時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

老いたる途上国に逆戻りも 気が緩んできた日本人?

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 日本はこの30年間、ほとんど成長ができていない。投資資金はあるのに、ただ手元に持っているだけで新規開拓への飛躍を試みていないのだ。このままだと日本は「老いたる発展途上国」に先細りしていくことになるだろう。

 

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厄介になる米中とのつきあい方

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 アメリカのバイデン大統領は、このほど20年に及んだアフガニスタンの反政府武装テロ組織タリバンに勝利し、8月末にアメリカ軍を同地域から撤退させた。アフガニスタンは、中央アジア5ヵ国と隣接する地政学的な要衝の地に位置しているだけに撤退後に再びテロが拡大するのではないか、との懸念を持たれている。

 

 

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画像:photoAC(はむぱんさん)

3日(日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:高橋素彦氏(新潟医療福祉大学講師・義肢装具士)二夜目音源掲載

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3日(日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は義肢装具士の高橋 素彦氏をお招きした二夜目をお届けしました。

大学で精密機械工学を学び内装業の会社に就職したが、義肢装具に興味を持ったのは22歳の時。義肢装具を仕事にしようと決意した経緯や、初めて義足を付けた患者さんの姿を見て感じたこと、障害者がスポーツに取り組むためのサポートや競技で使う用具の研究など、次の目標への意気込みについて伺いました。

ゲストの方に定期的にお伺いしている『おもわずほほえんだ話』は、義肢装具士になって間もなく、先天性の障害を持つ患者さんが通われる科で働いていた。靴の中に入れる中敷き(インソール)を女の子に作った際、初めにインソールを靴に入れ試し履きをしてもらったところ、女の子は靴を履いたとたんに病院中を走りまわり、廊下に出て行ったほど。するとその女の子のお母さんが「もう、大丈夫です。靴が合わないと全くそこから動きませんから。」と言われ、元気に走っている姿をみて思わず微笑んでしまったというエピソードをご紹介くださいました。その姿を見て、思わず涙が出たようです。

患者さんたちに挑戦しろ、挑戦しろというのではなく、自分が挑戦しないといけないという気持ちを忘れずに進んでいかなければならないと思ったという気持ちも披露いただきました。

音源はradikoにて日曜(10月10日)までお聞きいただけます。


全会は、東京2020パラリンピックで、選手村にある「修理サービスセンター」のボランティアスタッフを務め、世界中から集まったエンジニアや義肢装具士と同じ目的を持って働けたことの喜びやエピソード、パラリンピアンが最高のパフォーマンスをできるよう義足や車いすのメンテナンスをしながら学んだことについて伺いました。

合わせて、高橋氏の毎日新聞の記事をご紹介いたしますので、合わせてぜひ以下を参照ください。

 

次回は、京都大学こころの未来研究センター准教授の阿部修士氏をお迎えする予定です。

放映権料に負けた五輪委員会 期間中に感染者急増

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2021年の東京五輪はコロナが世界で蔓延する中で、様々な問題を残しながらも、とにかく閉幕した。過去最多の33競技、339種目が酷暑の季節の中で実施され、感染爆発が起きて医療崩壊寸前という異様な状況の中で強行された。

大会中の7月28日、新型コロナウイルスの国内新規感染者は9583人と最多を更新、東京のほか埼玉、千葉、神奈川、京都など7都道府県も過去最多を更新した。厚生労働省に助言する専門家組織は「これまでに経験したことのない感染拡大だ」と指摘するほどだった。政府はコロナの感染拡大に対し、以下の措置を行なっている。

・第1回 緊急事態宣言(20年4月7日~5月7日に期間延長後、5月25日に解除)

・第2回 緊急事態宣言(21年1月8日~2月8日と3月8日の二度の期間延長後、3月21日に解除)

・まん延防止等重点措置(4月5日~当初5月11日に解除予定)

・第3回 緊急事態宣言(4月25日~5月12日の期間延長後、6月20日に解除)

