【ウズベキスタン関連情報】ルーヴル美術館研究員 ロッコ・ランテ博士の講演会「ウズベキスタン ブハラ・オアシスの発掘調査とシルクロード」のお知らせ
スタッフからのお知らせです。横浜ユーラシア文化館が主催するウズベキスタンのブハラ・オアシスで多くの遺跡発掘を指揮されている、ルーヴル美術館研究員のロッコ・ランテ(Rocco RANTE)博士をお招きしたウズベキスタン・ブハラでの発掘調査成果とそれに関わるシルクロードの歴史に関する講演会が9月3日(日)横浜にて行なわれます。
ランテ博士はイラン考古学の専家で、2005 年から 2008 年までフランス・イラン研究所の研究員をつとめ、2008 年以降ルーブル美術館に所属し考古美術研究に従事しておられます。
主なプロジェクト履歴
・2000 年~2004 年 イスファハン金曜モスクの考古学調査に参加
・2006 年、2007 年 イランの古都市レイの発掘
・2009 年以降 ブハラ・オアシスでのフランス・ウズベキスタン共同考古学調査団 (MAFOUB/ Mission Archeologique Franco-Ouzbeke dans l'Oasis de Boukhara) のフランス隊隊長として発掘を主導し、以下サイトで順次報告されております。
開催概要は以下を参照下さい。
【講師】ロッコ・ランテ博士(フランス・ウズベキスタン合同発掘調査隊隊長、ルーヴル美術館イスラーム部門研究員)
Dr. Rocco Rante (Archeologist, Louvre Museum, Department of Islamic Art)
【講演言語】英語(通訳あり)
【日時】2017年9月3日(日)14:00~(受付は13:30~)
3 September 2017 14:00-16:00※質疑応答を含め2時間程度
【会場】横浜市開港記念会館 第1会議室(横浜市中区本町1丁目6番地)
Yokohama Port Opening Memorial Hall (6 Honcho 1-chome, Naka-ku, Yokohama)
※横浜ユーラシア文化館から徒歩3分。
【受講料】500円 ※当日受付にてお支払いください。Admission ¥500
【定員】100名 事前申込み制 ※申込み多数の場合は抽選
Webからのお申し込みは、横浜ユーラシア文化館のサイトを参照下さい(以下URLをクリック)
http://www.eurasia.city.yokohama.jp/exhibition/2017lecture_Uzbekistan.html
戦争を考える1冊 ウズベキスタンでの抑留秘話「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」
スタッフです。今年、戦後から72年を迎えました。本ブログでは折に触れてご紹介しておりますが、戦後70年を迎えた2015年9月末に嶌はソ連(当時)によって満州からウズベキスタンに送られ、タシケント市でオペラハウス「ナボイ劇場」の建設に携わられた航空工兵457名の方々の秘話「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」を角川書店より上梓しました。
戦争を深く考える時期
NHK等で連日、戦争関連の特番が放送されており、この時期は戦中、戦後に関して深く考えさせられる時期でもあります。本書は発売から2年弱が過ぎておりますが、今なお読んで感想を寄せて下さっている方もおりますので改めてご紹介いたします。
10年以上にもわたり取材
本書のテーマは嶌がNPO日本ウズベキスタン協会を設立した後、10年以上にわたり取材、調査してきました。実話のノンフィクションとするため、何度か挫折しながらも書き上げた思い入れのある本です。
中央アジア・ウズベキスタンで過ごした457人の日本人捕虜たち
戦後70年にあたった2015年は、様々な戦後史ものが出版されてきました。なかでも多かったのがシベリア抑留の悲劇です。本書に描かれているのは、シベリア抑留の悲劇とは違ったソ連での抑留生活です。中央アジアの収容所で過ごした457人の日本人捕虜が旧ソ連の4大オペラハウスの一つとなるビザンチン様式の「ナボイ劇場」をロシア革命30年にあたる1947年10月に完成させ、舞鶴港に帰国するまでの秘話を描いています。
ナボイ劇場
後世に日本の恥となるような建築は作らない
