時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

あなたは真の友人を何人もっているか

副大統領を務めたロナルド・レーガン政権の閣僚と共に(1981年2月4日)

 「あなたのこれまでの人生で“友人”と呼べる人は何人いますか」と問われたら、思い浮かべられる友達は何人ぐらいになるだろうか。日本のサラリーマンの場合、“知人”は多勢いるが本当の友人といえる人は数えられるほどもいない、というのが実情ではなかろうか。

 知人とは損得やビジネス、おカネ、貸し借りや担保、技術の交換の関係などで付き合っている相手である。これに対し、友人の関係とは、お互いに損得なしに付き合い助け合う間柄だ。奉仕の精神を持ち人間として品性があり、地域のコミュニティとも上手くいっていないと本当の友人の関係はつくれない。

 

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画像:Wikimedia commons パブリック・ドメイン「副大統領を務めたロナルド・レーガン政権の閣僚と共に(1981年2月4日)」

7月31日、8月7日(日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:ウエカツ水産代表で魚の伝道師の上田勝彦氏

7月31日、8月7日(日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はウエカツ水産代表で魚の伝道師の上田勝彦氏をお迎えします。

昨日(7月31日)は、物心ついたときから魚好きで、大学の水産学部に在学中から漁師に憧れ、シイラ漁船に乗り込み漁師としての活動を始める。大学卒業後は漁師の道に進もうとするが、なぜか水産庁に入庁、水産庁の官僚を経て50歳で退庁後、魚の伝道師として起業するまでにつき伺いました。 音源はradikoにて日曜までお聞きいただけます。

次週(8月7日)も引き続き上田氏をお迎えし、水産庁の官僚を経て退庁後、魚食文化の普及を独自に行う会社ウエカツ水産を起業。あるときは漁港で活け締めの技術指導を行い、料理店やスーパーの厨房で魚の扱いを指南、YouTubeから家庭に向けて魚料理の仕組みを伝えるなど・・・「魚を食べる意味」を伝え続け、魚や魚食という軸を一切ぶれることなく活動を続けて来られたパッションや人生観について、お伺いいたします。

上田氏がYouTubeで配信されているチャンネルは以下を参照ください。

また、上田氏が上梓された書籍の一部をご紹介します。

日本での首脳会談はリスク大か

1984年のロンドンサミットでの日本の記者会見の模様(Trust House Foete / 第二次中曽根内閣時代)前列左から二番目が安倍晋太郎

安倍晋三・元首相が約10メートルの至近距離の背後から銃撃され亡くなってから1週間が過ぎた。つい先日まで日本で最長の現役首相として力をふるい、今後も生存していれば、政局の実質的な主導権を握っていたと思われていた。しかし、少なくとも表面的には政界や日本社会で安倍氏の死による大きな動揺はなく淡々と日常が過ぎている。政局に動乱の芽が見えず安定的に推移していることは僥倖といえるが、一方で現在の日本の無気力さと緊張感の無さ、無力さを現わしているようにもみえる。

かつての吉田茂鳩山一郎田中角栄福田赳夫といった大物政治家が暗殺される事態が起きていたら、政界や社会はその後継を巡って大混乱が起きていただろう。しかし、戦後最長の一極支配を続けていた安倍元首相の暗殺事件は、その背景の詳細はまだはっきりとわからないものの、政治的、社会的影響は拍子抜けするほど大きくはない。右翼、左翼も目立った動きはしていないし、国際社会も一斉に安倍氏の死を悼んだが、北朝鮮ですら日本に緊張を与えるような動きは見せなかった。それだけ日本は世界の大国として敬意を持たれ、不幸につけ込むような、ちょっかいを出されない国になったということなのだろうか。
 
安倍家とわが家は、ちょっとした縁がある。晋三氏の父・安倍晋太郎元外相は、旧制第六高等学校を卒業し、東大を経て、毎日新聞に入社していた。実は私の父・信正は晋太郎氏の12歳上で、同じく六高を卒業し、京都大学を経て毎日新聞に入社していたので、六高、毎日新聞(二人とも政治部所属)の先輩、後輩の間柄だった。

