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ジャーナリスト嶌信彦のコラムやお知らせを掲載しています。皆様よろしくお願いいたします。

【11/14開催シンポジウム 残席わずか】米大統領選 トランプ氏が当選 ―政権移行作業スタート 世界の貿易、安全保障、対日政策、アメリカ社会の分断などはどうなる?―

いよいよ一流論客によるシンポジウム「アメリカ大統領選後の世界と日本」が11月14日(月)に18時30分より開催。
場所は日比谷公園日比谷図書館ホール。

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定員200人残席わずか、お早めにお申し込みください。

パネリストに岸井成格氏(元毎日新聞 主筆)、高橋和夫氏(国際政治学者、放送大学教授)、田中均氏(日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長・元外務省)、富坂 聡氏(拓殖大学海外事情研究所 教授、ジャーナリスト)をお迎えし、司会は嶌信彦が務めます。

 土壇場で勝敗が混沌としていたアメリカの新大統領にドナルド・トランプ氏が当選した。今回の選挙はこれまでにない中傷合戦が続き、史上最低の大統領選とも指摘された。

 しかしアメリカは世界一の経済・軍事大国であり、今後の大統領一つ一つの決断は、マーケットや同盟国、友好・非友好国にも大きな影響を与えることは間違いない。

 はたして新大統領ドナルド・トランプ氏は、どんな外交政策を打ち出し、どこへ導こうとするのだろうか。世界は動乱時代を迎え、EUは分裂の可能性を秘め、アジアもまた統一を欠いている。ロシアと中国は一極支配を強め、西側先進国や新興国の間にクサビを打ち込もうとしているかにみえる。その中で日本は一見、華々しい外交を行ない国内では評価されているものの、海外ではどうなのだろうか。

 米大統領選後、1週間経った14日、ほやほやの情報をもとに一流の論客たちに「あすの世界と日本」を分析、論評してもらう。ぜひ秋の一夜を世界を考える刺激的な日にしませんか。

討論のテーマとしては、主に以下のことを考えています。
1. 新大統領の人のなりと考え方(魅力と欠点など)
2. アメリカは今後も世界の中心国として各国を束ねてゆけるかどうか
3. 新大統領がまず世界に発信すべきメッセージはどんな内容であるべきか
4. 新大統領に対するEU、ロシア、中国、イスラム社会、日本などの見方、考え方
5. ロシア、中国は存在感を強めているが今後のアメリカへの対応は今までと異なったものになるか
6. EUは英国のEU離脱問題で混乱しているが、今後もアメリカの支え役になれるか
7. イスラム社会(中東、アジア、中央アジアなど)は、それぞれどんな反応を示すか。アメリカの中東政策、イスラム社会政策の行方は?
8. 20世紀型の資本主義経済、自由主義市場経済は大きな節目を迎えているようにみえるが、どう考えたらよいか
9. 日本は先進国の中では比較的経済、社会などが安定しているようにみえるものの、2020年のオリンピック後をどうみるか
10. 安倍首相は外交に熱心で、日本の新聞でみる限り、世界に存在感を示しているようにみえるが、果たして世界における日本の位置づけ、評価はどんなものか
11. 日本はもはやかつてのような成長は望めず、経済大国にも人口大国にもなれそうにないとすれば、日本の世界に対するアイデンティティ、役割をどう考えるべきか
12. 今後10~20年後の世界と日本をどう予想しているか。今回の大統領選は時代の大きな転換点となるのだろうか

 

日  時

11月14日(月) 午後6時30分(開場6時)~20時30分

場  所

日比谷図書文化館大ホール(日比谷公園日比谷図書館地下)

参 加 費

一般1,500円 当協会会員1,000円(当日払い)

(会員と同伴の方は会員価格1,000円)

主  催

NPO日本ウズベキスタン協会

パネリスト
(敬称略)

岸井成格(元毎日新聞 主筆)<日本・世界>
高橋和夫(国際政治学者、放送大学教授)<イスラム>

田中均日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長・元外務省)
<米欧、アジア>
富坂 聡(拓殖大学海外事情研究所 教授、ジャーナリスト)<中国>

司  会

嶌信彦(当協会会長、ジャーナリスト)

申込方法

 先着200名 「シンポジウム申込み」として「氏名」「連絡先電話番号」「一般(又は会員)」を記し、メール(jp-uzbeku@nifty.com)又は電話(03-3593-1400)、FAX(03-3593-1406)にてNPO日本ウズベキスタン協会事務局までお申し込みください。

