時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

新刊 財界研究所「母の教え 人格は3歳までに決まる。 4」に嶌の母の教えが掲載されました

f:id:Nobuhiko_Shima:20170706161634j:plain

スタッフです。6月30日に財界研究所から「母の教え 人格は3歳までに決まる。Ⅳ」が発売となり、本書に嶌の母の教えも収録されております。

「母の教え」は雑誌「財界」にて2013年からリーダーの人格形成はどうやって作られるかという視点で毎号連載されている人気の特集です。今回、斉藤惇様(KKRジャパン会長)、野本弘文様(東京急行社長)、澤田秀雄様(エイチ・アイ・エス会長兼社長)、宮内義彦様(オリックス シニア・チェアマン)ら、日本を引っ張る20人のリーダーの「母から教わったこと」が収録されています。

嶌の内容は以下のとおりです。
「『金は天下の回り物。自由に生きなさい』という母の言葉が私の支えになっている」

・単身、中国に渡ったバイタリティに溢れる母

・母が作った中華料理が今でも好物

・友人に恵まれて自由に生きた父

 

現在アマゾンでは在庫切れのようですが、Honto等で購入いただけます。

母の教え 人格は3歳までに決まる。 4の通販/『財界』編集部 - 紙の本:honto本の通販ストア

【開催レポート】シルクロード・ウズベクや京都府舞鶴市の魅力を知ろう~加藤前ウズベク大使ご夫妻などをお招き~

f:id:Nobuhiko_Shima:20170705160452j:plain

スタッフです。6月28日に既報の嶌が会長を務める日本ウズベキスタン協会の総会ならびに中央アジアウズベキスタンの魅力やウズベキスタンとも関係が深い京都府舞鶴市の取り組みを伺うイベントを開催し、無事に終了しました。多くの方にご参加頂き感謝申し上げます。お越しになれなかった方も多数いらっしゃるようですので、当日の概要を記したいと思います。

ウズベクの魅力を加藤前ウズベク大使ご夫妻に伺う
ウズベクにすっかり魅了されたご夫妻~

f:id:Nobuhiko_Shima:20170705161152j:plain
総会終了後、まず昨年8月まで日本の駐ウズベク大使を務められた加藤文彦様(元通産省)と奥様の真弓様をお招きし、嶌との対談にてウズベクでの生活の話をお伺いしました。ウズベキスタンの宗教事情やウズベキスタンの方々との交流など、ウズベキスタンにすっかり魅了されてお帰りになられたエピソードなどを披露いただきました。

f:id:Nobuhiko_Shima:20170705161429j:plain

途中、ウズベキスタンからの留学生で協会理事のファヒリディンさんも話に参加し、会場を盛り上げていました。

f:id:Nobuhiko_Shima:20170705161232j:plain

抑留者の菊池様から加藤様にウズベキスタンにある日本人墓地が現状どうなっているかというご質問があり、ウズベキスタンの方々によって綺麗に保たれているとお答えいただくなど、活発な質疑応答も行なわれました。

ウズベクと交流を深める「引揚の街」
京都府舞鶴市の取り組みを語る~ウズベク日本人抑留者記録映画「ひいらぎ」を取得~

f:id:Nobuhiko_Shima:20170705161851j:plain

その後、京都府舞鶴市 スポーツ振興課 課長 小谷裕司様より舞鶴市におけるウズベキスタンとの交流に関してお話いただきました。舞鶴市は先日、2020年の東京オリンピックパラリンピックにおけるウズベキスタンのホストタウンに決定。学校給食にウズベク料理を出すなど、さまざまな交流をされています。それらの取り組みについてお話いただきました。

f:id:Nobuhiko_Shima:20170705161914j:plain

先日、舞鶴市は日本ウズベキスタン協会の協力により昨年1月に日本政府の招きで来日されたウズベキスタンタシケント市の日本人抑留者記念館のジャリル・スルタノフ館長制作の日本人抑留者のドキュメンタリー映画「ひいらぎ」を購入されました。今回そのお話をご披露されていました。今後舞鶴市内の学校での上映や舞鶴引揚記念館での上映が予定されています。

 

