「日本の労働就業者は今後約20年で3%、167万人減少する」
「建設業で働く人はピーク時の4分の3にあたる500万人に減った」
「団塊世代が75歳以上になる25年後には、介護サービスの働き手は100万人以上不足する」
「今後、移民を20万人以上受け入れ、出生率を2.0人以上に回復させれば、何とか100年後の人口は1億人を保つ。今のままの出生率で、移民も受け入れなければ2100年の日本の人口は4700万人に減る」
「主要国の人口に占める外国人の割合は、アメリカ13.8%、ドイツ13.2%、フランス10.3%、イギリス10.4%、イタリア7.4%に対し、日本は1.7%と極端に少ない」
労働者数でみても、日本で働く外国人労働者は約72万人弱で、日本の労働力の約1%だ。アメリカの16%、ドイツの9%、イギリスの7.5%、フランスの6%などと比べて最低で、隣の韓国も3%だ。
外国人労働者受け入れの議論は昔からあった。とくに高度成長期に入り日本人の生活が豊かになってくると、日本人は「きつい、汚い、危険」のいわゆる〝3K〟の単純労働を敬遠し、その分野で、外国人労働を入れるようになってきたのだ。それでも外国人を入れると日本人の労働条件が不利になり、治安問題や文化摩擦、偏見・差別なども懸念され、きびしく規制されてきた。
しかし、近年になって人口減少が大きく進み、高齢化で働き手が少なくなってきたため規制をゆるめている。かつては期間限定の単純労働しか認めなかったが、その後「永住は認めない技能実習制度」を許可、さらに実習終了後の再就労、そして現在は最長就労3年間だが実習後に追加2年、帰国した人は3年間の再入国を認める──などとなり、現実には滞在延長を黙認するケースがふえているという。それでも介護士試験は難しく、採用の国家試験合格率は4割と低く問題視されている。
しかし最近は東北復興やオリンピック需要で人材が不足、加えて団塊世代の退職でベテラン技術者も減って賃金が高騰、入札不調が続いたり、建設の有効求人倍率が2.94倍にハネ上がったりしている。
そこで安倍内閣は6月の成長戦略に家事、介護、建設分野に「外国人材の仕組みを検討するよう」指示した。しかし今や先進国では、どこも少子高齢化が進み中長期的な労働力不足が見込まれて外国人雇用の獲得競争が激しくなると予想されている。日本はこれまで外国人受け入れに消極的だったが、今後は招いても来てくれない懸念だってあるのだ。
日本で働く外国人にとって日本語や文化、習慣のカベが大きく偏見も少なくない。「外国人に気持ちよく熱心に働いてもらう仕組み」づくりはまず日本語と日本文化の習得だ。そのためには新興国にできるだけ多く日本研修センターをつくり、そこを終了した人に差別的でない労働条件で働いてもらう工夫をすべきだろう。日本が好きで働きたい人がふえれば新興国との関係強化、改善にもつながろう。
【財界 春季特大号 第374回】