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ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

巨大ITの規制へ ─消費者の利便と不利にならない方を─

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 プラットフォーマーと呼ばれるアマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルなど巨大IT(情報技術)企業に対する規制や公正競争のあり方が各国で急浮上している。プラットフォーマーとは、ネット販売や動画・音楽配信などを手がけ急成長している企業群で、当初は場の提供者にすぎないとみられていた。ところが利用者が増加するにつれ、取引先企業や消費者に多大な影響をもたらしてきている。このため、各国で規制を設けたり、国際ルールを作ろうとする動きが急速に高まっているのだ。

 いまや巨大IT企業の通販や動画・音楽配信は人々にとって欠かせない日常生活の一部になっている。その結果、大きな影響力や権力を持ち、規制の必要性が叫ばれている。

 巨大IT企業にはネット通販に出品する企業に不利な取引条件を強制したり、取引業者に対し規約を一方的に変え不利益をもたらすなどの苦情が増えてきた。また、取引で取得した個人情報の取扱いが杜撰だったり、工場などを持たないため課税しにくく、各国で課税基準が違うなどの問題もある。さらに国によって独禁法の適用が違い違反した場合の罰金などもばらばらになっている。

 新しい産業の広がりと影響が世界的になってきたため、各国とも統一した国際ルールの必要性を求め始め、話し合いが始まってきた。当面はサミットやG20(20カ国協議)などで協議することになっている。
 
 話し合いの基本テーマは世界的な公正競争の新たな原則作り、個人情報保護のあり方、デジタル産業・商売に対する課税方法などについて国際的なルールを作ることになっている。
 
 ただ、この仕組み作りは、規制に比較的緩やかなアメリカと規制を細かく決めたがる日本、その中間的な位置にあるEUによって考え方や歴史にかなりの相違があるといわれている。このため、各国の調整はかなりの難航が予想されているが、とりあえず日本で6月に開かれるG20の財務相中央銀行総裁会議の主要議題になることが決まっている。

 とりあえず、新しいデジタル取引に透明性を持たせることや消費者の不利にならないようなわかり易い新しい原則を早急に作って欲しい。
 
 こうした新産業の動きに対し、消費者は規制を作ることに反対はしていない。ある調査では75%の人は個人情報漏洩に懸念を持っており、特に購買履歴の監視やデータの収集方法と取扱い、管理などに神経質になっている。利用者は個人データや利用履歴が明らかになることを嫌うし、利用履歴を簡単に持ち運びできることにより、他社のプラットフォームに乗り換えしやすくなることを望んでいるからだ。
【財界 2019年6月25日号 第497回】

※本コラムはG20開催前に寄稿しております。

【参考情報】
・フランスでは11日、国内におけるネットビジネスの売り上げの一部に課税する「デジタル課税法」が成立。これは昨年12月に今年度よりデジタル課税を実施すると発表したものを受けたものです。なおEUは今年春にデジタル課税を断念しています。本法案導入に関し、アメリカは巨大IT企業が自国に拠点を置きその税収が減少することから本件に関して反対しており両国の緊張が高まっています。

・7月17、18日にフランスで開催されたG7(先進7ヶ国)財務相中央銀行総裁会議ではフェイスブックが打ち出した仮想通貨「Libra(リブラ)」への対応に加えて、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)を中心としたネットビジネスに対する課税である「デジタル国際法人課税」の議論が行なわれました。前者については、厳しい規制を課すことで各国の足並みは見事に揃いましたが、後者については米仏間での軋轢が目立ち、議論は思うように前進しませんでした。

「デジタル国際法人課税」については、先日大阪で開催されたG20(主要20か国・地域)財務相中央銀行総裁会議で基本方針が合意され、2020年末までの最終合意が目指されています。

法人税は国際的に鑑みると企業のオフィスや工場などがある国にて課税されるというのが通念ですが、プラットフォーマーは工場などの設備なしでオンライン経由でゲームや音楽等のネット配信、オンライン広告などのサービスを提供し国境の概念が軽微で巨額の利益を上げています。

新たな法制度では、企業の本社がおかれている国から、デジタルサービスを提供している国に、より多くの税収が分配される仕組みが検討されています。