読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

目指せ!第二の創業時代

f:id:Nobuhiko_Shima:20170123183053j:plain

中小・零細企業群の中で「2017年問題」が大きな注目点となっている。団塊世代(1947~1950年生まれ)の経営者が70歳を迎え始め廃業が急増するとみられているからだ。日本の企業数は約382万社(2014年現在、中小企業庁発表)。そのうち99.7%が中小・零細企業で成り立っている。

いま中小企業の経営者年齢で最も多いのは2015年時点で66歳、20年前は47歳の働き盛りの世代が社長として最も多かった。数字的にみると、結局20年前の社長がそのまま経営してきたものの、ここへ来て高齢化となり後継者不在で悩める状況にあるというのが2017年問題の核心といえる。

しかも後継者不在は売り上げ規模が小さいほど高い。帝国データバンクの調べだと7割にのぼり、1~10億円未満で約7割、10~100億円未満で約6割となっている。また2015年の企業の休廃業、解散件数は2万6700件で、2009年以降は毎年2万5000件を超す高水準(東京商工リサーチ調べ)で推移しているのだ。後継者がいなければ廃業に追い込まれるしかないわけである。

■後継者不足を乗り越えよう

後継者難の解決で最も望まれているのは、①自分の身内・家族か親類が継ぐ、②企業ごと第三者に売却――で、これがうまくいかないと従業員の中から選ぶか、廃業ということになる。日本の中小・零細企業は戦後の焼け跡から起業したところが多く、従業員数が数人からせいぜい数十人といった規模で、従業員10人未満が4割以上とされる。

多くは大企業の下請けとして生き残ってきたが、自ら技術開発を行ない独自の製品、部品を作って競争力をつけてきた企業もある。幸い日本経済は1950年代後半から成長軌道に乗り、60~90年は高度成長を謳歌した。その間の70年代に2回の石油危機に見舞われてマイナス成長のいっときもあったが、日本人の勤勉さや忍耐強さなどで乗り越えてきた。

■バブル時代以降の構想力を

本当に苦しかったのは、バブルが崩壊した90年代以降だろう。金融の大再編をはじめとして鉄鋼、家電、流通などのあらゆる業界で倒産や統廃合が行なわれ、特に東京への一極集中で地方の衰退が目立った。産業界で大きな倒産や合併などがほとんどなかったのは自動車業界ぐらいだったのではないか。

その他の産業で生き残ってきた企業はリストラをしたり、海外に市場と安い労働力を求めて何とか息をついてきたというのが実情だろう。中小・零細企業は、大企業とともにリスクを賭けて海外に進出し、何とか生き延びてきたのだ。

ただ、世界を見渡すと日本は安定した部類に入るとみられ、差し迫った危機感はない。たぶん、高度成長時代に蓄積したストックを取り崩したり、約20年にわたって実質賃金が上昇せず社員がガマンしてきたことによって何とか持ち応えてきたといえる。その結果、消費はちっとも拡大せず大きな設備投資もないまま今日に至っている。

そのためかつてのような大家族は見当たらず少子化が進む一方で、このことが人口減少となって表面化している。今の出生率で進むと2050年には日本の人口は1億人を割ってしまう。対策を打たないと2100年には4959万人まで減少する(内閣府調べ)という見通しもあるほどだ。

■戦後の創業、起業家精神を取り戻そう

この流れを打開するには、やはり経済、とくに中小・零細企業が活性化するしかないだろう。戦後の日本は敗戦の廃墟の中から企業が立ち上がって今日の礎を築いたのだ。ソニーパナソニック松下電器)、シャープといった家電メーカーやトヨタ、ホンダ、日産などの自動車産業も僅かの人数でソケットや電球、オートバイなどの製作からスタートしてきたのだ。その家電や自動車、機械業界などが輸出で日本経済を引っ張り、60年代後半から一億総中流時代となって家電製品や車、住宅などの消費ブームを起こし高度成長に繋げてきたといえる。

その間、日本企業はアメリカ、ヨーロッパなどの企業を次々と追いつめ、日米経済摩擦、日欧摩擦などを引き起こし、金融や産業のルールを変えられてきた。当時はまだ新興国が育っていなかったから日本の一人舞台といってもよく、“働き方”ならぬ日本人の働き過ぎも摩擦問題のテーマになったほどだ。

