時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

右派の流れが渦巻く世界 ~ヨーロッパは分断を抑止できるのか!?~

スタッフです。3月7日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の放送内容をお届けします。

本内容は放送時点のものですが、状況が変わった事象については注釈を付記しておりますので、合わせて参照ください。

テーマ:ルペン氏の「新フランス革命」は、トランプ現象を生み出すか?

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【ヨーロッパは選挙イヤー】
今年はヨーロッパでオランダの総選挙(3月15日終了)、ドイツの州議会選挙(3月26日終了)があり、さらにフランスでは大統領選(4月・5月)、ドイツの総選挙(9月24日)と続き、大きな変化が起こりそうだ。そこで本日はフランス大統領選を取り上げてみたい。

フランス大統領選は4月に第1回投票が行われ、ここで50%以上を獲得できない場合は第1回投票結果の上位2人で決選投票が行われることになる。決戦投票の結果は今後のヨーロッパの行き先を決めるともいわれているが、今のところ候補者は4人。

【さまざまなスキャンダルも浮上】
世論調査のトップは何と極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首で25%を獲得。国民戦線は今回の候補者の父ジャン・マリー・ル・ペンが創設した政党。二位以下は以下の通り。(※)
・2位:中道・独立候補のエマニュエル・マクロン前経済相(24%でルペン氏に1%差)
・3位:中道右派共和党の右派統一候補、フランソワ・フィヨン氏(21%)
・4位:中道左派・与党社会党のブノワ・アモン前国民教育相(16%)
上記のとおり激戦が続いている状況。

しかしながら、ここにきて各候補にスキャンダラスな話が浮上している。
・ルペン氏:秘書がEUの欧州議会で、秘書の勤務実態がないのに約30万ユーロ(3500万円)の給与を受給。さらに、過激派組織ISの残虐な行為の写真をツイッターに投稿したことが議会で問題視され、訴追の可能性も。
・マクロン氏:不倫疑惑
・フィヨン氏:妻や家族が秘書給与などの名目で1億円近くを議会から受給していた「政治とカネ」の疑惑。こちらは深刻でフランス検察当局が正式に捜査開始
(3月28日付のロイターによるとフィヨン元首相の妻ペネロプ夫人が議員秘書として給与を不正に受け取っていたとされる問題で、予審判事は3月28日に夫人に対する予審を開始。フィヨン氏自身もこの2週間前に予審の聴取を受けている。)

今回の選挙戦は、候補者が揃いも揃ってスキャンダルな状況。そんな中でルペン氏に光を当ててみたいが、ルペン氏に対する注目度は非常に高い。現在EUはドイツとフランスがリードしているが、もし極右といわれるルペン氏がフランス大統領になった場合、「EUはいったいどうなるのか」、「メルケル氏とうまくやっていけるのか」という問題をはらんでおり、そういう意味からも台風の目になってきたと考えていい。

【極右政党「国民戦線」とは】
ルペン党首率いる国民戦線とは、先に述べたが1972年に現在のルペン党首の父であるジャン・マリー・ルペン氏が創設した政党。ジャン・マリー・ルペン氏は極右で、パリ大学在学中にフランス軍に志願。27歳で議員に当選し、アルジェリア戦争には議員を休職して参加。1958年にアルジェリア独立に反対し大統領選挙に立候補するも敗れ、この選挙戦期間中にトラブルにより左目を失明した。その後も右翼活動を続け、1972年の国民戦線の結成にこぎつけ党首となった。

国民戦線はフランスのナショナリズムを唱え、保護貿易を主張したほか、移民反対、妊娠中絶反対、治安強化、ユーロ離脱などの政策を主張。主な支持層は、失業者、若者、肉体労働者である。

自由、平等、博愛精神にも疑問を投げかけ、湾岸戦争ではイラクフセイン大統領(当時)と直接交渉。これによって、フランス人の人質55人を解放するなど、激しい言動で知られる。そのため、人気もあったが、批判もあった。