申込締切

定員になり次第締切

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画像:wikimedia commons

【ウズベキスタンニュース】ジャリル・スルタノフ様(日本人抑留者資料館館長)と菅野玲子様(タシケント国立東洋学大学准教授)が叙勲を受章されました

スタッフです。平成28年11月3日付けで発令された平成28年秋の叙勲にて、ジャリル・スルタノフ様(日本人抑留者資料館館長)と菅野玲子様(タシケント国立東洋学大学准教授)が授与される旨を発表されました。

ジャリル・スルタノフ様は1998年5月に日本人抑留者の素晴らしい仕事ぶりに感銘を受け、私費でウズベキスタンタシケント市に日本人抑留者に関連した資料や品物を展示する資料館を建て、多くの方が訪れています。

昨年10月末に安倍総理ウズベキスタンを訪問した際、日本に招待する旨を伝えられ今年1月に奥様とお孫さんと来日され、嶌が会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会の新年会やスルタノフ様が制作された記録映画「ひいらぎ」の上映イベント、舞鶴訪問などされました。

今回、ウズベキスタンにおける日本人抑留者の歴史保存及び対日理解の促進に寄与されたことが評価され旭日双光章を受章されていらっしゃいます。

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この写真は今年5月に嶌がウズベキスタンを訪問した際に資料館を訪問時に撮影したものです。左よりスルタノフ様、嶌、お孫さんのリソラット・スルタノヴァ様。

菅野玲子様は、ソ連崩壊(1991年12月)する直前にウズベキスタンに渡られ、現在に至るまでタシケント市に在住され、長年タシケント国立東洋学大学において日本語教育に従事されております。ウズベキスタンにおける日本語教育の礎を築かれ、日本に留学してきている多くの学生が菅野様の教えを受け、高い日本語のレベルを身に着け来日しています。その後、日本で学び、日本企業に就職し多くの方が活躍されています。

今回、ウズベキスタンにおける日本語教育の普及及び対日理解の促進に寄与されたことが評価され、瑞宝双光章を受章されています。 

 

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この写真は、今年8月に国際交流基金主催の文化ミッションでウズベキスタンを訪れ、ウズベキスタンの次世代リーダーとの昼食会が開催された際の記念写真です。
菅野様は後列の右から4番目に写っていらっしゃいます。

次世代リーダーたちとの間で今後の日・ウズベキスタン関係の発展や,日本で学んだことなどに関して活発な意見交換が行われました。

 お二人とも、長年日本とウズベキスタンの友好にも尽力されていらっしゃる方々です。このたびの受章、誠におめでとうございます。

1日のTBSラジオ「日本全国8時です」の内容~米大統領選、テレビ時代の選挙の転換点とは!? シンポジウムの開催も~

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スタッフです。
1日の「森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」の放送内容をお届けします。

テーマ:悪口合戦が目立つ、アメリカ大統領選。テレビ討論会の変遷
※放送日時点の事象であり、若干現状との相違がございますのでご了承ください。


【史上最悪の中傷合戦】
アメリカの大統領選もいよいよ来週決まるところまでたどり着いた。クリントン氏のメール問題が再燃し、支持率は5ポイント以内に収まり誤差の範囲。選挙人では圧倒的にクリントン氏支持が多いが、接戦州を全てトランプ氏が獲得した場合には逆転する可能性もあり、再び過熱している。

これまでの選挙戦においてもこの二人の対立はお互いに足を引っ張り合い、中傷合戦の様相を呈し見ていて気持ちの良くない大統領選となっている。これまで3回のテレビ討論が行われたが、アメリカのメディアは「史上最も醜い討論会」「異常に暗い憎しみに満ちた対決」「史上最悪の中傷合戦」などと、酷評。私も過去、数多くのアメリカ大統領選のテレビ討論会を見てきたが、今回は本当に政策論争がほとんどなく、中傷ばかりという感じだ。いったいアメリカの大統領はどうなるのかという感じもする。


【テレビ初討論はケネディvsニクソン氏】
今日はこの討論会が過去にどういう状況であったのかということを紐解いてみたい。テレビ討論会が始まったのは1960年、アメリカの一般家庭に白黒テレビが普及し始めた。初のテレビ討論会はケネディ氏とニクソン氏。

