時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

本日のトークファイルの内容~インドの財閥 ゴドレジ~

スタッフです。
本日の「森本毅郎・スタンバイ」のトークファイルの音源が掲載されました。要約は以下の通りです。

テーマ:インドの財閥「ゴドレジ」世界を食うか!

インドというとIT・ソフトが有名で、製造業はあまり得意でないという印象がある。インドの製造業の大手はタタ自動車や鉄鋼会社のアルセール・ミッタル。今日のテーマのゴドレジは1897年創業。鍵を製造した後、石鹸製造で大成功し、今や日用品を作り出し、アフリカ、アジア、中南米などいわゆる低所得者層に対し商品を提供することで世界に進出している。家電、小売り、日用品などを提供し、昨年度の売上高は6千億円。10年後には、相当大きな会社になるであろうと注目されている会社。

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画像はゴドレジ社サイトより

ゴドレジの会長(アディ・ゴドレジ氏)はインド工業連盟(CII)の会長も務め(12~13年)ている。先に述べたようにインドはIT・ソフトのイメージが強いが、製造業も強くなり、10年もするとインドは多分中国を抜くであろうとも言われている中で最も注目されている会社。

インドの4億人とも言われる低所得者層に密着したビジネスで、1パックで売ると高いが小分けにして販売することで購入しやすくしている。販売商品は全てシンプルで、日本のような高機能、多機能、ハイテクというのではなく、戦後我々が使っていた商品のように日常に使える商品を販売している。低所得層向けといっても4億人もの市場をターゲットとしているため、企業としても成長し、インドのみならずアフリカ、中南米、アジアに目をつけどんどん現地の会社を買収し規模を拡大している。販売価格は石鹸が1個10ルピー(20円)、その他にクーラーボックスのように持ち運べるサイズの電池式の冷蔵庫を作っていて5700円。インドの全世帯の80%は冷蔵庫を持っておらず、食品の3分の1を腐敗させてしまっているがこれによって食品の腐敗が抑制できるようになった。また、髪染め、日用品、10円の蚊よけなど薄利多売を行なっている。

日本は高機能、多機能、多様化してガラパゴス減少となり商品が売れなくなっているが、正反対の市場に目をつけ成功したのがゴドレジでゴドレジイズムともいわれる。日本企業も成熟している市場をターゲットとするのではなく、こういう市場に進出してはどうか。日本で作ったもので海外に進出するのは高くつくので、現地の企業を買収しながら拡がっていくことが大事。実際に日本企業でもユニ・チャーム花王などは日用品で低所得者向けの商品づくりに目をつけ、現地企業を買収し進出している。

日本は人口が減少し市場がないというのではなく、こういう所に目をつけていくことも大事だし、日本のこれまでの高機能、多機能、付加価値の高いことをつくるのが日本のビジネスだと思わずに新たな市場を開拓するということでノウハウも蓄積していくことができる。その上でもこのゴドレジという会社名を覚えておく必要はあるのではないか。地元の実情や市場分析が非常に大事であると語っております。

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