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森友学園のゴミはあったのか? ―役所がゴミ増量を促した不思議―

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 いまだに釈然としない事件は、昨年2月以前に財務省近畿財務局が大阪府豊中市の国有地を9億5600万円の鑑定価格から、何と8億円も値引きして例の森友学園に払い下げた理由である。表向きは、国有地の地中にゴミがあり、撤去にダンプカー4000台分などの費用として約8億2000万円がかかったためとしていた。当時、国はゴミの量を約1万9500トンと見積もっていたが、実際の撤去量は100分の1の194トンしかなかったという。にもかかわらず国が8億円も値引きして森友学園に払い下げたことは、国会でも何度か追及された。

 当時、理財局長だった佐川宣寿氏(後に国税庁長官に昇進し、8ヶ月後に退官)は、国会で該当の国有地の売買価格が評価額を大幅に下回っていたことに関し、「国有地は時価で売るのが基本で、適正な価格で売っている」と説明。さらに別の議員の質問に「必要な廃棄物の撤去は適切に行った。近畿財務局で確認している」と回答していた。

 しかし、実際には現場を確認していなかったし、8億円分のゴミが撤去された事実などもなかった。むしろゴミの量を算定した大阪航空局にもっと増量した数字が出せないか、などと要請していたともいわれていた。このため具体的な数字などを出して回答することができず、“適切な価格”“廃棄物の除去は適正に行った”などと抽象的な言い方で逃げていたのだ。

 ところがその後の国会で具体的な答弁を求められ、佐川氏の答弁との整合性を持たせざるを得なくなり、理財局職員が森友側や工事関係者に「(除去には)トラックが何千台も走った気がするなどと言ってはどうか」と口裏合わせを持ちかけていたのだ。しかし、森友側の弁護士や大阪航空局、近畿財務局は、そうした口裏合わせは「事実に反する」と応じなかったため、佐川氏の虚偽答弁がバレてしまった。国権の最高の場で国会議員に対しウソの答弁をし、あげ句の果てに虚偽の事実の口裏合わせまで画策していたということになる。

 これを知った野党議員はもちろん、自民党の議員も「都合の悪いことは覆い隠すなんてバカか!」と声を荒げて叱責した。これに対し佐川氏の後に理財局長となった太田充理財局長は今年4月9日の決算委員会で「事実と異なる説明を求める対応は、間違いなく誤った対応だ。大変恥ずかしく申し訳ない。深くおわびする」と繰り返し頭を下げた。

■8億円の値引きは常識はずれ
 財務省の虚偽答弁の経緯と謝罪はわかったが、それにしても理財局が一転して数多いトラック台数にすることを森友などに持ちかけたのかは依然謎だ。国が支払う経費はトラック台数が少なければ小さくなるのに、なぜ多くの経費がかかるような数字を持ち出したのか。また、相手側に拒否されるような虚偽答弁をもちかけたのか、理財局が多くの支払いをしなければならない別の理由があったのか、どうせ税金からカネを出すのだから上司の言い訳に整合性をつけようとしただけなのか。今後はぜひ、そこのところを明確にする責任があろう。

 その点は森友側などにも使用したトラック台数とゴミの量、かかった費用をきちんと数字として出させるべきだろう。それにしても8億円の値引きは常識はずれだ。何か別の弱みを握られていたのだろうか。

■目立つ役所の不祥事
 最近の政府の説明には虚偽やあいまいな答弁、肝心なことを答えずまわりくどく喋って煙に巻こうとする語り口がいかに多いか。森友問題だけでなく南スーダンイラクの日報問題、裁量労働を巡るいい加減な数字の扱い、過労自殺の件など目につくものが多すぎる。安倍首相の答弁も間違えた数字などを前提にぐだぐだと長い説明をしているケースが目立つ。国会討論、答弁は国民にわかりやすくし、基本的に国民生活が改善されるような場にするために設けられているということを肝に銘じて欲しいものだ。役所の支払うカネは税金から出すので自分の腹は痛まない。国民の納めた税金をつけまわしているだけなのだ。それにしても最近の役所の不祥事が目立ちすぎる。

 ちなみに最近新聞で報じられた中央官庁の主な不祥事は以下の通りだ。
イラク南スーダンに派遣された自衛隊の日報紛失。後に出てきた
森友学園への国有地売却に伴う地中ゴミの積算量のカサ上げを財務省が要請
・森友ゴミに関する文書の改ざん
働き方改革関連法案に関わり117件もの不自然なデータを含む調査資料の提出
厚労省の残業時間集計で87事業所のデータが明らかに不自然
・「破棄して存在しない」とされていた加計学園獣医学部新設計画に関する首相秘書官と愛媛県職員のやりとりの文書
――等々で、これら一連の騒動で財務省など、中央省庁のトップクラスが次々と調査を受けている。

■安倍退陣は必至か
 こうした事態を受けて各種世論調査安倍内閣の支持率は20%台から30%台前半に低落。逆に不支持率が支持率を上回り50~60%台へと上昇した。この結果、安倍首相3選の見通しも不透明になり、自民党内からも3選反対の声が出始めてきた。常識的に考えて安倍3選はないだろう。

 後任に適当な人物が見当たらないといわれるが、それは安倍支持者側の論理で安倍氏が退陣すれば石破氏、岸田氏などが立候補してこよう。世間のムードとしてはまだ少し早そうにみえるが、小泉進次郎氏なども立候補すると総裁選の討論が面白くなり国民の関心も高まろう。
TSR情報 2018年5月2日】