本日のトークファイルの内容
スタッフです。
本日の「森本毅郎・スタンバイ」のトークファイルの音源が掲載されました。要約は以下の通りです。
テーマ:金の卵発掘なるか!?加速する大学ベンチャー投資
近年、大学とベンチャーキャピタルが協力し合う流れが出てきた。ベンチャーキャピタルは目ざとい企業に投資し、上場益や配当で利益を上げるのが主流。通常の投資は事業が軌道に乗ってきた時に出資することが多い。大企業のようにM&Aなどで出来上がった所を買う場合も多かったが、最近おもしろいことに大学での研究で事業化できそうなものにベンチャーキャピタリストとともに新たな事業を起こそうという動きが出てきた。
例えば、東大エッジキャピタルでは、東大のみならず全国の大学で金の卵を発掘している。投資先のひとつに、京大のシバニア・イーサン准教授の膜をつかった水処理技術がある。従来の10倍のスピードで水処理ができ、途上国での活用も期待される。水のみならず他の分野での活用も可能。1年かけ事業計画を作り、現在は海外含め顧客探しに奮闘中。大学は研究に専念しているのでなかなか経営は難しい為、経営者、研究者を集めベンチャーキャピタルが投資している。
もう一つの例としては、ビヨンドネクストベンチャーズという会社では東工大の空気圧で内視鏡を動かす手術ロボットに着目。内視鏡は肉眼では見えない臓器の裏側や内部を映し出す。これまで電動モーターでやっていたが空気圧を用いることで軽量かつコンパクト、さらに低価格となった。このプロジェクトには文部科学省も出資している。(企業名はリバーフィールド株式会社)
これまでベンチャーキャピタルはインターネットのような初期投資の少ない安全な所を中心に出資してきた。事業の成長に5~10年要するようなリスクの大きい事業にはなかなか投資できなかったが、そういった企業に投資し日本のイノベーションを起こすべきだと考える若いベンチャーキャピタリストが出てきて、それに出資する投資家も登場。
有名な事例としてはユーグレナ。藻(ミドリムシ)から燃料や食品を作り、上場。東大やANA等がバックアップしている。筑波大の山海教授のサイバーダインはロボット服を開発。ひじに装着すると簡単に力を入れずとも重いものを持つ事ができ、介護の現場でも活用できる。こちらの会社も上場している。
大学では素晴しい研究を行なっているが、これまで事業化することは難しかった。最近は徐々に事例も増えてきている。大企業は儲かって決算がよいと言われているが、円安や労働賃金を抑制してるからいいだけで、新たな産業を興しているわけではない。大企業でおかしくなっている企業も多い。今、日本に求められているのはイノベーション。新たな産業を興すことが求められているが、チャレンジする人がなかなかいなかった。エネルギー、ロボット、ハイテク、ナノテク、医療、農業等に投資して、新しい技術と大学が一緒になってやっていこうという流れが出てきた。最近の日本の新たな流れは非常に面白く、短期間ではなく何年か先を見据えて投資できるようになってきたと語っております。