時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

国際交流基金主催の文化ミッションで訪問した日本人墓地参拝の模様がウズベキスタンのニュースで放映されました

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スタッフです。ウズベキスタンのテレビニュースで8月2日から国際交流基金主催の文化ミッションで訪問したウズベキスタンタシケント市の日本人墓地(ヤッカサライ墓地)に参拝した模様が報道され、その動画がYoutubeに掲載されましたのでご案内いたします。

日本人墓地に向かう様子。

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現地の方々にご尽力により綺麗に保たれています。

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献花の様子(画像一番上も同様)

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画像手前より、安倍昭恵様、嶌、 加藤 文彦駐ウズベキスタン特命全権大使

参拝後の一コマ。

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現地で放送された映像(尺:1分17秒)


ウズベキスタンには収容所がタシケントの他5か所あり、現地で亡くなられた日本人は1008人といわれています。タシケント市のお墓は日本人抑留者記念館の前にあり、タシケントの各収容所で亡くなられた79人が埋葬され、毎週ウズベク人の女性たちが掃除をしてくださっています。

中山恭子ウズベキスタン大使ご夫妻や福島県ウズベキスタン文化経済交流協会、抑留され劇場建設にあたられた加藤金太郎氏らのご尽力によって全国の有志から寄付が集まり、現在はウズベキスタン抑留地各地に立派なお墓が建立され、春になると桜が満開になります。

嶌が昨年9月末に上梓した「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」の舞台であるナボイ劇場建設に携わられた方々でこの墓地に埋葬されているのは、1947年7月に劇場建築の高所作業中に転落した永尾清氏と1946年12月に列車にひかれた野村浅一氏の2名。ナボイ劇場建設に携われた方々は帰国後第四ラーゲル会を作り、度々この墓地に参拝されておりました。

21日『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト佐々木則夫様(元なでしこジャパン監督)二夜目 音源掲載。~あの時計も公開~

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スタッフです。21日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)の音源が掲載されました。ゲストは先週に引き続き元女子サッカー日本代表監督で、十文字学園女子大学副学長の佐々木則夫様をお迎えいたしました。

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なでしこジャパンが優勝した当時を振り返りながらアメリカ戦についてや、なでしこジャパンにとってのアメリカチームの存在、2020年に向けての抱負などをお伺い。

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番組収録時にアジア人として初となるFIFA女子世界年間最優秀監督賞を受賞した際の副賞、ウブロの「クラシック・フュージョン ジルコニウム セラミック」を拝見することが出来ました。ブログをご覧の皆さんにもご紹介します。

世界に一本しかない、買うことのできない時計です。

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なお、先週の大手通信会社の広報担当だったサラリーマン時代の話しや、退社して女子サッカー監督になる決意をした経緯、女子選手たちとの佐々木流のコミニュケーション術などについてお伺いした放送音源は明日午前中までお聞きいただけます。

お聞き逃がしの方はこの機会にぜひ番組サイトにてお聞き下さい。

来週のゲストは、火山学者で京都大学教授の鎌田浩毅氏をお迎えする予定です。お楽しみに。

横暴中国、国内は不安定化

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 中国の国際的横暴が目につく。この8月11日には尖閣諸島付近で転覆した漁船の6人が、駆けつけた日本の海上保安船に救助された。南シナ海などにおける中国船の主権は、国際的な仲裁裁判所の判決で否定されたばかりだが、中国はさらに激しく領海侵入を繰り返している。その挙句に、ギリシャ船籍の船と衝突して難破し、海に投げ出された漁船員が領海を守るため監視している日本の保安船に救出されたというのだから皮肉な話だ。

 しかし南シナ海における中国の挑発行為はエスカレートするばかりで、中国の公船と公船周囲に数百隻の漁船が航行する異常事態が続いているのだ。

 中国は南シナ海を巡る仲裁裁判所の判決に対し「でたらめだ」と無視する姿勢をみせ、カンボジアラオスブルネイなどを味方に引き入れてASEANの分断工作まではかっている。

 さらに21世紀のシルクロード(一帯一路)構想を推進するため”海のシルクロード”構想に向けてアフリカ諸国と接近中だ。東アフリカからインド洋を通って東南アジアに達する海路で、東南アジアに着くと陸路で中国に運ぶインフラを整備しているのだ。このためアフリカ諸国に支援を増大し、その引き換えとしてガンビアと国交を回復。そのうえ台湾と断交させたり、ジブチには中国軍の国外拠点となる湾港を建設中だ。

