時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

7日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30~ ゲスト:荒俣宏様(作家)二夜目

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日曜(7日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はゲストに作家の荒俣宏様をお迎えした二夜目をお届けいたします。

大学卒業後に魚が好きで入った漁業会社で任された驚きの仕事内容や、退社後「帝都物語」をヒットさせ百科事典を作るなど、意外な経歴についてもお伺いする予定です。

前回の小学生の頃に貸本屋で毎日のようにマンガを読みふけり、マンガ家になるのが夢だったという荒俣様が「知のモンスター」になっていくまでの人生観につきお伺いした放送音源は来週水曜正午までお聞きいただけます。お聞き逃しの方はぜひご利用いただけると幸いです。

 一部ではありますが、荒俣様が上梓された書籍をあわせてご紹介いたします。

現在、荒俣様は京都国際マンガミュージアムの館長を務めていらっしゃいます。さまざまなトークショーやイベントなどが催されており、海外から来場される方も多いミュージアムです。詳細は、以下リンクを参照下さい。

京都国際マンガミュージアム

独裁者好みのトランプ大統領 

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 最近、国際社会でまた独裁的政権が目立ってきた。カンボジアでは7月29日の総選挙でフンセン首相が率いる与党・人民党が全議席を獲得したと発表、完全な一党独裁国家となった。カンボジアは自国民を虐殺したポルポト派の長い支配の末、1993年に国連の下で総選挙を実施して、民主化の道を歩み始めていた。

 しかしライバル不在のまま33年間、首相の座にいたフンセン氏は「あと10年は首相を続ける」と公言、欧米からは「今回の選挙は自由でも公正でもなかった」と批判された。日本は河野太郎外相(※)が遺憾の意を表明したものの、自民党は祝辞を送るなどチグハグな対応をみせている。

 拘束されたアメリカ人牧師の解放問題でもめているのがトルコのエルドアン大統領とアメリカのトランプ大統領だ。両国は経済制裁を応酬し合い、トルコ・リラは13日に一時過去最安値を更新した。この対立を受けて新興国の通貨も動揺し安値に陥っている。

 このほかドゥテルテ大統領の率いるフィリピン、ロシアのプーチン政権、東欧諸国なども独裁化が進んでいる。そして何より“アメリカ第一”を唱えるトランプ政権は多国間の貿易協定や人権協定を無視し、トランプ氏が得意とする“ディール(取引)”で相手国に有無を言わせない譲歩を狙う手法を多用化している。

 一方で国力をつけてきた中国も習近平政権が独裁的傾向を強め、アメリカとの貿易、ハイテク争いを巡って一歩も引かず米中貿易戦争の様相までみせてきた。中国は、この10年で実質2倍以上に増えた軍事費で、いまや世界第2位の軍事大国となった。これにつれてロシア、中東各国、東南アジア諸国も軍事費を増やし続けている。多い軍事費を持った政権は独裁化しやすいのだ。

 独裁化は右派政権でも左派政権でも起こり得る。当初は汚職の撲滅や低所得者層への生活支援、治安の改善など大衆受けするポピュリズム政策の実現を訴えるのが常套手段だが、政権が力を持ってくると、結局汚職が横行したり、貧困と格差が目立ってくる。

 2018年は中南米で選挙が相次いだ。ベネズエラ、コロンビア、メキシコでは資源価格の高騰などで汚職が横行して争点になったが、10月のブラジル大統領選挙でも左派のルラ前大統領は人気は高いものの汚職で収監された。代わって元軍人のボルソナロ氏が有力とされるが“ブラジルのトランプ”と呼ばれる人物だ。

 中南米は地理的にアメリカの裏庭にあたり、中国やロシアが関心を持つ。しかもトランプ大統領は4月の米州首脳会議に米大統領として初めて欠席するなど微妙な関係にある。その隙を縫って中国は経済協力をテコにパナマと国交を樹立したほかアルゼンチンの大型プロジェクトに協力。カリブ海のドミニカにも手を延ばし、台湾と断絶させて中国との国交を樹立させている。

 独裁化は国民を抑圧するだけでなく、時として国家関係さえも危うくしてしまう力を持つことがしばしばあるのだ。トランプ大統領は、金正恩朝鮮労働党委員長を「好人物だ。我々のケミストリーは素晴らしく合う」「プーチン大統領を尊敬している。彼はG8にいるべきだ」と強権的指導者に親しみを込めた賛辞を送り、同盟国を戸惑わせている。安倍首相は強権的指導者とケミストリーは合うのだろうか? 
【電気新聞 2018年9月20日

(※)本記事は10月2日の新組閣前の9月20日に掲載されたものです。

「平山郁夫と旅するシルクロード」展が10日から帝京大学総合博物館にて開催

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スタッフからのお知らせです。
帝京大学総合博物館(東京都八王子市)にて、10月13日から「平山郁夫と旅するシルクロードースケッチブックのなかの対話ー」が開催される運びとなりましたのでご案内いたします。