■日本ウズベキスタン協会後援「アレクセイ・スルタノフ生誕記念コンサート」開催
真夏の夜にクラシックの聖地東京文化会館で心に響くピアノを披露

f:id:Nobuhiko_Shima:20170705165422j:plain

最後に、会員の鳴海様より自身が実行委員を務め、協会が後援する「アレクセイ・スルタノフ生誕記念コンサート」のご案内がありました。鳴海様は、ウズベキスタンの生んだ「夭折の天才ピアニスト アレクセイ・スルタノフ」の熱烈なフアンで、毎年スルタノフ様の追悼コンサート企画されています。今回も実弟のセルゲイ・スルタノフ様も来日し、ピアノをご披露されます。

アレクセイ・スルタノフ様は、1969年8月7日にウズベキスタンの首都タシケントの音楽一家に生まれ、14歳からモスクワでピアノを本格的に学び始めました。

18歳でヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールに出場し、当時最年少で優勝した後、2年間世界中をコンサートする日々を送っていました。20歳になると兵役の義務が訪れ、ピアニストであり続けるためアメリカに住むことを選択しました。

25歳で有名なショパン・コンクールに出場し、他を圧する名演奏で観客の熱狂的な支持を得たものの1位の該当者はなく、最高位の2位となっています。その時に審査員を務めた故中村紘子様は、2003年4月から5月にかけて放送されたNHK人間講座にて「国際コンクール光と影」としてこの問題に触れています。この内容は同時期に発売されたNHKテキストにも掲載されています。

アレクセイ・スルタノフ生誕記念コンサート」 

日時:2017年8月3日(木)18:30開演(18:00開場)
場所:東京文化会館 小ホール
金額:2,000円(ウズベキスタン協会会員は1,000円)
申込先:アレクセイ・スルタノフ コンサート実行委員会
    電話・FAX(04-7133-7191)E-mail(sultanov40@yahoo.co.jp)

当日の演目や出演者については東京文化会館サイトに掲載の内容を参照ください。

ウルトラマン50年の人気と秘密 ―円谷プロの特撮の努力と歴史―

f:id:Nobuhiko_Shima:20170704151037j:plain

ゴジラが1954年にスタート】
 怪獣映画「ゴジラ」は、今も多くのファンをもつ。当初は日本の街を歩きながら踏み潰す大怪獣だった。しかし第5作「三大怪獣 地球最大の決戦」で、ゴジラは人類の味方として戦ったため、単なる恐怖の対象ではなくなっていきエンターテインメントとして迎え入れられる。また時には正義のヒーローとして描かれたこともあって、時代とともにゴジラ像も変化しつつある。特に元巨人の松井秀喜選手がゴジラの愛称で呼ばれるようになり、ますます親しみをもたれるようになった。最近は「シン・ゴジラ」が新作として公開され話題を呼んだ。

 このゴジラを1954年に世に送り出したのが、円谷プロダクションの特殊技術や特撮のノウハウをもったスタッフたちだった。人間(俳優)がゴジラなどの着ぐるみを身にまとい、実像の25分の1に作られた街や建物を巨大怪獣が踏み潰していくシーンが圧巻だった。時に大爆発が起こり街やビルが吹っ飛ばされるシーンもあるが、ゴジラのタイミングにあわせ爆破スイッチを入れるのが大変だったという。模型の街並みなので1回爆発させたら二度と使えないので、ゴジラの歩くシーンと爆発のタイミングを合わせるのは、まさに職人技を要したという。

【1956年ウルトラマンがTV放映】
 その円谷プロが満を持して制作をスタートさせたのが、1966年の「ウルトラマン」だった。宇宙からやってくる怪獣から地球を防衛するという筋立てで、地球防衛のヒーローが、ウルトラマンなのだ。TBSで放映されると、またたく間に子供たちの人気シリーズとなり、以来途中に休止期間があったものの、昨年の2016年で50年を迎え、今もテレビ東京系で毎週放送されている。TBSの玄関にはウルトラマンの立像まで立てられているほどだ。

 ウルトラマンはシリーズで放送され、たとえば1966年に「ウルトラQ」、66-67年「ウルトラマン」、67-68年「ウルトラセブン」、71-72年「帰ってきたウルトラマン」といった具合で、その後もウルトラマンA、ウルトラマンタロウウルトラマンレオウルトラマン80などが次々と放映された。90年代に入るとウルトラマンティガ(96-97年、この時からCGも導入)、ウルトラマン・ダイナ、ウルトラマン・ガイア、2000年代になるとウルトラマン・コスモス、ウルトラマン・ネクサス、ウルトラマン・マックス、ウルトラマンメビウスなどと続きついにはウルトラマン列伝、新列伝なども放映された。

