時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

厚い内部留保は一時の安心 稼いだカネは活用してこそ次へのステップ

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 おカネを貯めることは上手で好きだが、使い方は慎重で下手くそ――こんな傾向が最近の日本企業の特色となっている。ただ貯めたおカネを新しい技術開発や新規投資にまわさないと日本は世界の競争にどんどん遅れをとることになる。

 企業が稼いだ利益から税金や株の配当金などを支払った後に、社内に蓄積される残ったカネを「内部留保」と呼んでいるが、その額は6年連続で過去最高を更新している。17年度末の内部留保額は前年度から40兆円増えて446兆4844億円を記録(財務省調べ・前年比9.9%増)した。その結果、企業の設備投資は製造業、非製造業と45兆4475億円とここ20年間では最大だった。

 

続きは、本日配信のメールマガジンまぐまぐ」”虫の目、鳥の目、歴史の目”にてご覧ください。(初月無料)

続きに掲載されている本記事の見出し

■保守・点検にまわる投資でいいのか
■5Gで激突している米・中
■「中国製造2025」の狙い
■中国が目指す10大重点産業分野
■豊かさに安住し競争心衰えた日本?
■日本が製造業王国になったわけ

新年のご挨拶と日本ウズベキスタン協会創立20周年記念新年会開催のご案内

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 あけましておめでとうございます。新しい年を迎え、皆様にとって吉き年でありますことを心より祈念しております。

 早いもので私が会長を務める日本ウズベキスタン協会を設立してから20年も経ちました。改めて会員皆様をはじめ、ご支援いただいた皆様に感謝を申し上げます。今年度も、皆様にお喜び頂けるイベントを開催してまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

前田耕作氏

前田耕作

 さて、本年第一弾のイベントとして、恒例の新年会を1月26日にプレスセンターで開催いたします。20年経過の記念すべき新年会としてゲストに中央アジア古代史の第一人者である前田耕作先生をお招きして「シルクロード玄奘三蔵」と題して華やかな世界の中心となっていた時代の中央アジアの歴史を30分程度、語っていただくことになりました。その後、前田先生と嶌が現代の中央アジアの存在意義と将来、日本との関係について対談(15分程度)をする予定です。

 中央アジアは10世紀前半までは世界の文化・文明の中心地でしたが、15世紀以降になって大航海時代がやってくると、次第に忘れ去られてきました。しかし、アジアとヨーロッパを結ぶ中心にあり地政学的には今後も要所で、世界中が再び注目しています。

 中央アジアシルクロードという響きには何かロマンを感ずるものがあります。新年会では日本ウズベキスタン協会が出来たいきさつなどもご紹介しながら大いに楽しみたいと思っています。どうかお知り合いの方をお誘いあわせの上ご参加下さい。

 また、駒崎万集さんのドゥタール演奏やグリスタンの皆さんのウズベクダンスと大使館からの差し入れが予定されているウズベク料理で日本にいながらウズベキスタンの雰囲気を味わって頂けると幸いです。多数の皆さんのお越しを心よりお待ち申し上げております。

[日 時]2019年1月26日(土)13:30~16:30

[会 場]日本プレスセンタービル 10 階(千代田区内幸町 2 ― 2 ― 1)

[交 通]東京メトロ 千代田線・日比谷線 霞ヶ関駅 C4

     東京メトロ 丸ノ内線 霞ヶ関駅 B2

     都営三田線 内幸町駅 A7
     ※駐車場はありません。

[会 費]一般5,000円、会員及び同伴者3,000円、高・大学生・ウズベキスタン出身の社会人2,000円、留学生の方1,000円  
※1 会員の方は,事前に送付します会報同封の郵便振替用紙にて入金下さい
※2 一般の方は会員と同伴の場合に限り,会員価格です
※3 会員以外の方は,当日受付にて現金にて会費をお支払い下さい
※4 中学生以下の方は無料です
※5 立食パーティー

[申込先]NPO日本ウズベキスタン協会まで

     電話(03-3593-1400)、ファックス(03-3593-1406)、

     メール(jp-uzbeku@nifty.com)(注)満席になり次第受付終了

日曜 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲスト:日本郵便株式会社 切手デザイナー 玉木明氏

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日曜(13日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はゲストに日本郵便株式会社 切手デザイナー 玉木明氏をお迎えいたします。

旧郵政省に技芸官(デザイナー)として入省後、切手デザイナーとしてデビューするまで、デビュー後の作品づくりにおける苦労や思いなどについてお伺いする予定です。

今回収録時に玉木氏がこれまで手掛けられた切手や海外の珍しい切手をお持ちくださいました。

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子供の頃に切手を収集されていた方も多いと思います。普段何気なく使っており、非常に身近な存在ですが、興味深いお話をいろいろ伺うことが出来ました。詳しくは放送をお楽しみに。

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲスト:東京大田区にある町工場・小松ばね工業会長の小松節子氏二夜目 音源掲載

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昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はゲストに東京大田区にある町工場・小松ばね工業会長の小松節子氏をお迎えした二夜目の音源が番組サイトに掲載されました。期間限定で来週水曜正午までお聞きいただけます。