・まん延防止等重点措置(6月21日~7月11日)

・第4回 緊急事態宣言(7月12日~7月29日と8月27日の二度の期間延長後、9月30日に解除予定)

7月1日以降に国内外の関係者、選手ら4万人が来日し、約62万人に定期検査を実施した結果、436人の陽性者が確認された。このうち選手の陽性者は32人でいずれも海外勢だった。また期間中の都内の感染者は開幕日には1373人だったが閉幕日の8月8日には4037人にふくらんでいた。

期間中、テニスのジョコビッチ選手やメドベージェフ選手らがあまりの暑さに、日中の競技開始について不満を表明。「死んだら責任をとれるのか」と審判に詰め寄る場面もあった。競技時間を午前11時から午後3時に変更したり、アイスバスや冷却材を提供するなどしたが、アーチェリー女子では熱中症で倒れる選手も出た。

日本の7月~8月は最も暑い時期だとわかっていたのに、選手たちへの案内状には最も良い季節だなどと書かれていたようだ。日本なら10月11月が最良シーズンで、1964年のオリンピックは10月10日に開幕している。
 
しかし、開催時期を変更するとなるとテレビの放映権料に影響し、今回のオリンピックでは、アメリカのNBCグループが14年からの夏冬10大会について総額120億ドル(約1兆3千億円)の契約を結んでおり、アメリカTV局の最も都合の良い時期の以降に逆らえなかった。いまやオリンピックは、アスリートや観客にふさわしい季節を選ぶより企業スポンサーの意向を最重視せざるを得なくなっているのだ。

もはやスポーツの国際祭典というのはタテマエで、商業主義が骨の髄まで染み渡っているのである。日本のオリンピック委員会は五輪の趣旨を踏まえてスポンサーやテレビ局と本気で季節について交渉したのだろうか。堂々と正論を吐き、データを示して酷暑の五輪を変更させるのが日本の委員会の使命だったのではないか。

東京五輪は「あくまでも“アスリートファースト”の精神を最重視している」とIOC関係者は繰り返していた。しかし結果は感染者を急増させた。競技内容は興奮させるものが多かったので、思ったより五輪批判は少なったが、ベストシーズンにアスリートが気持ちよく競技できる環境を作るのが主催者の責任だろう。日本オリンピック委員会JOC)は東京五輪のこの点をどう総括するのだろうか。

アメリカ体操女子のスーパースターで黒人のシモーネ・バイルズが大会連覇のかかっていた個人総合を欠場した。「ケガではない。無観客という慣れないことや、酷暑と一年延期もありメンタルが十分でなく、ストレスがかかっていたので仲間に、任せることにした。」

かつてはトップ選手が「心の弱さを語ることをタブー視されてきたが、いまや普段から心の中を話せる環境を整えることが大事になっている」という。バイルズはその後、種目別平均台には出場し銅メダルを獲得。24歳にして男女を通じて史上最多の通算メダルを獲得しており「五輪のメダルを7個(うち4個が金)、世界選手権のメダルを25個(うち19個が金)、4つの体操の技にバイルズの名前が付けられた選手だ。
【Japan In-depth 2021年9月18日】

 

■追加情報
・緊急事態宣言解除、行動制限緩和の実証実験へ ワクチン2回接種は約6割 2021年10月3日 東京新聞
 19都道府県に対する新型コロナウイルス緊急事態宣言と8県でのまん延防止等重点措置が、9月30日の期限で全面解除され、10月1日から、酒類提供などの行動制限の段階的な緩和や実証実験が始まった。ワクチンを2回接種した人は、人口の約6割になった。
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/134512

・宣言解除後初の土曜日 2日の人出 多くの地点で前4週平均より増 2021年10月3日 NHK
 東京や大阪など19都道府県に出されていた緊急事態宣言が解除されて初めての土曜日となった2日の人出は、多くの地点で前の4週間の土日・祝日の平均よりも増加。各地とも夜間の増加が目立っている。
  https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211003/k10013288821000.html


