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ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

2月28日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:理化学研究所・計算科学研究センター センター長・松岡聡氏二夜目

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2月28日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はゲストに理化学研究所・計算科学研究センター センター長・松岡聡氏をお迎えしました。

中学生の時に、秋葉原でコンピューターに出会い、家庭用ゲームソフトの開発に携わり、30年近い研究人生でたどり着いた「富岳」。スパコン開発は、その頂に迫るにつれ、物理的・技術的な限界点を迎えつつあるが、まだ行きつくところが見えないと仰る研究者人生についてお伺いしました。

松岡氏が研究者になったきっかけは任天堂社長となった故・岩田聡氏の言葉に原点があるとのお話もいただいております。音源はradikoにて日曜までお聞きいただけます。

新型コロナウイルスの飛沫の拡散予測などで成果を出し始めているスーパーコンピューター「富岳」。間もなく本格運用するのを前に、企業や研究機関が使うアプリケーションを最高性能で動かすことを目指してきたという「富岳」の開発秘話などについて伺いました。

PRTIMESでもご紹介いただいております。

世界一のスーパーコンピューター『富岳』の本格的な運用が3月9日に始まります。日経ビジネスに記事が掲載されていましたので共有いたします。


次回は、アートディレクターの川上恵莉子氏をお迎えいたします。

コロナ対策とGoTo推進で混乱

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※本稿は12月初旬に入稿しています。

 政府のコロナウイルス対策は、国民に信頼されていないのではないか。いま政府が国民に伝えるべきことは、「人命が第一」を徹底し、急速な感染拡大を抑止することに尽きるはずだ。コロナ対策と経済回復を両立させたいとする政府の中途半端な方針がコロナ禍を日本全体に拡大させ、国民を一層不安に陥らせている。

 日本のコロナ感染は11月下旬に事実上の第三波入りし、感染者が12月初めで約15万千人、死者が2,109人に達した。各地で緊急事態宣言後より感染者、重症者が増えている。菅政権は、遂にGoToトラベルの利用を控えるよう呼びかけるはめとなった。

 有識者感染症対策分科会の尾身茂会長は「個人の努力だけに頼る段階は過ぎた。飲食店の営業時間の短縮、感染拡大地域とそうでない地域との人々の移動を控えることなどが極めて重要だ」と政府・自治体の対策強化を訴えている。これに対し首相官邸幹部は「東京の医療体制はまだ逼迫していない」とし、コロナ担当の西村康稔・経済再生担当相は、「今後の感染状況の推移についてどうなるかは神のみぞ知る」と発言し、ふざけているのかと批判された。慌てて、「データ分析を急いでいる」と弁明するなど、政府の方針が依然揺らいでいる実態をのぞかせている。背景には「地域経済を支える中で極めて有力なのがGoTo」と語る菅首相の経済優先論があるようだ。

 年初は、長くても一年ぐらいで治まるだろうと考えていた日本人も、欧米で一日10万人単位で感染者が出る現実と、ウイルスの恐ろしい歴史を知るにつけ、本気で警戒し始めてきた。GoToキャンペーンを都道府県で中断するところが目立ってきたのはその証左だろう。最近は年末年始に故郷へ帰るにも気を使う人が増えている。一度でもパンデミック感染症大流行)を引き起こしてしまうと、その地域の再生には長い時間がかかるとみているために違いない。

 コロナ対策の司令塔がない点も事態を長引かせている。本来は政府が全体を管理して自治体が互いに協力し合うように仕向けるべきだろう。さらに国としては、OBなどを動員した医療、介護体制の確保、保健所の支援、検査体制の拡充強化、コロナ交付金の使途監視等々を早急に実施し、中・長期的には医薬品開発に向けた国内医療研究の支援や海外との連携強化などを国民に見える形で示して安心させることだ。

 菅政権は経済の再生・復活の方に力を入れている印象が強く、対策は少しずつバラバラに出てくるため、国民にはわかりにくい。もう一度“人命第一”の原則に立ち返り、GoToの優遇策はコロナが一段落したら再度行うという確約をしたら納得されるだろう。
【財界 2021年1月13日号 第533回】

■参考情報
・GoToトラベルは12月28日から全国で一斉に停止しています。

・GoToトラベル 段階的再開で調整 当面「県内旅行」対象案  フジテレビ 2021年2月25日
 政府が、GoToトラベルの段階的再開に向けた調整に入った。菅首相は24日夕方、緊急事態宣言の扱いについて、関係閣僚と協議。政府は26日、諮問委員会と対策本部を開き、大阪など6府県の宣言を月末をめどに解除することを決定する方針。
 https://www.fnn.jp/articles/-/148466

ミャンマークーデター、日本の役割は

ヤンゴン旧市街

ヤンゴン旧市街

ミャンマー国軍が2月1日、クーデターを起こし、政権を率いるアウンサンスーチー国家顧問兼外相ら政府与党の幹部を拘束した。国軍最高司令官のミンアウンフライン氏が軍政の最高意思決定機関を設置して自ら議長に就任し、体制作りを進めている。