テレビ討論は選挙結果に影響を及ぼす可能性があるということからそれぞれに選挙参謀がつき、さまざまなアドバイスをしていた。ニクソン氏は自分の討論内容では負けない自信を持っており「ニクソン氏は顔色が悪いのでメークをしたほうがよい」などさまざまなメディアアドバイスを参謀から受けていたがしていたが、それに従わず、重視していなかった。

それに対し、ケネディ氏はこれから重要となり「これからはテレビの時代がくる。メイクよりもフロリダ等で選挙活動をして日焼けのまま素顔で出たほうがよい。」「話すときは聴衆を向くと目線が下に行くので、テレビカメラに向かって話すことによって全国の国民に話しているようになる。」といった参謀のアドバイスに従った。

その結果、討論会をテレビで見た人と、ラジオを聴いた人と支持が異なった。ラジオを聴いた人はニクソン氏が圧倒的に勝ったと思った。しかしながらテレビを見た人はケネディ氏が勝ったと思った。選挙の結果は本当に僅差でケネディ氏が勝った。このことによってこの時代から「大統領選挙はテレビ時代に入った」といわれるようになり、テレビ討論が重要視されるようになった。

ケネディ氏は青いシャツに紺のブレザーを着るなどファッションにもこだわった。ニクソン氏はちょうど討論会の直前に膝を痛め、当日またさらにその膝を車にぶつけてしまい、討論会中に立っているのが膝の負担となり膝の痛みを我慢し、元々青白い顔がより一層不健康に映った。さらにテレビの照明で冷や汗をハンカチでぬぐうシーンも視聴者に不健康に映った。それに相反して、ケネディ氏は日焼けし、健康そうで防衛、経済政策を落ち着いて話をした。このことにより一挙にケネディ氏が優勢となり、テレビ討論が選挙に非常に大きな影響を及ぼすということを示した。


【討論会を制す者が選挙を制す】
その後、1970年代にはテレビ討論会が活況になり始めた。76年の「カーター氏」対「フォード氏」の戦いでは、フォード氏は「東欧ではソ連の支配は確立されていない」と主張。この主張がソ連に過度に融和的だと捉えられ、中西部に多い東欧系有権者の反発を招き敗れる要因だったといわれている。この頃は発言が中心であった。

80年の「カーター氏」対「レーガン氏」では、レーガン氏は「中央政界の経験はなく、俳優上がりだ」と当初バカにされていた。討論会では堂々とした討論を実施。このときレーガン氏の年齢は73歳と高齢で不安視されていたが、「私は年齢を争点にしない。対立候補のモンデール氏は若さや経験の薄さも政治的に利用しない。」と発言。この発言によりモンデール氏は年齢のことを攻めることができなくなり、「レーガン氏があのように話した瞬間、選挙に負けることを悟った」と後に語っている。レーガン氏はそういう意味でいうと、「老練」であり、話し方も非常にうまかった。年齢的な不安を逆手に取ったことは、かつて東京都知事選で鈴木俊一氏が前屈されたことと重なってみえる。


【メディア戦略の重要性】
そして、これまでの大統領選で一番話題になったのは「ブッシュ氏」対「ゴア氏」。ゴア氏は若く、理論的にもさえていたことから圧倒的にゴア氏が有利といわれていた。ジュニア・ブッシュであるブッシュ氏は「無駄遣いをする大きな連邦政府を生み出す」とゴア氏を批判。それに対し「あきれてしまう」と言わんばかりの態度やため息を繰り返し「首を振ったり」「大げさな表情」も作ったり、ブッシュ氏をバカにするような態度をとっていた。この態度が高慢だという印象を与え、最終局面で支持率が並んだ。

最終的にフロリダの票をどうあけるかとなり、票をあけてみたものの決着がつかなかった。そこで、どちらが負けたかというかが問題になるが、ひと月ほど膠着状態が続きこのままだと大統領が決まらない状況に陥った。そこで、ゴア氏は「この状態を続けてもアメリカのためにはならない」ということで「私は負けた」と敗北宣言をしたことにより決着がついた。

そういう意味でいうと、パフォーマンス、人の善し悪しなど自分をよく見せようと思うとかえってその逆になってしまうようなこともあるといえる。テレビの画面が難しいし、怖い。こういったことが選挙活動そのものに直結してしまう一つのよい例だった。

