時代を読む

ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

12日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:時代劇や任侠映画のシナリオライター高田宏治様

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12日嶌信彦 人生百景「志の人たち」時代劇や任侠映画のシナリオライター高田宏治様 

スタッフからのお知らせです。

12日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲストに極道の妻たちシリーズ、仁義なき戦いなどさまざまなヒット映画のシナリオライター高田宏治をお招きいたします。

「鬼龍院花子の生涯」「極道の妻たち」シリーズなどを手がけられてきた高田様に、任侠映画と実録ヤクザ映画の違いやシナリオを書くための取材法や、夏目雅子様を起用した裏話などをお伺いする予定です。 

高田様が脚本を務められた作品と上梓された書籍を合わせてご紹介いたしますので、ご興味をお持ちの方は合わせて以下リンクを参照下さい。

15日にテレビでおなじみのパネリストをお招きしたシンポジウムを開催 「動乱のアジア どうする日本 ―米朝衝突、習近平・中国、気候変動など―」

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11月15日開催 日本ウズベキスタン協会主催シンポジウム

 スタッフからのおしらせです。アジアのみならず世界各国の情勢が不安定であり、グローバルな国際社会の中では、日本が何らかの形で巻き込まれる可能性も大いにあり得ます。

 そこで、国際社会がなぜ、どこで緊迫しており、今後どう展開してゆくのかについて、アメリカ、中国、朝鮮半島、国際情勢一般について、皆さんよくご存知の一流の専門家をお招きし、恒例のウズベキスタン協会のシンポジウムを11月15日(水)午後6時半~8時半、日比谷公園内の日比谷図書文化館大ホール(旧日比谷図書館)で開催する運びとなりました。 

 パネリストにはテレビでもおなじみの朝鮮半島情勢、米朝関係に詳しい重村智計(元早稲田大学教授。毎日新聞記者としてソウル特派員、ワシントン特派員、論説委員などを歴任)、米欧、北朝鮮の第一人者田中均日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長・元外務省)中国が専門の富坂聡氏拓殖大学海外事情研究所 教授、ジャーナリスト)をお招きし、じっくり掘り下げた討論会にしたいと考えています。

 今、最も気になるのは朝鮮半島です。北朝鮮は2年以内にアメリカを射程に入れた核ミサイルの実戦配備が可能と豪語しています。一方でトランプ大統領北朝鮮に対するあらゆる軍事オプションがテーブルの上にあり、平壌を火の海にすることができると脅しています。もし米朝で戦争が起きれば隣国の韓国、中国、ソ連、そして日本も大混乱になることでしょう。果たしてそんな事態がどんな確率でやってくるのでしょうか。

 アジアだけではありません。欧州ではメルケル独首相が「欧州の安全は今後自分達で守らなければいけない」と発言。ロシアのウクライナへの介入やバルト3国の安全も脅かしています。ロシアは日本の北方領土を返す意図はなく、逆にシベリア開発の支援を求めています。

 中国は先日、5年に1回の共産党大会を開き、一党独裁の下で欧米流の民主主義や政治のあり方とは一線を画した大国を目指すとし、アメリカと肩を並べて太平洋地域などを分割統治する思惑をみせています。

 さらに気候変動の問題も厳しさを増し、各地で災害を引き起こしています。

 一体、平成の世が終わった後の2018年の世界は安泰に続くのでしょうか。一流のパネリストの皆さんに大胆に切り込んでもらう予定です。

秋の夜長に日本をとりまく情勢、日本の行方を考えるよすがにしていただければと思っています。お早めにお申し込み下さい。多くの方のお越しをお待ちしております。

【討論概要】
1.北朝鮮の要求と軍事攻撃の可能性
2.アメリカの対応―― もし戦争になったら・・・
3.中国、ロシアの出方
4.日本はどうする、どうなる
5.平成後の日本の課題

 秋の夜長に日本をとりまく情勢、日本の行方を考えるよすがにしていただければと思っています。お早めにお申し込み下さい。多くの方のお越しをお待ちしております。 

日  時

11月15日(水) 午後6時30分(開場6時)~20時30分

場  所

日比谷図書文化館大ホール(日比谷公園日比谷図書館地下)

参 加 費

一般1,500円 当協会会員1,000円(当日払い)

(会員と同伴の方は会員価格1,000円)
学生は人数限定で無料(申込の際におたずねください)

主  催

NPO日本ウズベキスタン協会

パネリスト
(敬称略)

