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ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

インド洋で反中国政権が続々

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 インド洋に浮かぶ人口約40万人の独立共和国の島・モルディブは日本人にも新婚旅行先として人気のある観光地だ。〝地上の楽園〟ともいわれ、年間約130万人が世界中からやってくる。そのモルディブで9月下旬に大統領選挙が行なわれ、野党の統一候補モハメド・ソリ氏が中国を後楯にしていた現職のヤーミン氏を破り、アメリカやインドを喜ばせた。

 モルディブは、1965年にイギリスの保護領から独立し、国連に加盟して世襲王制から共和制に移行した歴史を持つ。もともとはインドと友好関係を持っていたが、中国が一帯一路構想を進め始めると中国に接近し、中国の支援で港湾や住宅などの社会資本整備を進めていた。その結果、対中国の債務が膨れ上がり、中国が開発した島が借金のカタとして中国に渡り、軍事利用される懸念などが取沙汰されていた。

 インド洋に面した国ではスリランカやマレーシアも親中国派の政権が誕生。スリランカでは大規模港などを作ったが利益を出せず、結局中国への返済免除の代わりに南部ハンバントタ港の管理権を99年間差し出す──などの事態になっている。

 さらに本欄の10月9日号(第480回「中国・インドとどう向き合うか」※)で紹介したが、バングラデシュパキスタンでも港湾建設にかこつけて中国が港の運営権を取得したり、アラビア半島とアフリカに挟まれた紅海の出口に位置するジプチがソマリア沖の海賊対策を名目にして中国海軍の拠点になりつつあることを報告してきた。インド洋はいつの間にか中国が支配しつつある海になっていたのだ。

 それが、ここ1、2年の選挙で親中国派の政権が次々と敗北、さらにアメリカとインドが防衛協力の強化で手を結び始め、インド洋の覇権を巡る風景がまたすっかり変わりつつあるといえる。

 中国は習近平国家主席が実権を握り始めたここ2、3年の間にはっきりとした国家目標を打ち出し、そこに向けて着々と手を打ってきた。第一段階は2025年までに製造強国の仲間入りを目指し、第二段階の2035年には世界の製造強国の中位の水準となり、中国革命100年にあたる2049年には世界の製造強国の先頭に立つ。そのためには中国と欧州、アフリカを結ぶ一帯一路構想を掲げ旧シルクロード、アジア・太平洋、インド洋で覇権を握るとしてきた。

 日本では南シナ海とアジア太平洋の衝突に気をとられてきたが、実はインド洋の覇権争いも凄まじかったのだ。そのインド洋ではアメリカとインドが手を組んだ。インド洋諸国で反中国の政権が力を握ってきたが今後どうなるか。インド洋の行方も目が離せない。
【財界 秋季特大号 第482回】

※10月9日号(第480回「中国・インドとどう向き合うか」 は以下を参照下さい。

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30~ ゲスト:小川理子氏(パナソニック執行役員、ジャズ・ピアニスト)二夜目 音源掲載

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)パナソニック執行役員でジャズ・ピアニストの小川理子氏をお迎えした二夜目の音源が番組サイトに掲載されました。

一度活動を休止したブランドのテクニクスを復活させることを任された時の心境や、3つの全く違うセクションを歴任しつつミュージシャン活動を両立しながら、女性執行役員として任命されたときのプレッシャーなどについてお伺いいたしました。音源は来週水曜正午までお聞きいただけます。

前回の育った環境についてや、大学で理系を専攻した理由、就職先にパナソニックを選んだ理由などについてお伺いした放送音源は今週水曜正午まで番組サイトにてお聞きいただけます。

 小川氏の最新アルバム「バルーション」や上梓された書籍をご案内いたしますので、合わせてリンクを参照下さい。

次回、25日(日)はゲストに彫刻家で東京藝術大学大学院教授の籔内佐斗司様をお迎えする予定です。

日曜(18日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30~ ゲスト:小川理子氏(パナソニック執行役員、ジャズ・ピアニスト)二夜目

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日曜(18日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)パナソニック執行役員でジャズ・ピアニストの小川理子氏をお迎えした二夜目をお届けいたします。

一度活動を休止したブランドのテクニクスを復活させることを任された時の心境や、3つの全く違うセクションを歴任しつつミュージシャン活動を両立しながら、女性執行役員として任命されたときのプレッシャーなどについてお伺いする予定です。

前回の育った環境についてや、大学で理系を専攻した理由、就職先にパナソニックを選んだ理由などについてお伺いした放送音源は来週水曜正午まで番組サイトにてお聞きいただけます。

 小川氏の最新アルバム「バルーション」や上梓された書籍をご案内いたしますので、合わせてリンクを参照下さい。

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30~ ゲスト:小川理子氏(パナソニック執行役員、ジャズ・ピアニスト)音源掲載

