時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

本日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~プラザ合意、ジャパンバッシング

スタッフです。
本日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の音源が掲載されました。要約は以下の通りです。

本日より嶌は水曜7時から火曜8時に出演時間が変更となりました。嶌が出演する「日本全国8時です」は全国に放送されておりますので、お聞きいただける地域が増えております。今後ともよろしくお願いいたします。

テーマ:今週の注目「プラザ合意」「ジャパンバッシング

今日の注目ニュースは2つ。まず一つ目はノーベル医学・生理学賞受賞の大村智 北里大学特別栄誉教授。このノーベル医学・生理学賞は私の高校の先輩である利根川進氏が受賞しているので思いが深いのだが、大村氏は非常に清廉ですがすがしい。二つ目はTPP。今日の一面はこの二つのニュースが一面左右どちらかに掲載されている。TPPは5年がかりで大筋合意し、いつも厳しい表情の甘利氏も久しぶりににこやかな顔をしていた。世界のGDP4割を占める世界最大のの経済圏が出来る。大筋合意しても各国で標準化しなくてはならず、日本でも農村に納得してもらう為1兆円の支出をするものと思われる。またおカネで買うのかという批判もあるのではないか。GATT ウルグアイ・ラウンド以来の大きな自由貿易の枠組み。

グローバリズムの転換点は1985年、今からちょうど30年前にそれまで強かったドルから弱いドルに変わったプラザ合意だ。それまではドルを持っていれば大丈夫と思われていた時代。当時私は毎日新聞のキャップとしてこの出来事を追っていた。アメリカは貿易赤字財政赤字がひどく突然プラザ合意前日の夜中に明日プラザホテルでG5を開くというアナウンスが出た。当時の大蔵大臣は竹下氏で各紙の記者は皆竹下氏の動きをマークしていた。竹下氏はその日成田のゴルフ場でゴルフをしており、事務所にたずねてもゴルフをしているだけで翌日は自分の地元でゴルフ大会の予定となっていた。怪しいと思い開催予定のゴルフ場にたずねるとキャンセルされ、本人はその後アメリカに出発していたようだった。

各紙はメキシコの地震の救済に関する会合かと思った。当時私はいずれ弱いドルへの転換を翌週のIMFで行なうと予想しており記事を書いて用意していたのだが、様々なことを勘案するとプラザホテルでのG5はそのことが行なわれると思いデスクと相談し、毎日新聞の1面記事に掲載し私が書いた解説ものり見事スクープとなった。

その後ドルは240、250円から一気に200、180円まで下がり、最終的には70円まで下落した。これは日本の産業の転換点でもあり、海外に工場を作り日本が空洞化したこととそれに伴うリストラ問題を抱え、日本の大きな問題になっていった。

 

ドイツのフォルクスワーゲン(以下、VW)の事件に見られるようにアメリカは1番が奪われることはプライドを傷つけられるようで、日本も過去に日立IBM事件があり逮捕者が出て裁判となったり、トヨタのブレーキリコールでは豊田章男社長が公聴会で追究されるなど1番になろうとするとやられる。今回、VWは実際不正を行なっていたのだが、アメリカは常に一番でないといけないと思い込んでいるように思われる。しかしながらその一方で、中東、アフガンから徐々に手を引き、アジア太平洋においても日本に安保法案を作ってもらい、穴埋めをやってくれと言ってきている。

アメリカの地位は下がってきたが、中国が代わりになるかというと必ずしもそうではない。今世界は端境期にきている。TPPをまとめ上げ、指導力をみせたフロマン氏はこれまでまとめようとすると壊してきたが、アジア太平洋は渡さないぞという思いもみえる。今年来年、中国が対抗していこうとしているので、その点に注目したい。

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