画像:写真AC(運河越しの選手村、namako88さん)

9月26日(日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:高橋素彦氏(新潟医療福祉大学講師・義肢装具士)一夜目音源掲載

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9月26日(日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は新潟医療福祉大学講師・義肢装具士の高橋 素彦氏をお招きした一夜目をお届けしました。

東京2020パラリンピックで、選手村にある「修理サービスセンター」のボランティアスタッフを務め、世界中から集まったエンジニアや義肢装具士と同じ目的を持って働けたことの喜びやエピソード、パラリンピアンが最高のパフォーマンスをできるよう義足や車いすのメンテナンスをしながら学んだことについて伺いました。

音源はradikoにて日曜(10月3日)までお聞きいただけます。


次回も引き続き高橋氏をゲストにお迎えし、大学で精密機械工学を学び内装業の会社に就職したが、義肢装具に興味を持ったのは22歳の時。義肢装具を仕事にしようと決意した経緯や、初めて義足を付けた患者さんの姿を見て感じたこと、障害者がスポーツに取り組むためのサポートや競技で使う用具の研究など、次の目標への意気込みについて伺いました。

合わせて、高橋氏がご紹介された毎日新聞の記事は以下を参照ください。


「コロナ対策に全力あげる」と菅首相が辞任

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 菅義偉首相は9月3日、突然総理の座を投げ出し、政局を混乱に陥れた。「首相の職務とコロナ対策を続けることには大変なエネルギーがいる。私は今の日本はコロナ対策に全力をあげるべきだと考えたが、コロナ対策と首相の責務両方を全うすることは難しいと思った。そのためには首相をやめコロナ対策に全力を注ぐ方が大事だと考え、今回首相辞任の決断をした」と語り、首相の責務を放り出してしまった。全く理解に苦しむ行動であり一人よがりの論理としか思えない。

 首相は国民の安全・生命を守る最大の責任者であり、海外の国々と日本の関係を平和的に維持してゆく重要な役割を担っている。そのことを十分に認識して総理の座に挑戦したのではなかったのか。コロナ対策が今の日本に極めて重要なことはわかるが、コロナ問題は世界共通の課題であり、コロナ対策に全エネルギーを注ぎたいので総理を辞任するという理屈は無責任極まりない。今後コロナ対策に全力を注ぐというが、菅首相の任期は9月末までなので、実質任期はあと一カ月もないのが実情なのである。

 本気でコロナを心配するなら、日本国首相として世界にコロナ対策会議を呼びかけるくらいの構想を打ち出す努力をまず行うべきではなかったか。


二階幹事長更迭は置き土産か?

 後の混乱も考えずに政権を投げ出すなど、そんな人物が日本国を一年も統治していたとは信じられない思いだ。今回の決断にあたり、党と官僚の人事を刷新し、5年間も幹事長として実質的権力を握っていた二階幹事長のクビを切ったことだけは評価に値するかもしれない。それも自ら辞任することとの引き換えにしか二階幹事長を更迭できなかったのだろうか。「私は無派閥で後ろ楯になる勢力、仲間もなかった」と繰り言を述べているが、そんなことは初めからわかっていたことだ。それでも首相の権限を使って党と閣僚を仕切ってゆくのが首相の責務であり役目ではないか。両方はできないので首相を辞め、今後はコロナ対策に全力を注ぐといってもにわかに信じ難い。

 菅首相には首相としての貫禄や国民への説得力に乏しく、メリハリのない演説と行動、目力などが弱くいつも下を向いて原稿を読んでいたという印象が強かった。そのせいか、退陣の発表を聞いても大きな驚きはなかった。ただ後継者の本命が見当たらず、また政治はパッとしないだろうなという印象を残した。