24歳の永田行夫隊長以下10~20代の捕虜たちは、厳しい収容所での生活にありながら「後世に日本の恥となるような建築は作らない。その上で、全員が元気に帰国する」ことを使命としてウズベク人と協力してウズベキスタン・タシケント市にて「ナボイ劇場」の建築作業に従事し、1947年10月に完成させました。その後、1966年に大地震が発生しタシケント市が全壊した時、ナボイ劇場だけは凛として悠然と建ち続け、中央アジアの人たちを驚かせています。
本書の主人公永田行夫様の当時(24歳)のお写真
日本をモデルにした国づくりを行なう中央アジア
そのことが91年に中央アジアの国々でソ連からの独立した際、日本をモデルにした国づくりをしようという動きにつながりました。中央アジアでは、この話は多くの人に知られていましたが、日本ではこれまでシベリア抑留の悲劇に隠れ、ウズベキスタンのオペラハウス建設の秘話はほとんど知られていませんでした。
ナボイ劇場の裏手に行くと「この劇場は日本人が建設し、完成に貢献した」という碑文があり、これを読んだ日本人は皆涙します。またウズベクの方々が毎週日本人墓地を掃除してくれています。
ナボイ劇場のプレート
満州抑留兵のもう一つの感動秘話
若き日本の抑留者たちの労苦と協力・和の精神が中央アジア全体に多くの親日国を作ったことにつながったことを知って頂き、満州抑留兵のもうひとつの秘話を広めていただきたいと思っております。ぜひ日本人論を再考し、感涙の一冊としてもぜひ多くの皆様にご紹介いただければ幸いです。
角川書店の通販サイトにてためし読みが可能です。
ぜひお時間がある時に以下リンクよりご覧くださいますようお願いいたします。
また、本書は様々なメディアにて書評や本書の内容が紹介され、直近では今年の4月20日にフジテレビ系「奇跡体験!アンビリーバボー」にて本書をベースとした再現ドラマが紹介され、SNS等で多くの反響をいただいております。
nobuhiko-shima.hatenablog.com
トップ画像は、「ナボイ劇場」完成当時の画像。記録映画「ひいらぎ」より
「ひいらぎ」が8月30日(水)新宿の平和祈念展示資料館にて上映されます。ご興味をお持ちの方は以下リンクを参照ください。
昨日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲスト:井上源太郎様( 靴磨き職人・ホテルオークラ東京「SHOE SHINE」オーナー)音源掲載
スタッフです。昨日のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)はゲストにホテルオークラ東京のショッピングアーケード「SHOE SHINE」のオーナーで靴磨き職人の井上源太郎様をお迎えした放送音源が番組サイトに掲載されました。
革質や履き心地を研究するために100足以上の革靴を買い集めたと云うこだわりや、500人以上の固定客を抱え、靴を一目見れば、誰のものか、いつ購入したかがすぐわかるという職人技などにつきお伺いしました。
10日間限定でお聞きいただけます。
次週も井上様をゲストにお招きし、1960年代、都心の別のホテルでアルバイトとして始めた靴磨きの腕が評判をよび政治家、ジャイアント馬場様など、国内外の多くの著名人が信頼を寄せ、靴磨きを依頼されている。往年の名女優オードリー・ヘプバーンも来日時に何度も訪れたというエピソード、長年、古くからのお客様を大切にしてこられた極意などをお伺いする予定です。ご期待ください。
この収録日の前日に嶌はホテルオークラ東京のアーケードにある井上様のお店「SHOE SHINE」にお伺いし、実際に靴を磨いていただきました。以下の画像は嶌が磨いていただいている画像ではありませんが、お店の雰囲気を把握いただけると思いますので参考までご紹介します。
1強体制を固める中国・習政権 ―江沢民・胡錦濤派潰しに躍起―
五年に一度の中国共産党大会が近づいているせいか、このところ習近平・中国国家主席の一強支配を示す動きが目立つ。7月30日に行なわれた中国人民解放軍の創立90周年を記念する軍事パレードでは、習主席が珍しく迷彩服を着て閲兵に参加した。普段は背広姿(中山服)が多いので、オヤッと思わせ、軍を掌握している姿をあえて見せたのかなと感じさせた。また兵士たちがこれまでの指揮官を呼ぶ「首長閣下」の呼称でなく「主席閣下」と呼んだという。
続きは、本日配信のメールマガジン「まぐまぐ」”虫の目、鳥の目、歴史の目”にてご覧ください。(初月無料)
続きに掲載されている本記事の見出し
・習の後継者候補を次々と放逐
・側近を次々と重要ポストに抜擢
・人権派弾圧、アメリカとも溝
・秋の共産党大会までの一時的締め付けか
画像:Wikimedia commons 中華人民共和国国防部本部(Netson)
無気味なトルコの動き オスマン帝国の復活もくろむ!?