父からは晋太郎氏の話をよく聞いていたし、私が新聞記者になってからは直接、晋太郎氏の取材を行なったこともあった。そんな関係で晋三氏が小さい頃から私は何度か会っていたし、晋三氏が政治家になって以後は、私は毎日新聞の記者として晋三氏の海外訪問に同行取材をしたこともあった。そんな親子二代の縁があって安倍晋三氏の政治家としての生き方を特別な思いで眺めていたものだった。

日本ウズベキスタン協会新年会、2006年1月14日開催@日本プレスセンター」安倍晋三氏(当時幹事長)

安倍晋太郎氏は、首相候補だった。ライバルで田中派竹下登氏が先に首相になり、竹下首相在任中に晋太郎氏は病に倒れ亡くなったため、首相には手が届かなかった。旧制六高の同窓生は、「六高から首相を出そう」と、当時の財界中心人物の永野重雄氏や金融界の重鎮らが随分と応援し、奔走していたのを思い出す。
 
六高の同窓生の間で「ごらく会」という懇親会があり、私の父も幹事役をしていたので、「一高や三高からは首相を輩出しているが六高はまだ一人もいない。何としても安倍君を首相に担ぎ出したい」とごらく会が開かれるたびに晋太郎氏が竹下氏の後を継いで首相になることを切望する声があがっていたようだ。当時の旧制六高卒業生の熱の入れ方には特別な思いがあった。その頃は、まさか子息の晋三氏が首相になるとは誰も思っていなかっただけに、当時を思い起こすと歴史の巡り合わせの奇縁に驚きを禁じ得ない。

それだけに、数十年後に安倍晋三氏が首相の座につき、歴代最長の首相を務めた事実と、暴漢に銃撃され亡くなってしまったことには特別の感慨を抱いた。三代以上にわたる政治一家だった安倍家にとって複雑な思いがあろう。また晋三氏の妻である安倍昭恵さんは、私が25年前に創設したシルクロードの国・ウズベキスタンとの友好を深める「日本ウズベキスタン協会」に20年ほど前、入会いただき、協会と留学生との懇親会に晋三氏と共に時々、顔を出されたりしていた。大らかな方で、晋三氏は昭恵さんのことを「家庭内の野党的存在です」と語っていたことを思い出す。

 


それにしても、犯人が背後から手製の銃で狙った状況や動機にはびっくりさせられた。アメリカでは大統領が他国を訪問する時は、大勢のSPが付き、事前の態勢についても綿密な独自の調査を行なう様子を何度も見ていたし、大統領が乗る車までも海外に運んでくることがあった。

今回の事件は日本の要人警護の甘さを世界に知らしめたようなもので、自国のトップすら守れない日本に訪問するリスクを世界にさらけ出したことになる。日本の警察はどんな警備計画を立てていたのかと、疑問を持たれよう。日本主催のサミットや首脳会談に今後は大きな懸念を持たれることになりそうだ。警備当局は今後に残すそうした政治的な影響まで真剣に考えているのだろうか。

【Japan In-depth 2022年7月17日】

 

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中国は香港の将来をどうみているのか

香港の街並み

 香港の返還25周年の記念式典が7月1日に行われ、習近平国家主席は「愛国者による香港統治を実現し、香港に繁栄と安定をもたらした」と自賛した。香港の憲法にあたる香港基本法は「一国二制度を変換から50年間は維持する」と明記し、今年は折り返しの25年目に当たったが、習指導部は香港国家安全基本法(国安法)や親中派だけが立候補できる選挙制度を導入、民主派の取り締まりを強化しており、民主派の市民からは「香港は死んだ」と反発されていた。

 

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画像:PhotoAC 香港の街並み(スターリットさん)

香港つぶれた後、出現するか第二の金融都市

香港行政長官の選挙での演説(李家超氏Facebookより)

香港行政長官の選挙での演説(李家超氏Facebookより)

 香港政府トップの行政長官に7月1日から、警察出身で強硬派として知られる李家超(ジョン・リー)氏(64)が就任する。李氏は中国の習近平政権が唯一立候補を認めた人物で、警察出身者が行政長官に就任するのは1997年の香港返還後、初めてだった。
 