重村智計(元早稲田大学教授。毎日新聞記者としてソウル特派員、ワシントン特派員、論説委員などを歴任)<朝鮮半島情勢、米朝関係>

田中均日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長・元外務省)<アメリカ、 国際情勢、北朝鮮>

富坂 聡拓殖大学海外事情研究所 教授、ジャーナリスト)<中国、アジア情勢>

司  会

総合司会 川戸 惠子(日本ウズベキスタン協会副会長、TBSシニアコメンテーター )

討論司会 嶌 信彦(日本ウズベキスタン協会会長、ジャーナリスト)

申込方法

 先着150名 「シンポジウム申込み」として「氏名」「連絡先電話番号」「一般(又は会員)」を記し、メール(jp-uzbeku@nifty.com)又は電話(03-3593-1400)、FAX(03-3593-1406)にてNPO日本ウズベキスタン協会事務局までお申し込みください。

申込締切

定員になり次第締切

 

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”中国の夢”をどう実現?

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ロシア対独戦勝70周年を記念する式典・軍事パレード

 まもなく中国・習近平政権の二期目がスタートする。「中華民族の偉大な復興」の目標通り強国ぶりをいよいよ内外に示す時代になるのだろうか。習近平政治は、時々スローガンが掲げられその方向性が示されるが、肉声で説明される機会や人間的エピソードが語られることが少ないので中国のリーダーになって5年経った今もその人間像がいまだによくわからない。

 習近平は1953年生まれで、父は毛沢東政権時代の国務院副総理を務めていたので、いわゆる共産党幹部の子弟ということになり、”太子党”の仲間とされる。ただ文化大革命時代は反動学生とされ、1969年から7年間にわたり陝西省の延安に下放されている。その後名門の清華大学に入学し、法学博士の学位を得た。浙江省書記、上海市党委員会書記などを経て政治局常務委員に2階級特進。さらに軍事委員会副主席を経て2013年に国家主席党中央軍事委員会主席など党・国家・軍の三権の長を握った。周囲の意見を聞いて政策を実行する人物とされているが、ここ数年の国や地方官僚・軍幹部の腐敗追及ぶりはすさまじく官僚たちを震え上がらせた。

 特に制服組トップだった徐才厚、政治局常務委員だった周永康胡錦涛前総書記の側近・令計画、重慶市書記の薄熙来らの党・軍・地方幹部を次々と放逐した。

 規律違反として処分した幹部は13年の8000人から14年に2万4000人、翌15年には3万4000人に上った。海外へ逃亡した腐敗官僚も国際手配して追及した。その腐敗幹部への追及ぶりは苛斂誅求を究めたとされ、大衆からは拍手喝采を浴びた。表向きは一見、鈍才風ながら実際の人物像は激しさを内面に秘めているとみた方が良さそうだ。

 外交面でも南沙諸島尖閣諸島への執拗な介入、アフリカ、パキスタン、インド洋、東南アジア等への海洋進出、アジアとヨーロッパを結ぶ一帯一路構想、太平洋をアメリカと分割統治しようとする呼びかけ、ロシア、インド、中央アジアなどを巻き込む上海協力機構の運営──等々をみると、表面は鈍才のように見えるが、”中国の夢”を実現しようとする相当な野心家であり、その構想力の大きさも並々ならぬものがあることをうかがわせる。

 腐敗追及の矢面に立ったのは王岐山・中央規律検査委員会書記だった。王は定年なので退任する見通しだが、後任を誰が務めるのか。習氏の懐刀といわれる栗戦書・党中央弁公庁主任、陳敏爾・重慶市党委書記らや新たな抜擢組を充てるのか注目の的だ。

 さらに習近平の唱える”中国の夢”と強国・中国をどのように実現するのか──そのやり方によっては日本にまたひとつ難題が増えそうだ。
【財界 2017年11月14日号 第459回】

画像:ロシア大統領府 赤の広場でのロシア対独戦勝70周年を記念する式典・軍事パレード(2015年5月9日)

昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:国際NGO「WCS」(野生生物保全協会)技術顧問 西原智昭様 二夜目音源掲載

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ゲスト:国際NGO「WCS」(野生生物保全協会) 技術顧問 西原智昭様二夜目

スタッフからのお知らせです。

昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲストに国際NGO「WCS」(野生生物保全協会) 技術顧問 西原智昭様をお招きした音源が番組サイトに掲載されました。来週水曜正午までお聞きいただけます。

