本日のトークファイルの内容~ギリシャ国民の資質~
スタッフです。
本日の「森本毅郎・スタンバイ」のトークファイルの音源が掲載されました。要約は以下の通りです。
テーマ:今こそ問われるギリシャ国民の資質
ギリシャはヨーロッパ文化発祥の地。数学などの学問が栄え、オリンピックも発祥の地として世界から敬意を表されてきた。これまでデフォルトと言えばアルゼンチンであったが、これからはギリシャとなるだろう。今は踏ん張り時であるが、どうしてこうなったのかを国民性や過去の歴史からギリシャという国を考えてみたい。
まず、面白いデータを紹介したい。アメリカのピューリサーチセンター(Pew Research Center)という調査機関が2012年にEU加盟国を対象に意識調査を実施した。その中のEUで最も怠惰、勤勉な国はどこかという質問に対し、ドイツを含めた5ヵ国が最も怠惰な国はギリシャと回答した。それに反し、ギリシャ自身の回答は最も勤勉な国はギリシャだと回答。ギリシャは怠け者であるというレッテルを張られているようだ。
※ピューリサーチセンター(Pew Research Center) サイト(参照先は英語)
実際はどうなのかということをOECDによる2014年の年間平均労働時間調査からみてみたい。加盟国の平均は1770時間。ギリシャは2042時間、ドイツは1371時間、日本は1729時間。ここから鑑みるとギリシャの労働時間は平均以上で働いているようにみえるが、生産性が悪いのではないかと思われる。
以前ギリシャを訪れた際、現地ギリシャ人が観光に合流していたのだが観光案内をそのギリシャ人がするわけでなく同行の日本人が行い、ギリシャ人はただついてきているだけということがあり、あまり働かないのかなというい印象をもった。また、パルテノン神殿の工事の写真を10年前と比較してもあまり変化がなく工事の進捗がないように感じられる。そこからも、効率の良い働き方がされていないように思われる。
ギリシャは古代紀元前ローマと並び有名で、その後はトルコ、ローマ、ドイツとの戦争に負けてきた。都市国家としてアテネ、スパルタを擁し、都市同士のアイデンティティはあるが、ギリシャという国となるとなかなかアイデンティティがないと言われる。ローマは逆で都市国家であるにも関わらず、ローマという国を作り東ローマ帝国が繁栄した。ギリシャは戦争で敗れたことで一生懸命働いても下層民に扱われ、豊かな人はどんどん国外に出て行き、貧しい人が残るという国になったようだ。現在のギリシャ人は、もともとのギリシャ人ではなく、アラブ、エジプト、スラブ、ラテン、トルコといった民族が集まった民族構成となっている。そのため、国家として頑張ろうという意識が希薄になってきたのではないか。
ギリシャは温暖で果物も豊富で、あまり働かなくとも食べていけるのかもしれないがギリシャには頑張ってほしい。ギリシャはヨーロッパを生んだ一つの文明の水面の国でもあるので、デフォルトと言われるのは非常に寂しい。
日本も過去に明治維新、敗戦直後といった困難な時期を乗越え、頑張ってきた。それと同様にギリシャには本当に頑張って欲しい。
ギリシャは借金大国と言われるが、日本は経済大国となったものの今や1千兆円もの世界一の借金大国でもある。ギリシャをみてわが身を振り直すということを考えていかないと日本も大変なことになるだろう。「昔の日本は第二位の経済大国だったが今はどうなんだ」と言われないようにしないといけないと語っております。