戦争直後の日本が、多くの企業の創業時代だとすれば、いま日本に求められているのは第二の創業だろう。アメリカは古い産業に代わってITやバイオ、宇宙、医薬などの産業が次々と立ち上がり、アップル、グーグル等々の世界企業を生んできている。日本の技術水準、人材、感性、工夫と発想などを起業化に結び付け、売り方を工夫すれば日本の第二の創業時代を呼び込むことも夢ではないはずだ。

リストラやM&A(買収)などで企業規模を大きくすることより、中堅でもピカリと光る企業群を数多く輩出すれば、若い人々の夢にもつながろう。実は日本にもそうした企業は数多くあるのに、なぜかあまり注目されていないのは残念なことだ。

経済産業省では、日本のはばたく中小・零細企業の名前や実例を特集することがあるが、2016年5月に「はばたく中小企業・小規模事業者300社」と「はばたく商店街30選」を選定しているのでこちらも参考になるだろう。

【Japan In-depth 2017年1月21日】

昨日TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:四国霊場栄福寺住職 白川密成様 音源掲載

お知らせ 嶌信彦 人生百景「志の人たち」

f:id:Nobuhiko_Shima:20161215135547j:plain

スタッフです。昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)は、ゲストに四国霊場栄福寺の住職・白川密成様をお迎えした音源が番組サイトに掲載されました。白川様は実体験をつづった「ボクは坊さん。」を上梓され、2015年には本書が伊藤淳史様主演で実写映画化されています。

四国お遍路ついて、24歳で住職に転身した経緯、およそ100日間の修行後「阿闍梨」の資格を得た時の話しや、尼僧でもある奥様との意外な出会いなどにつきお伺いいたしました。

次週も白川様をゲストにお迎えし、住職になってよく聴かれるようになったというお布施などのお寺に関する素朴な疑問や、若くして住職になってのご苦労や心がけていること、永福寺が発信するブログ、今のお遍路ブームの背景などにつきお伺いする予定です。 
 
「ボクは坊さん。」に続いて「坊さん、父になる」も上梓されております。

22日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲストに四国霊場栄福寺住職の白川密成様をお迎え 

お知らせ 嶌信彦 人生百景「志の人たち」

f:id:Nobuhiko_Shima:20161215135547j:plain

スタッフです。22日(日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)は、ゲストに四国霊場栄福寺の住職・白川密成様をお迎えいたします。白川様は実体験をつづった「ボクは坊さん。」を上梓され、2015年には本書が伊藤淳史様主演で実写映画化されました。

四国お遍路ついて、24歳で住職に転身した経緯、およそ100日間の修行後「阿闍梨」の資格を得た時の話しや、尼僧でもある奥様との意外な出会いなどにつきお伺いする予定です。
 
「ボクは坊さん。」に続いて「坊さん、父になる」も上梓されております。

日・露外交の失敗 ――甘い見通しがあだに・・・――

コラム(TSR情報)

f:id:Nobuhiko_Shima:20161208134635g:plain

 安倍首相が今年の最大の外交課題、交渉として力を入れてきたのが日露問題だった。北方領土の返還(歯舞、色丹の2島先行返還)、日露平和条約の締結が目標だった。一時は安倍政権も好感触を得ていたようで、国民に期待を抱かせるような言動をみせていたが、結果は完全な空振りに終わった。安倍首相は「今回は長い道程の第一歩だ」と総括したが、今後どんなスケジュールで段階を踏み2つのテーマを解決しようとするのか、期待が大きかっただけに脱力感も大きく、次の展望が見えない状況だ。日本側の一人相撲だったのだろうか。