【党首を娘に譲るも除名に】
年齢を重ねたことから党首を譲ることにした際に娘に譲るのが妥当と考え、現党首のマリーヌ・ルペン氏に譲った。その後、この現党首のマリーヌ・ルペン氏が大統領候補に浮上したことで、父のジャン・マリー・ルペン氏の激しい行動、言動と同じ路線で行くことを良しとせず、父が主張してきた「反ユダヤ主義」などの政策については穏健な方向にシフトしている。さらに、党首に就任後、2015年に名誉党首だった父を過激な言動を理由に党から追放した。最近、躍進し人気が高まっている政党だ。

ソフト路線を打ち出し、父の追放については自ら「脱・悪魔化」と呼んでいる反面、極右政党の大部分は残っている。それは、今回の大統領選で打ち出している政策にも表れており、以下のようなトランプ大統領の政策とそっくりなところがみうけられる。
・(フランスにおける)EU離脱を問う国民投票の実施
・ユーロを離脱し、自国通貨「フランス・フラン」を再導入
・難民、移民の受け入れを大幅に削減する方針

【押し寄せる自国第一主義の波・・・】
実際、ルペン党首はトランプ大統領のイスラム教7カ国からアメリカへの入国を禁止する大統領令について称賛している。さらに、ルペン党首はNATOの指揮系統からの離脱や自由貿易協定などについても拒否すると言い始めている。まさにフランス第一主義で、フランスを中心として物事を考えようと強く訴えている。

もしルペン氏が勝利した場合に、アメリカ、フランスの二大大国で右派が揃い、世界からみると「極右が足を揃える」ことになる。その一方で、EUは中道左派のドイツ・メルケル首相が実権を握っており、その状況になった場合にドイツとフランスの仲が今後どうなっていくのかが憂慮される。

【分断傾向が強まるヨーロッパ】
来週はオランダの総選挙が行われるが、極右政党が第1党になる可能性が出てきた。(※2)秋にはドイツで総選挙が実施される。ドイツでも反移民、反難民政策を唱える「ドイツのための選択肢」という政党が躍進し、勢いが増しており、メルケル氏が苦戦を強いられている。現在、ヨーロッパでは分断の傾向が強まり、そういう意味からもフランスの大統領選挙の行方に注目が集まっている。よって、この結果は本当に大きな意味を持ってくるという感じがする。

今のところ接戦で、先も述べたとおり秘書の給与問題といった疑惑により有力二候補が検察の捜査を受ける可能性もある中で、先行きが不透明な状況だ。

【ヨーロッパの分断を防止できるのか!?】
世の中全体が極右の方向に向かっており、アメリカ、オランダ、ドイツ、フランスも例外ではなく、その方向に向かっている。これはいったいどういうことを意味しているのかを我々も考えておく必要があるだろう。この流れをどうやって止めるかは国民の選択にかかっている。国民がきちんと考え、投票するかどうかの比重は大きい。アメリカの選択をみるとあまり楽観もしていられないという気もするが、果たしてヨーロッパはどういう選択をするのかという点に今後も注目していきたい。

画像:マリーヌ・ルペン氏のオフィシャルサイト

参考情報
(※)ロイターは4月3日付で、調査会社Ifopフィデュシアルがフランス大統領選に関する世論調査を実施したと報じた。
4月23日に実施される第1回投票の得票率に関する結果は以下の通り
・中道系独立候補のマクロン前経済相:26%(変わらず)
・極右政党・国民戦線のルペン党首:25.5%(0.5%ポイント上昇)
・右派候補のフィヨン氏:17%(0.5%ポイント低下)
上位2名が争う5月7日の決選投票での得票率は、マクロン氏60%、ルペン氏40%で、マクロン氏が勝利する見込み。

(※2)3月15日に行われたオランダ総選挙では、マルク・ルッテ首相率いる自由民主国民党(VVD)が最多の33議席を獲得したことが判明した。欧州連合(EU)離脱を主張し、移民受け入れに反対する右派ゲルト・ウィルダース氏の自由党(PVV)は、20議席に留まった。

