時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

コロナ対策 連休までが勝負だった!  国民の不満・ストレス高まるばかり

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菅義偉首相は、政権発足当初から「第一の仕事はコロナウイルス感染の収束だ」と宣言していた。しかし、日本のコロナ禍は依然、収束にはほど遠く、より強力な変異ウイルスの流行も現実化してきた。ワクチンの開発で遅れをとり、さらに政府と医療業界、製薬会社などが一体となって感染対策への戦略を実施しているようにもみえない。国民は不安とストレスを感じたままコロナ対策への展望を見出せず2年目を迎えている。政府は口でいうだけでなく、コロナ対応戦略の本気度を示すためには医療業界、医者、医療機関などを具体的プロジェクトで引っ張っている姿をみせるべきだろう。

 

 

続きは、本日配信のメールマガジンまぐまぐ」”虫の目、鳥の目、歴史の目”にてご覧ください。(初月無料)

 

画像:PhotoAC  (Hadesさん)

五輪中止の決断を早めに 無観客では悪評残るだけ

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 今年夏の東京五輪パラリンピックは、勇断をもって中止にすべきではないか。すでに日本政府と東京都、大会組織委員会は、この3月20日国際オリンピック委員会IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)を交えた五者協議で海外からの一般観客の受入れ中止を正式に決めた。新型コロナウイルスの世界的拡大がいまなお続き、大規模に海外観客を受け入れれば大会の安全確保が難しいと判断したためだ。


 しかし、海外客を受け入れず、観客を国内に限定すれば安全な開催が可能とも思えない。コロナ感染拡大のリスクは減少できるが、“密”な状況を取り除けるわけではないとわかっているからだ。だから観客数の上限を検討中で、今のところ観客収容数を50%以内にする方向で調整していると聞く。ただ、どの程度リスクを減らせるか、といった議論を行なっているフシは全く聞こえてこない。


 結局、議論の根底にあるのは、チケット収入の減収やオリンピック期間前後の外国人観客数の減り具合の懸念なのだ。五輪組織委では国内外から制限なく観客を受け入れた場合、チケット収入を900億円と見込んでいたが、海外客が来なくなれば150億円規模の減収となり、何よりも気にしているのは、観光収入の落ち込みだ。過去の統計などからみるとインバウンド(訪日外国人)の消費額は少なく見積もっても1500億円程度は見込めるとしていたし、再び世界に日本の観光、文化、和食などを売り込み、日本ブームの再来を期待していた。五輪中止となり、経済効果も見込めなくなったら菅内閣の存在意義が問われることになろう。GoToキャンペーンに最後までこだわったのもコロナ対策より経済への悪影響を恐れたからだった。


 ただ国内観客に絞ったとしても、五輪・パラの参加選手は約1万5千人、大会関係者は数万人規模となる。だが選手や関係者にワクチン接種を義務付けておらず、厳格な検査で感染を抑制する対策なのだという。しかも現在、出場が確定したのは自転車、馬術、ホッケー、バレーボール、ソフトボールなどで1月末時点ではなお4割が未確定なのだ。選考の延期や中止が続いており、候補選手や五輪を盛り上げる国内の聖火リレー候補者の辞退も出ている。また新聞通信調査会の海外5ヵ国の世論調査では「中止または延期すべきだ」との回答が全ての国で70%を越えた。


 五輪のスローガンは世界中から集まった人々が相互理解を深めて平和な社会を目指すというものだが、インバウンドだけでなく感染が広がれば無観客の想定もあり得る。海外客を入れない真夏の東京五輪の開催は歴史に悪評を残す結果になるのではないか。

【財界 2021年5月12日号 第541号】

画像:flickr Dick Thomas Johnson氏(Tokyo 2020 Olympic Games: Monument of Olympic Rings

 