オバマ氏は黒人で不利だといわれたが、「Change(チェンジ)」という言葉がものすごく響き、「われわれはチェンジできるんだ」とオバマ氏を勝利に導かせたといえる。


【選挙結果を受けたシンポジウムを開催】
テレビ討論は特に最近見せ方が大きくなってきた。今回のクリントン氏とトランプ氏の対決は中傷合戦となり「女性蔑視」「移民削減」に関する発言があり、その中傷合戦にドンドンおカネが使われているというような状況に陥っている。「アメリカは世界をいったいどのように導くのか」ということが全く見えない。そして、この不安が世界中に広まった。その間にロシアや中国がダンダン存在感を増し、「アメリカはどうなるのか?」という声が日本のみならずヨーロッパでも非常に不安に思ってみているという感じがする。

特にアメリカを支えるEUはイギリスの離脱の問題により混乱を極めているということもあり、この選挙の行方は注目されている。

そうした不安定な世界情勢について一流の識者を招き、11月14日(月)に私が会長を務める日本ウズベキスタン協会主催のシンポジウム「アメリカ大統領選後の世界と日本」を開催します。
日時:11月14日(月) 午後6時30分(開場6時)~20時30分
場所:日比谷図書文化館大ホール(日比谷公園日比谷図書館地下
パネリスト:岸井成格氏、高橋和夫氏、田中均氏、富坂聡氏
司会:嶌信彦
詳細は以下を参照↓
http://nobuhiko-shima.hatenablog.com/entry/201610312

まだ若干残席がありますので、お申込みをお待ちしております。

※画像:Wikimedia commns

シルクロードで仏教遺跡を発掘した第一人者 加藤九祚さんのお別れの会

11月3日に国立民族学博物館名誉教授であり文化人類学者・考古学者の加藤九祚さんのお別れの会が開催された。400人以上の人が詰めかけ、後方には立たれている方も大勢おり、急遽別の会場が用意されたほどで加藤さんの人柄が偲ばれる会だった。

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私もスピーチにて加藤さんの人柄やエピソードを話した。一部紹介したい。
酒を愛し、誰とでも隔てなく付き合う人柄は老若男女を問わず人を魅きつけた。底抜けに明るく、シベリアに送られた際にはソ連に留学したと思いロシア語を習得された前向きな人柄でもあった。

司馬遼太郎氏は「文化人類学というのは学才以外に徳がなければできない学問だ。加藤さんは天性この学問を耕す素質を持っており、世界中のどの文化に属する人も九祚さんの人柄がわかってしまう」と魅力を語っていたほどだ。シルクロードに「加藤の家」を建て、歌も作って若い人と発掘と研究人生を楽しんだ現場の人でもあった。

小池百合子さんや、中山恭子さんなど中央アジアと縁の深い方々、多くの学者、中央アジア各国の大使も来ていた。

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※画像左よりファルフ・トゥルスノフ駐日ウズベキスタン共和国特命全権大使、ギュルセル・イスマイルザーデ駐日アゼルバイジャン共和国特命全権大使 、ハムロホン・ザリフィ駐日タジキスタン共和国特命全権大使


ウズベク大使もスピーチされ、ウズベキスタンと加藤さんとの関わりやエピソードを披露された。一部紹介したい。

加藤先生が熱心に打ち込まれた研究については、ウズベキスタンの歴史の教科書でも取り上げられています。

イスラム・カリモフ初代大統領は、加藤先生の多大なる学術的貢献をたびたび讃えてこられました。2014年5月にサマルカンドで開催された国際会議「中世に生きた東洋の学者、思想家の歴史的遺産と現代文明におけるその役割と意義」において、カリモフ大統領は、加藤先生は中央アジアの偉大な研究者であり、その学術的活動は中央アジアの歴史や民俗学、考古学、芸術の未知なるページを開いたと述べられました。

2002年には、ウズベキスタンと日本の友好関係の強化と学術交流の発展における加藤先生の多大なる貢献を讃え、先生の80歳のお誕生日に大統領令により、高位の国家勲章であるドゥストリク勲章(友好勲章)が授与されました。

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着席で14時から18時すぎまで行なわれたが、途中で帰る人はほとんどいなかった。
奥様の定子さんも非常に喜ばれており、非常によい会だった。