今回、平山郁夫シルクロード美術館(山梨県北杜市)が所蔵するスケッチや現地で収集された切子や置物などが展示されており、シルクロードの雰囲気に触れることが出来ます。さらに、帝京大学シルクロード学術調査団がキルギス共和国にて発掘調査を進めている、東西の結節点として栄えた交易都市のひとつである「アク・ベシム遺跡」についても合わせて紹介されています。

平山様は1959(昭和34)年に第44回院展で入選した「仏教伝来」が美術評論家・河北倫明氏の新聞評で名を馳せ、その後、シルクロードへの旅を重ねていきました。 当時、戦後の混迷期で日本画滅亡論が叫ばれ、勤労動員時に被爆した原爆症により命の危険と隣り合わせでもありながら、独自の表現の模索を続けていました。この作品で独自の表現を掴み、以後「釈迦の伝記である仏伝」を題材に独自の画風を確立しました。シルクロードへの旅は130回を超え、その間に2万点にものぼるスケッチが描かれています。

かつて商品が行き交い、仏教を始め東西の文化が交流したシルクロードは日本文化の源流であり、平和の象徴でもあると生前、平山様は述べておりました。2002年には私財を投じてウズベキスタンタシケント市に文化遺産の調査・研究・研修・展示施設「国際文化キャラバンサライ」を開設されています。

貴重なスケッチが直接拝見できる貴重な機会ですので、ぜひ足を運んでいただけると幸いです。関連するさまざまなイベントがあるようですので、詳細は以下リンクを参照下さい。

会期:2018年10月13日(土)~12月15日(土)
開館時間:9:00~17:00(16:30最終入館)
開館日:月曜日~土曜日
休館日:日曜日、祝日、その他大学の定める休日
料金:無料
場所:帝京大学総合博物館(東京都八王子市大塚359 八王子キャンパス ソラティオスクエア B1)

 

ドイツ最大の“難題”はトランプ氏

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「ドイツ人が恐れる最大の脅威は、アメリカのトランプ大統領だ」――ドイツが毎年行なっている世論調査「ドイツ人の最大の恐怖」の18年版にこんな結果が出て、EUの人々を驚かせている(ニューズウィーク誌9月18日号等)。

2400人を対象にしたR+V Versicherungenの世論調査の結果で、過去2年間トップだった「移民流入(63%)」「ユーロ圏の債務危機(58%)」「テロ(59%)」などを抑えて69%となり、1位となったのだ。トランプが1位になったきっかけは、リーマン・ショックだったようだ。そんな時期に何をするかわからないトランプ大統領が登場し、ますます先が読めなくなったと感じたのではないか。

リーマン・ショックアメリカの大手証券「リーマン・ブラザーズ」が10年前に破綻して世界中の景気が「100年に一度の危機」といわれるほどおかしくなった事件だった。当時のアメリカは好況で低所得者層も「サブプライムローン」という高金利の住宅ローンを借りて住宅価格の高騰を期待し、多くの人が借りた。

しかし、住宅価格は期待以上に上昇せずローンを返せない人が続出した。しかもその住宅ローンを世界中の金融機関も「将来はトクする」と購入していたが、結局当てがはずれ住宅ローンを返せなくなる人が続出。その結果、世界中の住宅バブルの崩壊でリーマンが破綻しただけでなく、他の金融機関も巨額の損失を抱え込んだ。米のGMが破綻したばかりでなく、リーマンは世界不況に広がり人々の夢と暮らしが次々と崩壊し、再び失われた10年に脅える結果となる。

幸い日本は他国ほど資産の余剰がなかったため、他国に比べ比較的軽度の損害で済んだ。しかしアメリカでは派遣社員の雇用を打切る「派遣切り」で失業者が増大し、各国政府も派遣切り競争に走ったのだ。この結果、アメリカでは多くの失業者を生み、低所得者向けのフードスタンプ(食料費補助)まで発行されたほどだった。

その後は世界的な超低金利政策、雇用対策などで徐々に世界景気は回復してきたが、トランプ米大統領の登場でEUとの関係がガラリと変わった。ドイツの経済政策を名指しで批判し、ドイツの防衛費負担の増大やアメリカの貿易赤字削減への協力を強く要請して米独関係を一挙に悪化させた。

ロシアからガスを輸入するドイツのパイプライン計画に対しても“ドイツはロシアの捕虜”だと主張。米国製の防衛装備品の購入を求めGDP比4%の国防費増大を迫った(日本は0.9%)。それが出来ないなら安全保障上の脅威をタテに自動車への高関税をかけると脅しているのが実情なのである。トランプ氏の“アメリカ第一主義”が世界秩序を壊し始めているといえよう。