嶌が過去に記した東京で開催されるオリンピックに関するコラムは以下を参照ください。

分断化で取り残される階層 資本主義社会の危機も・・・

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 2005年から約20年にわたりドイツの首相を務めていたアンゲラ・メルケル女史がまもなく政界を引退する。メルケル首相はここ20年のドイツを牽引してきただけでなくヨーロッパ連合EU)のリーダーとして世界に存在感を示してきた女性政治家だった。ヨーロッパはドイツだけでなく、イギリス、フランス、EU委員長なども新しい顔ぶれに代わり、メルケル後のヨーロッパの求心力はどこへ移るのか、アメリカ、ロシア、中国など世界中が注視している。

 メルケル氏は牧師の長女として1954年にハンブルグで生まれたが、生後まもなく東ドイツへ移住し、東ドイツで育った。小さい頃から成績は優秀で全科目ともトップクラス。特に数学、物理学、ロシア語に優れていた。ライプツィヒ大学卒業後、東ベルリンの科学アカデミーに就職し理論物理学を研究し博士号を取得している。その時代に最初の夫ウルリッヒメルケル氏と結婚した。1989年ベルリンの壁が崩壊した時、友人達と初めて西ベルリンに入ったが、その時は35歳でまだ一般の女性だった。

 その後政治の道に入り、東西ドイツ統一後のキリスト教民主同盟(CDC)に入党、90年の連邦議会選挙で初当選すると第四次コール政権の女性・青少年問題担当相に抜擢され、以後もコール首相に見込まれ“コールのお嬢さん”などと呼ばれた。政界入りしてから着々と実力を発揮しやり手の政治家として注目され、最近は“ドイツのお母さん”と言われている。05年の総選挙勝利後CDU・CSUキリスト教社会同盟)、SPD社会民主党)が大連立を組みメルケル氏がドイツ初の女性首相に就任した。その後の選挙では第一党になるものの、単独過半数には至らず常に連立を組んで政権を維持してきた。

100万人を越える難民受け入れや原発の廃止、ウクライナ危機におけるロシアとの停戦協定実施、保育園の増設など共働き家庭への支援、ギリシャ危機への対応――などを決断してきた。支持率は40%台に低下したこともあったが概ね60%前後を維持し安定政権を続けた。ギリシャなどに緊縮財政を要求し、“浪費は罪深く、借金の返済は道徳的義務だ”と述べると、一部の学者から“他国にモラルを押し付け、緊縮財政を強要している”と批判されたりしたが妥協しなかった。また無類のサッカーファンであることも有名だ。

 ベルリンの壁崩壊後は、世界経済のグローバル化が急速に進んだ時代だった。資本主義、自由主義社会の危機にまでつながる可能性を指摘する声も出ており、メルケル後のドイツのリーダーは責任が重い。 
【財界 2021年3月10日 第537回】

 

■補足情報
・ドイツの連立与党、支持率が過去最低に落ち込む-世論調査 Bloomberg 2021年5月10日

ビルト日曜版の委託でカンターが実施している週間世論調査によると、9日公表の調査結果でドイツの連立与党、キリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟CSU)の支持率は前回の24%から23%に低下し過去最低。緑の党は1ポイント下げて26%になったものの、全国レベルで約2年ぶりの最高水準近くを維持している。 


画像:Wikimediacommons 「ベルリン国会議事堂」Arnoldius 

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:料理研究家でNPO法人「ビッグイシュー基金」共同代表 枝元なほみ氏 音源掲載

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は料理研究家NPO法人ビッグイシュー基金」共同代表 枝元なほみ氏をお招きした一夜目の音源が掲載されました。radikoで日曜までお聞きいただけます。

父は会社員、母は小学校の教員の家庭に育ち、子供の頃は「家族内突然変異」と云われ、学生運動の最後のバリケード封鎖を経験し、卒業間際に劇団で役者兼賄いを務めるかたわら、料理の世界に足を踏み入れ、食や貧困問題にまで関心を持つようになった経緯についてお伺いしました。