 
嶌は1990年4月から27年間本番組に出演しておりましたが、3月28日をもって出演を終了いたしました。長きにわたって聞いてくださった皆様には感謝申し上げます。今回お届けする3月7日以降の番組の放送内容のまとめは3月28日放送分まで引き続きオフィシャルサイトやSNS、メルマガ等にてお届けいたします。

また、4月15日から新たに有料メルマガ「鳥の目、虫の目、歴史の目」を開始いたします。初月は無料となっておりますので、ぜひこの機会に合わせて登録いただけると幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

「鳥の目、虫の目、歴史の目」に関する詳細は、以下URLを参照ください。
http://www.mag2.com/m/0001678876.html

日本企業における外国人経営者は「農耕民族」と「狩猟民族」の融和がカギ!?

スタッフです。2月28日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の放送内容をお届けします。

嶌は1990年4月から27年間本番組に出演しておりましたが、3月28日をもって出演を終了いたしました。長きにわたって聞いてくださった皆様には感謝申し上げます。今回お届けする2月28日以降の番組の放送内容のまとめは3月28日放送分まで引き続きオフィシャルサイトやSNS、メルマガ等にてお届けいたします。何卒よろしくお願いいたします。

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テーマ:外国人経営者の功罪

2月23日付で日産自動車のゴーン氏が社長を退任すると発表された。そこで、本日は外国人経営者の功罪をテーマに過去の事象もひも解きながらお話をしたい。

【褒章を受章した稀有な外国人社長】
ゴーン氏は1999年から18年にわたり日産を率い、経営難からの再建を果たしてきた。日本企業の外国人社長としても代表的な存在である。社長就任からわずか4ヶ月で「日産リバイバル・プラン」を発表し、国内の工場閉鎖や大量のリストラに加え、既存取引の絞り込みなどを実施したことで「コストカッター」ともよばれた。この施策による既存の調達先各社への影響は大きく、NKK(日本鋼管)と川崎製鉄が経営統合に迫られるなど、ここから「ゴーン・ショック」という言葉も生まれた。それらの施策により90年代後半に倒産の危機だった日産を復活させ、カリスマ経営者として日本で外国人初となる「藍綬褒章(らんじゅほうしょう)」を受章している。現在はルノー・三菱のトップも兼任している。

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Flicker:カルロス・ゴーン氏(FGV / EBAPE)

ソニーでは大失敗に・・・】
今回、社長を退任するが、ホールディングカンパニーのトップとして会社を束ねてゆくという。ゴーン氏の影響を受け、外国人経営者で有名になったのはソニーのストリンガー氏だが、こちらは結果的に大失敗だったといわざるを得ない・・・このことから必ずしも外国人経営者が成功するとはいえないことがわかる。

ソニーは人まねをせず、独創的な製品を創出し続けてきた企業。創業者の井深大氏と盛田昭夫氏が「トランジスタラジオ」「テープレコーダー」を開発。その後、世界初の携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」の発売により世界に名を馳せた。

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3月31日のソニービル閉館に伴い開催された「It's a sony展 Part1」で展示されたトランジスタラジオとウォークマン。このほかにもさまざまな展示が行なわれ懐かしい製品が数多く展示された。

ソニーの取締役会が外国人経営者を選んだ理由は、日産のゴーン氏の成果を受け「日本人には日本の組織は改革できない」と考えたからだったが、これが失敗の始まりであった。ストリンガー氏は元々アメリカのテレビ局で成果を上げた後ソニーリクルートされ、社長に抜擢された。就任後、「サイロ(タコツボ)」を壊すため18万人の社員の1割を減らすと同時に、製品モデル数を2005 年度比で20 %削減。目指すのは「2つか3つの製品だけに注力する」と改革を意気込むが、モノづくりの知識がなかったストリンガー氏は適切な投資や取捨選択ができず、コストカットに注力した。しかしながら、その影響により10年も経たないうちにソニーの競争力は喪失した。

