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昨日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~TPPで振り返る貿易摩擦と関税交渉、新著プレゼント~

スタッフです。
昨日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の音源が掲載されました。要約は以下の通りです。

テーマ:TPPで振り返る「日本の貿易摩擦と関税交渉は自主規制の繰り返し」

今日の話題はTPP。7年にわたってもめにもめ、最後土壇場でももめ大筋合意し、最近になって中身がわかってきた。オバマ大統領がアジア・太平洋の貿易ルールは中国には作らせない、アメリカが作るのだと主導権を取るべく、当初シンガポール、ニュージランド、ブルネイの小規模な集まりにアメリカが乗り込んでいき利用できるとアジア・太平洋のルール作りに乗り出した。ヨーロッパでベルギールクセンブルグデンマークからECに発展し、EUとなったことと非常によく似ている。

それをアメリカが同じようにやったが、根本は各国が作っている関税の問題。TPPでは95%の関税を撤廃するという話になり、日本は米などの重要5品目を守ると言っていたのだが、最終的には3割を時間をかけ徐々に関税を削減していく。日本は今回勝負に敗けたけれども、試合に勝っていくことが大事。いつも日本は勝負に敗けるが、あとでいろんなことを努力して、試合に勝ってきたというのが日本の貿易のあり方だった。

世界の関税交渉はGATT関税および貿易に関する一般協定)があり、その後ウルグアイ・ラウンド、TPP、その他知的所有権の自由化があり貿易の自由化をしてきた。

日本とアメリカの一番大きな最初の貿易摩擦は日米繊維交渉。沖縄と糸を交換したと言われ、当時佐藤栄作首相、大平氏と宮沢氏が交渉したがニクソン元大統領を納得させることが出来ず、最後に田中角栄氏が単身でアメリカに乗り込みアメリカの要求を丸のみして日本の繊維業界に補償することで交渉がまとまった。これが大きな契機となり、次期首相候補となっていた田中氏と福田氏であったが、田中氏が急速に台頭する大きなきっかけとなった。当時の民社党委員長の塚本三郎氏はニクソン元大統領と田中氏は両肩を抱くようにゴルフをやったと言っていた。その後ニクソン氏と田中氏はロッキード問題で分裂していく。

日本がアメリカに譲歩して国内をなだめるために補償するということがここから始まった。このやり方を自主規制と呼び、貿易は自由が原則であるからアメリカは日本が自主的に規制したんだと言ってきた。そして、業界を納得させるために保障して自主規制を続けてきたというのが今までの大きな流れ。この繊維を筆頭にテレビ、コンピュータなどの業界ではほとんどこのやり方を踏襲してきた。

これまでの日米交渉の大きな流れは、先に述べたようにそういう意味では勝負には負けているが結果として努力して強くなってきて勝ってきた。車業界では、オイルショックがあり性能面では日本が凌駕した。日本はダンピングしたなどといい、アメリカの国会前でアメリカの議員が日本車を並べて国会議員がハンマーで打ち砕くという子供じみた事をやってきたが、日本は我慢しながら性能を向上させ日本の環境政策もうまくいてきた。アメリカのラジオCMでは日本製品が入ってくることを危惧することが当時流れていたが、日本はテレビ、機械、鉄鋼業界などを全部つぶしていった。

もう一つの大きなことは牛肉、オレンジ摩擦。農家がなかなか納得せず大変だった。牛肉の時は日本人は腸が短いから牛肉をあまり食べないから輸入できないと言ったが、駆逐されていった。しかしながら、牛をビールで一生懸命育てたりしておいしい和牛ブランドを確立、オレンジよりみかんのほうがおいしいというように努力して新たなよい製品を作り勝ってきた。TPPも勝負には敗けたが今後も日本の民間が努力して試合に勝つようがんばってほしい。

農業は即時関税撤廃といわれ、5品目をまもると言っていたが守れずその点では敗けた。今後ますます日本は厳しい環境にさらされるが日本にどのような影響を与えるのかを見ていきたい。

 

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嶌が9月30日に発売した「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」を番組をお聞きの方10名にプレゼントいたします。

本書は今年シベリアの悲惨な話がいろいろいわれたが、ウズベキスタンのタシケンの第四収容所に移送された工兵の方々が捕虜でありながらソ連の四大オペラハウス「ナボイ劇場」を作った。最終的にウズベク人、ロシア人にも感謝された波乱万丈のノンフィクションです。

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