専業主婦からビジネスの世界に飛び込み、積極的に社長として事業の舵取りを行なったことや、リーマン・ショックの影響で売上高が落ち込んだ時のチャレンジなどについてお伺いしました。

前回の父の急死がきっかけで任された事業承継のみならず家の相続問題まで、様々な苦難を乗り越えてこられた当時のエピソードについてお伺いした放送音源は今週水曜正午まで番組サイトにてお聞きいただけます。

 次回は、日本郵便株式会社 主任切手デザイナーの玉木明氏をお迎えする予定です。

12月中旬に嶌が小松氏をゲストにお迎えした番組収録時の感想をコラムに記し、先日まぐまぐニュースに掲載いただきましたので、ぜひ合わせて参照いただけると幸いです。

 

参考まで、小松ばね工業様の製造工程の動画を共有いたします。本動画は、2016年に開始した、日本の高い技術を持つ町工場の製造過程の映像と音を気鋭のトラックメーカーがリミックスし作品化するプロジェクト「INDUSTRIAL JP」の一つで、この動画がレーベル設立のきっかけとなっています。

このプロジェクトは、以前「志の人たち」のゲストとしてお越しいただいた由紀精密様の大坪正人氏と電通総研様等で日本の中小企業の高い技術をクリエイティブの力で広めたいという思いから発足し、話題となっているものです。

参考サイト

成果上がらぬ安倍外交 ─プーチンにしてやられる?─

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 "売り物"だった安倍外交が、このところさっぱりだ。日米関係は貿易不均衡問題に絡み自動車、農業などで再びアメリカが攻めてくる可能性が濃厚だ。拉致問題朝鮮半島情勢との関係も米朝首脳会談に先行され日本は置き去りにされてしまった。中国とは経済で弱っているのでかつてほどギクシャクしていないが、ITやサイバー問題などでは遅れをとり将来が心配されている。近隣の東南アジアとは政治的にも人脈的にもかつてのような親密さがない。日本をアジアの代表とは見ておらず、むしろ中国への接近が目立ち始めている。

 そんな中で、最近の安倍首相は日露関係に熱心で日露平和条約を結び、安倍外交の成功のシンボルにしようとする姿勢が強くみられる。プーチン大統領と安倍首相の会談は24回を数え、日露の懸案である領土問題と日露平和条約の締結に異常なほど力を入れている。北方領土の四島返還は日本の外交当局が長年追求してきたテーマだし、ロシアと平和条約を締結することになれば、安倍外交の歴史的遺産にもなることは間違いないからだ。

 北方領土は北海道・北東沖、知床半島先に位置する択捉島(3167k㎡)、国後島(1490k㎡)、色丹島(249k㎡)、歯舞群島(93k㎡)の千島列島四島を指す。1875年の樺太・千島交換条約で千島列島は日本領、樺太をロシア領とする協定を結んだ。ところが、45年2月の米英ソによるヤルタ協定で千島列島をソ連に引き渡すことで合意したため、第二次大戦末期の45年8月9日にソ連軍が参戦し千島列島と北方四島を占領し約1万7000人の日本人を退去させた。その後51年のサンフランシスコ講和条約により日本は千島列島を放棄したが、56年10月の日ソ共同宣言で「平和条約締結後に歯舞、色丹の日本引渡し」を明記。ただ平和条約は締結されないまま今日に至っている。

 安倍首相が北方領土に最も力を入れ、北方領土に経済協力をしてゆけば、プーチンも折れてきやすいとみてここ一年は協力を進めている。しかし、日本が経済協力を進めればプーチンが妥協するかといえば、したたかなプーチンは甘くはない。現に最近、四島の主権は渡さないと主張し始めている。色丹島の住民は現在約3000人(歯舞は0人)で、択捉、国後、両島で約1万3000人に及ぶといい、ロシア人の立退きは殆んど不可能なのだ。

 安倍首相が外交に熱心なのは国民も認めているが、結果として経済協力の手を差し伸べているだけで日本の国益には殆んど繋がっていないのが現実だ。安倍外交が訪問先でパスポートにスタンプを押してくるだけの”スタンプラリー外交”と皮肉られるでもあろう。
【財界 2019新春特別号 第486回】

29日TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲスト:東京大田区にある町工場・小松ばね工業会長の小松節子氏 音源掲載 次回は6日放送

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29日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30~)はゲストに東京大田区にある町工場・小松ばね工業会長の小松節子氏をお迎えした音源が番組サイトに掲載されました。期間限定で来週水曜正午までお聞きいただけます。

父の急死がきっかけで任された事業承継のみならず家の相続問題まで、様々な苦難を乗り越えてこられた当時のエピソードについてお伺いしました。

次回は通常の時間に戻り、1月6日(日)21時30分より小松氏を引き続きゲストにお迎えし、専業主婦からビジネスの世界に飛び込み、積極的に社長として事業の舵取りを行なったことや、リーマン・ショックの影響で売上高が落ち込んだ時のチャレンジなどについてお伺いする予定です。