ミンアウンフライン氏は「規律ある民主主義を確立するため」と主張しているが、最大都市ヤンゴンでは大規模な抗議デモがあり「軍政を倒せ、スーチー氏を開放しろ」と声をあげながら市内を練り歩いた。軍政側はインターネットを遮断し、国内で2000万人以上が利用するフェイスブックなどへの接続も遮断した。

ミャンマー(旧ビルマ)が英国から独立したのは1948年。スーチー氏は1945年生まれで、父アウンサン将軍はビルマ建国の父と言われていたが2歳の時に亡くなっている。1962年以降は、軍がクーデターを起こし政治を支配することが多かった。

このためスーチー氏らが国民民主連盟(NLD)を結成、90年の総選挙で圧勝したものの、軍は政権移譲を拒否。スーチー氏は自宅軟禁されたが91年にノーベル平和賞を受賞したりした。2011年にようやく民政移管が完了すると15年の総選挙でNLDが勝利し、スーチー氏が実質的な政権トップとなる国家顧問兼外相に就任した。

こうして約半世紀に及んだ軍政と、断続的に15年に及んだスーチー氏の軟禁にも終止符が打たれた。しかし国会議員の4分の1は軍人枠で占められるなど国軍の政治関与は今も続いている。特に17年には国軍が少数派のイスラム教徒ロヒンギャを迫害、約100万人が隣国のバングラデシュに難民として非難し、国際的批判を浴びている。

今回のクーデターに対するASEAN各国の態度は微妙だ。タイ、カンボジア、フィリピンは「内政問題だ」とし不干渉の立場だし、ベトナムブルネイは「状況を見守る」と介入しない姿勢をみせている。

一方、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどは「政治状況に懸念を感ずる。正常化を望む」などとしているが、欧米のような激しい批判を避け、ASEANとして一致した行動に出ることにも消極的だ。背後にアメリカ、中国、ロシアなどの大国が控えており、大国の思惑がそれぞれ違う上、ASEAN各国は独裁政権が多いのでハネ返りを恐れ、軽々に動けないのだ。

ただミャンマーは、約5500万人の人口と東南アジア最大の国土、豊富な宝石、鉱物資源などを持つ豊かな農業国で東南アジア最後のフロンティアと呼ばれてきた国だ。しかも東南アジアと中国、インドを結ぶ要衝の地域にも位置しているだけに、国際社会はクーデター後の政治新体制の動きに注目しているのだ。ミャンマーではスーチー氏の釈放を求める抗議デモが続いているが、軍部は「国家を安定させているのは国軍の力だ」と主張し、ミン最高司令官は国政運営に野心をもっているとも言われている。ただスーチー氏のカリスマ的人気と国際社会の軍部批判やアメリカなどの経済制裁も気にしており一挙に強力な軍政に戻れないようだ。

日本は安定化してきたミャンマーに400社超の企業が進出している。香港のように圧政を実施すると、進出している外国企業が退避し、せっかく安定成長の軌道に乗り始めたミャンマーの成長がストップする可能性も強い。

軍部とスーチー氏支援の民衆、そして国際社会との妥協がミャンマー発展のカギとなろう。ミャンマーの各勢力と良好な関係を持っていた日本がどんな役割を果たせるかも注目されている。
【Japan In-depth 2021年2月19日】

 

【参考情報】毎日新聞ミャンマークーデターの情報をまとめたページがございました。以下を参照ください。

画像:PhotoAC watanos様撮影

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:理化学研究所・計算科学研究センター センター長・松岡聡氏

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はゲストに理化学研究所・計算科学研究センター センター長・松岡聡氏をお迎えしました。

新型コロナウイルスの飛沫の拡散予測などで成果を出し始めているスーパーコンピューター「富岳」。間もなく本格運用するのを前に、企業や研究機関が使うアプリケーションを最高性能で動かすことを目指してきたという「富岳」の開発秘話などについて伺いました。

音源はradikoにて日曜までお聞きいただけます。

世界一のスーパーコンピューター『富岳』の本格的な運用が3月9日に始まります。日経ビジネスに記事が掲載されていましたので共有いたします。


次週も引き続き松岡氏をゲストにお迎えし、中学生の時に、秋葉原でコンピューターに出会い、家庭用ゲームソフトの開発に携わり、30年近い研究人生でたどり着いた「富岳」。スパコン開発は、その頂に迫るにつれ、物理的・技術的な限界点を迎えつつあるが、まだ行きつくところが見えないと仰る研究者人生についてお伺いいたします。

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:六角精児氏(俳優)二夜目 音源掲載

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は俳優の六角精児氏をお迎えした二夜目をお届けしました。

俳優業の傍ら友人らと結成したバンド活動についてや、興味があった鉄道を趣味にしようと、改めて乗っているうちに虜になったという鉄道旅の魅力、哲学的な人生観について伺いました。