トルコが再び中東と世界の波乱要因になってきた。軍の一部がエルドアン大統領に反発してクーデター未遂事件を起こしてからこの7月で1年となった。クーデターは押さえ込んだものの、大統領の弾圧と強権が加速し、シリア北部に侵攻したり、大統領権限集中の改憲が可決されている。その一方で、反政府デモが日増しに激しさを増してトルコは分断状況を呈してきた。欧州諸国もトルコの強権政治に批判を強めている。
トルコは第一次大戦後、オスマントルコ帝国の打倒とその後に続くトルコ共和国建国のトルコ革命で近代化を成し遂げた。その指導者が近代トルコの父といわれるケマル・アタチュルクで1918年から22年まで繰り広げられた。かつてのオスマントルコは、小侯国から伸びてきたイスラム国だったが、やがて17世紀には東西はアゼルバイジャンから北アフリカのモロッコ、南北はイエメン、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ウクライナに至る広大な版図を築いた。
しかし第一次大戦で敗北すると、列強の占領下におかれ、植民地となりかけるが独立運動が起こり、1923年にイスラム世界で初となる共和制を宣言、オスマン王朝を追放し西洋化を目指す。その中心的指導者がケマル・アタチュルクだった。国土は北の黒海、南のエーゲ海と地中海をまたぐボスポラス海峡やダーダネルス海峡などによって隔てられ、ヨーロッパと中東、中央アジアをつなぐ要衝に位置する。国土は日本の約2倍で、人口は約8000万人の大国で、大半はイスラム教徒。イスタンブール、アンカラが大都市だ。
経済は世界17位(GDPは8574億ドル)で軽工業、商業、農業、鉱物資源で成り立つが1990年代から経済は低調だった。インフレと巨額債務に苦しみ、ドイツなどへ出稼ぎにゆく労働者が多いことで知られた。2000年代になって経済はやや持ち直してきた。2003年から現在大統領を務めるエルドアンが首相となり強権的手法でイスラム化を進める統治を行ない存在感が増した。
さらに2007年の憲法改正で大統領制に移行。エルドアンは2014年に大統領に当選し、2017年の改正で大統領権限を一段と強化して今日に至っている。2016年のクーデター未遂事件は、こうしたエルドアン政権の強権策に反発して発生している。軍はトルコのイスラム化に反対し、世俗主義(政教分離の西洋化)を掲げており、トルコ内では農村部はイスラム派、都市部は世俗派が多いとされる。エルドアン政権はクーデター事件未遂後、5万人以上の民間人、ジャーナリストらを逮捕し、15万人以上の公務員、軍兵士と幹部、警察官、官僚、司法関係者を逮捕した。NATOの加盟国でEU加盟を目指しているが、最近はその強権政治を巡ってEUとの対立も激化している。
トルコのもう一つの厄介な問題がトルコ領内のクルド族の独立の動きと難民の規制だ。クルド族はトルコ、イラン、イラクなどに住み、その数は2500万~3000万人で国家を持たない一つの最大の民族といわれる。なかでもトルコには1500万人以上がいるとされ、過激集団イスラム国との闘いで功績をあげ、その勢いにのってクルド国家成立を目指している。ただ、クルド族を抱えるトルコ、イラン、イラクは国家成立に反対しており、中東各国では厄介な民族問題となっている。
また中東各国から難民がEUに渡っているが、トルコは欧州への難民を規制し始めた。2016年に中東、アフリカから欧州に渡った難民は約38万人だが過去最大の104万人(2015年)に比べると約7割も減少した。その最大の原因はトルコが規制強化に乗り出したためといわれる。
トルコは20世紀初めまでオスマン帝国を築いた大国だったが第一次大戦を機に国力、領土とも減少した。しかしトルコ民族には、かつてのオスマン帝国への郷愁があり、特にエルドアン政権は、その強権を武器に“新オスマン主義”を目指しているとされる。このことが中東各国やヨーロッパ諸国との火種となって最近くすぶり出し、中東の新たな波乱要因となりつつあるのだ。