【「モノづくり」からの撤退で苦境に・・・】
ストリンガー氏はソニーの競争力を喪失させただけでなく、経営において以下の弊害を生じさせた。
・韓国サムスンに協力として無償で技術を渡し「ソニーは韓国のスパイ企業」と他のメーカーから揶揄される。
・当時CEOでありながら、アメリカに住みつづけ日本に長期間滞在した事すら無い。
・15人の取締役のうち13人を社外取締役に変更。取締役にストリンガー氏を信じる人のみを任命することで、ストリンガー氏がCEOに指名され続けるよう画策した。

結局「モノづくり」から撤退したソニーは、その後ヒット製品を生み出すことができず、ストリンガー時代の株式時価総額は123位から477位にまで転落した。

かつて、番組でもストリンガー氏が就任する際この番組でも、コストカットで名を馳せてきたことから日本でもリストラの嵐が始まるのではと話したことは記憶に新しく、まさにその通りになってしまった。テレビに関する知識はあったのかもしれないが、モノづくりのことは全く知らなかったというのがポイントだった。

【日本の言語・習慣・文化に馴染めず・・・】
もうひとつの失敗した事例をあげると、日本板硝子では言語と企業の習慣、文化などの問題が生じたことにより立て続けに外国人経営者が辞任している。日本板硝子は2006年に売上規模が自社の2倍のイギリスガラス大手のピルキントンを買収・子会社し、当時「小が大を呑む」と騒がれたことは記憶に新しい。

その買収を機にこれからは国際化時代と舵を切り、ピルキントン出身のスチュアート・チェンバース氏が2008年6月に社長に就任した。チェンバース氏は「郷に入れば郷に従え」と日本的な経営を努めたが「仕事よりイギリスにいる子供たちとの時間を優先したい」という理由から1年余りでトップの座を放棄。「日本の古典的サラリーマンは会社第一で、家族は二の次だが、私にはそれはできなかった」と日本特有の企業風土に馴染めなかったことを明かし2009年9月末に退任した。

その後、米化学大手デュポンの副社長を務めた経歴が買われ、外部からネイラー氏を召聘した。しかしながら、経営戦略の違いによりわずか1年10ヵ月で交代。外国人経営者を招き始めた戦略は3年持たなかった。立て続けに失敗した傷は大きく、どういう人を招いたらいいかということを熟慮しないといけないことを思い知らしめた。

【稀有な成功事例も】
失敗事例の紹介が続いたが、成功している面白い事例も紹介したい。それは、東京都港区に本社を置く小西美術工藝社(※2)。この会社は国宝や重要文化財の修復を7~8割を手掛けている。創業は江戸時代寛永年間、法人を設立したのは1957年で300年以上の歴史を持つ老舗で、イギリス出身のアトキンソン氏が現在社長を務めている。アトキンソン氏の経歴はすごく、コンサルタント会社勤務を経て、証券会社を転々とした後にゴールドマン・サックスで共同経営者にまで登りつめた人物。

アトキンソン氏は1999年に茶道の裏千家に入門し、2006年に茶名「宗真(そうしん)」を拝受されるほど日本の伝統文化に親しんでいる。茶名は、茶道を極めないともらえない称号で、その上は師範という位。2007年、42歳の時ゴールドマン・サックスを「日本文化に触れたい」と突然退社し、その直後に日本の伝統文化の更なる精通を目指し京都に町屋を購入。心底、日本文化に惚れ込んだ方だ。その町屋で茶道に没頭する生活を送っていた。そんな中、偶然、小西美術工藝社の先代社長が軽井沢に所有していた別荘の隣におり、その方から経営を見てほしいと頼まれた。その依頼を受け、2011年に小西美術工藝社の社長に就任した。

アトキンソン氏は経理も在庫管理も丼勘定で、職人の4割が非正規雇用という会社の内情を知り驚いた。当初は「国の体制のもとで続いている老舗なので、経営的な問題はないと思っていたが、経営は安定的なものではなかった」と後に語っている。そこから改革を進め、非正規雇用だった職人を全員正社員として給料を保証し、技術継承のために若い職人を増加させるとともに、さらなる設備投資を実施した。職人の仕事の質と生産性が高まった結果、5年間の利益平均がその前の5年間より80%以上も伸長することができた。このように成功した例が実際にあるのだ。

