時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

本日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~重大ニュースから一年を振り返る~

スタッフです。
本日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の音源が掲載されました。要約は以下の通りです。

テーマ:特別編。今年注目したニュースを振り返る。

森本様と遠藤様は本日お休み。TBSラジオ中村尚登様とTBSアナウンサー秋沢淳子様とお届けいたしました。

 

慰安婦問題を巡る日韓合意
本日は今年の重大ニュースを振り返りをお届けしたいが、その前に昨日仕事納めに入ってきた「慰安婦問題を巡る日韓合意」という大きなニュースにふれたい。これについては基本的に良かったと思う。日韓基本条約は岸首相(当時)と朴正煕大統領(当時)が結び、岸氏の孫である安倍首相と朴正煕の子供である朴槿恵大統領の時にきちんと決まったということは良かった。蒸し返さないでほしいと思うし、本当にもう蒸し返さないということが決まればこんなにいいことはないと思う。

ただ、気になるのは両国の右派の人達が本当にこれで満足するのかどうなのか。それぞれ国内を治めていけるかどうなのか、というところが両国にとっての大きな問題であると思う。新年はそこに向けた動きとなってくるだろう。


安保法案成立・戦後70年
さて、今年の重大ニュースに入りたい。まず1つ目は「安全保障関連法案の成立」。この問題は非常に大きかった。今年は戦後70年ということで70年問題の総括ということも含めてあったのだが、安倍首相が衆議院で十分な議席数があるので、もし参議院で可決しなくとも衆議院に戻してしまおうということがあったと思う。例えば「安保関連法」は「改正武力攻撃事態法」など10本を一括した「平和安全法制整備法」という形でまとめた。まとめたのはよいが、あまりに本数が多く、1つ1つの議論がうまくかみ合わなかった。国民の間でも過半数以上の人が「どうもよく理解できなかった」という不満を持っている。この問題を今後どのように考えてゆくのか、ちょっと拙速だったのではないか。

私は70年問題というからには、戦後70年を踏まえ、単なる安保法制の問題ではなく、中身、経済面、政治面においてもっと総括された70年問題の議論にして欲しかった。きちんとやって欲しかったが、この背後にはアメリカの強い要望として、日本、韓国、両国が仲良くしないとだめだということがあり、その力が働いたのだと思う。


テロ・難民
続いては「テロ」。IS(イスラム過激派組織)の問題は非常に大きく、パリの同時多発テロ、中東からの難民は100万人を超え、難民問題はいまだに解決がついていないというのが実情。日本では来年サミットが開催される。日本はこの問題が遠いように思えるかもしれないが、かつてイギリスでサミットが開催された時にロンドンでテロがあった。

決してこれは他人事ではないと考えなくてはならないと思う。背後には単なる「IS」だけの問題ではなく、貧困や二極化の問題があるんだということも我々は考えておかなくてはならない。大統領選候補者に名乗りをあげているトランプ氏の差別的な発言、ヨーロッパでの難民を各国で分けようという話や右派の正統が勢力を伸ばしているなど、難民問題は十分に考えていかなくてはならない。


爆買・外国人旅行客急増
続いては、「爆買」と「外国人旅行客の急増」。これは非常によかったと思う。今年日本を訪れた外国人は過去最多の1900万人。昨年1341万人であるから600万人も増加した。今年7-9月の外国人の消費総額は前年同期比で「8割増」の1兆9億円。このうち半分を中国人が占めている。今、日本は景気が良いのか悪いのかわからないところだが、こういった海外からのお客様が来て、日本のモノを買ってくれる。

そして、日本のモノはいいものだと認識。日本に来ると、清潔で、住みやすい上に、安全、安心と感じ、1度来たらまた来たいとという人が多く、日本の評判を高めた。今後も外国人が日本に沢山来てくれるということが非常に重要になってくるというように思う。

貿易はモノを買うだけじゃなく、観光やソフトなどが大きな貿易となり、日本のGDPの6割以上がサービス産業が占めるようになってきている。そういう実態が貿易にも表れてきている。これからアジアの中間層を増えることが見込まれているので、海外から来た方々をどうもてなすかということを真面目に考える必要がある。

 

ノーベル賞受賞
その他に「日本人のノーベル賞受賞」。大村智氏(医学生理学賞)、梶田隆章氏(物理学賞)が今年受賞。日本人の歴代受賞者は24人となり、ノーベル賞の常連国となってきた。基礎科学だけではなく、大村氏が開発した薬で何億人もの命を救い世界に役立っている。これからもノーベル賞を取り、日本は経済だけではなく文化、学問などでも貢献しているということをみせていきたいというように思う。

 

スポーツ
そして、「スポーツ」もいろいろあった1年。一番嬉しかったのはラグビー。ベスト8には入れなかったが、これまでワールドカップで1勝しかできなかった日本が3勝。私は全てのゲームをテレビにかじりついて見たが、涙が出てくるほど嬉しかった。2019年の日本で開催されるワールドカップではもっと頑張って欲しい。

こういった嬉しいニュースの一方では、FIFAの汚職、巨人軍の賭博、東京オリンピックの国立競技場やエンブレム問題など嫌な話題もあった。スポーツはさわやかにやってほしいなと。

 

その他
このほかに重大ニュースに入れてよいのは「TPP」。基本合意が行なわれたがまだアメリカは反対している所もあるようなので余談は許さない。それから、「軽減税率」の問題。ややこしい問題もあったが、自公が合意した。これから税金の問題を考える時には「公平・公正・簡素」そして「財政再建」という原則を忘れずに考えて欲しい。この問題に関し、アメリカは批准するのかどうなのかということが気になる。

さらに言うと北陸新幹線が開通したことも大きい。もう一つ気になることとしては、自然災害が非常に大きい。50年に1度、70年に1度の災害はずっと先の事だと思っていたが、昨日の話、一昨日の話が50年に1度、70年に1度のように大きい災害が来ると認識し、もっと気をつけなくてはならないというように思った。

 

電子書籍発売
個人的な重大ニュースとしては、9月末に出したノンフィクション「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」(角川書店)が12月25日に電子書籍として発売された。私は電子書籍は自分とは無縁だと思っていたが、電子書籍について勉強していなかくてはと思っている。キンドルAmazon)等で読めるようです。今書店にあまり在庫がないので、ぜひ電子書籍で読んでいただけると幸いです。

毎年言っているが、来年こそいい年でありますように。皆様良い年をお迎えください。

 

電子書籍の詳細に関してはこちらを参照ください。

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