【特撮の神様・円谷英二
 円谷英二氏は特撮の神様と呼ばれ薫陶をうけた職人たちが寝ずに頑張って特撮に工夫を重ねていった。着ぐるみのウルトラマンと怪獣が25分の1のセットで戦う映像をとるわけだから大変な現場だった。怪獣の新しいデザイン作り、怪獣が暴れて壊すセットの作り直し、着ぐるみの猛暑の中で動き回る俳優さんの苦労、重さを表現するために当時流通し始めたばかりのウレタンを土の下に埋め込み、怪獣が歩くと一歩ごとに重みで地面が沈む仕掛けを作るなど、「特撮には絶えず工夫と勉強が必要で、新しい技術や素材をいち早く使いこなす努力をした。現場はもう大変でしたね」と円谷プロウルトラマンに長く関わった大岡新一・現円谷プロダクション社長は当時を振り返る。大岡氏は主に特撮のカメラマンとしてウルトラマンにかかわってきたが、その後、制作部長などを経て2008年から社長となった。現物の25分の1の模型ミニチュアセットの現場で2m、10m、40mと変身したウルトラマンが怪獣と戦う実写を撮るわけだから並大抵の技では撮影できないし、そこに爆発シーンなどが入り、タイミングが合わないとすべてがムダになってしまうので、現場は真剣そのものだったという。まさに実写とミニチュアセットの組み合わせを、いかにリアリティあふれる形で撮影するかが勝負だったのだ。

ウルトラマンたちの個性、経歴】
 ウルトラマンにはそれぞれの個性、プロフィールがあり、それを意識することも重要だった。

 たとえばウルトラマンは、身長40m、体重3万5,000トン、年齢2万歳、出身M78星雲・光の国、走行速度時速450km、飛行速度マッハ5、ジャンプ力500~800m、腕力10万トンタンカーを持ち上げる、といった具合だ。必殺技はスペシウム光線、ウルトラスラッシュなど。職業は宇宙大学教授、宇宙警備隊銀河系局長。家族は父が宇宙保安庁長官、母はウルトラ学校先生――といった具合で、ゾフィーウルトラセブンウルトラマンジャックなどもそれぞれ詳細な経歴、役割の設定と経歴があるのだ。

 こうした個人履歴があることもリアリティを持たせ、子供たちの人気の背景となっているようだ。

 ウルトラマンのTV制作には1本2,000~3,000万円、しかし局から出る支払は数百万円程度で、結局良いものを作るため円谷プロが持ち出し負担となっていた。このため、円谷プロは何度か経営危機に陥っている。しかし、日本の誇る特撮技術には外国も敬意を表していたから手を抜くことができなかったのだ。

 ただ、ウルトラマンは魅力的なキャラクター製品としての可能性がまだまだあることや、年間2,500件以上のライセンス商品が発売されることで維持されているのが実情だ。

f:id:Nobuhiko_Shima:20170704151613j:plainf:id:Nobuhiko_Shima:20170704151627j:plainf:id:Nobuhiko_Shima:20170704151647j:plain
様々なウルトラマングッズを展開

【アジアへの展開へ】
 大岡社長は「ウルトラマンのメインのファンは4~5歳から小学生だが、成年、大人になっても時代を超えたウルトラマンの哲学――正義があり、それが時代ごとに少しずつ正義の意味も変化してくるので、50~60代の人もファンとして残ってくれているし、正義について子供と語りあってくれているようだ。こうした哲学のようなものがなければ、ウルトラマンは消えていたかもしれない。今後はアジア市場にもっと展開していきたい」と語っている。すでに、日本の生んだウルトラマンというキャラクターは欧米にも迎えられているが、今後はインバウンドの旅行客も増えているアジアがアニメとともに大きな市場ターゲットとなっていく可能性があるのだ。
TSR情報 2017年6月26日】

7月21日から池袋サンシャインシティにて「ウルトラマンフェスティバル2017」が開催されます。ウルフェス初のセブンxゼロ 親子ポージング像が登場し、カッコイイ写真が撮影できるなどウルトラマン好きにはたまらないイベントです。

f:id:Nobuhiko_Shima:20170704152041j:plain



トップ画像:TBS本社正面入口横にあるウルトラマン像(左:ウルトラマンメビウス、右:ウルトラマンマックス)今年の春の満開の桜とともに

欧州の政治家に見送られたコール元首相 ―東西ドイツを奇跡的に統合したステーツマン―

 

f:id:Nobuhiko_Shima:20170703174459j:plain

スタッフです。本日まぐまぐ有料メルマガに増刊号として標記のコラムを掲載しました。

 ドイツの故コール首相は大男だった。そのせいか、いつもゆったりとした動きに見え、意地の悪いマスコミの中には「大男、総身に知恵がまわりかね」などと皮肉る向きもあった。そんなコール首相だったが、東西ドイツの統一を巡る動きは素早かった・・・