【昨日の続きは今日、今日の続きは明日】
日本は農耕民族であり、「昨日の続きは今日、今日の続きは明日」という民族性だ。外国人の民族性は狩猟民族が多く、大きなリストラや変革を実施するにはこういった民族性の人が必要だ。トランプ大統領はまさにその典型で、オバマ政権の実績をひっくり返し、まさにオセロゲームのように黒を白にしてしまっている。

その反面日本は、ジワジワと過ごす経営だが、今のような国際化時代においては思い切った戦略ができる経営者を置き、リストラを実施することも大事なのかもしれない。その際には、農耕民族と狩猟民族の両面を併せ持つ人を日本企業の外国人経営者に据えることが成功のカギとなるように思う。

日本ではいきなり外国人経営者がやって来て、リストラを断行されてもなかなかついていけない。かといって日本的な経営だけで過ごしていると、なかなか大幅な改善を図れず業績は向上しない場合が多い。よって、日本の文化や経営等を理解しながら外国流のナタをふるえる外国人経営者が求められると思う。しかしながら、なかなか両面兼ね備えた人がいないのが実情だ。

日本は経済力では世界3位だが、生産性は先進国の中で最下位に近い。日本はいまバブル時代の資産で食べており危機感が非常に薄いように感じる。国際化の時代となり、日本が変わるためには外国人の考えや思想、手法が必要になってきた。1970~90年のバブル時代には日本的経営がもてはやされ、日本はこれに自信を持ちすぎている側面もある。それはもはや昔の話で、今求められているのは国際化、多様性などの新しい血を入れていく時代への変革ではないだろうか。今後、日本の文化を理解した上で、一刀両断できる外国人経営者が日本企業のトップに登場することを期待したい。

※トップ画像はFlickerよりストリンガ氏がCES 2009にて行なったキーノートストリンガー氏のセッションにトム・ハンクス氏が登場した様子。

 ※2)小西美術工藝社のFacebookでは手がけられたものをご紹介されています。

ウズベクの美男美女やかわいい子供たちとお花見

東京も桜が満開となりました。花の命は短くおそらく今週末には見頃を迎えますが、新宿御苑の八重桜の見頃は少し時期がずれ、2回お花見を楽しむ事が出来ます。これを逃すと来年まで待たなくてはなりません。

私が会長を務める日本ウズベキスタン協会ではその時期に合わせ、毎年新宿御苑でお花見を開催しています。そのお花見には多くのウズベク人の美男美女やかわいい子供たちが大勢参加してくれます。

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よく官邸主催の桜をみる会と同日になるのですが、今年も同日の開催です。昨年は会員とその知人、友人、ウズベク人が約50人集まり楽しい会でした。一般の方もぜひお気軽にご参加ください。多くの方のご参加をお待ちしています。

参加費は1500円(会員及び留学生は1000円)でおいしいお弁当やビンゴ大会もあります。準備の都合、4月12日(水)までに下記を参照の上日本ウズベキスタン協会事務局までお申し込み下さい。

日  時:4月15日(土)集合時間10時30分 / 入園時刻11時
                  雨天中止
集合場所:新宿御苑 新宿門前広場 
     ※担当者がウズベキスタンの国旗を持ってお待ちしております。

 ※画像をクリックすると地図の拡大図が見られます。

 

 

 

 

 

参加費:1,500円(当協会会員及び留学生は1,000円)、中学生以下は無料

準備の都合がありますので、ご参加の方は以下ご連絡下さい。

申込み:以下の内容を記載の上日本ウズベキスタン協会事務局宛お申し込み下さい。
メール(jp-uzbeku(ここに@を入れてください)nifty.comクリックでメーラーが開きます
または電話( 03-3593-1400)、FAX(03-3593-1406)
・参加者の氏名
・参加者の会員種別(会員・一般,留学生,12才以下)
・緊急連絡先(複数名でお申し込みの場合は代表者のみ)