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)パナソニック執行役員でジャズ・ピアニストの小川理子氏をお迎えした放送音源が番組サイトに掲載されました。

育った環境についてや、大学で理系を専攻した理由、就職先にパナソニックを選んだ理由などについてお伺いしました。学生時代の夜中の解剖体験、音楽の道を当初生業にしなかった理由などについてもお話いただきました。

次週も引き続き小川氏をゲストにお迎えし、一度活動を休止したブランドのテクニクスを復活を任された心境や、3つの全く違うセクションを歴任しつつミュージシャン活動と両立しながら女性執行役員として任命されたときのプレッシャーなどにつきお伺いする予定です。

 小川氏の最新アルバム「バルーション」や上梓された書籍をご案内いたしますので、ぜひ合わせてリンクを参照下さい。

中間選挙後のアメリカと日本 ―スタンプラリー外交でいいのか?―

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 11月6日に行なわれた注目のアメリ中間選挙の結果は、ほぼ事前の予想通り上院は共和党が51議席以上を確保し過半数(51議席)を維持した。一方下院では民主党が223議席以上を獲得し8年ぶりに過半数218議席)を取り勝利した。この結果、19年初めからの116議会では、上院と下院の多数党が異なる“ねじれ”国会になることとなった。もともと中間選挙では、過去においても野党が伸ばすといわれており、その点では民主党の下院勝利は予想通りだった。トランプ大統領は「下院は数が多すぎて回りきれない」とし、上院選挙に力を入れていたこともあり、「中間選挙は勝利だった」と宣言。民主党は下院の過半数確保に勝利宣言をし、結果としては“痛み分け”になったとみることができよう。

 

続きは、本日配信のメールマガジンまぐまぐ」”虫の目、鳥の目、歴史の目”にてご覧ください。(初月無料)

日曜(11日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30~ ゲスト:小川理子氏(パナソニック執行役員、ジャズ・ピアニスト)

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日曜(11日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)パナソニック執行役員でジャズ・ピアニストの小川理子氏をお迎えいたします。

育った環境についてや、大学で理系を専攻した理由、就職先にパナソニックを選んだ理由などについてお伺いする予定です。

 小川氏の最新アルバム「バルーション」や上梓された書籍をご案内いたしますので、合わせてリンクを参照下さい。

5Gの登場で変わる業界図

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 2019年から移動通信システムがいよいよ第5世代(5G=ジェネレーション)に突入する。移動通信システムは1980年代に商用化された第1世代(1G)から、90年代には音声とショートメールが送れる2G、2000年代に音声とデータ通信が可能となった3G、10年代には大容量のデータ通信が可能となった4G時代に入り、5Gには人とモノ、モノ同士で情報をやり取りできるようになる。

 4G時代には画像や映像をアップできるSNS(交流サイト)が可能となったが、5G時代になると4K、8Kなどの超高精細映像やVR(仮想現実)映像などを受信しながら同時に再生も出来るようになる。自動運転には数センチ単位で表示する高精密地図や車が乗り越えにくい段差、縁石などの情報をリアルタイムで送信できるようになるというのだ。

 また車、道路、歩行者の双方向通信で1000分の1秒以下の時間(現在は10分の1秒)に短縮し、ロボットの遠隔操作もできる。従来は送信者が情報を送っても機械側の受信が遅いと、その速度の違いが実用化を妨げていたが、それが解消できるのだ。

 総務省では5Gの経済効果を、eスポーツの観戦なども可能となるため35年までに1350兆円となり2200万人の新規雇用が生まれるとみている。

 今後の焦点は、5Gに向けたインフラを巡る覇権争いとなろう。

 アジアでは日・中・韓の3カ国が商用化に向けて協力、19~20年に向けサービスを開始する。アメリカではAT&Tベライゾン・コミュニケーションズが18年末に5Gのサービスを開始し、EUでは英ボーダフォンや仏オランジュなどが18年中に5Gのテスト運用を開始する方針だ。

 5Gの標準化は、第1が4Gを利用して5Gを展開する方式で、第2は1から新しく作る5G方式。

 いずれも18年中に明確になるといい、今後は5G関連機器の開発が本格化することになるといわれている。米のクアルコム社、インテル社、中国の通信設備メーカーの最大手であるファーウェイ、それと中国のZTEが四強といわれる。

 日本では大手通信キャリアのNTTドコモKDDIソフトバンク、端末メーカーのNEC富士通アンリツ、それに部品メーカーの村田製作所パナソニック太陽誘電などだ。

 こうした競争の中でスマホがどう生きてゆくか、5Gの登場はさまざまな分野で大きな影響を与えそうだ。

 モノづくり強国として世界を席巻した日本は今後、モノとネットをつなぐ競争の中で勝ち抜く道を探さなければならないわけだ。
【財界 2018年10月23日号 第481回】

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嶌信彦の一筆入魂

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