 

続きに掲載されている本記事の見出し
・一年で統合の条件を整える
・電光石火の吸収合併策 ・アメリカ、欧州諸国、旧ソ連にも手を打つ
・ステーツマンを生み続けた戦後ドイツ

続きは以下メルマガにてごらんください。(初月無料)

www.mag2.com

 

画像:wikimedia commons 1989年12月22日、ブランデンブルク門が開放された日のコール(中央左)と東ドイツ閣僚評議会議長ハンス・モドロウ(左端)、西ベルリン市長ヴァルター・モンパー(中央右)

自民惨敗の都議選 ―安倍一強体制に風穴―

f:id:Nobuhiko_Shima:20170703164935j:plain

 都議選は「都民ファースト(以下、都民F)」の大勝となり、公明党などを合わせた小池支持勢力過半数を制した。都知事選は、他の地方選と異なり各党とも国政選挙並みに全力をあげて戦った選挙選だったから、この結果は今後の国政にも大きく影響するはずだ。私はこれまでも安倍政権はすでにピークを過ぎ、これからは衰弱してゆくと書いてきたが、一強体制は一挙に崩れてゆく気配も濃厚だ。

 安倍首相は都議選を終えたら、まず閣僚人事などに手をつける方向で動いているが、これだけ大敗すると人事案も難しくなろう。すでに党内から安倍首相の驕りや稲田防衛相など安倍側近人事にも批判が強い。安部一強体制のもとなら、それらの批判もねじ伏せることができたが、これほどの負け方になると人事構想も大きく変えざるを得ないのではないか。国民に人気の小泉進次郎氏を抜擢するなど思い切った手を打ち、清新さを打ち出して局面を変えたい思いだろう。

 しかし今回の敗因は、安倍首相の一強体制とその驕り体質にあったとみる向きも強いだけに、小手先の人事改革で国民の空気がかわるかどうかも疑問だ。むしろ安倍首相の姿勢や発言口調がもっと謙虚になることを求められているともいえよう。

【反省迫られる安倍政権の驕り】
 また、今回の選挙を機に安倍政治の実績も一つ一つ点検されるかもしれない、安倍政治の強味は外交にあり、特にアメリカとの同盟関係の強固さにあるとみられてきた。しかしトランプ新大統領は、既存の常識にとらわれず何を言い出すかわからないところがあり、安倍政権もただ追随していれば安心というわけにはいかない流れに変わりつつある。貿易や安保問題で日本にさらに負担を求めてくる可能性は対韓国、対中国などへの対応をみても大いにあり得ることだ。

 また、日本国民の安倍一強体制に対する見方も微妙に変化してくるように思える。来年秋までには、本番の衆院選挙もある。安倍首相はその衆院選勝利して憲法改正、首相任期の延長などを目算しているが、果たして思惑通り進むかどうか。政界はだんだん「一寸先は闇」の状況を呈してきた。ただ安倍政権にとっての救いは、結局民進党は受け皿にならないことがまたも明らかになったことだろう。

 フランスでは新党の39歳の新人・マクロン候補が大統領に当選し時代の変化を世界に示した。日本でも新党の都民Fが大勝したが、これも時代の変化を示しているのか、それとも安倍一強体制への反発なのか、今後の国政への影響がみものといえよう。

画像:wikimedia commons 都議選応援演説 小池百合子 江戸村のとくぞう氏

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:綾戸智恵様(ジャズシンガー)音源掲載

f:id:Nobuhiko_Shima:20170516155405j:plain

スタッフです。昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)にジャズシンガーの綾戸智恵様をお迎えした音源が番組サイトに掲載されました。10日間限定での公開です。

3歳の頃、紙の鍵盤のピアノとの出会いから「ピアノごっこ」を始めたという綾戸様。小学生の頃、音楽に興味を持つキッカケになった曲についてや、恩師との出会いなどについてお伺いいたしました。

