月曜日のテレビ東京「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」にてウズベキスタンの「ナボイ劇場」建設秘話が紹介されました
スタッフからのお知らせです。月曜日(21日)に放送されたテレビ東京「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」にて第二次世界大戦後に抑留された日本兵と現地のウズベキスタンの方々によって建設された「ナボイ劇場」に関するエピソードが放送されました。
本放送にあたり、嶌が会長を務める日本ウズベキスタン協会および嶌が上梓したナボイ劇場建設秘話「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」(角川書店)の主人公である永田行夫様のご子息が資料提供等でご協力しております。
■ナボイ劇場とは?
ナボイ劇場は旧ソ連の四大オペラハウスであり、正式名称は「アリシェル・ナボイ劇場」といいます。中央アジアの中心地であるウズベキスタンの首都タシケント市に現存し、総床面積1万5000平方メートル、客席1400席を有する煉瓦作り3階建てのビザンチン風建築です。建物内部にはいくつかの間やパーティの部屋があり、壁装飾は中央アジアの各地域の特色を生かすよう工夫されています。
第二次大戦後、レーニンによる政権樹立を行なった1917年11月7日の革命30周年にあたる1947年11月までにこの劇場を建設することを命題として、満州から旧ソ連によって旧ソ連領のウズベキスタン・タシケント市に強制的に移送された日本兵の方々と現地のウズベク人が建築に携わられています。
■シベリア抑留とは?
旧ソ連の第二次大戦における犠牲者は約2013万人と非常に多く、男性の労働力不足を補うため、日本を始めドイツ、東欧などの捕虜を労働に活用する方針がスターリン書記長によって打ち出されました。範囲は、シベリアをはじめとする旧ソ連の領土である中央アジアの国々など多岐にわたり、総称し「シベリア抑留」と呼ばれています。抑留された日本兵は60万人に上り、学校建設、道路工事、鉄道整備、発電所設置など、多岐にわたる労働に従事されています。うち、1割の6万人が現地で亡くなられ、現地の日本人墓地に埋葬されています。
■本放送では、ウズベキスタンの「ナボイ劇場」を作られた方の証言を紹介
今回、「旧ソ連・ウズベキスタンで現地の人々の命を救った457人の名もなき日本人」をテーマにウズベキスタンにおける親日の象徴である「ナボイ劇場」の建設秘話が紹介されました。
放送で紹介されたナボイ劇場建設に携わられた方々の名簿は永田行夫様が残されたもので、ご子息のご協力により公開されました。
本放送では紹介されておりませんでしたが、永田行夫様は隊長を務められ、ウズベキスタン抑留中に隊員457人の住所を全て暗記されました。舞鶴に帰国後、皆がすぐに自宅に帰宅する中、舞鶴の旅館に滞在し、記憶された住所を紙に書き起こし、それをもとに名簿を作成されました。それがこの名簿です。
今回、嶌の本にも登場される岩佐荘平様(現在92歳)が当時の辛かったことや、帰国され安堵した様子など、貴重なお話を語られていました。
■親日の象徴となったきっかけ
タシケント市は1966年4月26日午前5時23分に直下型大地震に襲われました。国連の調査によると、60年代までの世界の大地震の5本指に入るほどの大きさで、約240の政府系建物、700の商店・レストラン、約180の教育施設、250の工場、約8万の家が崩壊し、約10万人の人々が戸外に放り出され、街はほぼ全壊しました。
そんな中、「ナボイ劇場」は倒壊せずウズベキスタンの人々の避難場所として活用されました。
この話は、瞬く間にウズベキスタン国内や隣接するキルギス、カザフスタン、トルクメニスタン、タジキスタンなどの中央アジア各国に伝わり、1991年に中央アジア各国がソ連から独立した際に再び思い起こされ、日本をモデルとした国づくりをしようという動きつながっています。特にウズベキスタンでは、日本語教育が盛んで、日本に多くの留学生が滞在しています。
■ウズベキスタンで日本人抑留者の生活を調査・公開している方も登場
また、本放送にはナボイ劇場に詳しいウズベキスタン人として、タシケントの日本人墓地(ヤッカサライ墓地)近くにあるご子息宅の敷地に、私財を投じて「日本人抑留者記念館」を開館し、運営を続けているジャリル・スルタノフ氏が登場しておりました。
スルタノフ氏はこれらの取り組みが評価され、2015年10月末に安倍総理がウズベキスタンを訪問した際、日本に招待する旨を伝えられ2016年1月に奥様とお孫さんと来日され、嶌が会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会の新年会やスルタノフ様が制作された当時の日本兵の方々の生活を描いたドキュメンタリー映画「ひいらぎ」の上映イベントや舞鶴を訪問されました。
また、2016年11月3日に政府発表の秋の叙勲では、「ウズベキスタンにおける日本人抑留者の歴史保存及び対日理解の促進に寄与されたこと」が評価され、旭日双光章を受章されています。
今回、スルタノフ様が提供された抑留当時の日本兵の方々の画像も合わせて放送されていました。
■貴重な記録映画「ひいらぎ」が公開
この「ひいらぎ」を日本ウズベキスタン協会の協力により、新宿の平和祈念展示資料館ならびに京都府舞鶴市の舞鶴引揚記念館が購入されています。来週水曜、8月30日に平和祈念 展示資料館にて上映(無料)が予定されていますので、ご興味をお持ちの方はぜひ足を運んでいただけると幸いです。
■書籍のランキングが上昇
本放送で紹介された内容を含む、「ナボイ劇場」建設秘話を収録している嶌が上梓した「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」(角川書店)が好評発売中です。放送後、アマゾンの日中・太平洋戦争部門にて急激に20位台に上昇しました。
戦後72年を迎えたこの時期、お時間がある時に一読いただけると幸いです。
※トップ画像:ナボイ劇場正面