 一方で国内では1年前に人権派弁護士ら約300人を連行。いまだに20人以上の民主活動家と人権派弁護士が拘束中で、家族にまで嫌がらせが続いているという。さらに一時は収束中とささやかれた腐敗・汚職幹部の一掃運動も、軍部の改革と並行して行われ、7月25日には胡錦濤政権下で軍制服組の最高位にいた郭伯雄上将(軍事委員会副主席)に対し無期懲役の判決が言い渡された。胡政権下で郭氏とともに軍事委副主席だった徐才厚(すでに死去)も腐敗問題で立件されており、制服組のトップ二人が立件されたことになる。

これらを受けて習近平政権は「七軍区」を「五軍区」に改編。総参謀部など四部を解体して中央軍事委を15部門にするなど大幅な軍改革を行なっている最中だ。

 しかし肝心の中国経済は減速が続き、中国人民元の国際化は未だならず、人民元切下げから1年経っても元安に歯止めがかからず元安なのに輸出も低調のままだ。中国の株価(上海総合指数)は、2015年から2016年7月末の1年で3663から2979に低落、元の対ドル相場は1ドル=6.1172から6.6511へ。輸出が1931億ドルから1847億ドル、実質GDP伸び率も7.0%から6.7%といった具合だ。

 特に対ドル為替レートは2015年8月に3日間連続して切り下げ、基準値から計4.6%も下がり、「輸出を増やすための切下げではないか」との憶測も流れた。結局、元相場はこの1年で9%近く下落したものの、今年1―7月の輸出額は前年同期比で7.4%減と元安効果はみられなかった。中国の不良債権処理や鉄鋼、石炭などの過剰生産解消も遅々として遅れているし、かといって従業員のリストラを進めると社会不安につながることになる。

 こうしてみると、中国は外交や外部面では強気に出て強い中国の面子を保つために汲々としているが、内政や国内経済、社会状態では不安を抱えている実情がよく見えてくる、といえよう。
【Japan In-depth 2016年8月19日】

21日『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト佐々木則夫様(元なでしこジャパン監督)

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スタッフです。21日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)は先週に引き続き元女子サッカー日本代表監督で、十文字学園女子大学副学長の佐々木則夫様をお迎えいたします。

なでしこジャパンが優勝した当時を振り返りながらアメリカ戦についてや、なでしこジャパンにとってのアメリカチームの存在、2020年に向けての抱負などをお伺いする予定です。

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※画像は収録時の様子と収録後の歓談の模様

昨日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~歴史の遡りと現代事情から鑑みる尖閣~

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スタッフです。
昨日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の放送内容をお届けします。

テーマ:尖閣周辺に中国公船。その背景にあるものは

8月に入り戦後71年とさまざまな行事が行われているが、日中、日韓の関係がどうしても強く意識される時期となった。敗戦の時期になると必ず「靖国問題」等が問題となってくるが、最近「尖閣問題」が中国との間で非常に厳しくなっている。


【中国の領海侵犯が活発化】
特に8月に入ってから中国当局の動きが活発化している。5日から中国当局の船が中国の漁船を引きつれ、400隻ほどが接続水域に侵入を続けている。領海は海の領土で日本の主権が及ぶ範囲であり、海洋法上は無害の通航は認められている。今回の中国の通行においては威嚇行為があり、無害通航とは言い難いということでもめている。日本からすると主権の侵害ということで、岸田外務大臣は連日抗議をしている。

そして、11日には中国の漁船がギリシャの船と衝突事故を起こした。乗組員14人が海に投げ出されたが、日本の海上保安庁の巡視船が救った。これは皮肉な結果ではあるが、中国国内では「人道主義の精神に謝意を示すべきだ」といったネットでの書き込みが随分あったようだ。中国政府も「人道主義の精神に謝意」を表した。これでトーンが下がったといわれるが、依然日本の領海内への侵入は続いている。


【国内外に問題を抱える中国】
これらの動きは国際的な状況と国内的な状況がある。まず国際的な状況としては、南シナ海でのフィリピンの申し立てによる仲裁裁判がある。仲裁裁判所は中国の全面敗訴を言い渡し、これによって習近平政権への風当たりが強くなった。

他方、国内事情としては、例年恒例の河北省の避暑地・北戴河で非公式の人事を決める会議を行なっている。会議には現役指導者や長老が集う。習近平胡錦濤江沢民たちによる派閥争いの場ともなっており、当然習近平は自分の力を誇示したい。