次週も綾戸様をゲストにお迎えし、アメリカに憧れ費用を稼ぎ反対する母親を説得して渡米、20年近く日本とアメリカを行き来する生活をしているうちに結婚、出産、そして離婚。34歳で帰国後、色々な職業を転々としながら、デビューするまでの日々についてお伺いする予定です。

綾戸様が6月21日に新たなアルバム「DO JAZZ Gokko」を発売されました。綾戸様のオフィシャルサイトではサイン付のアルバムを購入いただけます。

SHOP まいど - 綾戸智恵様オフィシャル・ウェブサイト

また、7月17日(月・祝)にデビュー20周年 綾戸智恵コンサート2017 ~ DO JAZZ ~ 還暦スペシャルが開催されます。

詳細はTBSラジオのイベントページを参照ください。

デビュー20周年綾戸智恵コンサート2017~DOJAZZ~還暦スペシャル|TBSラジオAM954+FM90.5~聞けば、見えてくる~ 

なぜ政府・与党は証人喚問を拒否する?

f:id:Nobuhiko_Shima:20170630161305j:plain

 かつて総合商社のトップが、国会で証人喚問を受けるため、自らの名前を署名する時、手がブルブルふるえたことがあった。その場面をテレビが大きく映し出していたのを見て、商社のトップでもかなり緊張するのだな、という印象をもったことがある。

 その証人喚問にいま話題の加計学園問題を巡り文科省の前川前事務次官の証人喚問要求が野党から出ている。前川氏は喚問に応ずることを何度か述べているが、解せないのは政府と自民・公明の与党が「必要ない」と証人喚問に反対していることだ。証人喚問で証言者がウソをつけば偽証罪に問われるだけに普通は証人を嫌がるものだが、前川氏がOKしているのに政府与党のトップが呼ばなくてよいと言い、証人喚問に出したくない様子なのだ。

 加計学園問題を巡ってはいろいろ疑問がある小泉政権時代から加計学園獣医学部の設置を申請し、過去15回にわたり却下されてきた。それが安倍政権時代に構造改革特区を新設した時から急きょ新設が認められる状況になってきた。その背景には安倍首相と加計理事長が30年来の友人であること、その二人の関係を配慮して関係省庁の官僚が突如、推進支援に動いたこと。またこの認可は官邸の意向でもあることなどを示唆する発言が言われてきたことなどもあったようだ。

 前川氏は、獣医学部を新設する理由はさしあたって見当たらないこと、また特別な新しいプロジェクトを行なう計画も聞いていなかったので、官邸の圧力で「赤信号を青信号に、黒を白にさせられようとしている」と感じ、退官した身だがあえて問題提起として明らかにしたようだ。前川氏によれば、”総理の意向”といった形で認可すれば「行政のあり方が歪められてしまう」とみたようで、「役人は公正、公平な役人のあり方、吏道を全うすべきだと考えた」としている。

 これに対し安倍首相は「友人だからといって筋を曲げるようなことは一切していない。構造特区に指定したのは、岩盤のように固い規制に穴をあけるためで何ら恣意的な目的にない」と主張し続けている。また官房長官は”総理の意向”などと記された文書について「怪文書みたいなものではないか」と一蹴。前川氏は文科省天下り問題で「自ら辞める意向を示さず地位に恋々としがみついた人物」と普段は冷静な長官にしては珍しく個人攻撃をして驚かせた。

 元官僚と官邸・与党のトップが連日メディアでやりあうといった事例は最近では珍しい。国民が疑問に思っている以上、国民の前ではっきりさせた方がよいだろう。官邸と巨大与党が、首相の友人に便宜を図ったというような印象をもたれたまま終結するのはいかがなものか。
【財界 2017年7月4日号 第450回】

画像:Wikimedia commons 旧文科省庁舎

 Facebook

 嶌信彦メールマガジン

 嶌信彦メールマガジン

書籍情報
日本人の覚悟

日本人の覚悟―成熟経済を超える

(実業之日本社)
【著】嶌 信彦


日本の「世界商品」力

日本の『世界商品』力

(集英社新書)
【著】嶌 信彦

     
首脳外交

首脳外交-先進国サミットの裏面史

(文春新書)
【著】嶌 信彦


 
嶌信彦の一筆入魂

嶌信彦の一筆入魂

(財界研究所)
【著】嶌 信彦


ニュースキャスターたちの24時間

ニュースキャスターたちの24時間

(講談社)
【著】嶌 信彦
       

 日本ウズベキスタン協会