お願い:当日ビンゴゲ-ムをします。500円以下の賞品を用意の上参加下さいますようお願いいたします。

また、少量でも構いませんのでお菓子の差入れ等も大歓迎です。

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:瀬木比呂志様(明治大学法科大学院教授)

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スタッフです。昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)、明治大学法科大学院教授の瀬木比呂志様をお迎えした音源が番組サイトに掲載されました。

 東京大在学中に司法試験に合格し、裁判官になった経緯や、官僚主義がはびこっていると云う裁判所の現状や、日本の司法は欧米先進国のレベルから外れ危うい状況であるなど、リベラルアーツが軽視されている日本の司法の問題点などについてお伺いいたしました。

次週も引き続き瀬木様をゲストにお迎えし、順調にキャリアを積んできたのに、なぜ法曹界を辞め、その現状を批判するようになっていったのかなどにつきお伺いいたします。

瀬木様の書籍が現在好評発売中です。合わせてご覧ください。

落とす現金1日1000万円

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 2016年に都内で落し物として届けられた現金は、何と約36億7000万円あったという。これはバブル期の1990年の35億円を超え過去最高で、7年連続の増加記録。1日に約1000万円が落とされている計算だ。

 落し物は3カ月間保管されるが、持ち主が現われなければ拾った人のものになり、16年は35億円のうち27億円が持ち主に返された。現金も含めた落とし物の件数は383万件で9年連続最多。クレジットカードや運転免許証など証明書類が約62万点、IC乗車券など有価証券類が約48万1000点(以上2月18日付毎日新聞)もあった。毎日約1000万円の現金が都内で落ちているのはやはり驚きだ。

 一方、1億円以上の金融資産を持つ富裕層は安倍政権発足以前の11年に比べ40万世帯増えている(野村総研調べ)。この結果、約2%の世帯が全体の2割の資産を持っていることになる。アメリカでは上位約3%の富裕層が全体の半分の資産を持つが、日本でも富裕層への富の集中が進行しているようだ。

 実際、年収1億円以上の上場企業の役員数は16年に414人に増え一人当たりの平均年収も2億円を超えた。一般的な給与所得者でみると、800万円以上の高所得者層はここ5年間で2ケタ増となっているが、逆に500万円以下の中低所得者層の所得の伸びは4%増にも達していない。

 特に非正規社員だけをとると平均年収は300万円にも満たない日本でも着実に所得の二極化が進み、しかも、中間層は全体に下落傾向にある。

 過去の歴史をみても、消費が増え、社会が豊かになり安定化してゆくのは、中間層が増大している時だ。逆に中間層が細り没落してくると、社会は荒れ、消費力も国力も落ちてくる。現代社会は欧米も日本も、旧共産圏も中間層が減少化傾向にあるといえる。

 そんな中でアジアは中間層が伸びている数少ない地域だろう。アジアでは年収5000ドルから3万5000ドル(円にして約55万円から385万円)の層を中間層と呼び、東南アジアでは約8億人の中間層が存在するとみられている。家庭生活で電気冷蔵庫や電気洗濯機、テレビなどの日用家電品やバイク、自動車などをローンで買っている人々だ。これらアジアの中間層は2030年代には20億人を超すと予想されている。

 これに対し日本では少子高齢化、所得層の二極分解などで不安を感じ財布のヒモを締めにかかっているのが実情だ。しかし、それにも拘わらず累計で毎日1000万円を落としている人々がいる現実をどう考えたらいいのだろう。バブル時代の緩みからまだ目が覚めていないのだろうか。
【財界 2017年4月4日号 第444回】

東芝の凋落に何を学ぶか M&A経営の落とし穴

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 東芝の凋落は、産業界だけでなく世間一般にも大きな衝撃を与えている。折り紙つきの超優良企業とみられていても、経営判断のミスからあっという間に転落してしまう事実をまざまざと見せつけたからだ。

 東芝といえば、テレビや半導体、重電機、軍事・防衛関連、鉄道車両など家電から重電に至る総合電機メーカーとして、日本を代表する超優良巨大企業だった。1930年代から冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの国産化製品を次々と生産、その後も電子レンジ、炊飯器など白物家電など日本人の家庭生活、ライフスタイルを変革する製品を作り、日本の生活文化をリードしてきた企業だった。