――新しいアプローチを模索したが・・・――
 日露交渉の数カ月前、外務省幹部らは「日露問題の議論はほぼ出尽くしている。新展開を求めるには今までにない“新しいアプローチ”が必要で、そのアイディアを模索している」と語っていた。その新アプローチが、北方四島(歯舞、色丹、国後、択捉島)で日露が「共同経済活動」に取り組み、そのための「特別な制度」制定の交渉を始めるというものだった。このため日本側はエネルギー、医療など8項目の共同課題を設定、約80件の具体的プロジェクトを立て、事業規模で3,000億円に達する案を用意した。ただ、これらの経済協力は援助ではなく民間投資で進めるものだ。例えば、医療では三井物産が製薬大手のアールファームに出資したり、理化学研究所がエイドス社およびダナフォーム社と携帯型感染症診断システム開発を行う。また、中小企業交流ではJETROがロシアの中小企業発展公社と協力、エネルギーについては丸紅などがサハリン沖で小型LNGプラントを建設するなど――さまざまなプロジェクトが課題にあがっている。このほか都市づくり、先端技術、極東の産業振興など多くのテーマがあるものの、ロシアのビジネス環境、慣行に馴染めるか、いざ問題が起こったとき共同行動とはいえ、どちらの法律で解決、和解していくのかなどの問題がある。四島はロシアが実効支配しているだけに、やはり最終的には主権の問題がはっきりしないと投資・協力しにくいとして慎重なのだ。

――新しいアプローチに日本企業は慎重――
 それだけに四島の返還、施政権などの問題に方向性がみえない限り経済共同行動も進みにくいと思われる。日本側は領土の帰属論から始めると交渉が進まないと考え、経済協力の実をあげることから「経済共同行動」と「特別な制度」という新しいアプローチで領土問題をほぐす糸口にしようとした。しかし、会談は95分にも及んだものの、プーチン大統領は日本企業に特別な法的地位を与えることには首をたてにふらず、ロシア側は容認しなかった。ロシア側の専門家は「プーチン氏が1956年の日ソ共同宣言を超える(歯舞、色丹以外の島)ような譲歩をすることはあり得ないし、国後と択捉の帰属をあいまいにしたまま歯舞、色丹の引き渡しに応じるとは思えない」とも言う。はたして日本側が新しいアプローチを進めて経済協力を進めれば道が開けるのかどうか、日本側はもう一度、今回の日露交渉をじっくり総括したうえで出直すしかあるまい。

――日露交渉に世界は冷淡――
 日露交渉には国際情勢の変化も見据える必要がある。ロシアのクリミア半島進攻などに対して国際社会はロシア制裁を課しており、日本もこれに参加している。特にEUはロシアの膨張政策に危機感を強めており、制裁強化を計画しているほどだ。こうしたEUの方針からすれば、制裁に共同参加している日本がロシアに経済協力するアプローチは、EUには裏切り行為と映るわけで、不快感を示しているのである。そのEUと日本は、新たな貿易交渉を進めている最中でもある。ロシアはEUとの関係が悪化しているので、東の日本、中国に寄ってきている面があるのだ。

 また、プーチン大統領とトランプ次期米大統領の関係がどうなるのか。2人は性格的にウマが合うともいわれ、駐露大使にプーチン大統領と長い付き合いのある人を送り込むという。米露関係が好転するとまた事情が変化する可能性もあるが、中東情勢ではロシアはシリア政権寄りなのに対し、米欧は反政府軍を支援していて複雑だ。

――歯舞・色丹の面積は北方領土全体の5%――
 北方四島といっても、1956年の日ソ共同宣言で返還を約束したのは歯舞群島色丹島だけで、択捉、国後は含まれていない。しかも歯舞、色丹の面積は北方四島のうち5%にも満たないのだ。その上、択捉島には約6,000人。国後島には約8,000人、色丹島には約3,000人のロシア人が暮らしており(歯舞群島は無人)、軍事施設も備えている。もし返還となればロシア居住民をどうするのか、また、日本人で移住して住む人が本当にいるのかといった、現実的難題も出てくる。それなら、むしろ日本人の墓参りのための自由往来や漁業権の回復などから始める方が、話は簡単のように見える。

