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落とす現金1日1000万円

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 2016年に都内で落し物として届けられた現金は、何と約36億7000万円あったという。これはバブル期の1990年の35億円を超え過去最高で、7年連続の増加記録。1日に約1000万円が落とされている計算だ。

 落し物は3カ月間保管されるが、持ち主が現われなければ拾った人のものになり、16年は35億円のうち27億円が持ち主に返された。現金も含めた落とし物の件数は383万件で9年連続最多。クレジットカードや運転免許証など証明書類が約62万点、IC乗車券など有価証券類が約48万1000点(以上2月18日付毎日新聞)もあった。毎日約1000万円の現金が都内で落ちているのはやはり驚きだ。

 一方、1億円以上の金融資産を持つ富裕層は安倍政権発足以前の11年に比べ40万世帯増えている(野村総研調べ)。この結果、約2%の世帯が全体の2割の資産を持っていることになる。アメリカでは上位約3%の富裕層が全体の半分の資産を持つが、日本でも富裕層への富の集中が進行しているようだ。

 実際、年収1億円以上の上場企業の役員数は16年に414人に増え一人当たりの平均年収も2億円を超えた。一般的な給与所得者でみると、800万円以上の高所得者層はここ5年間で2ケタ増となっているが、逆に500万円以下の中低所得者層の所得の伸びは4%増にも達していない。

 特に非正規社員だけをとると平均年収は300万円にも満たない日本でも着実に所得の二極化が進み、しかも、中間層は全体に下落傾向にある。

 過去の歴史をみても、消費が増え、社会が豊かになり安定化してゆくのは、中間層が増大している時だ。逆に中間層が細り没落してくると、社会は荒れ、消費力も国力も落ちてくる。現代社会は欧米も日本も、旧共産圏も中間層が減少化傾向にあるといえる。

 そんな中でアジアは中間層が伸びている数少ない地域だろう。アジアでは年収5000ドルから3万5000ドル(円にして約55万円から385万円)の層を中間層と呼び、東南アジアでは約8億人の中間層が存在するとみられている。家庭生活で電気冷蔵庫や電気洗濯機、テレビなどの日用家電品やバイク、自動車などをローンで買っている人々だ。これらアジアの中間層は2030年代には20億人を超すと予想されている。

 これに対し日本では少子高齢化、所得層の二極分解などで不安を感じ財布のヒモを締めにかかっているのが実情だ。しかし、それにも拘わらず累計で毎日1000万円を落としている人々がいる現実をどう考えたらいいのだろう。バブル時代の緩みからまだ目が覚めていないのだろうか。
【財界 2017年4月4日号 第444回】