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日本は環境後進国に?  

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 かつて環境先進国といわれた日本が、いまや後進国の地位に甘んじている。経済先進国の集まる経済協力開発機構(OECD)35ヵ国の中でも、いまや最下位クラスだし、他の基準をとっても日本は決して上位にはない。

 例えばエール大学などが出している環境パフォーマンス指数も180国中39位(1位フィンランド)だし、世界経済フォーラムによる「2016年版国際エネルギー構造パフォーマンス指数(EAPI/126カ国)」では「環境への配慮不足が目立つ国」とされ、日・中・韓国とともに50位以下となっている。

 決定的だったのは、2020年以降の地球温暖化対策の国際枠組を決めたパリ協定が2016年11月に発効したが、温室効果ガスの主要排出国が次々と批准し早期発効を後押ししたのに、日本は世界の動きに遅れ発効日当日の4日にようやく批准にこぎつける有様だった。実は温室効果ガス排出量が世界1、2位で世界の40%を占める中国とアメリカが9月に批准を発表、さらにインド、EUも10月初めに批准を発表した。ところが日本はこうした各国の動きをつかみそこね、出遅れたのだ。

 55カ国、55%の発効条件は、中国やアメリカの参加で早まったが日本は貿易交渉のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を優先し、環境よりビジネスを重視したかと皮肉られた。このため、日本は協定発効後最初の締約国会議(COP22)では議決権を持たないオブザーバーとしてしか参加できなかった。

 日本は1990年代の環境会議では旗振り役で97年に締結された京都議定書づくりでは議長役を務めた。しかもCOP22は、京都議定書後の国際的環境条約の枠組みをつくるもので、地球温暖化が深刻化する中で極めて重視されていた。実際、批准国は93カ国、66%に上りインド、ブラジル、メキシコなどまでが早々と批准していたのに日本は出遅れたのだ。
 日本の温室効果ガスの排出量は、世界全体の3.6%で、中国28.3%、アメリカ15.8%、インド6.2%、ロシア4.8%に次いで5位、その責任は大きい。

 パリ協定では大気中に含まれる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスに影響される平均気温上昇を産業革命後は上昇を2度(できれば1.5度)未満に抑え、今世紀後半に温室効果ガス排出を実質的にゼロにしようと申し合わせている。このため各国が5年毎に目標の見直しを行なうことになっている。

 朝の気温が4、5度でも、午後になると14、15度になる今の季節を考えると2度という気温に切迫感を持てないかもしれない。しかし風呂の温度が44、45度になれば熱くて入っていられないように、地球全体から考えると2度上昇すると植物、動物、魚類などの生態系に多大な影響を及ぼす。ある生態系は絶滅し、災害が増え、食物などにも大きな変化を及ぼす。人間は暖冷房や着衣の枚数、住む場所などによって簡単に対応できても地球全体では、取り返しのつかない影響が出るので温暖化防止が急務となっているのだ。

 各国は削減目標を約束しているが、日本は30年までに13年比で26%の削減を国際公約している。再生可能エネルギーのあり方、個人や社会の省エネ対策が本格的に問われる時代がやってきた。日本の空気は綺麗になり、道路、公衆トイレなども清潔になったが、地球全体を考えるべき時代なのだ。
【電気新聞 2017年12月21日】

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