アメリカのNGOに現地採用された経緯や、知人のアメリカ人から「日本人が象牙を使っているからマルミミゾウが減る」と諭され、日本人で唯一、コンゴ共和国に住みながら保護活動に取り組む生活についてお伺いいたしました。

前回のコンゴ共和国熱帯雨林に生息するマルミミゾウをおよそ20年にわたって調査研究、保護活動の実際やその意味などについてお伺いした放送音源は番組サイトにて今週水曜正午まで掲載中です。お聞き逃しの方は合わせてご利用下さい。  

 西原様が監修、上梓された書籍を合わせてご紹介いたしますので、ご興味をお持ちの方は合わせて以下リンクを参照下さい。

次回は、極道の妻たちシリーズ、仁義なき戦いなどさまざまなヒット映画の脚本家である高田宏治様をお迎えする予定です。

経営に魂が入っていない ―相次ぐ大手企業の不祥事―

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 大手企業の不正、不祥事が名門金融機関にまで広がっていた。デフレ脱却の名目で作られた国の低金利融資制度「危機対応業務」を巡り、商工中金が書類改ざんなどの不正をほぼ全店で行なっていたというのだ。商工中金の約22万件の危機対応融資のうち、約5万9,000件、約280億円がこの融資だった。デフレの定義があいまいだったため、貸出を増やすため危機的な状況でない企業にまで低金利融資を行なっていた。

危機対応融資を巡っては、今年4月の第三者委員会による調査で、業績関連書類を改ざんするなどして全国35店で計816件(融資額約198億円)の不正が発覚した。ただ、調査対象は2万8,000件と92本支店の口座の約1割に過ぎなかったため、今後、残りの全口座を調査するという。商工中金は特別法に基づく特殊会社で中小・零細企業を対象に融資や相談に応じている。現在の社長は経済産業省の元事務次官だ。この不正融資問題により、社長を含む3人の代表取締役およびコンプライアンス担当の役員2人が辞任することになった。このところ企業の不正やデータ改ざんなどが目立っているが、金融機関がほぼ企業ぐるみで不正融資をしていた例は珍しい。

ここ数年、大手企業による不正が後をたたない。主な事例を拾ってみると商工中金の書類・データ改ざん以外にも以下のような状況が相次いでいる。

―相次ぐ不祥事の事例―
・17年10月:鉄鋼大手・神戸製鋼所の鉄鋼事業、アルミ、銅製品などの一部で製品検査データの改ざんが発覚。この10年で3度目の不正。
・17年9月:日産自動車で無資格の社員が完成検査していたため38車種、約116万台のリコール届出。ブレーキ、スピードメーターなどで公道を走る要件を満たしているかどうかの検査。
・17年6月:富士ゼロックスの販売会社で不適切な会計処理。売上高1兆円を目指し、行き過ぎた売上高至上主義があった。
・16年4月:三菱自動車で、軽自動車の燃費データを実際よりよくみえるよう改ざん。
・16年1月:15年10月に旭化成の子会社がマンションの杭打ち工事において他のデータを流用したことが原因でマンションが傾く事態に。このため、工事に関わった三井住友建設日立ハイテクノロジーズ旭化成建材の3社を営業停止などの行政処分
・15年12月:電通の女性新入社員が月100時間を越える違法残業を繰り返していたが防止措置をとらず自殺。17年に有罪判決。
・15年7月:東芝が架空売上や利益水増しの粉飾で直近の3社長と経営陣9人が引責辞任
・15年3月:東洋ゴム工業が免震ゴム性能に関するデータを改ざん。船舶や鉄道車両の防震ゴムでも改ざん。
・14年11月:タカタがエアバックの試験データの改ざんなどで米司法当局の検査を受け、大規模リコール発生。

このほかにもオリンパス粉飾決算に対し、17年に元社長ら6人に東京地裁が賠償責任として会社に590億円の支払いを命じた。賠償額として過去2番目の高額だった。また、JR北海道では貨物列車の脱線事故後の13年にレールの計測データの改ざんが発覚した事例などもある。

シルクロードの日本人伝説―
 いずれも一流企業の本業に関わる分野のデータ改ざんや不正で、なおかつ経営陣が関わっていたり、報告があったのに上層部が無視して逆に隠蔽を指示したりするケースもあった。私は50年近く経済分野を主に記者活動を行なっているが、近年ほどたて続けに企業の不祥事、不正が起きているのを見たり、経験した記憶はほとんどない。