 香港は中国政府の西側社会への“窓口”として自由な取引や生活、言論などがほぼ認められてきた特別な社会として存在し続けていた。

 こうした中で李家超氏は習近平政権に忠誠を尽くす強硬派の警察幹部として名を揚げてきた。特に2019年の逃亡犯条例改正案に反対する市民デモを香港の保安局長として鎮圧に力を注ぎ有名になった。最大200万人が参加したといわれるデモに対し催涙弾などを使い若者を徹底的に取り締まったのだ。また20年6月に「香港国家安全維持法(国安法)」が施行されると民主派の弾圧に力を入れ、中国共産党に批判的だった香港紙の「蘋果日報(リンゴ日報)」創業者を逮捕して同紙を廃刊に追い込んだり、香港議会選挙を前にした予備選挙で、民主派元議員ら53人を政権転覆の容疑で逮捕した。
 
 これらの指導ぶりをみた習近平政権は、香港の行政長官選挙でナンバー2だった李氏を唯一の立候補者として認め、支持した。選挙管理委員会によると、投票率は97.4%で、中国政府は李氏への投票で結束するよう指示したため、民主派だけでなく親中派の候補者も出馬を見送らざるを得なくなったという。選挙は香港市民の投票ではなく選挙委員に選ばれた人々による投票となっていたため、支持は1416票、不支持は8票で李氏の圧勝だった。

 当選した李氏は「国家安全条例」の制度を急ぎ民主派などへの取り締まりを強化することを示唆している。このため主要7ヵ国(G7)の外相は「政治的な多様性や自由を傷つける選挙プロセスに重大な懸念を表明する」との共同声明を発表し、香港の自治と市民の権利を侵していると非難した。

また国際ジャーナリスト団体の「国境なき記者団」は、民主派メディアが次々と運営停止にされたため世界180ヵ国の報道自由度ランキングで香港は2002年の18位、2021年の80位から、さらに順位を下げ、2022年は148位に落ち込んだ。
 
 一方、裕福な知識層は、香港に見切りをつけ、イギリスやカナダ、オーストラリアなどに移住する人が増えてきたという。また香港は、自由な金融都市の地位を失いつつあり、変わってシンガポールなどが脚光を浴びてきた。李氏は「国家の安全と主権を脅かし、香港を利用して中国本土に浸透、破壊する活動」を“譲れない一線”と明言している。今後も厳しい取り締まりで対応することは確実なので自由都市・香港の復活は当分あり得まい。その間にアジアの金融都市として成長・発展してきた香港に代わり、どこがアジアの代表的金融都市として登場してくるのか、大きな注目点になっている。

国際金融センターを比較するランキング「グローバル金融センター指数(Global Financial Centers Index、GFCI)」の2022年3月版によると、1位はニューヨーク、2位はロンドン、3位が香港だ。それ以降は、上海、ロサンゼルス、シンガポール、サンフランシスコ、北京、東京、深?と続く。しかしながら、グローバルな金融機関では香港からシンガポールに役職員を異動させる動きが活発となっている。一時的なものも含まれるが、今年の4月にフランスの銀行ソシエテ・ジェネラルアメリカの金融機関のシティーグループJPモルガン・チェースバンク・オブ・アメリカが一部の部門を香港からシンガポールに異動させた。
 
 中国はせっかく育ってきた香港という“金の卵”を自らつぶしてしまったといえそうだ。その代償は決して小さくはないだろう。
【Japan In-depth 2022年6月20日

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画像:李家超(ジョン・リー)氏 Facebook

インフレ警戒の欧米とデフレ下の日本

 欧米の主要中央銀行は、昨年からインフレを警戒し始め、金融緩和策の縮小を図り金利引き上げに向かっている。しかし、日本の黒田東彦日銀総裁は「日本の物価上昇率は目標の2%に程遠く、大規模金融緩和やゼロ金利政策の変更は全く考えていない」と言い切っている。ただ世界的に資源高や食料輸入品の高騰などで消費者物価が上昇してくると、賃金の上がらない日本では“不況下の悪い物価高(スタグフレーション)”に進む懸念が出てきそうだ。

 今年4月にIMFが発表した2022年のインフレ率(消費者物価上昇率)は、アメリカが7.7%、ドイツが5.5%、イギリス7.4%、ユーロ圏は5.3%となり、欧米はインフレ警戒体制に入った。このためイギリスの中央銀行は昨年12月から4会合連続で利上げを行ない、5月5日の会合では0.75%から1.00%へ引き上げた。主要中央銀行がコロナ禍で利上げに踏み切ったのはイギリスが初めてだった。欧州中央銀行(ECB)もコロナ対策で導入した量的緩和策を今年の7-9月期のごく早い時期に終了させる。

