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時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

一般社団法人日本木造住宅産業協会様の講演の要旨

講演等

20131015日に行なわれた一般社団法人日本木造住宅産業協会様主催の講演の要旨が、一般社団法人日本木造住宅産業協会様の広報誌「木芽(モクメ)」Vol.149に掲載されましたので、ご紹介いたします。

 

ジャーナリストの嶌信彦氏を招き経営セミナー開催

アジア諸国に住宅輸出やセカンドハウス の供給を提唱

200人の会員が熱心に聞き入る

 

 明るさが見え始めているものの、来春から消費税率のアップが正式に決まるなど予断を許さない日本経済。そんな中で木造住宅の担い手である木住協の会員は、どのような対応を探れば良いのか――。日本木造住宅産業協会は、テレビのキャスタ-やコメンテーターとして活躍しているジャーナリストの嶌信彦氏を講師に招き、「大動乱時代と日本」(日本再生への覚悟)と題して東京都内で平成25年度経営セミナーを開催した。嶌氏は約90分間にわたって熱演、関心の高さから会場は満席になり、約200人の会員が熱心に傾聴した。嶌氏は住宅企業として大動乱時代を生き抜く術として、「アジア諸国の中流層は2030年に約20億人に増加する」と述べ、日本の技術を盛り込んだ住宅をアジア諸国に輸出する必要性を強調、国内的には「国民のライフスタイルが変化し、セカンドハウスを持つ時代が来る」と述べ、ライフスタイルの変化に応じた住宅ビジネスの構築が大切になることを強調した。

 

  嶌氏は初めになぜ今、大動乱時代なのかを 説明。嶌氏はリーマ ン・ショックから5年が経過しても世界経済が本格回復していないこと 、各国の政権トップが相次いで交代したこと 、富裕国と貧困国、富裕層と貧困層といったように社会も二極化が進展していること、さらに地球規模で気候が不順となっているとし、「日本だけでなく世界規模で政治、経済、社会、自然のすべてが大動乱期を迎えている」と述べた。

 

 日本経済についても、20年聞にわたって賃金上昇がなく、非正規社員2000万人を突破するなど厳しい状況にあると指摘。そんな中で「アべノミクス効果によって株価が14000円台に乗リ、円安も進んで何となく経済が回復してように見えるが、中小企業には未だ思恵が行き届いていない」と述べ、「今後、何を軸に日本が成長するのかという点が見えていない。出てくるのは規制緩和や特区の設定ぐらいで、明確な成長戦略が見えてこないと日本経済は 世界ずるずると弱まっていく可能性がある」と危機感を明らかにした。

 

 嶌氏は今後の日本の成長を左右する一つが人口の推移だと強調した。現在の人口は約12700万人だが、政府の予測によると2050年には1億人を下回って9000万人前後に減り、さらに2100年には約4700万人に減少するとされている。嶌氏は「人口が増えているのは東京都や神奈川県、大阪府くらいで、今後、1年間に全国で約60万人も減少すると見込まれている。島根や鳥取県の人口に匹敵する人口が1年間に減少することは、国内マーケットがそれだけ縮小するということ。この人口減少ということを長い目で見ておく必要がある」と述べた。

  

アジアの中流層は2030年に

20億人に増加  

 戦時中に京都や滋賀県に疎開した嶌氏は、終戦後に東京・大田区に戻って60坪弱の借家に家族5人で生活。増築や建て替えを行い、マンション生活も経験した。1981年 からワシントンでの特派員生活を送った。「ワシント ンでの借家は敷地が700坪、4ベッドルームで家賃は1 0数万円。庭では子供たちが野球に興じ、バーベキューを楽しむなど夢みたいな4年間だった」と日米の住宅事情の差を披露。しかし「芝生の整備や雑筆の駆除、落ち葉の掃除が大変で、こんな苦労をするのなら借りるのではなかった」などとユーモアを交えながら講演を続けた。講演の中で嶌氏は「今は明治維新と太平洋戦争の敗戦に次ぐ第3の国難の時代」と指摘し、「今こそ日本が立ち直ることを真剣に考える時期。次代を担う若者たちがアイデアを出すことが大事で、日本企業の大多数を占める中小企業が活躍する時代でもある」とし、その上で大動乱時代に生き   残る策を明示した。

 

 嶌氏は第一点として「中小企業もど んどんアジア諸国に出て行くべき」と述べた。嶌氏によると 、我が国では1960年代から「一億総中流意識」が高まり、日本経済の成長とともに80年代中頃までに持ち家取得が高まった。 現在、アジア諸国の中流層は約88000万人と推計されており、2030年には約20億人に増加することが見込まれている。

 

 嶌氏はこうなるとアジア諸国は外国ではなく、ホームと思ったほうが良い。人口減少などで国内需要が見込めない中で、アジア諸国も内需の範囲と見るべきで、住宅を輸出することができる」と語り、国内だけでなく視野を大きくアジア諸国に広げる必要性を訴えた。


変化するライフスタイルが
ビジネスチャンスに 

 アジア諸国に目を見張る必要がある一方で、嶌氏は「 国内的には地方都市の過疎化がますます進展し、地下上昇は一部を除き期待できなくなる。同時にリタイア層や女性層が新たな客層となり、ライフスタイルも大きく変化する」と近未来を予測。「過疎化やリタイア層の増加やアメリカ・ヨーロッパのライフスタイルを考えると、日本にもセカンドハウスを所有する時代が間違いなく到来する」と述べた。

 

 さらに「 東日本大震災を契機に婚姻時期を早め、大家族で生活するなど家族の在り方が変わってきた。リフォーム や中古住宅の流通などによって、現在の家を住みやすくすることも焦点になっており、ますます盛んになってくる。大きなビジネスに成長することは間違いない。そういうライフスタイルの変化を見極め、その変化に応じたビジネスを追及することが重要になる」と強調した。

 

 嶌氏は講演の最後に「生き残っていく ためにはイノベーションを起こす必要がある。皆さん方は環境面やデザイン性に慢れ、住み心地の良い家を造る技術を持っており、そういう素晴らしい住宅を大きな市場を持つアジア諸国に輸出することを考えることが大切」と提案。さらに「ライフスタイルや住み心地を考えた家をどう造るのかがポイント。日本国内やアジア諸国には 、そういったニーズが必ずあるはず」と述べた。

 講演を聞いた会員たちは、「現在の日本の置かれた状況や進むべき将来が分かりやすく説明され、さらに住宅企業として生き残る策など有益な話を聞くことができた」 と口々に語っていた。
【一般社団法人日本木造住宅産業協会 木芽(モクメ) Vol.149掲載】

※実際に掲載された記事はこちら【PDF:641KB】
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