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アフガンで旧タリバン政権が復活 アメリカの新政権作りは失敗に

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 アフガニスタンの旧支配・反政府勢力タリバンは、8月15日に首都カブールを制圧し勝利宣言を行なった。ガニ大統領は国外へ逃亡した。2001年9月11日、国際テロ組織アルカイダによるアメリ同時多発テロが発生した際、アフガニスタンタリバン政権が国際テロ組織アルカイダの指導者ビン・ラディンの引き渡しを拒否したため、米英が空爆を行ない、タリバン政権を崩壊に導き、翌年米軍がビン・ラディンを捕まえて殺害した。

 この時、国連安保理アメリカと同盟軍に同時多発テロに対する反撃を容認し、アフガン戦争が始まった。同盟軍と政府軍はテロ組織アルカイダとかくまったタリバンを攻撃し、治安維持を目的に多国籍部隊が駐留しテロとの戦いに突き進んだ。同時多発テロ発生時のブッシュ米政権は、イラクとの戦いに戦列を広げ、その後のオバマ政権はビン・ラディン殺害に成功し、16年末までに米軍を撤収すると約束したが、アフガンの国家再建には関心を示さなかった。

 アフガンの再建が機能せず、長い戦争に飽きたアメリカは、トランプ政権時に米軍の撤収を急ぎ、バイデン政権もその方針を踏襲した。アメリカは2002年以降、合計880億ドル(約9兆7000億円)の援助を行ない、治安部隊の強化にも力を入れたが結局功を奏さなかった。アフガン政府の治安は乱れ、腐敗もひどくなったからだ。逆に旧政府軍のタリバンが農村部を中心に支配を固め、各州を次々に陥落させていった。政府軍兵士は約35万人といわれたが、兵士8万人程度のタリバンに次々と攻略され、遂に2020年にアメリカは21年5月までの米軍撤収を柱とする和平合意に応じた。この合意に基づきタリバンとアフガン政府が協議を開始した。しかしバイデン新大統領が8月末までに米軍の完全撤収を行なうとの前倒し宣言をすると、タリバンは8月15日に首都カブールを制圧し、勝利宣言を発表するに至ったのである。

 この戦争の20年の間、ロシアなど多くの国はアメリカの軍事行動に反対しなかった。ロシアは「新タリバン政権との友好関係に確信を持っている」と言い、中国は「タリバンは中国を危険にさらすといかなる勢力に対してもアフガン領土の利用を許さないと約束しており、中国はこれを歓迎する」と述べていた。日本はタリバン政権崩壊以降の2001年から「再びテロの温床にしない」ことを目的として農業、インフラ、治安、医療などの支援を続けていた。これまでの支援実績は68億ドル(約7500億円)に上っており、茂木敏充外相は、21年から24年まで年に1憶8000万ドル(約200億円)の支援を続けると約束している。

 今後の焦点は権力を握ったタリバンが新しい国家体制をどう進めようとしているかということだ。今のところタリバンは完全な勢力の掌握を目指し、全てのアフガン人を含む包括的な政府づくりを目指す」と主張しているが、本当に人権を尊重し言論の自由なども保証するのかどうか、だ。女性の教育の機会を制限したり、言論を統制し旧タリバン政権時代のような強権的な旧タリバン政権時代に逆戻りするようなことがあれば、これまでの努力や国際社会が注ぎ込んできた多額の資金や民主化への支援は一挙に水泡に帰してしまうこともあり得るのだ。この20年で民主化が少しずつ広がり、女子教育も保証されつつあるというが、一方でアフガンが再びテロの温床になる危惧も根強くある。

 アフガン問題はアメリカの威信低下を加速させ、米兵2400人を犠牲にしてアメリカ主導の民主化と国の再建は失敗に終わったと世界はみている。はたしてアメリカと国際社会は、今後アフガンとどう付き合い、再建に成功するのかどうか、まだまだ道のりは遠いというのが実情だ。

■参考情報
アフガニスタンから米軍撤退完了 「最も長い戦争」に終止符
 2021年8月31日 NHK 
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210831/k10013233751000.html

 

・バイデン大統領 “アフガン 単独でなく国際社会とともに関与”
 2021年9月1日 NHK
  https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210901/k10013236431000.html

・【独自】自衛隊機、アフガン人協力者は取り残されたまま撤退へ…準備の遅れが響く
     2021年8月31日 読売新聞
     https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210830-OYT1T50340/

 

画像:wikimedia commons(カーブルでインタビューを受けるビン・ラディン/1997年

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