 その東芝が2015年に明らかになった粉飾決算をきかっけに、一挙に転落への道をたどっている。わずか2年前のことながら、当初は白物家電事業の一部の売却で収拾するとみられていたが、東芝事業の両輪を支える半導体事業、原子力事業にまで及ぶ深刻な経営問題にまで発展してしまったのだ。

――発端は2015年決算から――
 不祥事が発覚したのは2015年の決算からだった。決算発表の延期と配当の見送りを決め、第三者委員会が調査報告書を提出したところ、会社で「チャレンジ」と称して架空の売り上げや利益水増しの粉飾が明るみに出た。このため田中久雄社長や前社長の佐々木則夫副会長、さらにその前の西田厚聰元社長ら直近の3社長と経営陣9人が引責辞任し、東芝株は東証によって特設注意市場銘柄に指定されてしまった。まさに、あれよあれよという間に名門東芝は傷だらけの企業になってしまったのである。

 2016年になると7,191億円の営業赤字と4,832億円の最終赤字を出すに至り、資金繰りまで苦しくなって3月までに白物家電、医薬品事業、映像事業などを次々に売却、従業員約1万人のリストラにまで及ぶこととなる。


――WH買収で底なし沼へ――
 だが、本当に深刻な事態はその後にやってくる。2006年、西田社長時代に約6,000億円とも言われる金額で買収したアメリカ原子力メーカー・ウエスチングハウス(WH)でも、巨額の赤字を抱えていることが分かってきたからだ。WHの買収によって東芝原子力事業を半導体と並ぶ将来の経営の柱とすることを公言し、世界から30基以上の原発の受注を取れると見込んでいた。しかし、アメリカの原子力発電所建設の過程でWH関連子会社の工期が遅れ、その遅れによって生ずる損失は東芝が責任を負う契約となっていたため、7,000億円を超す赤字が見込まれることになってしまったのだ。

――好調半導体分野も道連れに――
 その結果、債務超過のおそれも出てきたため、世界で2位のシェアを誇り年間1,100億円の利益を生み出す稼ぎ頭であった半導体部門の分社化と、株の放出に手をつけざるを得なくなってきたのである。こうして、東芝の今後の事業の核となる原子力分野と半導体部門はズタズタになってしまった。将来の成長分野とみた2分野。特に半導体部門の分社化、株売却は苦渋の決断だったようだが、債務超過を防ぎ、とにかく資金繰りを確保するにはやむを得ない処理方針だったようだ。しかし、当面の資金繰り確保が出来たとしても今後の成長の柱を失ってしまえば、再生・再建の足がかりをどこにつかむか。その将来も厳しいものになると予想される。

――日本は農耕民族型のDNAでは?――
 現在の日本は、どの業界も買収ブームである。バブル時代やその後にため込んだ内部留保は国内の消費不況から設備投資に向けることができず、結局売り上げ、利益を増やすには海外企業の買収に向かわざるをえない企業が目立つ。日本はもともと、農耕民族でコツコツと田畑を耕し、良い作物を作る工夫に知恵を絞り、努力を重ねてきたことを強みとしていた。それなのに本来のDNAを忘れ、手っ取り早いM&Aに資金を注ぎこみ失敗している企業の例は枚挙に暇がない。グローバル化、IT化、M&A時代の開発と企業成長のあり方をじっくり考えてみる時期かもしれない。
TSR情報 2017年3月28日】

※なお、東芝は本日、米原子力子会社ウェスチングハウス(WH)など2社の連邦破産法11条の適用申請を受け、綱川社長が記者会見を先ほど行なった。これによって2017年3月期にWHグループは東芝の連結から外れる。