南シナ海の問題を追及される可能性もあり、そうすると尖閣は譲れないという主張を表わしている。さらに、中国国内で人権派が相当数拘束されている。そして、軍の改革も非常に進んでいる。そういう意味で国内の問題が非常に大きいように思う。よって、これらの国際、国内問題から尖閣問題が急浮上してきたのだろうと考えてよい。


サンフランシスコ平和条約には記されるも・・・】
尖閣問題は歴史的にも古い。1951年に サンフランシスコ平和条約を結ぶが、第二条には台湾などは日本が放棄するということが明記されているが尖閣諸島の扱いについてはここではふれていない。

東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室サイト より抜粋
第二条
(a)日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
(b)日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
(c)日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
(d)日本国は、国際連盟委任統治制度に関連するすべての権利、権原及び請求権を放棄し、且つ、以前に日本国の委任統治の下にあつた太平洋の諸島に信託統治制度を及ぼす千九百四十七年四月二日の国際連合安全保障理事会の行動を受諾する。
(e)日本国は、日本国民の活動に由来するか又は他に由来するかを問わず、南極地域のいずれの部分に対する権利若しくは権原又はいずれの部分に関する利益についても、すべての請求権を放棄する。
(f)日本国は、新南群島及び西沙群島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。 

しかしながら、アメリカは沖縄を統治していたがその間尖閣諸島は沖縄の一部として扱われていると第三条に記載されている。尖閣は沖縄の一部であると明記されているので、尖閣は日本の領土となるのだ。そして、1972年に沖縄とともに尖閣は日本に返還された。

第三条
日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。 

 
【資源の存在から方向転換した中国】
中国にいわせるとサンフランシスコ平和条約の前から尖閣は中国のモノだと主張している。沖縄は島津藩に領有されるまでは独立国であったため、中国との往来も頻繁であった。中国が沖縄に行く際の目印の島だと主張してきた。その後も尖閣についてはいろいろといわれてきたが、中国が本格的に領有権を主張し始めたのは尖閣周辺に石油が出ると判明し始めてからである。

1つのポイントとしてはサンフランシスコ平和条約には中国は加わっていないということがある。締結時に全面講和か単独講和か問題となり、結局日本は中国、ソ連、東欧といった社会主義国とは講話を結ばなかった。


【事実上棚上げを続けてきたが・・・】
石油の問題が出るまでは尖閣問題を中国も日本もあいまいにしていたが、それ以降に両国とも強く主張し始めた。結局、資源が出てきたことによって無人島にも関わらず領有権が非常に大きな問題となってきた。

これまで田中角栄氏や周恩来氏の話合いを行なった際にも尖閣の話は出たが、「我々の世代では決まらないから、将来決めよう」と棚上げしていた。棚上げという言葉を日本は使用していないが、事実上棚上げしていた。

中国も強引であるが、日本もうまく対応できず、中国の動きをきちんと分析できなかったということもある。


【独自主張の領有権】
鄧小平氏は棚上げを言いながらも、領海法を制定している。1992年に中国の全国人民代表大会常務委員会は今問題となっている南シナ海を含め、尖閣諸島は自国の領土だと明記した。この際、日本の外務省は口頭で抗議をしたが、きちんとした議論ができておらず、そういう意味でいうと日本もきちんと対応ができていなかったといえる。

中国の動きをきちんと分析できていないことと、気になるのは昨年中国の軍関係者に出回ったというメモの存在。それは尖閣問題の解決という目標を記したもので、その中に「領有権の争いを示す段階は終わった。次は実行支配だ。」と記されている。しかしながら、日本政府は「領有権の問題は存在しない」という従来の言い方を続けていることでかえって問題を深刻にしてしまっている。


【腹を据えた対応を】
中国の考えとしては「実行支配をするぞ」と予告しているようにもみえる。日本との意見はすれ違ったままだが、実際に当局や中国の漁船がぞくぞくと尖閣に押し寄せてきている。しかもこれまでの数隻ではなく400隻もの船であることから、実効支配に向けて進んでいるといえるので、これに対して日本はどのように対応するのかということが問われている。

9月に入ると中国は抗日戦争の記念日(9月3日)が来る。そうするとますます対日強硬姿勢がでてくることも考えられる。先も述べたように中国内外の問題と絡み合っているだけに、日本はそこをきちんと分析した上で対応を腹を据えて考える必要がある。