 とにかく、今回の日露交渉は北方領土返還に手が届くような期待が盛り上がりすぎたせいか、国民も島民も肩すかしを食らった感じになっているようだ。

 たしかに、戦後70年も過ぎているのに平和条約が結ばれていないのは異常であり、締結できれば安倍外交の大きなレガシー(遺産)になることは間違いない。これを成功させて“1月総選挙”などの思惑もあったようだが、すべてはご破算となったとみてよかろう。15回もプーチン大統領と首脳会談を行ってきただけに、安倍首相はそれなりの展望をもっていたのだろうが、結果は見通しの甘い読み違いと言われても仕方がなかろう。
TSR情報 2017年1月17日】

1月21日(土)14時からプレスセンターで日本ウズベキスタン協会新年会を開催~プロの演奏家による演奏やウズベクダンスも堪能~

お知らせ ウズベキスタン

既報の通り、いよいよ21日(土)14時から私が会長を務める日本ウズベキスタン協会の恒例の新年会を開催します。

今年も皆さんが楽しみにされている在日ウズベク大使館からおいしいウズベク料理を差し入れいただく予定です。

f:id:Nobuhiko_Shima:20170118160616j:plain

f:id:Nobuhiko_Shima:20170118160631j:plain

今回は、昨年9月にウズベキスタンの発掘現場で倒れられ、94歳で亡くなられた加藤九祚(きゅうぞう)さんの奥様であり、中央アジアの服飾研究家である定子さんをトークゲストにお招きし、加藤さんの思い出を語っていただきます。

f:id:Nobuhiko_Shima:20090117144728j:plain
※以前開催された新年会のトークショーに加藤さんに出演いただいた模様

さらに、ウズベキスタン協会では毎年行われている「アレクセイ・スルタノフ記念コンサート」を後援していますが、昨年8月に開催されたコンサートに出演された津田礼仁さん(コントラバス)、黒柳紀明さん(バイオリン)、呉信樹さん(電子ピアノ)をお招きし演奏いただく運びとなりました。

 コントラバスの津田さんは読売日本交響楽団に35年勤務。黒柳さんは長年NHK交響楽団に勤務され、お父様の黒柳守綱氏は戦後シベリアに抑留され危うくロシアに残されるところをやっと帰国できたエピソードをお持ちで、帰還後はNHK交響楽団コンサートマスターを務められています。ピアニストの呉さんは上海で多数のリサイタルを開催されています。日本の歌百選に選ばれた「からたちの花」や「ウズベクタンゴ」「シェル作曲/メロディー」など新春らしい音楽をご披露いただきます。

また、恒例のGuliston(グリスタン)の皆さんにもウズベクダンスを披露いただきます。「グリスタン」はウズベク語で「お花畑」という意味です。新春らしい華やかなダンスをお楽しみ下さい。

f:id:Nobuhiko_Shima:20170118163841j:plain

 
[日 時]2017年1月21日(土)14:00~16:00

[会 場]日本プレスセンタービル 10 階(千代田区内幸町 2 ― 2 ― 1)

[交 通]東京メトロ 千代田線・日比谷線 霞ヶ関駅 C4

     東京メトロ 丸ノ内線 霞ヶ関駅 B2

     都営三田線 内幸町駅 A7
     ※駐車場はありません。

[会 費]一般5,000円、会員及び同伴者3,000円、学生2,000円、留学生・外国人の方1,000円

     ※本ブログをご覧になられた方は特別に会員価格にて入場いただけます。
      申し込み時に「嶌信彦のブログを見た」と添えて申し込みください。
     ※中学生以下の方は無料。立食 

     ※会場へのお問い合わせはご遠慮願います

[申込先]NPO日本ウズベキスタン協会まで

     電話(03-3593-1400)、ファックス(03-3593-1406)、

     メール(jp-uzbeku@nifty.com)(注)満席になり次第受付終了

12月27日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~国連加盟60周年 日本は今後どう対応するのか・・・~

森本毅郎・スタンバイ 日本全国8時です

f:id:Nobuhiko_Shima:20170116144215j:plain

12月27日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の放送内容をお届けします。この日の放送は、森本様と遠藤様がお休みに入られたため、TBSラジオ中村尚登・ニュースデスクと秋沢淳子アナウンサーとともにお伝えいたしました。