 日本の企業は技術にすぐれ、仕事が丁寧で責任感も強いことで有名だった。私は2015年に「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」(角川書店)と題するノンフィクションを書いた。敗戦時に満州にいた日本の航空工兵が捕虜として中央アジアへ移送され、旧ソ連領だったウズベキスタンの首都・タシケントにビザンティン風の壮麗なオペラハウス「ナボイ劇場」を建設したという秘話である。

 敗戦時に中国東北部にいて旧ソ連軍につかまった日本兵の多くはシベリア送りとなり悲惨な捕虜生活を送った人が殆んどだった。しかしタシケントに送られた457人の運命は違った。ロシア革命30周年にあたる1947年11月までにナボイ劇場建設を命じられ、現地のウズベク人と働いたのだ。当時、捕虜収容所内では「どうせ捕虜なんだから適当に仕事をやっておけばいいだろう」という空気が支配的だった。

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―歴史の恥となる仕事はするな―
その時、457人の隊長だった24歳の永田行夫大尉は「確かにそうかもしれない。しかしこの劇場はロシアの三大オペラハウスの一つとして建設されると聞いている。今後数十年も残る劇場と考えると、いい加減なものを作って後世の日本人に笑われ、恥となるような劇場にしてよいのか。ここは日本人の意地と魂、手先の器用な技術を生かし、逆に歴史に残るような劇場を建設してやろうではないか」と呼びかけ、ウズベク人と一緒に協力し歴史的建造物に仕上げたのだ。当初、ウズベク人は「捕虜なのになぜあんなに一生懸命働くのだろう。他の工事現場のドイツ人捕虜などは適当にサボリながら働いているらしいのに・・・」と半分あきれていたという。しかし日本人の働きぶりや知恵の出し方、力を合わせて進める仕事のやり方などをみているうちに、日本人を見る目が変わっていった。そして約束の期限の前となる1947年10月末に、内装にウズベク模様を施した美しい地下1階、地上3階建てのナボイ劇場を完成させたのだ。

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ナボイ劇場建設に携わられた方々の戦友会「第四ラーゲル会」の模様

この劇場には後日談があり、1960年代のタシケント地震で官庁街や街の建物はほぼ全壊したがナボイ劇場はビクともせず凛として悠然と建ち続けていた。そのことを知ったウズベク人や中央アジアの人々は日本人の真面目で優れた仕事ぶりを思い出し、改めて感動しナボイ劇場を建てたシルクロードの日本人伝説が今日まで伝わるのだ。そのこともあって中央アジア、特にウズベク人の親日ぶりは今でも大変なもので日本への留学生もきわめて多い。

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ウズベキスタンタシケント市にあるナボイ劇場

また劇場の表壁には、「このナボイ劇場は極東から強制移送された数百名の日本人が建設に参加し、その完成に貢献した」という銘板が張られている。当初の旧ソ連時代には日本人ではなく“日本人捕虜”という文字が使われていたが、故カリモフ・ウズベキスタン初代大統領が「ウズベクは日本と戦争していない。だから捕虜という言葉を使うのはやめよう」という考えから書き換えたものだ。

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ナボイ劇場に掲げられている日本人の仕事ぶりをたたえるプレート

―Made in Japanの伝統と精神―
こうしたウズベクの日本人伝説からもうかがえるように、日本人の勤勉さや優れた技術、納期に間に合わせる約束の精神などが日本人のDNAとして脈々として歴史的に伝わってきたのだ。そのことがまた世界にも知れ渡り、戦後の日本経済発展の大きな原動力になってきたし、世界で“Made in Japan”の製品の信用が続いてきたのである。ウズベクの日本人伝説は、そうした日本人のモノづくりにかける真摯な精神、努力を物語るエピソードの典型的な例ともいえる。

最近の大企業の相次ぐ不祥事は、その日本人のモノづくりの伝統がいま壊れつつあるということを示しているのだろうか。不祥事の背景として、グローバル競争が進み新興国とのコスト競争に敗北してきた焦りがあるとか、日本はAI(人口知能)やVR(仮想現実)の取り入れなどに遅れ欧米にも優位に立てなくなっている。さらにはITなど活用方法や新しい技術開発競争にも遅れをとっている――などの点を列挙することも多い。むろん、そうしたコスト競争、技術開発競争などの遅れに対する焦りから安易な不祥事に走る例も少なくないだろう。