私が会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会では毎年1月に在日ウズベク人やウズベキスタンに縁のある方々の交流の場として新年会を開催しているが、加藤さんも毎年お越しいただき、多くの方に囲まれお酒を嗜まれていた。以前トークショーにも出ていただいたことがある。

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年明け1月21日の午後に開催予定の新年会には定子さんをお迎えする予定。詳細が決まり次第、本ブログ、オフィシャルサイト、ウズベキスタン協会のサイトやFacebookに掲載。多くの方にお越しいただけることを願っている。

※加藤さん関連の私の寄稿記事等
・10月24日の毎日新聞5面総合欄の「悼む」
  愛された現場の人 

TBSラジオ森本毅郎・スタンバイ」の「日本全国8時です」 9月20日
 ~シベリア抑留から70年 井上靖、司馬遼太郎をも魅了した 文化人類学者の逝去~

 

昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:江上剛様(作家)音源掲載

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スタッフです。6日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)は、作家の江上剛様をお迎えした音源が番組サイトに掲載されました。

映画『金融腐蝕列島 呪縛』のモデルにもなった江上様。 第一勧銀(現みずほ)総会屋事件で混乱収拾に尽力したものの、歴代頭取も含めて十数人の逮捕者が出た上、元頭取の一人が自殺するという悲惨な事件に発展した背景などにつきお伺いいたしました。

次週も江上様をゲストにお迎えし、企業は不祥事をなぜ繰り返すのか、組織の内部にどんな問題があるからなのかなど、銀行内で「隠蔽の天才」と呼ばれていた江上さんが、支店長も務めた後、退行して小説家になった経緯などについてお伺いする予定です。ご期待ください。

 

6日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』 ゲスト:江上剛様(作家)

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スタッフです。6日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)は、作家の江上剛様をお迎えする予定です。

映画『金融腐蝕列島 呪縛』のモデルにもなった江上様。 第一勧銀(現みずほ)総会屋事件で混乱収拾に尽力したものの、歴代頭取も含めて十数人の逮捕者が出た上、元頭取の一人が自殺するという悲惨な事件に発展した背景などにつきお伺いいたします。

 

日本は解散が多すぎる ―国会で重要課題をゆっくり議論されない―

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 日本では国政選挙(衆院参院)が多すぎないだろうか。先日も東京と福岡で補欠選挙があったし、年末・年始あたりにかけ総選挙実施の噂も飛びかっている。選挙は国民の「民意」を問うことになるので決して悪いことではないが、最近の日本の選挙を見ていると、日本の国益、進路を問う選挙というより、政権与党が勝てそうな時に選挙を利用しているようにも見える。日本の国政選挙は原則、衆院は4年に1回(但し首相が解散権を行使したらいつでも解散総選挙になる)で、任期は4年。参院は任期6年だが、3年ごとに半数が改選されることになっており解散はない。

 戦後になってから日本で選挙の回数は衆参合わせて50回。戦後70年のうち50回ということは、1回の議員歴は平均で約2年弱ということになる。参議院は1回当選すれば6年間にわたり議員を続けられるのでまだ落ち着いて国政にあたれるが、衆議院は任期が4年あるにもかかわらず約2年に1回の割合で選挙があるので、特に1~2年生議員は落ち着いて国政にあたれるのかと危惧される。

 よく“常在戦場”という言葉を耳にするが、これはいつ選挙があるか分からないので、常に選挙戦の準備をせよという意味として使われている。また“金帰火来”という常套句も、金曜の議会が終わればすぐ選挙区に戻り土、日、月と選挙準備を怠らず、議会が始まる火曜には東京に戻っていなさいという教えだ。これでは4~5回当選し安泰にならない限り、ゆっくり政策を勉強する時間もないことになる。日本では例外を除くと5~6回は当選し安定しないと大臣になれない、と言われるのはこんな選挙事情が大きな背景にある。