 またアメリカの連邦準備制度理事会FRB)は国債などを買い入れる量的緩和の終了時期を今年5月の連邦公開市場委員会FOMC)で決定し、6月、7月のFOMCでも利上げを行なう見通しを示している。欧米ではコロナ禍からの経済回復により、逆にインフレ懸念が高まってきたためだ。アメリカは昨年11月時点でも消費者物価上昇率が前年同期比で6%を超え、コロナ期間中の人手不足で賃金も上がっていた。

 これに対し黒田・日銀総裁は「日本の物価上昇率の実力は0.5%程度で目標の2%にはまだ遠い」という。しかも単に物価は上がればいいのではなく、賃金が上昇する好循環が進んでゆくことが重要だ、と指摘する。就任時には「物価上昇率2%を2年で実現する」と宣言し2013年4月から大規模金融緩和を開始した。おカネの供給量は年間60兆~70兆円のペースで増やし、2014年から80兆円に加速させた。2016年1月にはマイナス金利を導入し、2018年になると長期金利をプラスマイナス0.2%程度の幅で操作し始めた。それでも物価上昇率2%の目標は達成できなかった。

 ゼロ金利やマイナス金利、大規模金融緩和を続ければ、企業がおカネを借りやすくなり設備投資などに資金を廻すとみた。また個人も借りたカネで住宅建設、新しい製品の購入、レジャーなどに費やすのではないかと推測したのである。しかし企業は貯めた資金の有効な使い道を見出せず、賃上げもケチって、余剰資金とし、内部留保にため込むだけだった。その額は過去最高の450兆円に達している。30年間賃金の上がっていない個人も1980年代のように生活向上やレジャー、旅行、贅沢にみえるレストランには行かず貯金にまわす傾向が強かった。個人はバブル時代のようなおカネの使い方を忘れたようで、金融資産は2000兆円にまでふくらんだ。おカネは天下の回りものではなく、企業や個人に貯め込まれて動かなかったのだ。その結果、日本銀行はいつまでもデフレ状況から抜け出せないでいるように見える。

 日本でも今年に入って物価上昇が目に見えてきた。資源関連だけでなく、2月には食用油(+30%)、牛肉(+11%)、食パン(+8%)など調査対象522品目のうち319品目が上昇した。今年1年で1世帯あたり5.5万円の負担増になるという。

 しかし、黒田日銀総裁は、円安が進んでも最近は海外で生産し輸出するケースが増えているので円安で手取りの円が増えるとは限らないと指摘。景気刺激のためには今後も大規模金融緩和を続けると述べている。だが、景気は金利水準だけで決まるわけではない。財政刺激や何より企業の生産性、新製品づくりが課題なのだ。金利だけでなく、財政、企業努力など三位一体の経済政策が望まれるのではないか。今の日銀は低金利、大規模緩和で景気刺激を行なうことに力を入れているが、もう少し大きな構想で政府、企業、日銀が対策を打ち出したらどうかと思う。
TSR情報 2022年6月2日】


◆参考情報
 ・拙速な緩和縮小を黒田総裁否定、「2%から遠ざかる」-円安進む(2022年6月7日 Bloomberg
  日本銀行黒田東彦総裁は7日、現在の日本の経済・物価情勢の下で金融緩和を拙速に縮小すれば設備投資など国内需要に一段と下押し圧力がかかり、「2%物価安定目標の持続的・安定的な実現から遠ざかってしまう」との認識を参院財政金融委員会で答弁した。  

画像:日本銀行ホームページトップ

米国の慎重対応に批判も

アメリカ国防総省の本庁舎「ペンタゴン

 ロシア軍のウクライナ侵略と人間性を疑うようなロシア兵によるウクライナの一般市民、女性、少女などへの暴行が次々と明るみに出始めている。それらの行為は国際条約で禁止されているもので、そうした行為を放置しているロシアの大統領・プーチンの「戦争犯罪」を問う国際世論も大きなうねりになってきた。


 ロシア軍の行為が「戦争犯罪」と言われているのは、ジュネーブ条約オスロ条約、ハーグ陸戦条約などで禁止されている攻撃を実施しているためだ。


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Wikimediacommons : David B. Gleason from Chicago, IL - The Pentagon

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