―問題の本質は経営精神にあり―
しかし、本当の原因は日本の経営者が自信を喪失しつつあり、真っ当な競争を挑む精神に欠けてきたことにあるのではないかという気がする。いま中小・零細企業をみると新しい技術や発想でスタートアップ(起業)する企業がどんどん出ているし、海外へも挑戦している。大企業はそうしたスタートアップ企業を買収することで自社の弱みをカバーしようとしているようにもみえる。昨今のM&Aの流行の背景にはそんな事情もあるのではないか。大企業、中堅企業ももっと本来の日本企業の原点の精神に戻り、戦後の廃墟の中から立ち上がってきた創業の精神を持つべきだろう。いま企業家に求められているのは“第二創業”の気概と実行だ。
TSR情報 2017年11月1日】

トップ画像:商工中金本店 Wikimedia commons

5日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:国際NGO「WCS」(野生生物保全協会)技術顧問 西原智昭様 二夜目

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ゲスト:国際NGO「WCS」(野生生物保全協会) 技術顧問 西原智昭様

スタッフからのお知らせです。

5日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲストに国際NGO「WCS」(野生生物保全協会) 技術顧問 西原智昭様をお招きいたします。

アメリカのNGOに現地採用された経緯や、知人のアメリカ人から「日本人が象牙を使っているからマルミミゾウが減る」と諭され、日本人で唯一、コンゴ共和国に住みながら保護活動に取り組む生活についてお伺いする予定です。

前回のコンゴ共和国熱帯雨林に生息するマルミミゾウをおよそ20年にわたって調査研究、保護活動の実際やその意味などについてお伺いした放送音源は番組サイトに掲載中です。お聞き逃しの方は合わせてご利用下さい。  

 西原様が監修、上梓された書籍を合わせてご紹介いたしますので、ご興味をお持ちの方は合わせて以下リンクを参照下さい。

覇道の解散 動乱の兆しも 

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 衆議院の総選挙が面白くなってきた。安倍首相が解散宣言した時は、野党がバラバラで勝負にならないとみる向きが多かった。

 しかし小池百合子氏が「希望の党」の代表となって戦うと宣言した途端、野党勢力がまとまり始めた。東京都議選自民党を惨敗に追い込んだ印象はまだ国民に生々しく残っている上、枝野氏が左派新党をつくりスッキリした。

 今回の解散は与党の都合ばかりがみえて日本をどうしたいのか、という大義が見えにくかった。今の日本は、株価や失業率、企業収益などのパフォーマンスも決して世界で悪い方ではない。にも拘わらず、バブル時代のように世界に“日本買い”の動きは出てこない。要するに“人気”がないのだ。世界の先頭を走っているというイメージが見当たらない。

 アメリカは、アップル、マイクロソフト、グーグル、電気自動車のテスラなど気になる企業が多い。政治ではトランプ大統領の“オレ様第一主義”は鼻につくが、何を仕出かすかと常に気になる発言を次々とぶち上げるので世界中が常に注目する。

 バブル時代の日本はとにかく経済で突出し、日本式経営がハーバード大学の研究対象になるほどだった。日本はアメリカ、ヨーロッパの企業を次々と追い落とし、常に経済摩擦のタネをつくっていた。しかも当時の新興国の中国、東南アジアはまだ競争力がなく日本の一人勝ち状態だった。

 いまは、ちょっと株が高くなって注目されないし、世界を驚かすような商品や発明もない。

 かつてはソニートランジスタラジオやウィークマン、シャープの電卓など日本のメーカーが世界の話題になるような商品を次々と出したものだ。世界のどの飛行場に行っても乗降通路にはデカデカと日本商品の広告があったし、欧米のテレビでは日本商品が常に映り、旅行中も日本にいるような気分になった。今やその座は中国などに奪われた。

 そんな時、日本で与党が大義の見えにくい解散を打っても、何の興奮も感じないだろう。

 逆に、都議選で鮮やかな大勝を演出した小池氏が、国政にも“希望”を掲げて打って出たことで、“また何かが起こる”という予感を与えているのではないか。だから野党が相乗りしたがっているし、自民党の現職副大臣までが離党して馳せ参じてきているのだろう。

 もし自公の与党が50議席前後になったり、よもやと思うが過半数割れなどしたら安倍政権は終わり、本当に日本は“リセット”されることになろう。安倍首相の大義のみえにくい解散権行使は日本政界に大動乱を引き起こす可能性が出てきた。
【財界 2017年10月31日号】

※なお、このコラムは10月17日発売の財界誌に掲載されたものです。衆院選の結果が出る前のコラムですので結果が出る前のものです。一部状況が変化しておりますので、ご了承下さい。
画像:立憲民主党サイトトップのキャプチャー

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