ただマクロン仏大統領やイタリアのコンテ首相らは、NATOの会議で新たな合意などはなかったと証言している。もし、アメリカの要求が事実なら日本の防衛費のメドはGDP比1%で、2017年度は0.9%にすぎなかったから、4%を求められているドイツとの差は大きく、今後日本に購入増大を迫る可能性が強い。通商と安保を絡ませてくるトランプの手法には批判は強いが、TPPや環境のパリ協定からも次々と離脱するアメリカのやり方に各国とも頭を痛めている。

その割れ目に入り込んできているのがロシアと中国で、70~90年代の冷戦とはまた違った危険をはらんできたとみることもできる。
【Japan In-depth 2018年9月26日】

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30~ ゲスト:荒俣宏様(作家)音源掲載

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はゲストに作家の荒俣宏様をお迎えしました。番組サイトに放送音源が期間限定で掲載されました。来週水曜正午までお聞きいただけます。

小学生の頃に貸本屋で毎日のようにマンガを読みふけり、マンガ家になるのが夢だったという荒俣様が「知のモンスター」になっていくまでの人生観につきお伺いしました。語学が堪能になられたきっかけや、幼少期の転居の話などもして下さいました。

次回(7日)も引き続き荒俣様をゲストにお迎えし、大学卒業後に魚が好きで入った漁業会社で任された驚きの仕事内容や、退社後「帝都物語」をヒットさせ百科事典を作るなど、意外な経歴についてもお伺いする予定です。

 一部ではありますが、荒俣様が上梓された書籍をあわせてご紹介いたします。

現在、荒俣様は京都国際マンガミュージアムの館長を務めていらっしゃいます。さまざまなトークショーやイベントなどが催されており、海外から来場される方も多いミュージアムです。詳細は、以下リンクを参照下さい。

京都国際マンガミュージアム

30日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30~ ゲスト:荒俣宏様(作家)

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日曜(30日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はゲストに作家の荒俣宏様をお迎えいたします。

小学生の頃に貸本屋で毎日のようにマンガを読みふけり、マンガ家になるのが夢だったという荒俣様が「知のモンスター」になっていくまでの人生観につきお伺いする予定です。

 一部ではありますが、荒俣様が上梓された書籍をあわせてご紹介いたします。

23日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30~ ゲスト:田中泯様(世界的なダンサー)二夜目 音源掲載

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日曜(23日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は前回に引き続きゲストに世界的なダンサーとして活躍されている田中泯様をお迎えいたします。

招聘され80年代にフランスや東欧などを訪れた際の決意や現地での反応、30年余りになる山梨で農業をしながらの暮らしなどにつきお伺いいたしました。

今回、放送には含まれておりませんでしたが、嶌は田中様と同時期に取材で東欧や旧ソ連を訪れています。その際、田中様がお話されていたチェコの初代大統領ハベル氏を取材しており当時の東欧の話などで盛り上がったようです。

共産主義からロックを歌っただけで逮捕されていた時代であり、覚悟をもってクラブでダンスを披露され毎年ハベル氏も見に来られていたという貴重なエピソードを披露いただいております。

ハベル初代チェコ大統領

89年東欧取材、チェコスロバキアにてチェコ共和国初代大統領ハベル氏への就任直前の単独インタビュー

前回の田中様が踊りに興味を持たれたきっかけや、踊りにとりつかれた理由、影響を受けた師の土方巽様について、街中で裸で踊った意味などにつきお伺いした放送音源は番組サイトにて今週水曜正午までお聞きいただけます。

参考まで、昨年3月にテート・モダン(イギリス・ロンドン 国立の近現代美術館)にて中谷芙二子様の「霧の彫刻」にて披露された場踊りの映像をご紹介いたします。
・ダンス:田中泯
・霧:中谷芙二子様(霧彫刻の第一人者で今年度の高松宮殿下記念世界文化賞の彫刻部門を受賞)
・光:高谷史郎様(アーティストグループ「ダムタイプ」のパフォーマンスやインスタレーションの創作に携わり映像、照明、グラフィック・デザイン、舞台装置デザインなどを手がけている)
・音:坂本龍一様(ミュージシャン)

合わせて、田中様が上梓された書籍や映像作品等もご紹介いたします。ご興味をお持ちの方は合わせて参照下さい。

田中様の公演情報や映像出演情報は以下リンクを参照下さい。
田中泯 公演情報| Min’s Performance | Min Tanaka |Rin Ishihara ★Dance★ Official Web Site★

嶌が以前スタンバイで東欧やソ連などの転換点についてお話した内容をまとめた記事をブログに掲載しております。ご興味をお持ちの方は以下を合わせて参照下さい。

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