画像:Google map
13日 TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』ゲスト:井上源太郎様( 靴磨き職人・ホテルオークラ東京「SHOE SHINE」オーナー)
スタッフです。13日(日)のTBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』(21:30-22:00)はゲストにホテルオークラ東京のショッピングアーケード「SHOE SHINE」のオーナーで靴磨き職人の井上源太郎様をお迎えする予定です。
革質や履き心地を研究するために100足以上の革靴を買い集めたと云うこだわりや、500人以上の固定客を抱え、靴を一目見れば、誰のものか、いつ購入したかがすぐわかるという職人技などにつきお伺いいたします。
世界の名だたる方々を虜にされている井上様。靴好きな方々が皆こちらにうかがって靴談義をされることを楽しみにされ、憧れの存在でもあります。
ちょうど平日の夕方にホテルオークラ東京に伺う予定があり、実際に靴を磨かれている様子を拝見することができました。みるみるうちに驚くほど靴が輝いていき、驚きました。
孤立し始めるアメリカ
トランプ大統領は、どうして品性がなく落ち着きが感じられないのだろう。子供じみた敬礼をしたり、親指を立てて周囲の人々に挨拶する格好は、どうみても超大国の大物大統領の風情ではない。しかも、言うことがコロコロ変わったり、中国・ロシアとの関係も不安定だ。最近はEU、特にドイツとの間にまでスキ間風が吹いている。とにかく、トランプ大統領が登場してから世界が騒々しくなってきた。
そんな中で安倍首相は「トランプ大統領とはウマが合う」と言い、日本の安全保障は強固だと自信をみせている。万一の時はアメリカが日本へ駆けつけ守ってくれると信じているようだ。確かに貿易黒字などで多少の不満を述べているが、今のところ日本に圧力をかけている様子はない。ただ、いつ何を仕出かすか、わからないところもトランプ流なのだ。
しかもトランプ流は"圧力"をかけて自論を通そうとするため、各国との間に波風を立てる。中国が動いてくれないとみるや、6月末から圧力を強化する挙に出た。北朝鮮と取引のある中国の銀行に対し差し押さえに乗り出し「北朝鮮と取引する中国企業にはさらに制裁を行なう」とし日本と韓国にも同調するよう呼びかけた。
また7月初めに行なわれた20カ国首脳会議(G20)でも、安全保障や北朝鮮制裁などで中国・ロシアと意見が合わなかった。温暖化対策を目玉にしたかった主催国ドイツに対してはあからさまに非協力的態度を取った。メルケル独首相は、温暖化対策の枠組を決めたパリ協定にアメリカが留まるよう要請したが、環境問題を話合う首脳会議の時間帯に席を外したのだ。
こうしたトランプ大統領の”アメリカ・ファースト”、言い換えれば〝オレ様第一〟の方針と態度にヨーロッパ各国はあきらかにウンザリし始めている。米欧同盟は世界で最も固い絆とみられてきたが、ヨーロッパは少しづつ距離を置き始めている。5月のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議の後、メルケル首相とEU(欧州連合)のユンケル委員長は相次いで「EUの防衛、安全保障はもはや他人任せには出来ない」と語りアメリカ離れを示唆した。
またロシアの脅威にさらされるスウェーデンも2010年に廃止した徴兵制を来年から再導入する。スウェーデンは、ロシアが介入して来た時、アメリカはスウェーデンだけでなくNATO防衛にも真剣に向き合ってくれるかどうかわからないと見始めているためだ。
”同盟”という言葉は安心感を与えてくれるが未来永劫続く同盟はあり得ない。考えてみれば明治から昭和にかけて日本外交の柱だった日英同盟も半世紀と持たなかったのである。
【財界 2017年8月22日号 第453回】
※画像:5月に行なわれたタオルミーナサミット(サミット公式ページより)