テーマ:国連加盟60年の日本~弱まる国連中心主義~

国連加盟60周年】
今年で日本が国際連合(以下、国連)に加盟して60周年を迎えた。国連は1945年10月に設立され70年余りであるが、実は第二次大戦中から準備会議を行なっていた。日本、ドイツ、イタリアは連合国と戦争中であったことからこの中には入っていない。日本の加盟が承認されたのは1956年12月(18日)で、80ヵ国目の承認国となった。日本は国連の前身である国際連盟を1933年に脱退しており、国連への加盟は容易ではなかったため、国際連盟脱退から23年後にようやく国際社会に復帰した。

連合国軍に加わる】
国連の英語名はUnited Nationsであり、日本語に直訳すると連合国群だ。そういう意味からも、国連の加盟は日本が連合国に入れてもらったということになる。この名前は大戦中に米国のF・ルーズベルトが考えたといわれる。

1942年1月に米、英、ソ連、中国などが連合国宣言を出し、1945年6月に50ヵ国が連合国憲章を起草し署名した。この時はまだ第二次大戦中だったが、戦争の惨害を終わらせるという決意の下に署名された。日本が無条件降伏したのはその後の8月15日であり、その当時は国連に入れるわけがなかった。そういう意味からも日本では国連と言っているが、連合国に入れてもらったというのがスタートであった。

ソ連に反対されるも・・・】
日本が国連に加盟したきっかけは、1951年にアメリカなどとサンフランシスコ平和条約を結んだ時に国連加盟を申請し、国連憲章の原則を遵守すると誓った。しかしソ連の拒否権で否決された。また当時の国際情勢も複雑だった。

1949年に中華人民共和国が成立。加盟国の中華民国を台湾に追い出した。1950年には朝鮮戦争と社会情勢も非常に厳しい時期だった。そもそもサンフランシスコ平和条約ソ連などを含まない、いわゆる片面講和として主だった社会主義国はこの条約に参加せず、冷戦も厳しくなっていた。このため1951~1954年には新規加盟国はいなかった。

その後、1955年のアジア・アフリカ会議バンドン会議)に参加し、アジア・アフリカグループの一員であることを示したり、1956年鳩山一郎首相が訪ソして日ソ共同宣言を発表。ソ連との戦争状態を終結させたことによって、ようやく56年12月に加盟を実現させた。

【いまだに残る敵国条項
国連には敵国条項(※1)があり今もなお続いている。戦争中に作られたためこういった条項となっているが、これも障害の一つであった。これに対して、日本は平和憲法をもつ平和愛好国に生まれ変わったと説得した。また、国連では加盟国に集団安全保障の立場から軍隊を提供することもあり得るとされているが、日本は軍事的貢献以外のあらゆることをするとして軍事協力の義務が保留となり、加盟が認められた。

これらを振り返ってみると、自衛隊の海外派兵などずいぶんと状況が変わった。1990年代までは日本はおカネを出すことで義務を果たしてきたが、”顔”が見えない「ショー・ザ・フラッグ、旗を見せろ」とアメリカなどから批判された。このため、後方支援を目的として自衛隊が出動するようになった。現在は地球上のどこでも支援に行けるよう国内法も変えてしまった。 

常任理事国入りを切望する日本】
そういった状況において日本は安全保障理事国(安保理)の常任理事国に就任したがっている。これはなかなか難しいと思うが、以前から準常任理事国の創設という案を提出しており、それが実現した場合にそこに入れるかどうかがこれからのポイントだろう。日本はこれまで非常任理事国(※2)を11回務めているが常任理事国になると情報量が違うことから常任事理国の仲間入りをしたいと思っている。

近年、国連の力が減少し、世界の中心となる国も徐々にいなくなっている。そういう意味では日本にとってチャンスではあるが、日本がどれだけ国連に貢献しているのかをきちんと示す必要がある。

【日本の存在感をいかに示すのか?】
緒方貞子さんが国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の責任者になり、相当大きな働きをしたということでその当時は存在感があったが、日本人の国連職員は3%弱と少数であり、国連主義ということであればもっと力を発揮していく必要がある。日本はどちらかというと国連決議において、アメリカの言い分を聞き、そこに追随している。そこをどう脱皮するのかということも非常に大事である。

