昨日のトークファイルの内容~エネルギーの無駄は工場の配管から?~
スタッフです。
昨日の「森本毅郎・スタンバイ」のトークファイルの音源が掲載されました。要約は以下の通りです。
テーマ:日本のエネルギー改革のポイントは工場の配管から
この事実を知って驚いたので、今日ご紹介することにした。工場の配管には熱が逃げないようにいろんなものを巻いたりしている。その劣化により2%位のエネルギーが外に漏れ、それが何と原発7基分に相当すると日本保温保冷工業協会が調査した。
どんな調査をしたかというと、工場で実施している保温材の検査データや過去の保温材出荷量などを元に以下の項目を想定し、外部にどれだけの熱が逃げているのかを試算したもの。
・設置済みの保温材は計1億5700万平方メートル
・その半分で劣化が見られる
・工場の稼働時間は年8000時間程度
・配管内の温度150~1000℃
すると発電量約613億キロワットで原発7基が1年間に稼働した場合の発電量に相当することがわかった。
今年の夏は猛烈な暑さで、どうやって節電するかを工場や家庭などありとあらゆるところで工夫され、停電無くこの夏を乗り切った。そういった中で配管から逃げるエネルギーということを考えていかなった。こういうことを聞くと、我々のまわりには気が付かないようなところでもっと熱を逃がしたりして電力を無駄にしていることがあるのではないかと改めて気が付かされた。これは一つの例だが、この問題に注目して良いのではないかとも思った。
工場の多くは製造工程における化学処理や暖房などに使うための熱い空気を配管に通し、それを必要なところに届けるまでに熱が逃げないよう配管に保温材を巻いている。保温材の老朽化により熱が逃げ、必要以上に熱を供給しなくてはならなくなる。今回の調査で老朽化によって失われる熱量は保温材が老朽化していないケースと比べ1.5倍の熱を供給しなくてはならなくなることが判明し、これは先に述べた原発7基が1年間稼働した発電量に相当する。非常に地味な調査だが、重要なことである。
一般財団法人省エネルギーセンターでは、設備が老朽化し、製造現場のエネルギー管理が甘くなっている事例は多いと言っている。省エネには最新鋭の設備導入も重要だが老朽化設備の改修も大事だ。各家庭の給湯器などの設備が老朽化するとその分余計にエネルギーを消費していることになり、それを積み上げると相当な量になっているといえる。
今年の夏の猛烈な暑さの中、各家庭や工場でが省エネし、それらには省エネ機具も普及したことで乗り切った。しかしながら、この調査を見るともっと日本全体で点検することが必要である。原発7基分の発電量ということを知ると、節電意識が強くなる。原発再稼働というが、もっと大事なことがあると考えることが重要ではないかと語っております。