主な内容は以下の通り(日経新聞速報より抜粋)
・2社の負債総額は計98億ドル(約1兆900億円)。これによって東芝の2017年3月期の連結最終損益が最大で1兆100億円の赤字(従来予想は3900億円の赤字)となる可能性を発表。
・赤字額は09年3月期に日立製作所が記録した7873億円を上回り、国内製造業としては過去最大となる見通し。これにより東芝債務超過額は17年3月末で6200億円となる可能性も明らかとなった。(これまでの債超超過額見通しは1500億円)

直近では、30日に半導体モリー事業を分社するための臨時株主総会を開催。

画像:Wikimedia commons "SS-1200"(Japan First Electric refrigerator 1930) , "Solar"(Japan First Electric Washing machine 1930) , "VC-A"(Japan First Electric Vacuum cleaner 1931) at Toshiba Science Museum, Kawasaki, Japan | Dddeco |

近著ノンフィクション「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」の3刷が決定!

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スタッフです。2015年9月30日に角川書店より発売した「日本兵捕虜はシルクロードを建てた」の3刷が決定しました。昨年の2月5日に2刷目が発売され、初版より1年半あまりで3刷目をお届けできる運びとなりました。

発売当初より、感動したとのコメントやご家族がシベリア抑留に行かれていたことなど、多くの感想を寄せていただき、新聞各紙や雑誌などで大きく取り上げていただきました。多くの本が出版され、なかなかお手元にとどくことが少ない中で長きにわたって購入し、読んで下さる方がいることは本当にうれしいことです。改めて感謝申し上げます。

まだお読みになられていない方もいらっしゃると思いますので、ここで嶌の本書の紹介文を記載します。

ロシア4大オペラハウスを作った日本人捕虜
――シルクロードの日本人伝説と極楽収容所――

このテーマは私がNPO日本ウズベキスタン協会を設立した後、10年以上にわたり取材、調査してきました。実話のノンフィクションとするため、何度か挫折しながらも書き上げた思い入れのある本です。

地震にも倒れなかったウズベキスタンのオペラハウ
戦後70年にあたる今年(初版発売当時)は、様々な戦後史ものが出版されてきました。なかでも多かったのがシベリア抑留の悲劇です。本作はシベリア抑留の悲劇とは違ったソ連での抑留生活を描きました。中央アジアの収容所ですごした457人の日本人捕虜が旧ソ連の4大オペラハウスの一つとなるビザンチン様式の「ナボイ劇場」をロシア革命30年にあたる1947年10月に完成させたのです。厳しい収容所生活にありながら「後世に日本の恥となるような建築は作らない。その上で、全員が元気に帰国する」ことを使命として永田行夫隊長以下10~20代の捕虜たちがウズベク人と協力して建築したものです。1966年の大地震タシケント市が全壊した時、ナボイ劇場だけは凛として悠然と建ち続け、中央アジアの人たちを驚かせました。そのことが91年のソ連からの独立以来、日本をモデルにした国づくりをしようという動きになったのです。

戦後70年目に陽の目を見た秘話
シベリア抑留の悲劇に隠れ、ウズベクのオペラハウス建設の秘話はこれまで日本人にほとんど知られていませんでした。ナボイ劇場の裏手に行くと「この劇場は日本人が建設し、完成に貢献した」という碑文があり、これを読んだ日本人は皆涙します。またウズベクの方々が毎週日本人墓地を掃除してくれています。

アマゾンで1位になった感涙の物語
ぜひ若き日本の抑留者たちの労苦と協力・和の精神が中央アジア全体に多くの親日国を作ったことにつながったことを知って頂き、満州抑留兵のもうひとつの秘話を広めて欲しいと思っています。ぜひ日本人論を再考し、感涙の一冊としてもぜひ多くの皆様にご紹介いただければ幸いです。

 

本書の装丁は鈴木正道氏が担当してくださり、本のカバーを取ると本書の舞台になっているウズベキスタンタシケント市のオペラハウス「ナボイ劇場」の内部の画像となっています。カバーを取って開いた状態で両端の折り込み部分を開くとさらに大きくなりますので、合わせてご覧いただけると幸いです。

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書籍内容についてさらに詳細にお知りになりたい方は、本書の特設サイトを参照ください。

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