今月中旬に嶌が小松氏をゲストにお迎えした番組収録時の感想をコラムに記し、昨日まぐまぐニュースに掲載いただきましたので、ぜひ合わせて参照いただけると幸いです。

 

参考まで、小松ばね工業様の製造工程の動画を共有いたします。本動画は、2016年に開始した、日本の高い技術を持つ町工場の製造過程の映像と音を気鋭のトラックメーカーがリミックスし作品化するプロジェクト「INDUSTRIAL JP」の一つで、この動画がレーベル設立のきっかけとなっています。

このプロジェクトは、以前「志の人たち」のゲストとしてお越しいただいた由紀精密様の大坪正人氏と電通総研様等で日本の中小企業の高い技術をクリエイティブの力で広めたいという思いから発足し、話題となっているものです。

参考サイト

置き去りにされる重厚長大 ―時代を先取りする新産業を探せ―

フリント市のラザフォード市長より名誉市民として鍵を授与される

フリント市のラザフォード市長より名誉市民として鍵を授与される

 新たなブラックマンデー(暗黒の月曜日)――。オハイオ州ローズタウン市の地元紙は11月末にGMゼネラルモーターズ)の工場の閉鎖をこう報じた。

 昨年から3000人が解雇され、今回さらに1500人の雇用が2019年3月になくなるという。生産縮小に伴う整理でこれまでも外部委託が進み、かつてGM労働者が生産していた座席やバンパーは、現在関連会社で半分の賃金で生産されるようになったのだ。トランプ氏が大統領選の前に選挙運動でやってきた時、「オハイオを去った仕事はまた戻ってくる。引っ越すなよ、家を売るなよ」と呼びかけ労働者を熱狂させたという。しかし解雇は続き、工場全体が生産停止になろうとしている。

■錆びた街オハイオ
 オハイオ州は中西部の製造業の州として生き残ってきた。だがいまや、かつては黄金期を極めた中西部の“重厚長大”の製造業の街が次々と“錆びた街”に変貌し、ラストベルト(最後の地帯の街)といわれる状態になってきているのだ。

 中西部の前に衰退した地域は、ミシガン州デトロイトピッツバーグなどを中心とする東海岸の工場地帯だ。自動車の街、鉄の都といわれ、1970年代までは、それこそアメリカの繁栄を象徴する地域だった。金曜の夜になるとニューヨークへ飛行機で飛びレストランでおいしいご馳走を食べ、ミュージカルを見て日曜の夜に帰宅するというのが当時の中流階級のライフスタイルだったという。

■全盛期のフリント市は
 しかし70年代半ばに入ると日本の鉄鋼、自動車との競争に敗北し、街は徐々に寂れていった。私がワシントン特派員としてアメリカを取材していた80年初頭は日米自動車摩擦が最も激しい時期で、私もよく現地取材に出かけたものだ。今でも忘れられないのはGMの発祥地であるミシガン州フリント市に出かけた時のことだ。“フリント・オブ・ミシガン”といえば今の日本の豊田市のような存在でアメリカ中にその名が知れ渡り、大統領選挙時などではまずこの地で第一声を上げていた。

 だが80年代初頭のフリント市は4ヵ~5ヵ所にあったGM工場の多くが閉鎖され、街には人影も少なかった。自動車工たちは「もうこの街では食べていけない」と言い、景気のよかった西海岸やフロリダの方へ転居して行った。その際も家を買ってくれる人はほとんどいなかったため、捨てていく人が多かったほどだ。当時のラザフォード市長と面会した時、「もはや車では食べていけない。日本の元気の良い企業を街に招きたいので紹介して欲しい」と依頼された。市長や有識者、労組などのチーム10人ほどが日本の各地を廻って誘致を呼びかけるので東京・大阪・名古屋などで講演会をする際、聴衆を集めて欲しいというのだ。放っておくわけにもいかず、新聞に報じたり東京の山中貞則通産相(当時)に電話し準備してもらったほか、各TV局のワイドショー担当者に訪問時に取り上げてくれるよう依頼したりした。

 その結果、ワイドショーの相乗効果もあってか各会場は満員となり、講演会は大成功。その後アメリカ進出を決断する企業も現れたりして、市長からは随分と感謝されてフリント市の名誉市民に推挙されたりした。

■いまや、IT、5G産業の時代
 アメリカは、その後景気回復を果たし元気を取り戻すことになるが、2000年代以降その中心的役割を果たしてきたのはアップル、マイクロソフト、グーグル、フェイスブックなどのIT産業だった。オハイオ、ミシガンなどの中西部の旧産業は一時的に盛り返しても歴史的役割を終えたのか、結局第二のブラックマンデーを迎えるハメになっているといえるだろう。

 こうした産業の歴史の興亡はアメリカに限らず日本も同じだ。日本では未だに自動車、鉄鋼、電機など往年のビッグ企業の返り咲きを期待しているが、明らかに時代はIT・5Gなどの産業へ移りつつあるとみるべきだろう。国として旧い産業のまま固執していると時代においてゆかれるのではなかろうか。
TSR情報 2018年12月27日】

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