コロナ予算は米国の1/100

 欧米諸国はコロナが流行すると、直ちに外出禁止令を出すなど厳しい制限を実施し、短期間で正常な日常生活に戻した。再び流行しそうになるとまた禁止令を出すなどメリハリの効いた政策を実施し一応はコロナ禍を抑え込んでいる。欧米に対し、日本は外出禁止など人権を制限することは法的に難しいなどの理屈から、対策は後手後手にまわってきた。欧米ではエボラ出血熱SARS、中東呼吸器症候群などの死亡率の高いウイルス感染症が流行したこともあってワクチン開発は重要な課題となり、研究や治験もずっと行われてきた。しかし日本では1970年代から天然痘ワクチンの予防接種後の死亡や後遺症が続き、国からの支援や企業の開発も進まなかった。アメリカは有望なワクチン開発には1兆円規模の予算を投じてきたが、日本は米国の100分の1と少なく、これらも開発を遅らせてきた。日本の医療水準は高いことで知られているが、過去の失敗から国産ワクチンを開発している製薬企業はほとんどなく、製造経験や治験も少なかったという。
TSR情報 2021年9月28日】

 

■補足情報
・【時系列まとめ】自民党総裁選 岸田氏 決選投票で新総裁に選出 NHK 2021年9月29日

財務相鈴木俊一氏 午後に自民新執行部発足 公明と政権合意へ 産経 2021/10/1
自民党岸田文雄総裁は1日、新内閣の発足に向け、財務相鈴木俊一元五輪相(68)を、官房副長官木原誠二衆院議員(51)を起用する方針を固めた。茂木敏充外相(65)は留任させる。また、経済産業相には山際大志郎元経産副大臣(53)が浮上している。政務担当の首相秘書官には嶋田隆元経産事務次官(61)を起用する。

 

画像:首相官邸ホームページ(10月1日会見)

19日(日) TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』21:30 ゲスト:高野 孝子氏(早稲田大学教授・NPO法人エコプラス代表理事)二夜目

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19日(日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)は早稲田大学教授・NPO法人エコプラス代表理事の高野 孝子氏をお招きした二夜目をお届けしました。

厳寒の地から熱帯まで世界各地で野外活動を続け、全国の若者や子どもにその体験を伝えながら、広めたいのは、「自然、異文化との出会いの素晴らしさ」と仰って、30年間ミクロネシア・ヤップ島で続けてこられた体験プログラムについて伺いました。

ゲストの方に定期的にお伺いしている『おもわずほほえんだ話』は、家の周りに小さな生き物を見つけた時、思わず微笑んでしまう。また、自宅の周りに田んぼを作っており、今年は気候がかなり暑かったり、雨が多かったりと天候が不順で心配していた。しかし、今年稲の花が咲き、思わず微笑んでしまったというエピソードをご紹介くださいました。

余談ですが、今回の収録にあたって新潟からご主人の大前純一氏と共に車で来てくださいました。感染対策のため嶌はリモートでの収録でしたが画面越しに、嶌がアメリカで講演した際、大前純一氏がMITに留学されており、その講演を聞いて聞いてくださったとのエピソードで盛り上がりました。

 

前回は、1995年、ロシアから北極点を通ってカナダ側まで犬ぞりとカヌーで横断。潮流があり薄い氷はどんどん動かされて割れる氷の上を、動力を使わず犬と人力で北極点に到達。冒険家の故植村直己さん以来、北極の旅をすることになった経緯などについて伺いました。

高野氏が上梓された書籍や代表理事を務めるエコプラスに関する情報は以下を参照ください。

次回は、新潟医療福祉大学講師で義肢装具士の高橋素彦氏をお迎えする予定です。

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日本人の覚悟

日本人の覚悟―成熟経済を超える

(実業之日本社)
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日本の「世界商品」力

日本の『世界商品』力

(集英社新書)
【著】嶌 信彦

     
首脳外交

首脳外交-先進国サミットの裏面史

(文春新書)
【著】嶌 信彦


 
嶌信彦の一筆入魂

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(財界研究所)
【著】嶌 信彦


ニュースキャスターたちの24時間

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(講談社)
【著】嶌 信彦
       

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