――欧米は解散が少ない――
 こんな日本に対し海外を見ると先進国の場合、米国が戦後で35回、フランスが29回、英国19回、ドイツ18回などとなっている。とくに参院(上院)では米国の任期は6年、フランスも6年だが、欧州では多くの場合、一般的な選挙ではなくまず代表となる選挙人を選び、それが議員を選ぶ仕組みのようだ。ドイツでは各州政府が任命し選挙はない。英国は過去から貴族院制に基づき、首相の助言で国王が任命するという。こうしてみると、主要国では米国以外は参議院議員の選挙のないところが案外多いことが分かる。さらに欧州の主要国では衆議院の解散をなくそうとする動きもある。イギリスではキャメロン前首相が「総選挙は5年ごとに行う」と決めようとした。歳出削減や増税という不人気な政策について、たとえ支持率が低迷してもしっかり取り組むための制度作りだった。またドイツでは議会の解散を強く制限しており、首相の任期満了前に議会を解散した例は戦後70年でわずか3回しかないという。欧米の大統領や首相の任期が長いのは、こうした選挙制度があり、政権は長期で国益に合う大きな政策を実行せよという意味あいがあろう。
 日本では長期政権といっても佐藤栄作首相時の7年余が最高で、そのほかはほぼ5年以下。国際社会では日本の首相はつねに1~2年で代わり、安定しないといわれ続けてきた。

――バカヤロー解散――
 選挙が多いということは、国民に“民意を問う”という考え方からすれば民主的と言える。特に国論が大きく割れるようなテーマでは、民意を問う選挙を行う方が民主的と言えよう。しかし、日本で選挙が多いのは、国論を問うようなケースは少なく、内閣のスキャンダルが広がり支持率が低迷し続け信頼を失う場合に、政権与党が「今やれば勝てる」と判断した時に、何らかの理屈をつけて解散風を吹かせ解散に持ち込むケースが目立つ。
 このほか予期せぬ事態から解散となったケースとして“バカヤロー解散”“ハプニング解散”がある。バカヤロー解散は社会党右派の西村栄一議員が質疑応答中(1953年2月28日)、国際情勢の行方について西村議員の質問に答えた吉田首相が「英米の首脳は戦争の危険は遠ざかりつつあるとみている」と述べたところ、西村議員は「欧米の首脳の楽観論を聞いたのではなく日本の総理の国際情勢見通しを聞いたのだ」と反論、これに吉田首相が興奮したのか「無礼なことを言うな」と述べたため「何が無礼だ。欧米の翻訳したことを述べるのではなく日本の総理として答弁せよということがなぜ無礼なのか」と口論になり、西村議員の発言中自席に戻る途中に吉田首相が「バカヤロー」とつぶやくように発言したところ、これがマイクに入り聞こえてしまい、“発言取消”騒ぎに発展。さらに自由党非主流派も裏で画策し不信任案が出されて可決、吉田首相は衆院解散に打って出た事件である。解散後、吉田・自由党は政権を維持したものの大敗し影響力は急速に衰えた。

――ハプニング解散――
 ハプニング解散は大平内閣当時の閣僚や自民党議員の一連のスキャンダルを巡り内閣不信任案が出され、自民党内は主流派と反主流派が賛成か反対かで混乱し、反主流派は不信任に賛成し可決した。このため大平首相は解散権を行使し、前回選挙からわずか7カ月で衆院は解散となった。しかも史上初の衆参同日選挙となった。野党も不信任案が可決されるとは考えておらず。自民党反主流派も戦略のない行き当たりばったりの解散となったため、ハプニング解散と呼ばれることになった。

――長期政権を目的化するな――
 こうした解散例を見ていると、国政の最高決定事項を議論する国会の場が、日本では時の政権与党の選挙の勝算に都合よい時とか、たいした理由もなく解散に追い込まれるケースが目立つ。これでは落ち着いて国政の重要事項が国会の場で議論されず、国民に真意や議題の中身が伝わらず国会が本来の役割を果たしているとは言えないわけだ。安倍政権は久しぶりに長期政権になる可能性が出ているが、こんな時こそ国政の重要事項を国会で議論し、内容を国民に明らかにする義務があろう。ただ、今の安倍内閣も長期政権を目指すことが目的化しているように見えるのは残念だ。米国大統領選後の世界の動向、中国やロシアの動きと日本への影響、財政赤字の膨大化と景気の行方、貧困層や二極化の拡大など、将来の日本の進むべき道についてこの安定政権の中で落ち着いてしっかり国民の前で議論してほしいものだ。
TSR情報 2016年10月31日】

※画像はwWikimedia Commons :「バカヤロー発言」の後に、広川弘禅氏への懲罰処分問題に関して自宅で記者団と懇談する三木武吉氏(クローズアップ・バージョン)
『サン写真新聞(1953年3月9日号)』毎日新聞社

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