読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

本日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~社長人事から見る 社長の経営タイプと社長就任の条件~

スタッフです。
本日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の音源が掲載されました。要約は以下の通りです。

テーマ:企業の行く末うらなう社長人事

今週の主要ニュース
今週は北朝鮮の弾道ミサイル発射のニュースが大きく報じられる。現在の北朝鮮最高指導者金正恩氏の父である金正日氏、祖父である金日成氏はソ連や中国とパイプがあり一応国際社会とのつながりを持っていたが、金正恩氏はまったくの独りよがりという感じで恐い。イランの制裁ではイランは干上がり、結局国際社会に戻ってきたが、北朝鮮の制裁で果たしてそのようになるのか吟味したいと思う。


主な企業の社長交代
さて、今週は各社決算や人事の季節なのでそちらに目を向けたい。今年の3月決算は4%弱でだいぶ落ち込んでいると言われるが、もう一つ気になるのは社長人事。社長交代によって大きく変わるのだが、例えばキャノンは3月(総会決議後)に御手洗氏から眞榮田(まえだ)専務が社長を引き継ぐ。ニトリホールディングスは今月から創業者の似鳥氏から白井副社長が社長に昇格。ヤマダ電機も4月に創業者の山田社長から桑野常務が社長を引き継ぐなど、様々な企業で社長交代がある。


社長人事の分類
社長人事といってもいろいろあり、過去をみてみると大きくわけて3つに分類される。
・ワンマン社長の長期経営
同族経営による長期経営
・脱ワンマン、脱同族、脱官庁
 官庁は公社や公団に出資していたため、出資先の官庁の人が社長をやっていた。


ワンマン社長の長期経営

まず、「ワンマン社長の長期経営」としての例は帝人大屋晋三氏。はじめのうちは順調だったが、繊維不況もあり自動車販売、石油開発など無理な多角化戦略を展開。これらにより帝人は混乱に陥り業績も不安定に。大屋氏と並んで旭化成の宮崎輝氏も長く社長の座についていた。新入社員で入った時と退職時に同じ社長だったという話もあるほど長期社長を務めていることもある。

大屋氏は年をとるにつれて徐々にワンマン経営となり、最終的には奥さんの政子氏まで経営に口をはさむようになってきた。しかし大屋氏の死後、得意の化学技術に回帰し、今や「ポリエステルフィルム」などで世界進出する規模にまで発展した。


ワンマン経営の長所・短所
その他にも中興の祖と言われ、晩年騒動を起こした日本電気の関本氏。また、第一勧銀(現みずほ銀行)では総会屋事件が発生するなど、ワンマンになると様々な問題が発生しているケースが多い。ワンマンでの良いことは、会社のまとまりが良くトップダウンにより意思決定が速い。

信越化学はトップが20年の長期経営。業績が良かったので何も言われなかったが、2010年に金川氏が会長となり森社長に交代。有名なのはスズキで鈴木修氏が会長になったがまだ力を持っている。ワンマン型になると暴走する可能性もあるため、それをチェックする人たちがどれだけいるかということが大きいというように思う。


同族経営騒動
続いて同族経営の社長人事の例をあげたい。最近で一番有名なのは大塚家具、ロッテグループの兄弟げんかに親が巻き込まれたケース、和菓子の赤福などの騒動があった。同族経営では株を同族で分け、トップがきちんとしているうちはよいが、次に渡すときに株を巡って騒動が発生する。

同族をやめるというのは非常に大変で、同族経営から上手く転身したのはホンダ。創業者の本田宗一郎氏が技術、経営は藤沢武夫氏と技術と経営をわけていたのがよかったと言われている。本田氏は自分の子息をホンダに入社させなかったということも、有名な話である。また、ソニーも井深氏と盛田氏が技術と経営を担っており、そのようにしていると同族的なことに繋がらずに近代的な会社になっていくといえる。

 

同族経営からの移行
最近の話で有名な例はサントリー。2014年10月にローソンから新浪氏を社長として迎え入れた。サントリーには創業家として鳥居家と佐治家があり、3月には創業家一族の副社長として鳥井信宏氏が就任するため、新浪氏はワンポイントになるのかそこが非常に問題。ビール会社でいうと、アサヒビールは経営再建のため住友銀行から樋口廣太郎氏を迎え入れ、アサヒスーパードライを作って立ち直った。同族経営の所に新しい血を入れるということが重要であるといえる。

f:id:Nobuhiko_Shima:20160209153004j:plain
※樋口康太郎氏「グローバルナビ・フロント」2000年12月2日放送出演時の写真

同族の社長がいてもそれをサポートする人がいて、先ほど例としてあげたホンダやソニーのように技術、経営、それぞれを担う両巨頭、さらにその周りにもチェックする人がいるというようなことがすごく大事なことであるように思う。第一勧銀のケースは最終的に頭取が退任、会長は自殺ということになったものの、その当時の部長、副部長が立ち上がってチェックする体制を構築し大きな改革を成し遂げた。それらのことができるかどうかだと思う。


スムーズな民営化人事
もう一つ面白いのは、脱官庁。これは公団、公社。かつてのNTTやJ-POWER(電源開発)もそうだが、これらの会社は出資官庁出身の次官が社長に就任することが多かった。これらは民営化により社長の選任時、水面下で官庁出身グループと民営のグループの闘いが行なわれる。民営化がうまくいった会社は官庁出身の人が社長交代時に会長としてとどまらず、自分が辞めることによって官庁出身者が社長につくという道を分断している。身を捨て、肉を切らせて骨を断つというようなことが上手くできるトップがいた会社は脱官庁を上手く図り、民営化を推し進めている。


社長の条件

経営環境も変わってきているが、以下に当てはまる人でないと社長は務まらないように思う。
・体力がある
 国際化時代であることからIR(投資家広報)のために年に2、3回海外に出向き自社の事を説明しなくてはならないことなど
・ある程度英語が出来る
イノベーションに対して前向き
・派閥人事をしない

オムロンキッコーマンなどは同族でない人を社長にし、国際化時代であることから世界をみながらの経営をしている。国内や社内だけをみて経営しているところはだんだん弱っていくというように思う。


国との付き合い方も重要
どういう国とどのように上手く付き合っていくのかという戦略も問われる。社会も国も突然変わる。例えばイギリスはかつては大英帝国だったが、中国と突然手を結びアジアインフラ投資銀行に参加するなど大きな変化がある。そういう意味でいうとどういう国と付き合うかということも大事だ。


先ほど社長の条件などをあげたが、いずれにしても自分の地位にこだわる人はダメであり、それをチェックする人やバランス感覚のある人が社長の周りにいない会社はいずれつぶれていく可能性が高いというように思う。