると思っている。

■日本のビジネスの弱味
大学院を卒業後、日本の中小企業に入社。大企業では一つの部署が長く業務が限定されることが多いため、中小企業で様々な経験を積んだほうが勉強になると思ったため中小企業に入社。3社ほど経験した。そこでは学校では学べないことを学んだ。

日本の企業の特色の一つは、アメリカの会社は実力主義だが、日本の会社には内部政治闘争や派閥があり、上司から言われたことを反抗せずに守っていることだった。競争させ、実力を出さないと企業は伸びないというのが日本の企業のマイナス面だ。国際化の時代、こんな形ではなかなか勝てない。改革ではなく革新をどうやっていくかが大事。

昨日のことを同じようになっていたのでは日本の企業はのびず、生き残りではなく勝ち残りのために戦っていかないと負けてしまう。

■日本人の資質
日本人は非常に誠実で真面目。かつ責任感が強く頑張っている。特に今の大企業の年配の方々は信用を背負いながら頑張られている方々が多い。その反面、実力をはっきり出せる人材を集めないとグローバル化において日本はこのままでは負けてしまうと思う。

ある中国の大手企業から依頼を受け、ある日本企業に協業を提案していたが、その日本企業は判断に非常に長い時間を要した。最終的にこの案件はドイツの企業に依頼された。日本は責任社会で、契約が失敗した際にクビになるのではないかという懸念を持っている社員が多い。企業精神を持って、企業がどうしたら拡大できるのかを常に考えるべきだ。

■ビジネスの本来のあり方
また、サラリーマン生活で接待に同行することが多かった。私は商品の品質、値段、サービスで勝負して仕事を勝ち取るのが本来のビジネスだと思っている。接待を受けたからといって本来の実力ではなく仕事を勝ち取る企業は伸びないと思う。接待が悪ということではなく接待を受けてしまうと温情が残り、ビジネスの判断が鈍るが、発注後、結果が出てからの接待は多少は良いと思う。マレーシアや香港でも同様なことはある。

■ビジネスで大事にしていること
サラリーマン時代、社長からその商品が売れるか否かがわからないから十分な市場調査は必要なく、売れない場合は安売りしてさばけばよいと言われた。しかしながら私は十分な市場調査を実施し、品質の良いものを適正価格で売るのが本当のビジネスだと思う。そして、それら無しで接待で得た仕事は結果として長続きせず、最終的に失敗している。

これまで、日本の企業を見てきて、ビジネスを始める上で何が大事というと「責任」と「信用」だ。自分のビジネス哲学としてフルサービスを心がけている。ビフォー、アフターも同じサービスを提供しないと信用を失ってしまう。

ビフォー、アフターは何かというと私は不動産業界から事業を開始したが、お客様が不動産を購入し手数料を払って終りではない。その資産を管理し、どうやって守っていくか、どう活用するのかを継続的にフォローし続けている。

■顧客の立場に立ったビジネスを
また、商品を作る際には自分が顧客の立場になった商品作りを心がけている。日本や香港で商品をリサーチしてよいものを作れば、絶対に良い商品が完成する。自分が納得できないものは不良品という扱いにしている。それは、不完全な商品を無理やり販売し、不良品の烙印を押された時点で二度とチャンスは巡ってこない。商品をただ作るだけでなく、お客様の動向まで読まないとビジネスとして成立させることは難しい。

不良品を出さず、良いものを安く届けるため、同じ志を持つ人材を育てていけば必ず成功すると日本で学んだ。それを地道に続けてきたことで、ビジネスを開始した時は、小さい会社だったが、今は規模が大きくなり何社か上場する会社を抱えるまでになった。

■将来を見通すことの重要性
自分が成功したのは、「人脈」と「情報」。これらを非常に大事にした。マーケットを動かすのは人。今後、5年、10年、20年、全て人が動かすものであるから情報が必要。情報によって先を見通せる。今しか見なければ周りはライバルだらけと感じるが、将来を見据えるとライバルがおらず、事業が加速していく。

今の自分があるのは自分自身の力ではなく、人脈やそこから、もたらされた情報のおかげ。その中で重要なのは、その情報が良いものかどうか見極めることだと思う。

■日本の原点と恩人
自分が成功できたのは日本のおかげで、一番お世話になったのは錦糸町でお世話になったお寿司屋さん。それが自分の原点で、受験料をカンパしてくれた板前さんと店長のおかげ。板前さんを探しているがなかなか見つけられない。

大学入学時に保証人が必要で店長に相談すると、養子にならないかと言ってくれたこともあった。マレーシアにいる両親に相談したが、自分は一人っ子なのでその願いを叶えることは出来なかったが、店長と板前さんは自分の両親に次ぐかけがえの無い存在。

「はじめ」という名前のお店だが、以前同じ場所を訪れたら中華料理店になっていた。今、60代だと思うが、もし会えたらもう1軒お寿司屋さんを作ってあげたいと思っている。日本に来て非常に親切にして頂いたことが自分を支えてきた。ぜひこの恩返しをしたい。

■将来、実現したいこと
60代くらいになったらマレーシアに戻り政治家になりたいと思っている。今、マレーシアの中華系マレーシア人の割合が少なく、政治力が薄れてきている。多民族国家なので、民族の壁を無くし、国際化時代を頑張って日本で学んだことを生かしていきたい。

マレーシアの将来は明るい。クアラルンプールに金融特区「TRX(Tun Razak Exchange)」が建設中で、さらにマラッカの大きな港「マラッカ・ゲートウェイ」を作っているので(いずれも2020年に完成予定)、今後の10年は明るいと思っている。

■マレーシアと日本の架け橋に
日本民族は研究開発に強く、ビジネスは中華系が強い。私は新たな事業を始める時、真面目で優秀なので必ずスタッフに日本人を入れる。今後お互いの強みを活かしながら、両国の絆を深めていけるよう精進したい。


これまでの自伝とドー氏がこれまでの日本の経験を通じ感じた、日本企業の強みと弱みを記された書籍は以下リンクを参照下さい。