音源はradikoにて日曜までお聞きいただけます。

鉄道チャンネルにてご紹介いただきました。


前回は、教育熱心な母親のもとで育ちテストの点数が悪いと改ざんしたエピソードや、高校生の時に演劇に出合い、初め興味がなかった芝居の世界にひかれていった訳についてお伺いしました。オリコンニュースなどでもご紹介いただいております。

 
今回の放送で番組内でご紹介がございました六角様が上梓された書籍やCD、出演作品の一部をご紹介いたします。


次週は、スパコン世界一に輝いた『富岳』の開発者であり、理化学研究所計算科学研究センター・センター長の松岡聡氏をお迎えいたします。

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:六角精児氏(俳優)音源掲載

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は俳優の六角精児氏をお迎えしました。

教育熱心な母親のもとで育ちテストの点数が悪いと改ざんしたエピソードや、高校生の時に演劇に出合い、初め興味がなかった芝居の世界にひかれていった訳についてお伺いしました。

音源はradikoにて日曜までお聞きいただけます。

オリコンニュースなどでもご紹介いただいております。

 
今回の放送で番組内でご紹介がございました六角様が上梓された書籍やCD、出演作品の一部をご紹介いたします。

次週も引き続き六角氏をゲストにお招きし、俳優業の傍ら友人らと結成したバンド活動についてや、興味があった鉄道を趣味にしようと、改めて乗っているうちに虜になったという鉄道旅の魅力、哲学的な人生観についてお伺いいたします。

英国のEU離脱は成功するか

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 イギリスの欧州連合EU)からの離脱交渉は、昨年末(2020年12月)にようやくまとまった。一応“円満な別れ”とされるが、イギリスは再び世界をリードする独創的な国家を構築できるのか。またイギリスが抜けた後のEUは仏・独主導でかつてのようなヨーロッパの存在感を持ち続けられるのか。“合意なき離脱”は、何とか回避されたものの、かつてはアメリカに対応して“一極”を形成していたヨーロッパの前途は決して手放しで喜べる未来を切り開いたとは言い難い。

 イギリスは2016年6月、保守党のキャメロン政権の時、EUに残留するか、離脱するかを国民投票にかけた結果、離脱派が僅差(51.9%対48.1%)で勝利した。以来、BritainとExitを掛け合わせた造語「ブレグジット」(欧州連合からの離脱)の条件などを巡ってEUとの間で4年半にわたって交渉を続けていた。この間、離脱案に対しイギリス国内で反対が強まり、英下院がEUとの合意案を大差で否決したり、メイ首相が離脱協議行き詰まりの責任をとり、与党・保守党党首を辞任したこともあった。その後、19年7月にジョンソン首相が、EUとの間で最大の問題だったFTA(自由貿易協定)の合意にこぎつけ、ブレグジットが正式に決まった。

 イギリスは20世紀の二つの大戦が終わるまで世界の中心的存在だった。15世紀以降、スペインの無敵艦隊を破り、世界の海へ飛び出した。アフリカ、中近東、アジア・太平洋、そしてアメリカ大陸、カナダまで足を伸ばし、そのジョンブル魂は世界を一手に治めた。産業革命を起こし、科学や化学など学問の世界、文学の分野でも世界をリードしていた。第二次大戦に際してはド・ゴール亡命政権を擁護し、アメリカを口説いて味方に引き入れナチスドイツを打ち破った。自由貿易や国際化など新しい思想を広めることにも大きな役割を果たした。

 そのイギリスは、EU統合以後、影が薄くなっていた。ユーロに参加せず金融の世界では独自色を出していたが、大陸ヨーロッパは、フランスとドイツが主導権を握り、すっかりお株を奪われてしまった。ドイツにすり寄ったフランスをなじり「靴までなめるのか」と毒づいたこともあった。それだけにイギリス国民のEUからの離脱には深い思い入れがあったのだろう。

 フォンデアライエン欧州委員長は「ついに私たちはブレグジットから離れ、統合深化の未来に目を向けて欧州が前進できる」と語ったが、イギリスなきEUにも懸念が残ろう。イギリスあってのアメリカとの親密さが薄まり、財政的に豊かな北欧と公的債務に悩む南欧や、最近の東欧の右寄りの動きなどの橋渡し役にイギリス人は一定の役割を果たしていたからだ。一方イギリスもEUと離れて自立し、かつての栄光を取り戻せるのか、グローバル・ブリテンの行く末も決して安泰ではないだろう。

TSR情報 2021年1月22日】

 

■参考情報

・イギリス、TPP加入を正式申請へ 発足メンバー以外で初 2021年1月31日BBC
イギリス政府は31日、日本などアジア太平洋地域の11カ国で構成される自由貿易圏への加入に向け、2月1日に正式に申請する方針を明らかにした。CPTPP発足メンバー以外の国が加入申請をするのは初めてで、実現すれば日本に次いで2番目の経済大国として参加することとなる。

 https://www.bbc.com/japanese/55875724

 

画像:イギリス議会

ukparliament.seetickets.com

 

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