枝元氏のレシピ本や共同代表を務められている「ビックイシュー」は以下リンクを参照ください。

最新号のビックイシューは、以前ゲストにお越しいただいた田中泯氏と柳楽優弥氏のスペシャルインタビューが掲載されております。合わせてご覧ください。


次週も引き続き枝元氏をお迎えし、新型コロナウイルス禍で生活困窮者が増える中「ビッグイシュー日本」が始めた「夜のパン屋さん」の活動に関わり事業を企画した目的や、雑誌「ビッグイシュー日本版」に連載している名物コーナー「ホームレス人生相談」について伺う予定です。

 

2日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:「イチローズモルト」の生みの親 肥土伊知郎氏 二夜目音源掲載

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2日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は「イチローモルト」の生みの親・ベンチャーウイスキー社長 肥土伊知郎氏をお招きした二夜目の音源が掲載されました。radikoで日曜までお聞きいただけます。

廃棄寸前だった原酒をもとに「イチローズ・モルト」の第1号が産声を上げたあと、自ら2000軒ものバーを回り販路を開拓、その名を世界にとどろかせるまでのパッションや夢についてお伺いしました。

本放送でご紹介がありました西武ライオンズイチローズ・モルトのコラボレーションウイスキー「ライオンズオリジナルイチローモルト」に関する情報は以下を参照ください。


一夜目は江戸時代創業の酒の蔵元に生まれ、大手洋酒会社に入社、家業の酒造会社に戻るも業績不振で他社の手に・・・

世界の3000種類を超えるウイスキーを6000杯あまり飲んだ末、当時、ウイスキーの人気がなく廃棄寸前だった400樽の原酒を手にして迎えた転機について伺いました。


番組サイトでは、蒸留所の画像と上梓された書籍をご紹介しております。


次週は、料理研究家枝元なほみ氏をお迎えする予定です。

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:「イチローズモルト」の生みの親 肥土伊知郎氏 一夜目音源掲載

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は「イチローモルト」の生みの親・ベンチャーウイスキー社長 肥土伊知郎氏をお招きした音源が掲載されました。radikoで日曜までお聞きいただけます。

江戸時代創業の酒の蔵元に生まれ、大手洋酒会社に入社、家業の酒造会社に戻るも業績不振で他社の手に・・・

世界の3000種類を超えるウイスキーを6000杯あまり飲んだ末、当時、ウイスキーの人気がなく廃棄寸前だった400樽の原酒を手にして迎えた転機について


番組サイトでは、蒸留所の画像と上梓された書籍をご紹介しております。


次週も引き続き肥土氏をお迎えし、廃棄寸前だった原酒をもとに「イチローズ・モルト」の第1号が産声を上げたあと、自ら2000軒ものバーを回り販路を開拓、その名を世界にとどろかせるまでのパッションや夢についてお伺いいたします。

18日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:品川区の町工場 東亜精工社長  濱田次郎氏 二夜目音源掲載

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18日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は品川区の町工場 東亜精工社長  濱田次郎氏をお招きした二夜目の音源が掲載されました。radikoで日曜までお聞きいただけます。

父が亡くなる前「工場を継ぐのはお前だ」と言われ50歳にしていきなり訪れた転機。工場を継ぐ決意をするまでの心境や、今でも毎日工場で製品作りを学びながら、自分の中であたためていると仰る夢や、創業100年に向けての意気込みなどについて伺いました。

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radiko.jp



日本が誇る技術を継承する品川区の町工場の次男に生まれ、工場を継ぐことは夢にも考えず、ビリヤード、プールバー、ファッション業界、飲食業界、会社経営など、小さい頃から好きなことにいそしんできた人生に、転機が訪れるまでについて伺いました。



東亜精工様のホームページは以下を参照ください。


次回は「イチローモルト」で知られるベンチャーウイスキー社長の肥土伊知郎氏をお迎えする予定です。

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