国連は力を失い、世界の中心はアメリカではない。さらに、中国が台頭し、ロシアに対しては制裁中である。さまざまな問題を抱え、転換点であると考えると日本が入るチャンスではある。転換点にさせる力を日本がどう発揮するのかということが、ポイントであろう。

国連トップが変わる中で・・・】
今度事務総長が潘基文氏から元ポルトガル首相のアントニオ・グテーレス氏に10年ぶりに代わる中(2017年1月1日就任)で、日本がいったいどういう役割を果たすのか。アメリカの新大統領にトランプ氏が就任し、アメリカの外交姿勢もよく見えない。そんな中で国連の存在が薄くなっており、そういう中で日本はいったいどうするのか。国連で決めてきたTPP、パリ協定などをアメリカが否定するという流れになってきている。それらを日本がある程度後押ししていくことができるかどうかということも問題である。

【問題解決もポイントに】
それらの問題を抱えている中でグテーレス氏がどのような手腕を発揮していくのかということも注目される。この方はさまざまな国から人気があり期待も大きいが、今世界はシリア、中東、難民問題、中国の台頭、北朝鮮問題、ロシアへの制裁など多岐にわたるややこしい問題を抱えている。

日本もこれらの問題にある程度力をもっていかないといけない。準加盟国という案もあるが、そこにもなかなか推薦されないのではないかと思う。本気で自分たちが自立し、何が自分たちのとって役に立つのかということを日本人全体が考えなくてはならないと思う。先に行われた日本とロシアの会談では 平和条約の締結には至っておらず、そういった問題を一つ一つ解決していくことも重要である。

※画像:ニューヨーク市にある国連本部ビル国連サイトより

※1:国連憲章第53条、第77条1項b、第107条に規定。1995年12月11日の国連総会で賛成多数によって「敵国条項」の削除が採択され、さらに2005年国連首脳会合にて総会決議50/52を考慮し、憲章53条、77条及び107条から旧敵国条項を削除することを決意しているが、いまだに削除されていない。

※2:国連の主要機関である安全保障理事会は米、英、ソ、仏、中国の5ヵ国からなる常任理事国にて拒否権を持ち、そのほかに任期2年で半数の5ヵ国を改選し再任できない非常任理事国にて構成される。

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:池澤夏樹様(作家) 2夜目音源掲載

f:id:Nobuhiko_Shima:20161208134401j:plain

スタッフです。昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)は、ゲストに芥川賞を受賞され、多くの翻訳作品も手がけられている作家の池澤夏樹様をお迎えした2夜目の音源が番組サイトに掲載されました。

今回の放送の話に登場した池澤様が手がけられた日本文学全集の「枕草子/方丈記/徒然草」がアマゾンの全集部門で1位となっております。

世界を辺境から見つめ、文学の眼鏡と科学の眼鏡を携え旅先で執筆を続けたこと、「日本文学全集」の編集を引き受けた理由や、父で作家の福永武彦氏への思いなどをお伺いいたしました。

前回放送の30代の3年間をギリシャに住み、40代の10年間を沖縄に暮らし、60代の5年間をフランスで過ごし、現在札幌在住の池澤様に、詩や翻訳、小説、エッセーなど多くの著作物を手がけてこられた作家人生につきお伺いした放送は、今週水曜日まで番組サイトにてお聞きいただけますので、お聴き逃しの方はぜひ合わせてご利用ください。

池澤様の新たな本が「知の仕事術」が12日に発売となりました。混迷を深める現代という時代を知的に生きていくためには、1「情報」、2「知識」、3「思想」が必要です。それをいかにして獲得し、更新していくか、 自分の中に知的な見取り図を作るために、どうすればいいのかということを、新聞や本との付き合いかた、アイディアや思考の整えかたまでを指南されている本です。

さらに、17日には話題の古典新訳を手掛けた作家たちは作品についてどう捉え、どう訳したのかなど作品の魅力や訳の工夫を語った、大好評の古典講義をまとめた本「作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首」も発売となります。

来週は、愛媛県今治市にある四国八十八カ所霊場57番札所「栄福寺」住職の白川密成様をお迎えする予定です。どうぞご期待ください。