今回あまり国際化しないだろうという楽観論もあるが、あまり高を括っていると足元をすくわれる。「裁判で勝ったんだから」と言っていると、足元をすくわれるだろう。

※画像は「日本の領土をめぐる情勢」ページ掲載日本の領土地図

昨日『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト佐々木則夫様(元なでしこジャパン監督)音源掲載

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スタッフです。昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)にて放送された元女子サッカー日本代表監督で、十文字学園女子大学副学長の佐々木則夫様の音源が番組サイトに掲載されました。

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今回、佐々木様が山形出身で嶌が新卒で配属されたのが毎日新聞秋田支局ということもあり、東北の挨拶「おばんです」から始まりました。

大手通信会社の広報担当だったサラリーマン時代の話しや、退社して女子サッカー監督になる決意をした経緯、女子選手たちとの佐々木流のコミニュケーション術などについてお伺いいたしました。

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次週も引き続き佐々木様をお迎えし、なでしこジャパンが優勝した当時を振り返りながらアメリカ戦についてや、なでしこジャパンにとってのアメリカチームの存在、2020年に向けての抱負などをお伺いする予定です。

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※画像は収録時の様子と収録後の歓談の模様

恥ずかしい政党力

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 参院選はさっぱり燃えなかったが、都知事選はなかなかエキサイティングだ。火付け役は小池百合子衆院議員の突然の出馬宣言だった。


 テレビ東京の番組で人気キャスターの座を突然捨て、細川護熙氏が立ち上げた日本新党国会議員へ転進。その後、小沢一郎氏の新進党自由党、保守党などを経て自民党に移り、小泉内閣時代に三度の環境大臣安倍内閣防衛大臣をつとめるなど閣僚経験も豊富だ。また選挙区は2005年の郵政選挙の際に地元の兵庫を捨て東京10区へ〝刺客〟の落下傘候補になった。つねに1人で決断、行動し群れない点が真骨頂で当選回数は衆院8回、参議院比例区1回。学歴がまた異色で国連公用語アラビア語が加わると知ってエジプトのカイロ大学に進学、アラビア語を修得してアラブ圏各国に人脈をもつ数少ない政治家となった。


 自民党都連は人気アイドル櫻井翔さんの父親、桜井俊総務省事務次官に白羽の矢を立てたものの説得に失敗。結局自民党とは無関係で地方創生を唱えていた増田寛也・前岩手県知事に鞍替えした。この間、俳優の石田純一氏、日本弁護士連合会の宇都宮健児氏らも立候補を口にしたが、元毎日新聞記者の鳥越俊太郎氏が4野党の統一候補に決まると結局、増田氏、小池氏と鳥越氏の3人の戦いに絞られた。


 小池氏は環境相時代にクールビズを日本に定着させた実績などがあるものの、地方自治や東京論などでは増田氏に一日の長があることは否めない。ただ増田氏は地方の危機を訴え続けてきた人で東京の一極集中には批判的だった。都知事になったとき、地方創生と東京集中の両立をはかる新たな説得力ある構想を打ち出さなければなるまい。鳥越氏の強みは記者時代から現場を歩き人脈が豊富なことだ。新東京構想をどう打ち出すかが課題だろう。


 煮え切らず、選挙をつまらなくしているのは既存の政党、政治家たちだ。いつも勝てそうな候補を第一の狙いとし、理念や構想、人間力より知名度優先である。1300万人の都民を囲い込むには一日で名前が知れわたることと政党の組織力さえあれば大丈夫、とタカをくくっている。これではいつまでたっても真のプロの政治家は生まれまい。


 東京は世界最大の都市の一つであり、少子高齢化、交通、環境、犯罪など都市のシンボリックな課題を抱える街だ。豊かな税収を効率よく活用し世界一快適な街にできるかどうか。2020年の東京オリンピックはたんなるスポーツの祭典でなく東京の都市機能や住み心地なども世界から注目される。もう恥ずかしい知事だけはご免こうむりたい。
【財界 2016年8月23日 第429回】

※本コラムは都知事選の結果が出る前に寄稿しております。

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(集英社新書)
【著】嶌 信彦

     
首脳外交

首脳外交-先進国サミットの裏面史

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嶌信彦の一筆入魂

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【著】嶌 信彦


ニュースキャスターたちの24時間

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(講談社)
【著】嶌 信彦
       

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